蓬萊橋 (大井川)

静岡県島田市の大井川に架けられた木造橋

蓬萊橋(ほうらいばし)は、静岡県島田市大井川に架けられた木造橋(歩行者と自転車の専用橋)。全長は897.422メートル(巾2.7 m)。法律上は農道に分類され、島田市役所農林課の所掌である。

蓬萊橋
蓬萊橋 全景(北岸から)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 島田市
交差物件 大井川
用途 道路橋
管理者 島田市
竣工 1879年1月13日
座標 北緯34度49分17.6秒 東経138度11分10.1秒 / 北緯34.821556度 東経138.186139度 / 34.821556; 138.186139座標: 北緯34度49分17.6秒 東経138度11分10.1秒 / 北緯34.821556度 東経138.186139度 / 34.821556; 138.186139
構造諸元
材料 鉄筋コンクリート
全長 897.422 m
2.7 m
地図
蓬萊橋の位置
蓬萊橋の位置
蓬萊橋の位置
蓬萊橋の位置
蓬萊橋の位置
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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蓬萊橋周辺の空中写真。画像左側が上流、右側が下流方向。画像中央付近、大井川の河原を横切る細い線のように見えるのが蓬萊橋。この画像撮影時、橋中央の一部が流出し欠損している。画像左上にある駅は島田駅。川の南岸は牧之原台地。蓬萊橋上流北岸にある野球場グラウンド等と比較すると、大井川の河川敷の広大さがよく分かる。1983年撮影の3枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

橋脚の構造は鉄筋コンクリート製、渡し板はすべて木製の有料橋で、歩行者や自転車のみ通行できる[1]。「897.4 mの長い木橋」にかけて「厄なしの長生き橋」ともいわれる[1]。橋名は、徳川宗家の主で静岡藩知事でもあった徳川家達が、かつての家臣たちの激励のために訪れた時に、牧之原台地を宝の山を意味する「蓬萊山」に例えたことに由来する[2]

歴史 編集

江戸時代、大井川は東海道最大の難所として知られていたが、様々な目的から架橋や渡船は許されておらず、川を渡るためには川越人足に頼るしかなかった[1]。その大井川に、旧幕臣が茶畑として開拓した牧之原台地と、東海道の島田宿を結ぶために、1879年(明治12年)に架けられたのが蓬萊橋である[1][2]。架設後の橋は大井川の氾濫で幾度も被害を受けたため、1965年(昭和40年)に橋脚部分だけはコンクリート製にする改造を受けている[2]

川下側に鉄筋コンクリート製の新橋である島田大橋静岡県道34号島田吉田線)が架けられてからは[3]、地元の人たちは島田大橋を利用するようになり蓬萊橋の交通量がほとんどなくなったが、1997年(平成9年)12月30日に「世界最長の木造歩道橋」としてギネス世界記録に認定されてからは観光客たちが訪れるようになった[1][4]

年表 編集

  • 明治12年(1879年1月13日 - 完成。
    牧之原台地の開拓農民らの出資により建てられ、関係者以外からは通行料金をとったことから、現在も賃取橋(有料)である。
  • 昭和40年(1965年) - 橋脚がコンクリートパイル化される。
  • 平成9年(1997年12月30日 - ギネスブックに「世界一の長さを誇る木造歩道橋」として認定。
  • 平成30年(2018年)3月、物産販売所「蓬萊橋897.4(やくなし)茶屋」と勝海舟の銅像が完成した[5]

通行料金 編集

維持管理のため蓬萊橋の通行は有料であり、以下の通行料金が発生する(2022年現在)[6]

  • 歩行者・大人 - 100円
  • 歩行者・小学生以下 - 10円
  • 自転車 - 100円

料金は8時30分から17時までは橋手前の番小屋にて支払い、その他の時間帯は無人のため料金箱に投入する。

通行規制・制限 編集

かつてはリヤカー、オートバイも通行できたが老朽化のため通行が禁止され、現在は歩行者と自転車だけが通行できる[2][3]

崩落・流失被害 編集

 
台風に伴う通行止め
(2011年11月)

蓬萊橋は度々崩落・流失の被害に遭った。以下に近年の事例を挙げる。

2000年(平成12年)9月、台風による増水で橋脚が流失、約550 mの区間が通行止めとなる。翌年(2001年)4月に復旧完了。

2003年(平成15年)8月、台風10号の影響で橋脚が流失する。翌年(2004年)3月に復旧し全面開通。

2007年(平成19年)7月15日、台風4号の影響で橋の一部(右岸側の約70m)が崩落、橋脚ごと流失し通行不能となった。同年8月24日、大井川左岸からおよそ500mまでの区間は開放された。翌年(2008年)3月25日、復旧工事完了により午前9時より全面開通された。復旧にかかった費用は3880万円であった。

2011年(平成23年)9月4日から5日にかけて台風12号の影響で橋脚3脚が流失し、通行不能となる(平成に入って9度目)[7]。加えて、復旧が進まないうちに同月の台風15号の影響によってさらに橋脚が流出した。翌2012年3月に修理が完了し、3月31日に開通式が行われた。

蓬萊橋が登場する作品 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e 浅井建爾 2001, p. 216.
  2. ^ a b c d ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 82.
  3. ^ a b 浅井建爾 2001, p. 217.
  4. ^ ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 83.
  5. ^ 静岡)蓬莱橋に茶屋や勝海舟銅像、5年計画で周辺整備 朝日新聞デジタル 2018年3月24日 2021年2月14日閲覧
  6. ^ 蓬莱橋の概要”. 島田市公式ホームページ. 2022年5月5日閲覧。
  7. ^ “島田・蓬莱橋の橋脚計3基が流失 台風12号の影響”. 中日新聞. (2011年9月6日). http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20110906/CK2011090502000175.html 2011年9月20日閲覧。 

参考文献 編集

  • 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日。ISBN 4-534-03315-X 
  • ロム・インターナショナル(編)『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。ISBN 4-309-49566-4 

関連項目 編集

外部リンク 編集