芦原温泉
芦原温泉(あわらおんせん)は、福井県あわら市(旧越前国)にある温泉。坂井郡芦原町と同金津町が合併してあわら市が発足してからは「あわら温泉」と表記されることもある[1][2][3][4]。福井県屈指の温泉街として「関西の奥座敷」と呼ばれ[5][6][7]、昔から多くの文人墨客に愛されてきた。温泉療法医がすすめる名湯百選にも選ばれている。
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![]() セントピアあわら | |
温泉情報 | |
所在地 |
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座標 | 北緯36度13分30秒 東経136度11分40秒 / 北緯36.22500度 東経136.19444度座標: 北緯36度13分30秒 東経136度11分40秒 / 北緯36.22500度 東経136.19444度 |
交通 |
鉄道:えちぜん鉄道三国芦原線あわら湯のまち駅 JR北陸本線:芦原温泉駅からタクシー10分 飛行機:小松空港からタクシーで45分 車:北陸自動車道丸岡ICから20分、金津ICから15分 |
泉質 | 塩化物泉 |
泉温(摂氏) | 33.5 - 77.5 °C |
外部リンク |
あわら市観光協会 芦原温泉旅館協同組合 |
概要編集
芦原温泉は1883年(明治16年)[2][8]、農地で利用する灌漑用の井戸から温泉が湧き出たのが始まりとされる[5][9]。後発であったが、大正から昭和初期の旅行・観光ブームにのり発展した[10]。1927年(昭和2年)の日本百景選出にあたって11か所の温泉が選ばれたが、芦原温泉もその一つに選ばれている。官営三国線(北陸線支線)や三国芦原電鉄(後の京福電鉄三芦線)の芦原駅(現在のあわら湯のまち駅)開業の影響も大きく、1932年(昭和7年)頃には加越温泉郷の中ではトップの地位についている[11]。なお、開湯した時期は当時の記述から1884年(明治17年)3月とする文献も残されている[9]。
戦時下で一時閉塞したが、戦後まもなく復活。しかし、1956年(昭和31年)[4][8]に大火に見舞われ300棟以上が焼失し[12]、温泉街そのものが無くなったが、新たな都市計画のもと碁盤目上に区画された温泉街が整備され、復興への道を歩むこととなった。
芦原という町はもともと、田園地帯で風情が乏しかったため、近代的な建築に庭園の整備や露天風呂などを設え、風情のあるものに再整備された。その後は、落ち着いたたたずまいが人気を呼び、また永平寺の精進落としの湯、関西地方の奥座敷として発展を遂げ、現在に到る。2018年(平成30年)の芦原温泉の入込客数は、88万5千人で福井県外は61万1千人となっている(推計)[1]。
2004年(平成16年)に温泉偽装問題が発生した際、公正取引委員会は当温泉で旅館業を営む4事業者に対し、同年8月に景品表示法の優良誤認(同法第4条)に触れる恐れがあることを口頭注意した[13]。この件をきっかけに、あわら市では独自の温泉表示に関する基準が設けられ、それを満たした施設には「芦原温泉表示マーク」[14]を交付している(※2004年12月から交付開始、2009年12月1日に取扱要綱を改定)[15]。
泉質編集
温泉街編集
- 温泉街
周囲を坂井平野に広がる水田に囲まれている。歓楽温泉としても発展していたが、温泉街にその要素は少なく、落ち着いた雰囲気のある温泉街を作っている。あわら湯のまち駅で貸し出しされるレンタサイクルで街中を散策することができる。
2006年から、観光協会から湯めぐり手形が1,500円で発行され、温泉街の19の宿の湯をどこでも楽しめるようになった(手形には500円のシールが3枚付き、1枚で1か所入湯可能)。なお、前述の手形の販売は2018年12月20日で終了している[17]。一方、2007年12月にはあわら湯のまち駅の駅前に「あわら温泉屋台村 湯けむり横丁」がオープンしている[18]。
