荒野

  荒野の図(17世紀)

荒野の草原(ウクライナ、ザポリージャ州)

荒野(あれの、ウクライナ語: Дике Поле)は、ウクライナの歴史的地名で、欧亜の草原地帯の西部である。

概要 編集

荒野は、西にドニステル川の中下流、東にドン川ドネツ川の中下下流、北に南ブーフ川の上流とキエフの南部、南に黒海アゾフ海クリミア半島を境界としている。現在のウクライナの中部・南部(ルハーンシク州ドネツィク州ドニプロペトロウシク州ザポリージャ州キロヴォフラード州ポルターヴァ州ムィコラーイウ州オデッサ州ハルキウ州ヘルソン州)とロシアの西南部(トゥラ州、リペツク州ヴォロネジ州オリョール州クルスク州ベルゴロド州ロストフ州の一部)にあたる。

荒野という地名は、15世紀末に史料で確認できる。この地域は北方の農耕民族と南の遊牧民が交流・衝突する地域であったため、人口の少なく、豊かな自然資源を有していた。

荒野はリトアニア大公国ポーランド王国(後のポーランド・リトアニア共和国)、モスクワ大公国(のちのロシア帝国)、クリミア・ハン国オスマン帝国の国境地帯であったが、事実上では無所属の地であった。この地においてコサックが誕生し、自治共同体を形成した。

17世紀に荒野はコサック国家、ロシア、ポーランドとイスラム勢力の間に分断されていたが、18世紀末に完全にロシアの支配下に置かれた。以後、荒野という地名は使用しなくなった。

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参考文献 編集

  • (日本語) 『ポーランド・ウクライナ・バルト史 』(新版世界各国史20) 伊東孝之、井内敏夫、中井和夫、山川出版社、1998年12月

外部リンク 編集