栲幡千千姫命

日本神話の神
萬幡豊秋津師比売命から転送)

栲幡千千姫(たくはたちぢひめ)は、日本神話に登場する女神

栲幡千千姫

神祇 天津神
全名 栲幡千千姫
別名 万幡豊秋津師比売命、万幡豊秋津媛命、万幡姫、栲幡千千姫万幡姫命、火之戸幡姫の児・千千姫命、天万栲幡千幡姫、万幡姫の児・玉依姫命、丹舄姫、栲幡千幡姫
高皇産霊尊
兄弟姉妹 思兼命
配偶者 天忍穂耳尊
天火明命瓊瓊杵尊
神社 皇大神宮池坐朝霧黄幡比売神社
関連氏族 皇室
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概要 編集

古事記』では万幡豊秋津師比売命(よろづはたとよあきづしひめのみこと)と表記される。

日本書紀』の本文では栲幡千千姫(たくはたちぢひめ)、一書では万幡豊秋津媛命(よろづはたとよあきづひめのみこと)、万幡姫(よろずはたひめ)、栲幡千千姫万幡姫命(たくはたちぢひめよろづはたひめのみこと)、火之戸幡姫(ほのとはたひめ)の児・千千姫命(ちぢひめのみこと)、天万栲幡千幡姫(あまよろづたくはたちはたひめ)、万幡姫(よろずはたひめ)の児・玉依姫命(たまよりひめのみこと)、丹舄姫(にくつひめ)、栲幡千幡姫(たくはたちはたひめ)と表記される。

神名は「万幡」を「多くの布帛」、「豊」を「多く」、「秋津」を「蜻蛉の羽のように薄い上質なもの」、「師」を「技師」(織女)と解し、名義は「多くの布帛で、多くの蜻蛉の羽のように薄い上質なものを作る技師」と考えられる[1]

神話での記述 編集

葦原中津国平定天孫降臨の段に登場する。

『古事記』および『日本書紀』本文・第二・第六・第七・第八の一書では高皇産霊神(高木神)の娘としている[2]。『日本書紀』第一の一書では思兼命の妹、第六の一書では「また曰く」として高皇産霊神の子の児火之戸幡姫の子(すなわち高皇産霊神の孫)。天照大神の子の天忍穂耳命と結婚し、天火明命瓊瓊杵尊を産んだ[2]

解説 編集

「栲」はの繊維または白膠木[2]、「ハタ」は「機(はた)」のことである。「チヂ」は縮むの意[2]とも、たくさんあるの意ともいい、前者であれば織地が縮んだ色鮮やかで美しい上質の織物のこととなり[2]、後者であれば機織がさかんな様子を表す。いずれにしても機織織物に関係のある名前ということになる。織物の神として信仰される他、安産、子宝等の神徳をもつとされる[2]。瓊瓊杵尊や天忍穂耳命とともに祀られることが多い。

栲幡千千姫命を祀る主な神社 編集

出典 編集

  1. ^ 新潮日本古典集成 古事記
  2. ^ a b c d e f g h i 戸部民夫 『八百万の神々 日本の神霊たちのプロフィール』 新紀元社、286,287頁。