- 周辺施設
国指定の天然記念物・名勝である東尋坊へも近く、芦原温泉駅からはバスで約40分、タクシーで約15分の距離にある。その他、道元禅師が建立した曹洞宗本山の永平寺、世界最大のウォータースライダーを擁する芝政ワールド、海水浴場、スキー場、ゴルフ場等へのアクセスも便利であり、石川県の加賀温泉郷と並ぶ北陸観光の拠点となっている。
アクセス編集
- 鉄道
- 飛行機
- 小松空港からタクシーで45分。
- 自動車
脚注編集
- ^ a b “平成30年福井県統計年鑑 観光” (PDF). 福井県地域戦略部情報統計課. p. 283. 2021年8月9日閲覧。
- ^ a b “あわら温泉の歴史につかって 福井、資料館で企画展”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(福井新聞). (2018年9月21日) 2021年9月29日閲覧。
- ^ “「女将」笑顔で新酒披露 あわら温泉女将の会”. 朝日新聞デジタル. (2020年12月9日). オリジナルの2020年12月14日時点におけるアーカイブ。 2021年9月29日閲覧。
- ^ a b “福井・あわら温泉「べにや」が営業再開 18年に全焼”. 日本経済新聞. (2021年7月15日) 2021年9月29日閲覧。
- ^ a b c d “湯の街あわら 源泉かけ流しで「湯ったり」”. NIKKEI STYLE (2015年11月30日). 2021年8月9日閲覧。
- ^ “女将が手がけた宿泊者限定純米吟醸 コロナ禍で一般販売も”. 産経ニュース. (2020年6月11日) 2021年8月9日閲覧。
- ^ 「再訪!沿線点描 北陸本線 福井駅~金沢駅(福井県・石川県)」『Blue Signal』2020年5月号、西日本旅客鉄道、2020年5月、2021年8月31日閲覧。
- ^ a b “べにや 感謝の再出発”. 読売新聞オンライン. (2021年7月16日). オリジナルの2021年7月16日時点におけるアーカイブ。 2021年8月9日閲覧。
- ^ a b “最古の地図で知る芦原温泉の歴史 あわら市郷土歴史資料館、あすから初公開”. 産経ニュース. (2018年9月21日) 2021年8月9日閲覧。
- ^ 奥山秀範「ふくい歴史回廊~芦原温泉 昭和初期に躍進」『福井新聞』2015年11月27日号 19面
- ^ 開湯100週年記念誌編纂委員会編『芦原温泉100年史』芦原町役場発行 1984年 69頁他参照
- ^ “あわら温泉 昨年も火災、住民ら動揺「なぜこうも続く」”. 毎日新聞 (2018年5月6日). 2018年5月6日閲覧。
- ^ 公正取引委員会: “温泉表示問題に対する公正取引委員会の取組”. 温泉表示に係る都道府県措置一覧. 環境省. p. 資料6-別紙3 (2004年11月22日). 2022年7月25日閲覧。
- ^ “芦原温泉表示マークの交付及び更新手続きについて”. 芦原温泉表示マークについて. あわら市 (2015年11月6日). 2022年7月25日閲覧。
- ^ “芦原温泉表示マーク取扱要綱”. あわら市 (2015年11月6日). 2022年7月25日閲覧。
- ^ “芦原温泉紹介~歴史・お湯~”. 芦原温泉観光協会. 2020年1月9日閲覧。
- ^ あわらの日帰り入浴施設 - あわら市観光協会
- ^ “広報あわら第47号” (PDF). あわら市市長室秘書広報課. p. 6 (2008年1月15日). 2021年8月9日閲覧。
参考文献編集
- 芦原温泉観光協会 『福井県芦原温泉誌』芦原温泉観光協会、1953年。
- 開湯100週年記念誌編纂委員会 『芦原温泉100年史』芦原町役場、1984年。