荘厳の聖母 (チマブーエ)

荘厳の聖母』(そうごんのせいぼ、: Maestà[1])または『6人の天使に囲まれた荘厳の聖母』(: La Vierge et l’Enfant en majesté entourés de six anges[2])は、イタリアの芸術家チマブーエによる絵画で、1280年ごろに制作された。パリのルーブル美術館に所蔵されている。

『荘厳の聖母』
イタリア語: Maestà
フランス語: La Vierge et l’Enfant en majesté entourés de six anges
作者チマブーエ
製作年1280年ごろ
寸法424 cm × 276 cm (167 in × 109 in)
所蔵ルーヴル美術館パリ
チマブーエ『荘厳の聖母』(1288年) サン・フランチェスコ聖堂(アッシジ)

作品は1280年ごろのものと考えられており、ウフィツィ美術館の『サンタ・トリニタの聖母』より時期的に早く、様式的にも異なった特徴を持っている。疑似的な遠近法なしで描かれ、聖母の周りの天使が空間の中に合理的に配置されるのではなく、単に上下に配置されている。玉座は、アッシジサン・フランチェスコ聖堂(1288–1292年)にあるチマブーエによって描かれた『荘厳の聖母』に似ている。

この作品は「聖母子」の主題の新しい規範を確立し、その後、『ルチェッライの聖母』を描いたドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャなど他の画家によって使用された。

背景となっている金地は、この場面が天上の世界であることを示している。幼子イエスの着ている服の赤色は、受難の象徴である。聖母の服の青色は、周囲の天使の服や翼で繰り返され、画面に色彩の統一感を生んでいる[3]

歴史 編集

イタリアにおけるナポレオンの芸術品略奪の一環として、ピサのサン・フランチェスコ教会から、ジョットの『聖痕を受ける聖フランチェスコ』とともに1813年にルーヴル美術館に取得された。

出典 編集

  • Fossi, Gloria (2004). Uffizi. Florence: Giunti. p. 110 

脚注 編集

  1. ^ 後述するようにチマブーエによる荘厳の聖母は複数現存するため、所蔵館の名を関して本作をMaestà del Louvre(ルーヴルの荘厳の聖母)と呼び区別することがある。
  2. ^ La Vierge et l'Enfant en majesté entourés de six anges (Maestà) - Louvre Collections”. 2021年6月5日閲覧。
  3. ^ ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて、2011年発行、13頁 ISBN 978-4-7993-1048-9