船橋競馬場
船橋競馬場(ふなばしけいばじょう、英:Funabashi Racecourse)は、千葉県船橋市(一部施設が習志野市にまたがる)に所在する地方競馬の競馬場。広報などでの表記は「船橋ケイバ」。
![]() 船橋競馬場パドック(2016年) ![]() | |
施設情報 | |
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通称・愛称 | 船橋ケイバ |
所在地 | 千葉県船橋市若松一丁目2番1号 |
座標 | 北緯35度41分4.9秒 東経139度59分48.9秒 / 北緯35.684694度 東経139.996917度座標: 北緯35度41分4.9秒 東経139度59分48.9秒 / 北緯35.684694度 東経139.996917度 |
開場 | 1950年8月21日 |
所有者 | 株式会社よみうりランド |
管理・運用者 | 千葉県競馬組合 |
収容能力 | 30,000人 |
コース | |
周回 | 左回り |
馬場 |
ダート 内コース:1250m 外コース:1400m |


競馬の主催者は千葉県競馬組合(千葉県、船橋市、習志野市からなる一部事務組合)で、土地・施設は株式会社よみうりランドから賃借している。大井競馬場、浦和競馬場、川崎競馬場と共に南関東公営競馬を構成する。SPAT4加盟競馬場。
コース概要 編集
- 馬場:左回りで、1周1,400メートルの外コースと、1,250メートルの内コースからなる。スパイラルカーブを採用している[1]。
- コーナーの内外に高低差を付けることにより、各馬の有利・不利をなくしている。また、騎手から「非常に乗りやすいコース」と評価されている[2]。
- 直線(4コーナーからゴール板まで):300メートル
- コース幅:外コース 25メートル、内コース 20メートル[1]
- 距離設定:1000メートル、1200メートル、1400メートル(内)、1500メートル、1600メートル、1700メートル、1800メートル、2000メートル、2200メートル、2400メートル
- 最大出走頭数(フルゲート): 外コース14頭、内コース12頭
- ただし外コースの1200メートルと1500メートルはフルゲート12頭である。
競馬場の開設時にはレースコースの内部に800メートルのオートレース用ダートトラックを併設しており、当所は日本最初のオートレースが開催された発祥の地にあたる。
主な競走 編集
ダートグレード競走 編集
- かしわ記念(JpnI)
- ダイオライト記念(JpnII)
- 日本テレビ盃(JpnII)
- マリーンカップ(JpnIII)
- クイーン賞(JpnIII)
- ブルーバードカップ(JpnIII)2024年よりダートグレード競走として格付け予定
- 2010年にはジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)が開催された。
重賞競走 編集
- 習志野きらっとスプリント(SI、2018年にSIIIからSIIに格上げし2020年からSIに昇格)
- 船橋記念(SIII)
- 京成盃グランドマイラーズ(SII、2021年よりSIIIから格上げ)
- 東京湾カップ(SII、2020年にSIIIから格上げ)
- 報知グランプリカップ(SIII)
- フリオーソレジェンドカップ(SIII、2023年より重賞に昇格)
- 平和賞(SIII、未来優駿対象競走)
- 若潮スプリント(SIII、2021年より重賞に格上げ)
- ネクストスター東日本(SIII、2024年より川崎・浦和との持ち回りで施行予定[4])
その他競走 編集
- チバテレ盃(準重賞・報知グランプリカップトライアル)
- 短夜賞(準重賞)
- 千葉日報賞スプリント(準重賞)
- ハートビートサドル(準重賞・JRA交流)
- 夕刊フジ賞クイーンズオーディション(準重賞・クイーン賞トライアル・牝馬限定)2019年に新設
- 総の国オープン(地方競馬全国交流のオープン競走、2019年廃止)
騎手招待競走 編集
- ヤングジョッキーズシリーズ(2017年 - 、トライアルラウンドを開催)
船橋ジョッキーズフェスティバル 編集
2021年初開催の船橋競馬所属騎手による年間王者決定戦である[5]。4月の船橋競馬第1回開催から12月の第9回開催において、主に各開催の最終日の最終レースに能力が拮抗する馬を揃えた選抜競走を設定する。これをトライアルラウンドとし、各レースの着順に応じてポイントを与え、その合計ポイントによって翌1月の第10回開催に行われる決勝ラウンドへの出場権を争う。冠スポンサーは八肥の会[6]。
開催概要(2021年)
