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航空戦艦

戦艦、巡洋艦としての大口径砲を装備し、かつ航空母艦又は水上機母艦に準ずる航空機運用能力を持っている軍艦のこと。

航空戦艦(こうくうせんかん)とは、戦艦としての大口径砲を装備し、かつ航空母艦又は水上機母艦に準じた航空機運用能力を有する軍艦の通称である。

世界の建艦史上に当初から航空戦艦として建造された艦は存在せず、公式な艦種として存在したこともない。 また、竣工・実戦投入された唯一の例である伊勢(戦艦)戦艦からの改装であり、公式には戦艦のままであった。

なお、同様に巡洋艦としての火砲を装備し、かつ航空母艦又は水上機母艦に準ずる航空機運用能力を有する軍艦の通称として航空巡洋艦と呼ばれるものもあり、これについても当項目で併せて記述する。

#航空巡洋艦」の節参照

目次

概要編集

20世紀初頭から半ばにかけての海軍戦力の中核は、大口径の砲とそれに耐えうる装甲を備えた戦艦であったが、第一次世界大戦における航空母艦の誕生とその後の航空機の発展により、「戦艦の砲撃力と空母の航空運用力を併せ持てば、万能艦となるのではないか?」という発想が各国の海軍関係者や造艦技術者に産まれることになった。

当時の艦載機は実用化されて間もなく、その可能性に大いに期待が寄せられていた反面、航続距離が短く兵器搭載量が僅かだったり、天候による運用上の制約が大きい等の理由で、艦隊兵力としての信頼性が低かった。空母も誕生間もない艦種で運用法が定まっていなかった。海軍の主力であった大艦巨砲と艦載機の組み合わせは大変魅力的であり、各国海軍で様々な運用法を模索する過程で、戦艦と空母を組み合わせた航空戦艦というアイデアが生まれてきたと考えられる。実際に第二次世界大戦前の各国海軍では航空戦艦の設計や提案は多くなされており、実現寸前までいったものもある。

しかし結局のところ新造艦としての航空戦艦は一隻も実現していない。ワシントン海軍軍縮条約において、空母の備砲の制限がなされたからである。ワシントン海軍軍縮条約の主目的は戦艦の新造禁止であったが、航空戦艦のアイディアにより空母の名目で戦艦に匹敵する砲力の艦を建造するという「抜け道」となる事が懸念された為である。条約を締結していない国に対して航空戦艦の提案がなされた事があるが、軍縮条約に参加していない国のほとんどが工業力自体が未熟であり、それらの国では航空戦艦に限らず巡洋艦を越えるサイズの艦の建造すら着手できなかった。更に条約の失効後に於いても航空戦艦の提案はなされたが、その頃には既に空母の運用の経験が蓄積され、純然たる戦艦及び空母の建造〜運用が実用的であるとの結論に至ったものと推察される。

なお、特に“航空戦艦”と称されていなくても、大型の戦艦では多数の水上機搭載・運用能力を持つものもあり、例えば大和型戦艦には、船体後部、第三主砲塔から艦尾にかけての最上甲板の下に、上甲板と中甲板の二層にまたがる飛行機格納庫が設けられており、格納庫収容と露天繋止を合わせて6機もしくは7機(搭載する機体のサイズによっては8機)を搭載できた[1]が、特に「航空戦艦」とは分類はされておらず、そう形容されたこともない。

第二次世界大戦後、航空機・ミサイルが海戦の主戦力となった現在、航空機運用能力と強力な固定武装の双方を備えた艦として、ソ連は1143号「クレーチェト」計画重航空巡洋艦・「アドミラル・クズネツォフ」を建造している。これらの艦は現代の航空戦艦と言えない事もない。しかしながらこれらの艦種名はモントルー条約に対しての政治的処置として、「重航空巡洋艦("Тяжёлый Авианесущий Крейсер (ТАВКР, ТАКР) / Tyazholiy Avionosnyy Kreyser (TAVKR, TAKR)")」となっている(詳細は後述「#第二次世界大戦以降」にて)。

問題点編集

「戦艦の砲撃力と空母の航空運用力を併せ持てば、両者の長所を持つ万能艦となる」との発想で構想された航空戦艦であるが、実際には航空戦艦は「戦艦と空母の長所を兼ね備えた」というより、互いの長所を相殺する兵器であるとの考察が一般的である。

戦艦としては大口径の主砲が必要不可欠であるが、これは超弩級戦艦クラスの大口径砲の場合、艦の中心線上以外には設置できない。それでは空母としての飛行甲板設置が困難となり、射撃統制の為の上部構造物も艦載機の着艦を困難にする。また主砲射撃時の凄まじい衝撃は、デリケートな航空関係の装備に悪影響を及ぼすし、砲撃中の搭載機運用は不可能となる。また長大な飛行甲板と格納庫は主砲の射界を制限してしまう。

空母としては多数の艦載機を運用するための格納庫、弾薬庫や航空燃料のタンクが不可欠だが、これは砲撃戦時に砲弾が直撃すると非常に危険である。その防御に戦艦並みの厚い装甲を施した場合は、重心が上がって転覆しやすい(トップヘビー)など不安定な艦になってしまう。防御を諦めるのであれば、相対する敵艦と艦砲の射程距離内に肉薄する事は極めて危険となるため、艦砲が無用の存在となるためそれを搭載する意味が無くなる。

航空戦艦は戦艦と空母を同時に建造・運用する能力のない中小の海軍での運用に適するという意見もあり、また、正面戦闘には不適であっても、空母直衛や船団護衛、搭載機による索敵能力を活用した偵察、哨戒に活用できるという意見もあった。投入される任務が護衛や哨戒などであるならば、巡洋艦以下の艦艇にはアウトレンジでの防衛力をもつ戦艦は有効な戦力となりえたとされている[2]。しかし、そのような任務に実戦で運用された例が皆無のため(伊勢型戦艦は輸送任務に投入された戦歴があるが、敵水上艦艇とは交戦していない)、これらの説の真偽も定かではない。

