ノ湖

素晴らしい湖で箱根のカルデア湖です。

ノ湖(あしのこ)は、神奈川県足柄下郡箱根町にある、箱根山カルデラ湖である。

ノ湖


箱根駒ヶ岳から見たノ湖

ノ湖の空中写真。右が駒ケ岳
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

芦ノ湖の位置(神奈川県内)
芦ノ湖
ノ湖
ノ湖の位置(神奈川県)
所在地 日本の旗 日本
神奈川県足柄下郡箱根町
位置 北緯35度12分35秒 東経139度00分16秒 / 北緯35.20972度 東経139.00444度 / 35.20972; 139.00444座標: 北緯35度12分35秒 東経139度00分16秒 / 北緯35.20972度 東経139.00444度 / 35.20972; 139.00444
面積 7.03[1] km2
周囲長 21.1 km
最大水深 43.5 m
平均水深 15.0 m
水面の標高 723 m
成因 カルデラ湖
淡水・汽水 淡水
湖沼型 中栄養湖
透明度 7 m
プロジェクト 地形
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箱根カルデラと芦ノ湖。左上は相模湾

概要 編集

神奈川県南西部にある県内最大ので、早川水系に属する二級河川でもある。

水源の大部分が湖底からの湧き水である。本来は北部(箱根町仙石原)から流れ出る早川の水源であるが、水利権が神奈川県側に無い為に、非常時(近年は主に増水)を除いてノ湖から早川への放水は行われていない(湖尻水門には常時放水路も設備されていない)。

湖畔を中心に観光名所やリゾート施設が数多く点在する観光地で、富士山も望める景勝地としても知られている。近年では毎年正月に開催される東京箱根間往復大学駅伝競走の往路ゴール、復路スタート地点としても知られ、多くの観光客を集める。

湖上には、箱根海賊船小田急箱根小田急電鉄系列)とノ湖遊覧船(箱根遊船、富士急行系列)が運航されている。発着する船着き場が異なり、適用される割引券やフリーパスもそれぞれ異なる。箱根海賊船の停泊港は、桃源台港箱根町港元箱根港ノ湖遊覧船の停泊港は、湖尻港(休止中)・箱根園港箱根関所跡港・元箱根港である。

釣り場としてもノ湖は有名であり、ニジマスなどのマス類やブラックバスなど、古くから外国産の魚類が放流されてきた歴史がある。なおブラックバスは赤星鉄馬によって1925年に日本で初めて放流されたことで知られ、バスフィッシングのメッカにも挙げられる。

歴史的経緯から、ノ湖の水利権裾野市長泉町清水町御殿場市で構成される静岡県芦湖水利組合にある(深良用水も参照)。このため、神奈川県側では湖水利用ができない。ただし渇水や増水などの非常時は、芦ノ湖の水を利用(緊急放水[注釈 1])できる。土木工事許認可権については神奈川県にあるため、水門水道管施設の維持管理は神奈川県が担っている。また、湖岸の集落である箱根、元箱根、湖尻(および仙石原)の下水は、全て仙石原浄水センターに集めて浄化した後に早川に放流しており、水質の汚濁防止策も神奈川県側が担っている。

西岸には遊歩道がある。途中、ベンチなどが置かれた場所は少ないが、ノ湖の岸辺に降りることができる場所が数箇所あり、休憩、ビューポイントとなる。とくに真田浜の砂浜は広く、最高のランチポイント。正面に広がる駒ヶ岳の展望は格別とされる[2]

歴史 編集

箱根火山のカルデラ内にある中央火口丘の一つで、成層火山である神山が、約3000年前に水蒸気爆発火砕流を起こした際、山の一部が大崩壊を起こす山体崩壊が発生。カルデラ内にあった早川を堰き止めて芦ノ湖が生まれた。

天平宝字元年(757年)、万巻箱根神社を建立した[3]後、伝承によると、人々を苦しめていた芦ノ湖の九頭龍を調伏し、現在の九頭龍神社本宮を建立して、九頭龍を守護神として祀ったとされる[4] 。

江戸時代、駿河国駿東郡深良村(現・裾野市)の名主・大庭源之丞は灌漑用にノ湖から箱根山の外輪山湖尻峠下)を貫通するトンネルを掘ることを考えた。ノ湖の水利権を持つ箱根権現社の許可を得て、江戸商人・友野与右衛門の資金協力を受けて、1670年寛文10年)に用水路を完成させた。この用水は「深良用水」と呼ばれ、現在は狩野川水系黄瀬川支流の深良川となっている。また、日本を代表する用水のひとつとして、農林水産省疏水百選に選定されている。

江戸時代は箱根も深良も小田原藩の領地であったので問題はなかったが、両地は廃藩置県後の整理統合を経て神奈川県(足柄県)と静岡県に分割され、湖尻峠が県境となった。そのため両県で水利権をめぐる争いが起きたが、近くは大正時代に裁判により静岡県に水利権があるとされた。[5]

1911年、後に西武傘下になる芦ノ湖遊覧船の運航が始まった。

1925年、赤星鉄馬によってブラックバスが日本で初めて放流された。

1950年、箱根観光船(現:箱根海賊船)の運航が始まった。

2019年10月、令和元年東日本台風(台風19号)により芦ノ湖が氾濫し、港や観光施設が浸水被害を受けた[6]

生物相 編集

魚貝類 編集

ニジマスブラウントラウトヒメマスオオクチバスコイフナウグイオイカワワカサギヤマメイワナヌマチチブサワガニカワニナ類

郷土料理 編集

ワカサギ、ニジマスの天ぷらが特産品郷土料理として知られている。オオクチバス(通称:ブラックバス)の天丼も提供されている。

ギャラリー 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 横浜地方気象台が発表する48時間の予想雨量から芦ノ湖の水位が氾濫注意水位に達することが予測されるときは、その時点で事前放流を始める。

出典 編集

  1. ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積” (PDF). 2015年3月22日閲覧。
  2. ^ 登山ルート・山旅スポット. “芦ノ湖西岸歩道 絶景・ランチポイントが魅力”. 山旅旅. 2020年10月20日閲覧。
  3. ^ 「箱根神社大系」(『かながわの歴史文献55-神奈川県関係基本史料解説目録-』、神奈川県立図書館、平成20年3月)
  4. ^ 九頭龍神社について 箱根神社公式ホームページ
  5. ^ 箱根用水の開さくと利水の展開:第3章 明治以後の水利秩序
  6. ^ 日本放送協会 (2019年10月13日). “箱根の芦ノ湖が氾濫 浸水被害も”. NHKニュース. 2019年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集