- 第1回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第2回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第3回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第4回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第5回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第6回船橋競馬 第4日 第12競走 C3 2,200m
- 第7回船橋競馬 第1日 第12競走 C2 2,200m
- 第7回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 第9回船橋競馬 第1日 第12競走 C2 2,200m
- 第9回船橋競馬 第5日 第12競走 C3 2,200m
- 決勝ラウンド[6]
- 第10回船橋競馬 詳細未定
年表 編集
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
- 1928年 - 柏競馬場開場。
- 1950年
- 1952年 - 柏競馬場廃止。
- 1953年11月27日 - 日本テレビが船橋競馬を中継。この中継は地方競馬としては初めてのテレビ中継となった。
- 1968年 - 船橋オートレース場が船橋サーキット跡地に移転。
- 2006年3月14日 - 場内の放送設備が故障し復旧の見通しが立たず全11レースが中止になった。
- 2011年 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で馬場に亀裂や液状化現象が発生したため、2開催連続で開催を中止した[7]。
- 2013年 - 馬場内に太陽光発電施設設置。[8]
- 2014年6月1日 - 重勝式勝馬投票券のトリプル馬単(SPAT4 LOTO)を発売開始。ただし購入はインターネット限定[9] 。
- 2015年6月15日 - ナイター競走を開始[10] 。
- 2019年3月27日 - 施設所有者のよみうりランドが約100億円を投じる改修計画を発表[11]。
- 計画としては、2019年度に設計、施工準備期間を設け、2020〜2023年度に工事を行う。
- 既存の観覧スタンドが築50年以上を経過して老朽化しているため、そのスタンドを全面改築し、耐震性に優れたコンパクトなスタンドにする。
- また競馬場西側に隣接するららぽーとTOKYO-BAYとの一体感を出すため、その付近に入場口を開設し、場内のパーク化を目指し、飲食コーナーや馬とヒトが触れ合えるスペースを作る。
- 工事中も通常通り競馬を開催する。
- 2020年11月27日 - 本馬場の砂の全面入替を実施したことを発表[12]。(産地:宮城県黒川郡大和町)
施設情報 編集
競馬場 編集
- 入場料金:100円(15歳未満無料)
- 特別指定席:2,000円(入場料込み)
- 指定席席数:738席
- 住所:千葉県船橋市若松一丁目2番1号
- 食事等:場内では牛スジ、焼きそば、あんかけ焼きそばなどが名物。また近隣にハンバーガーチェーン店のマクドナルド、和食のファミリーレストラン和食さと、まいどおおきに食堂、はま寿司、敷地内にスーパーマーケットのオーケーがある。
- 周辺スポット:道路を挟んで向かいにららぽーとTOKYO-BAY、ビビット南船橋があり、南西に大型家具店イケア船橋、南東には厩舎地区(と谷津干潟)がある。
J-PLACE船橋 編集
2013年10月6日よりJRA勝馬投票券の発売を開始した。
日曜開催のJRA各競馬場のメインレース(最大3レース)が対象。開門および発売開始は12時30分で、発売締切は各競走発走時刻の4分前となる(前日発売は実施せず)。払戻時間はJ-PLACE船橋の発売時間の他、船橋競馬開催時、南関東場外発売時。
発売する馬券の種類 編集
○…発売 ×…発売なし
単勝 | 複勝 | 枠番連複 | 枠番連単 | 普通馬複 | 馬番連単 | ワイド | 3連複 | 3連単 | |
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船橋競馬場 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
払戻率[13] | 80% | 75% | 72.5% | ||||||
J-PLACE | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
場外発売所 編集
- f-keiba成田 - サテライト成田内
- f-keiba木更津 - スパークルシティ木更津内(会員制・2013年4月1日開設)
- 上記2か所は「J-PLACE」としても運用されている。こちらは代替開催の場合を除く中央競馬全開催日・全レースを発売(前日発売の重賞も発売)。
厩舎 編集