ともあれ「戦艦の砲撃力と空母の航空運用力を持つ万能艦」は航空戦艦に対してよく用いられたセールストークであり、架空戦記などのフィクションでは人気があるコンセプトの軍艦である。

各国の計画した航空戦艦編集

日本編集

太平洋戦争時、航空母艦の重要性が高まるなか、ミッドウェー海戦において正規空母4隻を失った大日本帝国海軍はそれを補完するためのさまざまな方策を模索した。その一つが既存の艦艇の空母への改装である。大和型戦艦を除く全ての巡洋艦以上の艦艇について改装が検討された。

金剛型戦艦機動部隊への随伴に最適である高速戦艦で、これを改装することは望ましくなかった。また、長門型戦艦は艦隊決戦では大和型に次ぐ威力を発揮すると期待されたため除外された。扶桑型戦艦伊勢型戦艦はあらゆる面で他国新鋭戦艦群に劣っていることから最有力候補となり、当時伊勢型2番艦「日向」が5番砲塔を事故で失っていたことなどから、伊勢型の2隻(「伊勢」・「日向」)の空母への改装が決定した。

しかし戦局の悪化に伴う資材不足や工業力の低下などにより、改装には5-6ヶ月程度かかると予測され(一説には1年-1年半)、その間工廠の能力の多くを占有することによる他の艦艇の整備や修理への悪影響、また早急に戦列に復帰させる必要性などから、本格的な空母への改装は見送られた。

 
船体後部を改装された状態の伊勢の図版

当初は船体中部から後部の主砲塔4基を撤去し煙突以後を射出甲板にする案もあったが、工期と資材面で断念され、実際の改装は船体後部の5・6番砲塔を撤去し、格納庫と射出甲板を設けることで航空機22機の搭載を可能とした。当初は搭載機として彗星艦上爆撃機が予定されており、カタパルトによる射出にて発艦、攻撃終了後は近隣の航空母艦又は陸上基地に帰投することとなっていた。後に爆撃も可能な水上偵察機であった瑞雲も搭載することになり、瑞雲の場合カタパルトで射出する点は彗星と同様だったが、水上機である特性から海上に着水させ、それをクレーンで甲板に吊り上げて回収することも可能となった。

しかし、搭載すべき艦載機の生産の遅れや台湾沖航空戦での搭載予定の機体の消耗などにより、続くレイテ沖海戦では搭載機無しで海戦に参加するなど、航空戦艦として実際に運用されることは無かった。しかし、レイテ沖海戦後の北号作戦では、その飛行機格納庫が物資積載場所として利用された。戦争末期のアメリカ海軍による呉軍港空襲によって2隻とも大破着底の損害を受け、終戦後解体された。

イギリス編集

1926年ヴィッカース社の軍艦設計部長であったジョージ・サーストン卿がブラッセイ海軍年鑑誌上で複数の案を発表している。前半部分に主砲を搭載し、その直後から後部までを飛行甲板と格納庫とし、アイランド形式の艦橋を右舷に設けるレイアウトだった。当時はワシントン海軍軍縮条約下であったため、非条約加盟国向けの提案であったが採用されることはなかった。

第二次世界大戦中においても、 ライオン級戦艦を元にサーストン卿の案による航空戦艦が計画されたものの、そもそものライオン級戦艦自体が未成であったために単なる机上の案に終わっている。

アメリカ編集

第二次世界大戦以前に、全通飛行甲板の前後や全通甲板の直下に主砲塔を装備した航空戦艦が提案されたが、建造される事はなかった。なお、この案はアメリカの造船会社ギブス&コックスよりソ連海軍に“ソビエツキー・ソユーズ級戦艦”として提案されたものが知られている(実際にソビエトで建造されたソビエツキー・ソユーズ級戦艦とは異なる)、が、実現する事は無かった。

第二次世界大戦後、1980年代にアイオワ級戦艦が現役復帰する際に、後部にスキージャンプ甲板を設けハリアーを搭載する航空戦艦案があったが、実現することはなかった。

フランス編集

フランス海軍最後の戦艦「ジャン・バール」は、未完成のままナチス・ドイツのフランス侵攻から逃れ自由フランス軍に参加したが、そのままでは戦える状態ではなかった。どのような形で竣工させるかについて戦艦案や空母案、解体廃棄案など幾つか出された案の中に航空戦艦案もあった。前半部に4連装38センチ砲2基、その直後から艦尾まで飛行甲板を設け50機前後の艦載機を搭載すると言うものだったが、費用の面で実用的でないとされ、純然たる戦艦として竣工した。

航空巡洋艦編集

戦間期においては巡洋艦において航空戦艦と同様の設計とした艦種である“航空巡洋艦”が、航空戦艦と並んで多数が構想された。

ただし、航空巡洋艦においては、航空戦艦の「戦艦の砲撃力と空母の航空運用力を併せ持てば万能艦となる」という着想とはやや異なり、巡洋艦の重要な任務の一つが索敵と哨戒であり、航空母艦も当初は艦隊決戦における主力兵器ではなく主力部隊(戦艦部隊)に先行して索敵や前駆偵察を行うという、巡洋艦と同様の運用を行うことを想定していたため、これを一隻にまとめることは軍縮条約下での保有制限に対処するものとして有用である、という発想からのものである。また、航空母艦も登場当初のものは同様の発想(先行偵察部隊として運用している際に敵巡洋艦部隊と遭遇する可能性がある)から巡洋艦と同様の砲兵装を搭載したが(後述「#砲戦能力を持つ航空母艦」の節参照)、次第に砲兵装よりも航空機の運用能力が優先されるようになったため、これを補完するものとして「高い航空機運用能力を持つ巡洋艦」が求められた、という側面もあった。

