菅井円加

日本のバレエダンサー


菅井 円加(すがい まどか、1994年7月12日[1] - )は、日本バレリーナ神奈川県厚木市出身[2]。2014年9月からドイツハンブルク・バレエ団に所属。2019年7月1日から階級はプリンシパル[3]

すがい まどか
菅井 円加
生誕 Sugai Madoka
(1994-07-12) 1994年7月12日(29歳)
日本の旗 神奈川県厚木市
国籍 日本の旗 日本
出身校 佐々木三夏バレエアカデミー
和光学園
職業 バレリーナ
活動期間 2000年(6歳)〜
身長 162㎝
受賞 2012年:ローザンヌ国際バレエコンクール1位
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来歴 編集

日本での活動 編集

厚木市生まれ。バレエを習っていた姉の発表会を3歳で見て、その影響で、幼稚園の課外活動の体操クラブに参加する[3][4]。6歳で本格的にバレエのレッスンを受け、大和市の佐々木三夏に学んだ[3][5]。小学校高学年のときにコンクールで初優勝を果たす[6]。2010年4月当時は得意とするヴァリエーションとして、ドルシネアシルヴィア(アシュトン版)を挙げていた[7]

和光高等学校2年に在学中の2012年2月、17歳のとき、ローザンヌ国際バレエコンクールで1位入賞した[8][9]。これを受けて同月、神奈川県知事表彰を授与された[10]。また同年3月にはフランスのパリ近郊で行われたショッソン・ドール国際バレエコンクールのプロフェッショナル部門で2位に大差をつけて優勝した[11]

ローザンヌ賞の研修先として、ハンブルク・バレエ団のジュニア・カンパニーでジョン・ノイマイヤーが総監督を務めるナショナル・ユース・バレエを選択し、2012年9月に入団した。

ナショナル・ユース・バレエ時代 編集

ナショナル・ユース・バレエは2011年秋に設立された若手主体のバレエ団で、所属するダンサーは8人[12][13]。ダンサー自らが振付する機会を与えられ、刑務所を慰問する公演も設定されていた。菅井が最初に出演したのは2012年9月9日にベルリンの国会議事堂の屋上で上演された 『ポグロムの夜/鎮魂曲』 だった[14][15][注釈 1]。翌2013年3月にはジョン・ノイマイヤーらによる共同振付の新作 『シンプル・ギフト』 に出演する[17]。1年目はローザンヌ賞の奨学金によって研修する形をとっていたためゲストダンサー (Gasttänzerin) と記載されていたが、2年目の2013年秋からは正団員となった[1][18]

ハンブルク・バレエ団での活躍 編集

2014年7月にハンブルク・バレエ団への移籍が発表され、9月に研修生(Aspirantin)の階級で入団した[19][20] 。入団して間もなくの9月-10月頃、ノイマイヤー改訂版 『ジゼル』 で第1幕の村娘のパ・ド・ドゥを踊る。翌2015年1月頃までにコール・ド・バレエの階級が付与されて正式の団員となる[21]

2017年6月3日にはノイマイヤー振付『シンデレラ・ストーリー』で初めて全幕物の主役を踊った[22]。それに先立つ2月には、翌シーズンからソリストに昇格することが発表されていた[23]

2019年7月1日、日本人では初めて同バレエ団の最高位であるプリンシパルに昇格した。

主な出演歴 編集

演目 相方 振付 バレエ団
2012 ポグロムの夜/鎮魂曲[注釈 2] Pogromnacht/Requiem
-
-
P・エベルツ、G・フィナルディ、高浦幸乃  ナショナル・ユース・バレエ
薄紙で着飾って[25][注釈 3] Dressed up in tissue paper
-
M・ゴーティエ[25] N・ホレチナー
2013 シンプル・ギフト[注釈 4] Simple Gifts (イギリスの歌曲) M・ゴーティエ[28] K・ティンドール
(フランスの歌曲) Y・ゴルディエンコ[29] P・ボイド
(アメリカの歌曲)[30]
-
ノイマイヤー
別々の列車[31][注釈 5] Different Trains (女性) N・グレスマン Y・イワネンコ
2014
ジゼル
村娘のパ・ド・ドゥ K・ウエスト ノイマイヤー改訂  ハンブルク・バレエ団
2017 ミルタ
-
2014
ナポリ
アルゼンチーナ 〔海の精〕 有井舞耀
〔コラーラ〕
ブルノンヴィル
2016 2人のためのソロ Solo für zwei (女性) A・トルシュ K・ツェリコフ
2017 セラ[33] sella (女性)
-
メランコリー
Melancholy
(女性) C・エヴァンズ I・ザクレフスキー
マーラー交響曲第3番
Dritte Sinfonie von Gustav Mahler
A・レンツ ノイマイヤー
シンデレラ・ストーリー A Cinderella Story シンデレラ[22] C・エヴァンズ