船橋競馬場に所属する厩舎は競馬場のスタンド寄りの本厩舎とトラック向正面の海岸厩舎に分かれている。かつては船橋競馬場の南側は砂浜で船橋競馬場の所属馬はこの砂浜でも調教されていた。現在は(隣地の谷津干潟を除いて)周辺が埋められているため往時をしのぶことはできない。
2006年9月3日未明、場内南側厩舎地区で火災が発生し厩舎2棟を全焼、現役競走馬9頭が焼死した。焼死した競走馬の中には2003年8月の台風10号による北海道地区の被害に巻き込まれ、当時過ごしていた牧場から流されながらも生還したスーパーハリケーン(牡4歳・2勝)もいた。2008年6月23日未明にも火災が発生し厩舎兼厩務員宿舎1棟を全焼、現役競走馬9頭が焼死した。
所属騎手 編集
後述にもあるように、規模と比較すると騎手の層が非常に厚く、名手と呼ばれる騎手が複数所属している。南関東4場の中でも「船橋所属」の騎手は(各場の勝ち頭クラスの騎手でない限り)一つ格上として見られることが多い。
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所属調教師 編集
日本のホースマンの始祖とされる函館大経の函館一族の者が調教師として在籍する全国唯一の競馬場である(凾館一昭調教師が在籍)。第1回東京優駿の優勝騎手である函館孫作は戦後、この競馬場に厩舎を置いていた。
川島正行はNARグランプリの最優秀調教師賞を複数回受賞している。
森始は久留里藩家老森家の一族で、函館、高松厩舎と並ぶ千葉県最古の厩舎である。同じく船橋競馬場の調教師であった父の森茂が戦前、千葉県君津市に競馬場をつくり、競馬法施行に伴い柏競馬場を経て船橋競馬場の開設に携わり、高松宮宣仁親王へ来臨を招請し開場翌年に視察を賜った。
テレビ中継 編集
放送体制 編集
- スカパー!の南関東地方競馬チャンネル(Ch.120、Ch.678)では全レースを放送している(Ch.120は標準画質からHD放送への移行にともない、2014年5月31日にて放送終了。詳細は南関東地方競馬中継を参照)。
- 2012年4月からはダートグレード競走を、同年10月からは重賞競走をグリーンチャンネルで放送している(詳細はグリーンチャンネル地方競馬中継を参照)。
- 2000年代前半までは、チバテレビが1時間枠で生中継を行っていた(進行は耳目社のアナウンサー。パドック、本馬場入場、レース実況は場内ビジョンのものと同一)。中継当日(1990年代までは開催当日)の夜には「船橋競馬ダイジェスト」が放送されていた。
- 2010年4月12日から、チバテレビの地上デジタル放送のマルチ編成(032チャンネル)を使用した「船橋競馬中継」が放送されている(2012年度は放送無し、2013年度再開)。放送内容は南関東地方競馬中継のサイマル放送。
事故 編集
備考 編集
- 同じ船橋市内には中央競馬の中山競馬場が存在(一部敷地が隣の市川市内にかかる)するうえ、船橋競馬場では周辺環境との兼ね合い(周辺スポットを参照)で土曜・日曜開催やナイター開催ができず、集客的に不利な側面があった[15]。2006年からは薄暮競走が行われており、2012年6月18日の開催から「オレンジレース」と愛称をつけた[16]。なお発走時刻は月別に決まっているが、2009年は開催別に変更した。
- 2014年は3月21日(春分の日)に本場開催が当初予定されていたが、この日に中央競馬(中山・中京)が組み込まれ、日程重複が生じることになったため、上記の理由でこの日の本場開催を中止し、J-PLACEとしての場外馬券発売のみを行った。
- 2003年にはダーレー・ジャパン・レーシングが馬主として初進出(船橋競馬場が第1号)。2005年には所有馬であるシーチャリオットが南関東二冠を制した。2006年の全日本2歳優駿ではフリオーソが勝ち初めて日本国内の統一GIレース制覇を果たし、2007年のジャパンダートダービーもJpn(G)I制覇し3歳ダート路線の頂点に立ち、2008年と2010年の帝王賞を制している。
- 船橋競馬は馬券の結果が堅く収まることが他と比較して少なく、中穴・大穴の配当が割合出やすい競馬場として知られている。これは枠により不利を受けにくいコース形態もさることながら、船橋競馬所属の騎手の層が規模と比較して非常に厚いことも影響している。腕達者なジョッキーたちの争いに魅せられるファンも多い。2009年2月4日には当時の公営競技最高記録となる1911万0000円の超高額配当を記録している。
- 2010年の4月開催より場内映像がハイビジョン化される。
- 2011年の10月開催より、個人協賛競走が実施されるようになった。開催1日につき最大2競走まで実施(特別競走・重賞競走は対象外)で、協賛金として3万円が必要となる[17]。なお著作権にかかわる名称については使用不可能となった。現在は個人協賛競走は募集停止中。企業・団体協賛は引き続き重賞日を除く原則1レースを対象として募集している