このため、航空巡洋艦の設計思想は「巡洋艦と航空母艦の能力を両方持っている艦」としてよりは“巡洋艦と同等の砲兵装を積んだ小型の航空母艦”としての面が大きい。しかし、やはり航空戦艦と同じ問題(結局のところ双方のメリットを活かせない中途半端な存在になる)があり、巡洋艦の枠に収める限り、戦艦に比べて排水量が小さいため上部構造物が大型化することによるトップヘビーの問題が大きくなり、そうしてもなお航空機の搭載能力が少ない上に飛行甲板が短く狭いものになってしまうため「航空機を搭載し運用する艦艇」としては実用に耐えるものになりそうにない、という問題があった。このような理由から、やはり航空巡洋艦も実際には建造されていない。


なお、上述のような「航空母艦の航空機搭載能力と巡洋艦の水上戦闘能力を併せ持った戦闘艦」としてのものではなく、「通常の巡洋艦に比べ水上機の搭載数が多く、水上機関連の装備を充実させた巡洋艦」(水上機母艦としての能力を持つ巡洋艦)という意味での“航空巡洋艦”は、航空戦艦の場合とは異なり、実際に多数建造されており、実戦での活躍例も多い。これは前述のように巡洋艦という艦種は偵察も主任務としており、水上機を多数搭載する事はこの任務に適った運用であり、前述の伊勢型のような「暫定的なものとして水上機の運用能力も拡大した“航空戦艦”」の場合とは違って利点が大きかったからである。

もっとも、航空機の搭載数が多いといっても、同規模の排水量を持つ巡洋艦と比しての相対的なものである。前述の大和型戦艦等、水上機搭載機数の多い大型艦と比較すれば、航空巡洋艦と呼ばれるものであっても航空機の搭載機数が少ない場合もある。また、用途も対潜哨戒や偵察といった補助任務に限定され、搭載機も哨戒機や偵察機が主体であった。

なお、前述のように航空母艦は艦種として誕生した初期のものは巡洋艦と同等の砲兵装を備えていることが一般的であったが、1921年のワシントン海軍軍縮条約、1930年のロンドン海軍軍縮条約によって、航空母艦、巡洋艦共に厳密な定義と制限が設けられているため、これらが“航空巡洋艦”と称されたり公式に区分されたりしたことはない。

日本編集

 
航空母艦蒼龍の原案であるG8の風洞模型(1934年2月2日撮影)。
何種類かの案のうちの1つ。

ワシントンロンドンの両海軍軍縮条約によって、帝国海軍の航空母艦は8万1000トンに制限されるようになり、既に存在する空母4隻(鳳翔赤城加賀龍驤)の排水量を引いた残枠12,630トンのうち、1922年竣工の鳳翔は条約で定められた廃艦艦齢である16年に間もなく達する予定であったため、海軍は鳳翔の代艦分8,370トンも加えた残枠21,000トンを用いた航空母艦2隻の建造を計画した[3]。昭和7年度(1932年度)に設計された基本計画番号G6案では、基準排水量12,000トン、20.3cm連装砲3基6門、12.7cm連装高角砲6基12門、艦上機70機を搭載する航空巡洋艦として計画されており、このG6案が発展した昭和9年度(1934年度)のG8案では、基準排水量10,050トン、20.3cm連装砲1基、三連装砲1基5門、12.7cm連装高角砲10基20門、艦上機100機が要求されている。しかし、この要求を10,000トン余の艦体に収めることは現実的な設計として実現できるものではなく[4]、最終的には15.5cm連装砲1基、三連装砲1基5門、12.7cm連装高角砲8基16門、艦上機70機の計画となった[3][5]。このG8案は昭和9年度海軍軍備補充計画(通称・マル2計画)により建造される予定であったが、建造開始直前の1934年に重装備の結果トップヘビーの設計となった水雷艇が転覆する友鶴事件が発生した影響で、この設計では艦体に比して過大な装備となることが懸念され、最終的には15.5cm砲を搭載しない形に改設計されて建造開始され、航空母艦「蒼龍」として完成した。

 
利根型重巡洋艦

艦の後部を航空艤装に充て、多数の水上偵察機を搭載する「航空巡洋艦」としては、水上機6機を搭載可能な利根型重巡洋艦や、後部主砲を撤去して航空艤装を装備し水上機11機を搭載可能な航空巡洋艦に改装された「最上」、潜水艦隊旗艦として水上偵察機6機を搭載可能な「大淀」などがこれに当たる。

アメリカ編集

 
フライトデッキ・クルーザーの設計案の一つである、CF-2の計画図面

アメリカ海軍では1930年代に、ワシントン海軍軍縮条約下の制限内で正規空母を補完するための戦力として、索敵と前駆偵察を主任務とした巡洋艦を“フライトデッキ・クルーザー(Flight-deck Cruiser)”の名称で計画し、“CF”の艦種記号も策定されていくつかの設計案がまとめられていた。これらはいずれも全長100m超の飛行甲板と、複数の6インチ(152mm)砲塔を備えたものだが、それらの装備を条約の制限下である1万トン以内の排水量に収めた場合、小型にすぎて実用性がないとされ、1940年には計画が中止されている。

アメリカ海軍は第2次世界大戦では大量の小型航空母艦(軽空母護衛空母)を建造して戦力化したため、「多数の水上機を搭載できる、水上機母艦としての機能を持つ巡洋艦」の必要性がなく、そういった意味での“航空巡洋艦 ”は計画も建造もされていない。

イギリス編集

 
フューリアスの新造時(上)と艦首飛行甲板設置時(下)

イギリス海軍が特殊任務用に建造した大型軽巡洋艦を改装して1917年に完成させ就役した、世界初の本格的航空母艦であるフューリアスは、当初は艦橋より前に発艦専用の飛行甲板、後ろに18インチ単装砲を装備していた。同様に特殊任務用大型軽巡洋艦として建造され空母に改装されたカレイジャスグローリアスとは異なり、元の巡洋艦から空母に移行するまでの最初の時期(1917年3月 - 6月)においては、前方に飛行甲板等の航空運用施設、後方に艦砲という様相であり、艦載機も水上機ではなく固定脚を装備した航空機を運用できるものだった。