は演目の主役を表す。★は当該演目の世界初演に出演したことを表す。

注釈 編集

  1. ^ 企画そのものは「連邦議会の内と外を観察する日」 (Tag der Ein- und Ausblicke des Bundestages) と名づけられていた[16]
  2. ^ 2011年11月に初演された若手3人による共同振付作品。1938年に起こった「水晶の夜」を回想して意味を問う[24]。3部構成の最終部分ではナショナル・ユース・バレエで菅井の1年先輩だった高浦幸乃が振付を担当し、坂本龍一作曲の 《War & Peace》 を音楽に使用している。
  3. ^ スロバキア出身の振付家ナタリア・ホレチナー (Natalia Horečná) が米国のテリー・ライリージョン・ケージ、日本の池田亮司らの楽曲を使用して振付けた作品。人間の内面を探求するものだという[26]
  4. ^ 7つの国の民謡とフィナーレに、バレエ団の団員を含む8人の振付家が振付けたオムニバス作品。初演時の題名は “Folk Songs” だったが、その後 “Simple Gifts” に変更された。2013年3月20日、ハイデルベルク音楽祭において声楽と器楽の生演奏つきで初演された[27]
  5. ^ ウクライナ出身の振付家ヤロスラフ・イワネンコが米国の作曲家スティーヴ・ライヒ同名の曲に振付けた作品。2013年4月28日にエスリンゲン青年ヨーロッパ音楽祭で弦楽の生演奏つきで初演された[32]

出典 編集

  1. ^ a b Madoka Sugai, Bundesjugendballett 〔※バレエ団公式サイトのアーカイブ〕
  2. ^ 「ローザンヌから世界へ 菅井さん凱旋」 産経新聞 2012年2月7日
  3. ^ a b c 『VOGUE JAPAN』2019年8月7日「バレエダンサー菅井円加が語る、プリンシパルまでの道」2021年3月21日閲覧
  4. ^ 神奈川新聞 2012年2月6日「菅井円加さん〈バレエ人生の大きな一歩〉、親子で喜びかみしめ」2021年3月21日閲覧
  5. ^ 菅井円加さんタウンニュース大和版 2012年2月24日号
  6. ^ ローザンヌ国際バレエで高2の菅井さん快挙、両親や友人らも歓喜」 神奈川新聞、2012年2月6日
  7. ^ 第67回全国舞踊コンクール 入賞者 バレエジュニア部
  8. ^ ローザンヌ国際バレエ、日本の17歳優勝 菅井円加さん」 朝日新聞デジタル、2012年2月5日
  9. ^ Les laureats du Prix de Lausanne 2012, www.prixdelausanne.org
  10. ^ バレエ菅井さんを知事表彰」 神奈川新聞、2012年2月28日
  11. ^ Résultat du Concours du Chausson d'Or, 2012
  12. ^ Startschuss für das Bundesjugendballett, 5 Oktober 2011
  13. ^ Die Tänzer 〔※バレエ団公式サイトのアーカイブ〕
  14. ^ 菅井円加さん、ドイツで初舞台」 FNNニュース、2012年9月10日
  15. ^ Zwei Jahre Bundesjugendballett, Eine Spielzeitdokumentation von 2011 bis 2013, Bundesjugendballett, 2013, p.85
  16. ^ Kuppeltanz 〔バレエ団公式Facebook〕
  17. ^ »folk songs« bundesjugendballett und stipendiaten der festival akademie, Internationales Musikfestival Heidelberger Frühling gGmbH, 2013
  18. ^ New generation for 2013/2014, 17 April 2013 〔バレエ団公式サイト〕
  19. ^ Newsletter (14 Juli 2014)、Hamburg Ballett 〔バレエ団公式発表〕
  20. ^ Tänzer〔※バレエ団公式サイト。2014年10月6日時点のアーカイブ〕
  21. ^ Tänzer〔※バレエ団公式サイト。2015年2月9日時点のアーカイブ〕
  22. ^ a b Madoka Sugai as Cinderella〔バレエ団公式インスタグラム〕
  23. ^ Pressemeldung 27.02.2017、Hamburg Ballett 〔バレエ団公式発表〕
  24. ^ Pogromnacht/Requiem 〔バレエ団公式サイト〕
  25. ^ a b The Bundesjugendballett in Otterndorf この映像は2012年11月末にニーダーザクセン州のオッテルンドルフで公演した時のもの。菅井は5分25秒で画面左端、6分30~35秒で左奥に映っている。
  26. ^ Dressed up in tissue paper 〔バレエ団公式サイト〕
  27. ^ Simple Gifts 〔バレエ団公式サイト〕
  28. ^ Brittische Lieder 〔バレエ団公式Facebook〕 ※写真は2013年8月1日にベルリンで再演された際のもの
  29. ^ Französische Lieder 〔バレエ団公式Facebook〕 ※同上
  30. ^ Simple Gifts 〔バレエ団公式Facebook〕 ※同上
  31. ^ Reich meets Bundesjugendballett at PODIUM Festival 2013, PODIUM Festival Esslingen, 菅井は0分47秒~に登場する。この作品の初演を当時ハンブルク・バレエ学校の生徒だったニコラス・グレスマンを相方として踊った。グレスマンについては前掲 "New generation for 2013/2014" を参照。
  32. ^ Different Trains 〔バレエ団公式サイト〕
  33. ^ Neues von den "Jungen Choreographen", Bopp, Annette, 20. März 2017, www.tanznetz.de

外部リンク 編集