- 2014年7月29日に千葉県競馬組合がナイター競走を導入することを発表し、2015年春に設備を完成させ、同年6月15日よりナイター競走を開始した。開催期間は4月から12月までの予定で期間中は従来通り、昼間開催も検討している。組合によると、園田競馬場(そのだ金曜ナイター)の成功事例を踏まえて導入に踏み切ったとのこと[18]。このナイター競走の愛称は一般から公募し、「ハートビートナイター」[19]に決定した。2018年度からは通年で開催されている[20]。なお2021年までは、年度によるがゴールデンウィークにかかる期間は、日中開催で行われた事もある。
- 2016年4月8日より、廃止された船橋オートレース場内にあった競輪場外『サテライト船橋』が競馬場の駐車場内に移転し、オートレース場外『オートレース船橋』も併設し「船橋場外」としてオープンしている。
- 2020年8月26日に本競馬場所属騎手数人から新型コロナウイルスの感染が確認された。このため、同年8月31日から9月4日まで予定していた令和2年度第6回船橋競馬の開催が全て取りやめとなった[21]。
- 2020年2月から新型コロナウィルス対策として2022年2月まで一部の期間を除き無観客競馬を継続していた。
交通 編集
公共交通機関 編集
鉄道 編集
自動車 編集
高速道路 編集
一般道路 編集
駐車場 編集
- 駐車場は1日500円(最初の30分は無料。ただしオーケー船橋競馬場店・「船橋場外」と共用で料金変動あり)
- ららぽーとTOKYO-BAYやIKEAなどの大型商業施設が至近距離に密集しており、休日は周辺の渋滞が激しい。
注釈 編集
- ^ 第8回開催はヤングジョッキーズシリーズ開催のため実施されない。
脚注 編集
- ^ a b “船橋競馬場のご案内”. 船橋競馬 千葉県調教師会公式サイト. 2018年11月6日閲覧。
- ^ “船橋競馬場:ガイド”. 楽天競馬. 2016年1月1日閲覧。
- ^ “第8回船橋競馬(10/28~11/1)決定番組について”. 船橋ケイバ. 2019年10月24日閲覧。
- ^ 2023年度(令和5年度) 開催日程及び重賞競走日程について南関東4競馬場、2022年11月28日配信・閲覧
- ^ “【地方競馬】年間王者を決める「2021船橋ジョッキーズフェスティバル」開催 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月6日閲覧。
- ^ a b c “「2021 船橋ジョッキーズフェスティバル」について”. 船橋ケイバ. 2021年4月6日閲覧。
- ^ 3月11日の地震による船橋競馬場の被害状況について - 船橋ケイバ公式サイト 2011年3月14日
- ^ http://www.yomiuriland.co.jp/company/facilities.html
- ^ 50円で最高3億円の払戻も!SPAT4「トリプル馬単」6月1日から発売開始! - 南関東4競馬場公式サイト
- ^ 平成27年度 開催日程及び重賞競走日程について - 南関東4競馬場公式サイト
- ^ 「よみうりランド、船橋競馬場改修」日本経済新聞ニュースサイト(2019年3月27日)2019年4月5日閲覧。
- ^ “船橋競馬場本場馬の砂の全面入替について”. お知らせ | 船橋ケイバ. 2020年11月27日閲覧。
- ^ 勝馬投票法の払戻率について - 船橋ケイバ
- ^ “船橋の函館調教師、死去 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年4月8日閲覧。
- ^ ただし大井競馬場・川崎競馬場のナイター競走場外発売は行われており、夏期限定で日曜日のナイター競走場外発売も行われている。
- ^ 薄暮開催は「オレンジレース」 - 船橋ケイバ公式サイト 2012年6月18日
- ^ 企業協賛・個人協賛レース(冠レース)の募集について - 船橋ケイバ公式サイト 2011年8月17日
- ^ 船橋競馬場におけるナイター競馬の導入について - 船橋ケイバ 2014年7月29日
- ^ 船橋競馬場ナイター競馬の愛称決定について
- ^ 平成30年度 開催日程及び重賞競走日程について南関東公営競馬、2017年11月14日閲覧
- ^ “船橋競馬場所属騎手における新型コロナウイルス感染症陽性の確認及び令和2年度第6回船橋競馬(8月31日~9月4日)の開催取り止めについて”. 船橋ケイバ (2020年8月26日). 2020年8月31日閲覧。
関連項目 編集
- 競馬・競馬場・地方競馬
- 競馬場一覧
- 中山競馬場(同市の中央競馬場)
- 谷岡ヤスジ - PRのポスターに起用されたことがある。
- タカマガハラ - 天皇賞馬。登録上は長野県産であるが、実際には船橋競馬場内の厩舎で誕生したとされる。
- 千葉サラブレッドセール
- THE NUGGETS - 2018年より「ハートビートナイター」が本馬場入場曲として使用されている。