ただし、これは意図があってあえて航空機と砲の両方を搭載するものとして設計された訳ではなく、航空母艦という新しい種類の艦を作るための試行錯誤の過程に過ぎない。着艦が事実上不可能なため航空機を運用するには問題が大きく、半年足らずで砲塔は撤去され、それ以降も改装が続けられ航空母艦の基本的レイアウトを確立する。

フューリアスは砲の他に533mm水上発射管を3連装4基+連装2基に加え533mm水中発射管単装2基と合わせて魚雷発射管を計18門(片舷斉射数最大9発)装備する“重雷装艦”でもあった。

スウェーデン編集

 
航空巡洋艦ゴトランド

1930年起工、1934年竣工した航空巡洋艦「ゴトランド」は、「通常の巡洋艦に比べ水上機の搭載数が多く、水上機関連の装備を充実させた巡洋艦」としての航空巡洋艦の嚆矢となった艦である。

基準排水量4,700tは他国の軽巡洋艦並みかそれより若干小型であるが、水上機搭載数は6機と非常に多く、航空巡洋艦の名に相応しい。


ドイツ編集

ドイツ海軍は1942年に飛行甲板の前方に20.3cmもしくは28cm砲塔を備える"Flugdeck kreuzer"(飛行甲板(付)巡洋艦)の設計を研究している。

これは全通型の飛行甲板を持つ船体の前半部に1基もしくは2基の砲塔を備えるもので、アメリカのフライトデッキクルーザーと同様のレイアウトが想定されていた。これらはいずれも実際の建造計画は行われておらず、あくまで研究の段階を出ないものではあったが、複数の設計案が作成されている[6]

なお、"Flugdeck kreuzer"の語は、この設計研究で構想された艦艇を指す固有のものとしての他に、当項目で記述しているような「航空戦艦」および「航空巡洋艦」全般を指すドイツ語としても用いられる。

砲戦能力を持つ航空母艦編集

航空母艦という艦種が出現した頃は、航空機の性能が低く天候に左右され、また艦隊決戦が戦争の趨勢を決し、海軍の主力は戦艦であるとされていたため、艦隊行動をとる空母も近接する敵巡洋艦や駆逐艦などに対抗するため、ある程度の砲戦能力は必要とみなされていた。

ワシントン海軍軍縮条約において、空母の備砲の口径は20cm、つまり重巡洋艦の主砲クラスまでに制限された。日本海軍の「赤城」・「加賀」は、就役時には条約の制限枠いっぱいの20センチ主砲を連装砲塔2基(4門)、単装6門の計10門(片舷に向けられるのはその半分)装備していた。しかし前部の中段飛行甲板両脇に設置された20センチ砲塔は、発射の衝撃で飛行甲板先端が損傷するなどのトラブルがあり、改装時に中・下段飛行甲板と共に撤去され、上段飛行甲板が延長されている。加賀は改装前と同数の単装10門に変更されたが、赤城は6門に減少したままだった。赤城・加賀と同様に戦艦(巡洋戦艦)から航空母艦に改装されたアメリカのレキシントン級航空母艦も、竣工時は艦橋構造物の前後に8インチ(20.3cm)連装砲を2基ずつ、計4基を搭載した[7]

ドイツの未成に終わった空母「グラーフ・ツェッペリン」は対艦戦闘を考慮して15センチ砲を搭載する設計となっていた。装備数は設計段階から実際に建造された段階まで幾つか変遷しているが、最大で16門の搭載が予定されていた。

第二次世界大戦以降編集

第二次世界大戦後は航空機とそれを搭載・運用する航空母艦の発展により「戦艦」という艦種の必要性が失われたこと、更にはミサイルの発達により、従来であれば巡洋艦から大型の駆逐艦程度の規模の戦闘艦に、長射程・大火力の兵装を備えることが可能になり、「戦艦の主砲と航空母艦の航空機運用能力を併せ持つ」という航空戦艦のコンセプト自体にメリットがないものとなった。また、ヘリコプターの実用化により、艦載機としての小型水上機の有用性が失われたため、「水上機を多数搭載して運用できる、航空兵装の充実した艦」という意味での航空戦艦/航空巡洋艦も、水上機の衰退と共に存在意義のないものとなった。

しかし、ヘリコプターを水上戦闘艦に搭載することの有用性は大きく、建造にも運用にも多額の予算の必要なジェット機の運用能力を持った正規空母を保有し得る国は極めて限られたために、空母を保有できるような規模や予算のない国にとっては、空母の代替として多数のヘリコプターを運用できる能力を持った艦は大変魅力的なものとなった。このため、第二次世界大戦後は水上機に替わってヘリコプターを多数搭載する能力を備えた巡洋艦・駆逐艦(に相当するクラスの水上戦闘艦)が多数建造される事となった。これらは現代における航空巡洋艦の直系の子孫と考えることができるであろう。

無人航空機の発達により、小型ながら長時間の洋上哨戒と攻撃が可能な武装哨戒ヘリコプターが登場したことで、格納庫の制限で有人ヘリが1機しか運用できない艦船にも低コストで追加することが可能となった。S-100などが有人ヘリの補助用として複数国で採用されている。また手投げ式の小型機や民生品のマルチコプターの性能も向上しているため、近距離の洋上哨戒に限れば飛行甲板が無い艦艇でも運用可能である。

日本編集

 
はるな型ヘリコプター搭載護衛艦

海上自衛隊所属のヘリコプター搭載型護衛艦 (DDH) はるな型しらね型は駆逐艦相当の艦としては異例の3機のSH-60J対潜哨戒ヘリコプターを搭載運用する能力を持っており、搭載機は対潜哨戒、偵察、場合によっては救助や掃海などの任務に従事する。これは事実上、前述の利根型などのコンセプトを引き継いでおり、運用上の実態は現代における駆逐艦に比して、航空駆逐艦とでもいうべき艦種であり、また「はつゆき型護衛艦」以降のDDクラス護衛艦の艦艇は最低1機ヘリコプターを運用できる航空装備を持つようになった。

