華の乱』(はなのらん)は、1988年に公開された東映配給の日本映画永畑道子小説『華の乱』『夢のかけ橋』を原作とし、深作欣二が撮った劇映画。原作に倣い、主人公・与謝野晶子の視点から大正時代の社会運動、芸術運動の群像を描いている。

華の乱
The Rage Of Love
監督 深作欣二
脚本 深作欣二
筒井ともみ
神波史男
製作 豊島泉
妹尾啓太
出演者 吉永小百合
松田優作
石田えり
風間杜夫
松坂慶子
緒形拳
音楽 井上堯之
主題歌 エリー・アーメリング
撮影 木村大作
編集 市田勇
配給 東映
公開 日本の旗 1988年10月1日
上映時間 139分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 7.6億円[1]
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スタッフ 編集

あらすじ 編集

激動の、そして革命期でもある明治大正与謝野晶子吉永小百合)は、愛、芸術、社会運動に命を燃やし、それぞれの目標へ行こうと必死に生き、花のように散っていく文化人たちに出会い、関東大震災の廃墟、そして大正を乗り越え、夫、寛(緒形拳)とともに生きた。

出演者 編集

主なキャスト 編集

与謝野晶子 - 吉永小百合
詩の師である与謝野寛に恋をし、一人で寛に会うために登美子に嘘をつき、寛に会い、結ばれ、子どもをたくさんもうける。そのことを詩に書くが、寛の前妻、滝野にイヤミを言われ、近所の住人から白い目で見られる。その中で明治37年に「君死にたまふことなかれ」を執筆。寛が出馬してから、二人の間に食い違いが生じてくる。有島に会いに、北海道に渡るが、長い間、家を留守にした晶子に対して、子どもたちはよく思わなかった。関東大震災後、瓦礫の中、馬で引き回される大杉の同志、和田と古田に晶子は「生きていてください」と言い、おにぎりを渡すのだった。
有島武郎 - 松田優作
作家。大杉らが帝國劇場前で騒動を起こしている時にバイクで乱入し、晶子がけがをしたことから知り合い、親密になる。しかし、妻を失い、北海道羊蹄山のふもとにある狩太の有島農場を手放し、もう何ものこされていない有島は、軽井沢の山荘で愛人の秋子と心中を遂げる。須磨子を慰める会の発起人の一人で、国際アナーキスト大会が行われるフランスに渡る大杉に旅費を出す。
伊藤野枝 - 石田えり
大杉の妻。大杉とともに虐殺される。
波多野秋子 - 池上季実子
新橋の芸者の娘で婦人公論記者。夫の春房に良く扱われず、古い人形として扱われていた。楽しそうにはしゃぐ晶子と有島を見て、以前から二人は「死」を考えることで結ばれていたことに気がつくが、有島の北海道での出来事が引き金となりと心中を遂げる。そのことをのちに晶子への遺書にしたためる。
沢田正二郎 - 石橋蓮司
舞台俳優。舞台「復活」で須磨子の相手役を演じる。公演終了後、須磨子と口論になり、須磨子を目立ちたがり屋と批判する。
和田久太郎内藤剛志
大杉の同志。警察の目を逃れるために、同志の古田とともに大杉の家に転がり込む。関東大震災後の瓦礫の中、馬で引き回される。
島村抱月 - 蟹江敬三
脚本家。須磨子を近代劇女優に育てる。
林滝野 - 西川峰子
寛の妻。晶子の「みだれ髪」を酷評し、猥褻扱いする。
深尾奈津子 - 斉藤絵里
晶子の書生。
波多野春房成田三樹夫
秋子の夫。秋子を古びた人形、英語も喋れる人形も乙だと言い、けなすが、有島と秋子が心中してから、自分は浅はかだったと後悔する。
山川登美子 - 中田喜子
晶子の親友で恋の競争相手。寛が出馬し、寛のために接待や個別訪問をするが、落選すると、家を追い出され、病を患い、寛が看病をすることに。
大杉栄 - 風間杜夫
無政府主義者、革命家。「復活」終演後、帝國劇場前で思想・行動・精神の自由を同志である和田、古田とともに訴え、騒動を起こす。無政府主義を唱えることから警察に追われているが、刑務所に入るたびに1ヶ国語を覚える。習得した外国語は英語の他ロシア語、フランス語、スペイン語、イタリア語、エスペラント。警察の目を逃れるために知人である有島の家に逃げ込んだ時、晶子と知り合う。その後晶子の家にも逃げ込む。晶子の詩の大ファンで、「みだれ髪」で思わず夢精してしまったと言い、作品を"言葉の真の意味でのアナーキスト"と評価。関東大震災時に、妻の野枝とともに虐殺される。有島曰く"本物のインテリにして本物の革命家。真夏の太陽のような男"
松井須磨子 - 松坂慶子(特別出演)
舞台俳優。帝國劇場で沢田と「復活」を演じるが、演技について沢田と口論になる。須磨子の慕っていた抱月が死亡し、須磨子を慰める会の最中に発狂し、気絶。そして自殺する。有島は須磨子無しには日本の近代劇は考えられないと評価。
与謝野寛 - 緒形拳
晶子の詩の師。滝野の家が寛の仕事を否定し、離婚。晶子と再婚するが、自分より晶子が稼ぎがあり、かつての詩人仲間たちに見捨てられた為、鬱に陥る。その上登美子の叔父の推薦、出資で京都で衆議院総選挙に出馬するが落選し、家を出て、登美子の看病をする。関東大震災後の瓦礫の中、死に行く人々を見て、悲しむ晶子を「船が沈んでも、国が滅んでも、私たちは生き続けねば」と言い、励ますのだった。脈拍が40しかない異常体質ゆえ、カッとなると気を失う。

その他キャスト 編集

与謝野家

有島家

受賞 編集

備考 編集

脚注 編集

  1. ^ 「1988年邦画4社<封切配収ベスト作品>」『キネマ旬報1989年平成元年)2月下旬号、キネマ旬報社、1989年、172頁。 

外部リンク 編集