なお、後継艦種のひゅうが型護衛艦は全通甲板を持ち、艦砲を搭載しないもののVLSや水雷システムなど自艦火力は高い水準のまま維持しているヘリコプター搭載護衛艦(外観は実質的なヘリ空母となっている)として建造されており、火力が維持されている部分があることを考慮すれば、建造理由こそは違うものの後述のアドミラル・クズネツォフ級空母と近い部分があると言える。

ソ連・ロシア編集

 
キエフ級航空巡洋艦

ソビエト海軍ではヘリコプターを運用可能な巡洋艦として、1960年代にモスクワ級ヘリコプター巡洋艦を建造している。艦前部に対空対潜ミサイル発射器を取り付け、中央部に艦橋などの構造物を配し、後部をヘリコプター甲板とする、典型的な航空巡洋艦の形態をしている

キエフ級V/STOL空母ロシア海軍における分類では重航空巡洋艦であること、飛行甲板は持っているものの、艦の前部には飛行甲板ではなく火砲やミサイル発射機を装備し、主に対潜任務に従事することから、航空巡洋艦と呼んでも支障はない。

アドミラル・クズネツォフ級空母もまたロシア海軍における分類では重航空巡洋艦であるが、こちらは全通甲板を持つこともあり、他国からは航空巡洋艦と呼ばれることはほとんどなく、モントルー条約に対する政治的配慮であると考えられている。ロシア海軍の主張では、空母であるか否かは対艦ミサイルの搭載有無で判断されるという。クズネツォフ級は強力な固定武装を有する大型水上戦闘艦として、むしろ現代の航空戦艦と言うべき性格を持つが、航空機とミサイルの搭載数はその排水量に比して小さい[8]

また、ソビエトが建造したキーロフ級ミサイル巡洋艦には艦尾にヘリコプター飛行甲板があり、エレベーターのある船内格納庫にヘリコプター3機を収容することができる。

イタリア編集

 
ヴィットリオ・ヴェネト

イタリア海軍では1964年アンドレア・ドーリア級ヘリコプター巡洋艦2隻が、1969年に「ヴィットリオ・ヴェネト」が就役しており、これらは戦後のヘリコプター搭載水上艦の先駆けとなった艦である。ドーリア級はAB-204(後にはAB-212)4機を、ヴィットリオ・ヴェネトはAB-212 ASWであれば6機、SH-3 シーキングであれば4機を搭載することができ(最大限に搭載すればその1.5倍の9機/6機を搭載できた[9])「航空(ヘリコプター)巡洋艦」と呼ぶにふさわしい搭載能力を持っている。

21世紀においては3艦とも退役しており、後継として1980年代初めに軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」が建造されている。ガリバルディは就航当時は対艦ミサイル発射筒4基を装備するなど高い火力を持っていたが、近代化の際、重量増加の解消のため対艦ミサイル発射機構は撤去された。

またガリバルディの後継艦「カヴール」もVLSや機銃のみならず全通甲板艦でありながら2門の艦砲を搭載しており、同規模の艦船である日本の海自艦いずも型護衛艦やスペイン海軍艦の「フアン・カルロス1世」と比べて比較的重武装の艦になっている。

イギリス編集

 
前方より見たインヴィシブル級航空母艦、アークロイヤル
1986年の撮影で、艦橋の右側にシーダートミサイルの連装発射機が見える

イギリス海軍インヴィンシブル級航空母艦は、当初は指揮巡洋艦(ヘリコプター搭載巡洋艦)として計画されたが、ハリアーSTOVL機の開発に成功し艦載型のシーハリアーを搭載することになったので、軽空母に艦種変更された。

なお、武装に関しては就役当初は冷戦期でミサイル万能主義の時代だったためもあり、シーダート艦隊防空ミサイルの連装発射機が装備されており、空母としてはミサイル巡洋艦クラスの強力な防空火力を持っていた。なお、フォークランド紛争の戦訓からその装備は見直され、就役後期ではシーダートミサイルの発射機は撤去されている。

フランス編集

 
ジャンヌ・ダルク

フランス海軍に就役していた「ジャンヌ・ダルク」は、名目上艦種はヘリ空母(ヘリコプター母艦)だが、艦の前半部に複数の速射砲と対艦ミサイル発射機を装備し、中央部の上部構造物を挟んで後半部を飛行甲板とした、前述のソ連のモスクワ級同様のスタイルになっており、航空巡洋艦と呼んでも相違ないものとなっている。

また空母シャルル・ド・ゴールも、全通飛行甲板をもつ純然たる航空母艦の形式でありながら、8セル4基のVLSを装備しており、航空母艦としては比較的高い個艦火力を持っている。

アメリカ編集

 
DD-480ハルフォード(航空装備搭載時)

アメリカ海軍では第二次世界大戦時に建造されたフレッチャー級駆逐艦のうち、6隻に対して航空機用カタパルトの装備が計画され、そのうち3隻(「プリングル」「スティーヴンス」「ハルフォード」)に実際にカタパルトが装備された。

しかしこの計画は実際の運用結果が海軍にとって満足できるものとならず、以後の改装は中止され、これら3隻の航空装備も後に撤去された。また「ヘイゼルウッド」はQH-50 DASH 無人対潜ヘリコプターの試験艦として、その格納庫発着甲板などの航空艤装を設置している[10]

1970年代に建造されたスプルーアンス級駆逐艦はヘリコプター2機を収容できる格納庫を備えており、1978年に建造が承認された最終号艦であるDD-997 ヘイラーは、格納庫を拡大して3機のSH-3 シーキングもしくは4機のSH-60 シーホークまたはSH-2 シースプライトの運用が可能な航空駆逐艦(DDH)となる予定であったが、建造コストの問題から断念され、他のスプルーアンス級と同様のものとして完成している。

カナダ編集

 
イロクォイ級駆逐艦の1番艦、DDH-280 イロクォイ

カナダ海軍のヘリコプター搭載駆逐艦の運用は1963年に行われたサン・ローラン級駆逐艦のDDH改装型より始まり、1972年に就役したイロクォイ級ミサイル駆逐艦は大型の対潜ヘリコプター2機を搭載・運用する能力を備えており、「航空装備が充実した駆逐艦」の雛形の一つである。

また、サン・ローラン級駆逐艦より使用されたベア・トラップ着艦拘束装置は、前述のはるな型護衛艦を始め後のヘリコプター搭載駆逐艦のスタイルに大きく影響するものとなった。

フィクションにおける航空戦艦編集

航空戦艦や航空巡洋艦は、実在する艦がほとんどなく、作品オリジナルの設定が創り易いということがあり、またその「主砲と飛行甲板を両方装備している」という特異な点がビジュアル的に映えるということもあり、多くの架空戦記やSF作品などの創作作品に登場する。

作品によっては戦艦空母と表記されることもある。

架空戦記編集

高千穂(『新戦艦高千穂』)
飛行甲板は持たないが、水上機を直接カタパルト上に着艦させる事が可能な「九五式カタパルト」を4基装備。
信玄型(『旭日の艦隊』)
全通飛行甲板・右舷に砲塔・艦橋。
虎狼型(『紺碧の艦隊』『旭日の艦隊』)
V字型飛行甲板・前部に砲塔。
米利蘭土型(『紺碧の艦隊』)
鹵獲した米戦艦を改造。前面に射出機・後部に砲塔。
東光(『紺碧の艦隊』)
全通飛行甲板・前部に砲塔をやや右舷寄りに配置。
土佐(『超超弩級戦艦土佐』)
史実では私案のみ存在した五十万トン戦艦がベース。46サンチ3連装主砲15基を搭載し、両舷に全通飛行甲板。
筑後(『凍てる波涛』)
大和型と同等の艦体を左右に連結し、50センチ砲10門を搭載した双胴戦艦。両舷前部に飛行甲板。
ハンニバル(『時空戦艦大和 日本沈没を救え』)
後部飛行甲板。
ジークフェルド(『時空戦艦大和 日本沈没を救え』)
後部スキージャンプ付飛行甲板。
ソビエツキー・ソユーズ(『機密空母赤城』)
全通飛行甲板の前後に砲塔。
ソビエツカヤ・ウクライナ(『東の太陽西の鷲』)
全通飛行甲板の前後に砲塔。
スキピオ(『東の太陽西の鷲』)
全通飛行甲板片舷に砲塔。
伊勢型(諸作品、日向のみ登場の場合もあり)
新・紺碧の艦隊
後部に2つのアングルド・デッキが交差する形の飛行甲板、前部に砲塔。
兵隊元帥欧州戦記
艦橋は戦艦時のまま、その前後に非貫通の飛行甲板・旧3番砲塔のみ残存。固有艦載機は持たず、他艦の艦載機に対する洋上補給基地として運用された。
『旭日の戦旗』
後部から左舷斜めにかけて全通飛行甲板、右舷前部に砲塔、艦橋を配置。
蒼龍(『鋼鉄の紋章』)
斜め飛行甲板・前部に砲塔。
伊吹(『クリムゾン・バーニング』)
斜め飛行甲板・前部に砲塔。
アトランティカ級(『レッドサン ブラッククロス』)
全通飛行甲板の前に砲塔。作中の名称は航空重巡洋艦である。架空戦記においては珍しく、活躍する存在ではなく役立たず扱いされており、後に改装により砲塔を撤去し、純粋な空母となる。
大峰(『覇者の戦塵』)
斜め飛行甲板・前部に砲塔。

SF作品編集

SF作品においては、全くの架空の存在として創作され、現実の水上艦艇のリアリティに束縛される必要は全く無いため、作中において戦艦または宇宙戦艦と設定されていても多数の航空戦闘機を搭載、あるいは空母と設定されていても強力な火力を有する例が多い。

ヤマト(『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ)
日本における宇宙戦艦の代名詞とも言うべき艦ではあるが、戦闘機や作業艇などを多数搭載している。その数は、軽空母並みとも言われている。なお、設定上の航空機搭載スペースの狭さと劇中の航空機戦力の多大さとは明らかに矛盾している。
戦闘空母(『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ)
艦体前半は飛行甲板、後部は艦橋とその前後に主砲を中心線上に配置。攻撃モードでは甲板を反転させてミサイル発射台や砲台などを出現させる。ただし、劇中での活躍は攻撃モードが主体で、単艦で空母を兼任する必然性はあまりない。
リメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2199』ではゲルバデス級航宙戦闘母艦という名称で登場。単艦での通商破壊戦などのために戦艦と空母の能力を兼務させた艦と設定されている。
デスラー戦闘空母(『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ)
上記の旗艦発展型。甲板内にデスラー砲を収納している。
宇宙空母(『宇宙戦艦ヤマト2』)
艦体前半は本作に登場する通常の主力戦艦とレイアウトは同じだが、後半に飛行甲板を持つ。ゲームではキエフ級航空巡洋艦を模倣した、艦左舷にアングルド・デッキを持つ「戦闘空母(バトルキャリア)型」として登場。
プレアデス(『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』)・ガリアデス(『ヤマトよ永遠に』)
円盤状の艦体に高くそびえる艦橋と艦前半の左右両舷に主砲を配置。艦首中央部に幅広の艦載機発進口があり、多数の艦載機を配備している。どちらかといえば空母の機能を優先した艦といえる。ガリアデスはプレアデスの同型艦。
アポロノーム・アンタレス(『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』)
地球連邦軍がアンドロメダ級を建造する際に、ヤマトでの航空隊の運用実績を鑑みて建造した艦。アンドロメダ級の中でもアポロノームは3番艦、アンタレスは5番艦にあたる。司令塔頂部にある艦橋の後部に飛行甲板が設けられており、一度に48機の艦載機(全部で180機搭載)を発艦させる能力を持つ。その後、ガミラス軍にも4隻が「航宙戦闘母艦CCC」の名で供与されている。
ブルーノア(『宇宙空母ブルーノア』)
中心線上に艦橋と主砲配置、左右両舷に全通飛行甲板。潜水時は中心線を軸として両舷飛行甲板を閉じる。本来は宇宙空母だが、作中では終盤を除いて水上で運用されている。
周防(『宇宙一の無責任男』)
隠蔽式の飛行甲板を持ち、軽空母並みの36機の航空機と、旗艦級戦艦である尾張級戦艦と同等の武装を搭載している。軍縮条約の範囲内で建造された。
ホワイトベースアーガマネェル・アーガマラー・カイラムアークエンジェル(『機動戦士ガンダム』シリーズ)
強襲揚陸艦、強襲巡洋艦、強襲揚陸艦(ロンド・ベル)、機動戦艦、強襲機動特装艦。ガンダムシリーズの主人公搭乗艦などに搭載しているモビルスーツと呼ばれる機動兵器の運用を主とした母艦的性格を有しつつも、有力な砲雷撃戦闘能力を有していることから、モビルスーツ母艦と宇宙戦艦双方の性格を備えた理想的な意味での宇宙航空戦艦である。モビルスーツを航空機と見るならば航空戦艦といえる。
ヒマラヤ級対潜空母(『機動戦士ガンダム』シリーズ)
上記の各艦とは異なり、純粋な水上艦。アングルド・デッキを有するキエフ級航空巡洋艦に類似した船体に、大口径の連装砲塔1基を装備している。
ウオルク号、ウェンライト号(小松崎茂の絵物語『第二の地球』)
水上艦。国際警察軍の駆逐艦で、後部甲板に砲熕兵装を配置せず、代わりに2機のXFY-1を露天繋止している。
轟天(『ARIEL』)
水上艦。未成に終わった伊吹型重巡洋艦2番艦「第301号艦」(作中では最上型重巡洋艦6番艦とされている)を戦後になって国立科学研究所(SCEBAI)が調査母艦に改造したもので、自衛用として重巡時代から受け継いだ兵装に加えて、後部の航空甲板でヘリコプターやPBYXF2Y-1などを運用できる航空巡洋艦相当の艦となっている。
グランド・オイラン級超大型原子力航空母艦(『ニンジャスレイヤー』)
水上艦。作中にはネオサイタマ湾岸警備隊の旗艦として「キョウリョク・カンケイ」 が登場した。二隻の空母を連結した双胴艦で、4つの飛行甲板と四連装49cm砲を有する。作中では航空戦艦ではなく空母とされるが、主砲による戦闘演習や陸上への艦砲射撃を行うなど、武装・運用はほぼ戦艦に準じている。また現実の空母のように艦内に娯楽施設を備えている。

ゲーム編集

鋼鉄の咆哮シリーズ編集

このシリーズでは固定翼機の運用が可能な戦艦を航空戦艦として分類している。なお通常の戦艦では水上機の運用が可能であるのに対し航空戦艦ではそれが出来ない。また回転翼機、VTOL機、UFO(ハウニヴ)に関してはいずれの艦種でも運用可能である。

航空戦艦(『鋼鉄の咆哮シリーズ』)
プレイヤーが設計する艦。『鋼鉄の咆哮2 ウォーシップコマンダー』以降は「伊勢改」「デラウェア」「フューリアス」「バイエルン」などの固有名詞のある艦が登場する(史実艦と同名のものもあるが、「伊勢」以外は無関係)。形状は艦ごと、設計する国ごとに異なるが、大体において艦尾か中央部に飛行甲板が置かれている。艦載機の数は軽空母程度。
巨大航空戦艦(『鋼鉄の咆哮2 ウォーシップコマンダー』以降)
プレイヤーの航空戦艦。固有名は無い。両舷が全通式の飛行甲板。艦首と中央部に艦橋や兵装を設置できる。正規空母以上の艦載機を搭載できる。


敵の超兵器として登場することも多く、正規空母以上の艦載機と50cm以上の口径の巨砲などを備えた文字通りの超兵器となっている。また、公式に航空戦艦に分類されている艦以外にも、アルウス、ペーターシュトラッサー、ハボクックといった空母や、強襲揚陸艦であるデュアルクレイターも、戦艦並みの主砲と大量の航空機やヘリの運用能力を兼ね備えている。

超巨大航空戦艦「テュランヌス」(『鋼鉄の咆哮』)
全長639mの大きさを誇り、両舷に全通式の飛行甲板を持つ航空戦艦。武装は56cm65口径砲12門の他、対艦ミサイルや光学兵器を装備している。
超巨大航空戦艦「ムスペルヘイム」(『鋼鉄の咆哮シリーズ』)
戦艦の両舷に全通飛行甲板を装備した船体を連結した三胴艦形式の航空戦艦。武装はシリーズによって異なるが、プラズマ砲や対艦ミサイルを装備していることが多い。シリーズによっては大破した後、飛行甲板部分を切り捨てて純粋な戦艦となることがある。
ヴァジュラ級(『鋼鉄の咆哮』)
双胴型の船体を持ち、後部両舷に飛行甲板を備える航空巡洋艦。25.4cm砲や多連装噴進砲などを有している。
赤城型(『鋼鉄の咆哮2 ウォーシップコマンダー』以降)
ヴァジュラ級に似た艦型を持つ、後部両舷にアングルド・デッキ、前甲板に25.4cm60口径砲塔4基を有した航空巡洋艦。
超巨大航空戦艦「リヴァイアサン」(『鋼鉄の咆哮3 ウォーシップコマンダー』以降)
ステルス性を重視したトリマラン形状の船体を持ち、左舷にアングルド・デッキを備える。武装はシリーズによって異なるが、初出の鋼鉄の咆哮3ではレールガンやAGS砲、特殊弾頭ミサイルや光学兵器を装備している。
超巨大双胴航空戦艦「近江」(『鋼鉄の咆哮3 ウォーシップコマンダー』)
船体中央から後部にかけての両舷に全通式飛行甲板とアングルド・デッキを持つ双胴航空戦艦。艦中央部と前甲板に50.8cm砲三連装2基と46.0cm砲三連装3基を装備している。
超巨大要塞艦『ストレインジデルタ』(『鋼鉄の咆哮3 ウォーシップコマンダー』)
厳密には航空戦艦とされていないが、推定1000mを優に超える巨大な船体に、B-36を含む航空機100機以上に加え、更に50.8cm砲装備の戦艦3隻も搭載している。4つのアングルドデッキを持ち自衛用の45.7cm砲やAGS、ミサイル発射機を備える。


艦隊これくしょん -艦これ-編集

本作品では、水上爆撃機や水上戦闘機などの偵察機以外の水上機運用が可能な戦艦を「航空戦艦」、重巡洋艦を「航空巡洋艦」としている。なお例外的に水上爆撃機、水上戦闘機を運用できる艦船も多くあまり厳密ではない。

伊勢改、日向改、扶桑改、扶桑改二、山城改、山城改二
史実同様の航空戦艦への改装が伊勢改および日向改。史実では頓挫した扶桑型の航空戦艦へのif再現が扶桑改、山城改。瑞雲の運用能力を付与されるが、代償として火力が金剛型よりも低下する。扶桑改二、山城改二については、航空戦艦としての能力を維持したまま火力を強化している。
なお、艦これにおいて瑞雲は、空戦能力・爆撃能力ともに高く、史実よりも性能的に誇張されている。
伊勢改二
伊勢が更にif改装された姿。艦種も「戦闘航空母艦」に変化する。飛行甲板が延長されカタパルトも装備されたという設定で彗星二二型などの固定翼の艦載機運用が可能となった。
公式によるイメージ図によると、前後艦橋及び3、4番砲塔が撤去され飛行甲板が延長されている。一方で1、2番砲塔は3連装砲に換装されている。
最上改、三隈改、熊野改、熊野改二、鈴谷改、鈴谷改二、利根改二、筑摩改二
史実では最上型では最上のみが航空巡洋艦として改造されたが、艦これの設定では他同型艦も航空巡洋艦に改造できる。利根型は史実では6機の航空機運用能力を持つ航空巡洋艦であるが、艦これの設定においては2回目の改造においてはじめて航空巡洋艦の扱いになる。各艦ともに史実と異なり、飛行甲板を持ち瑞雲を運用可能で、航空機運用能力では伊勢型・扶桑型に匹敵する。
なお最上型の一部は、順同型艦であった伊吹 (空母)の航空母艦変更のエピソードに準じ軽空母への改装が可能となっている。
ゴトランド
ゲーム内では軽巡洋艦と扱われるが、航空巡洋艦と同等の航空機運用能力を持つ。改装すると史実に基づき防空能力が大きく増加するが艦載機搭載数が大きく損なわれてしまう。


その他のタイトル編集

號竜(『大戦略1941〜逆転の太平洋〜』)
空母型船体の両脇に航空戦艦型船体を接続した三胴艦。46cm砲三連装4基と、赤城型空母並みの艦載機を搭載している。
アウターリミッツ(『19XX -THE WAR AGAINST DESTINY-』)
全長1,500mの巨体を持つ巨大双胴航空戦艦。艦中央部から両脇に突き出た飛行甲板の他、艦後部にもヘリ甲板を有する。装甲列車をレール毎搭載していることから強襲揚陸艦機能も併せ持つと考えられる。武装は46cm砲三連装12基の他、艦後部に弾道ミサイル2発を格納している。艦橋部分も甲板下に隠れてはいるが、四足歩行型の戦闘兵器として稼動する。数々の砲台の熾烈な砲撃の他、軌道を読みづらいビットも射出する。
改伊勢型(『提督の決断4』)
艦型をある程度開発を進めていくと研究可能になる。しかし戦艦伊勢、日向からの改装は仕様上無理なため、いったん解体して造り直す必要がある。新型航空戦艦を開発するとき、ベースとなる航空戦艦が改伊勢型しかないため、艦船エフェクトは英独米日どれも同じになる。開発では後部主砲を搭載できないようになっているが、改伊勢型は後部に35.6cm連装砲二門を元から装備している。新型航空戦艦の最大搭載機数は30機で、水上戦闘機、水上爆撃機、水上偵察機から装備できる。なお、史実では発艦させた航空機は母艦に帰投することができないが、この作品では帰投できるようになっている。なので繰り返し航空攻撃を行う事ができるようになっている。

脚注・出典編集

  1. ^ なお、大和型戦艦は実戦では4機もしくは5機を搭載したのが最大である。
  2. ^ 伊勢型戦艦―航空打撃力を有する世界で唯一の航空戦艦(学研 ISBN 9784056020663
  3. ^ a b 篠原幸好 (1994年), 連合艦隊艦船ガイド, 新紀元社 
  4. ^ 基準排水量11,733トンの空母龍驤の搭載機数が常用36機+補用12機の48機であり、基準排水量10,050トンでその倍の100機を搭載し、更に20.3cm連装砲+三連装砲を搭載することなどは不可能である。
  5. ^ 片桐大自 (1993年), 聯合艦隊軍艦銘銘伝, 光人社 
  6. ^ German Naval History>German Kriegsmarine>Z-Plan>Flugdeckkreuzer
  7. ^ この8インチ連装砲塔は太平洋戦争開戦後に5インチ(12.7cm)両用砲に換装する改装が行われているが、レキシントン級のうちレキシントン (CV-2)は8インチ砲塔を撤去したものの5インチ両用砲塔への換装が間に合わないまま珊瑚海海戦で戦没し、砲塔の位置には28mm対空機銃(1.1"/75 caliber gun)が搭載されていた。
  8. ^ ただしアドミラル・クズネツォフ級空母の運用機数が少ないのは、ロシア海軍の予算等の制約による現状での運用状況によるものであり、実際の運用可能数はもっと多い
  9. ^ グローバルセキュリティー (2013年2月26日). “Vittorio Veneto CGH Guided Missile Helicopter Cruiser” (英語). 2018年6月10日閲覧。
  10. ^ 「アメリカ駆逐艦史」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、 13-135頁。

参考文献編集

  • 『未完成艦名鑑 1906~45』(ISBN 4-87719-532-7 / ISBN 978-4-87719-532-8光栄:刊 1998年