薬院

福岡市中央区の地名
薬院大通から転送)

薬院(やくいん)は、福岡県福岡市中央区の地名。現行の行政地名は、薬院一丁目から四丁目まで(住居表示実施区域)、薬院伊福町(やくいんいふくまち・住居表示未実施区域)及び大字薬院(おおあざやくいん・住居表示未実施区域)[3]。面積は、薬院一丁目から四丁目までが517,760平方メートル (51.78 ha)、薬院伊福町が4,350平方メートル (0.44 ha)、合計が522,100平方メートル (52.21 ha)[1]。2023年8月末現在の人口は、薬院一丁目から四丁目までが16,184人、薬院伊福町が56人、合計が16,240人[2]郵便番号は薬院一丁目から四丁目までが810-0022、薬院伊福町が810-0025。

薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院六つ角交差点の南側
薬院六つ角交差点の南側
地図
薬院の地図
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町の位置(福岡市内)
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院の地図
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町の位置(福岡県内)
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町 (福岡県)
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町の位置(日本内)
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町
薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町 (日本)
北緯33度34分48.9秒 東経130度23分47.1秒 / 北緯33.580250度 東経130.396417度 / 33.580250; 130.396417
日本の旗 日本
都道府県 福岡県
市町村 福岡市
中央区
面積
 • 合計 52.21 ha
人口
(2023年(令和5年)8月末現在)[2]
 • 合計 16,240人
等時帯 UTC+9 (JST)
郵便番号
810-0022, 810-0025
市外局番 092

地理 編集

 
土地利用の状況(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)

薬院は、福岡市の都心部とされる中央区天神の南南西約1キロメートルに位置しており、福岡市の都心の一部を形成する地域である。幹線道路を挟んで北東が一丁目、北西が二丁目、南東が三丁目、南西が四丁目である。南西端には薬院伊福町がある。大字薬院は飛地として一部の公有地に残るのみである[4][注釈 1]。北で警固けご及び今泉いまずみと、東で薬院新川を介して渡辺通わたなべどおり白金しろがね及び平尾ひらおと、南東で平尾と、西南西で浄水通じょうすいどおり御所ヶ谷ごしょがだに古小烏町ふるこがらすまち及び警固と隣接する。

地区中央部の薬院大通交差点付近には福岡銀行西日本シティ銀行福岡信用金庫の支店があり、一箇所に銀行の支店が集中している。広義的に見た場合の薬院エリアには中央区渡辺通二丁目及び中央区白金一丁目付近が含まれることがある。これは、白金一丁目に西鉄薬院駅及び地下鉄七隈線の薬院駅が立地していることに起因する。広義の薬院エリアには城南線沿いを中心にオフィスビルが多く立地しており、近接する渡辺通エリアとともに福岡市の中心業務地区を形成している。

河川 編集

薬院一丁目及び三丁目の東側に次の河川が横断している[5]

都市計画等 編集

薬院を含む地区の都市計画における位置づけについては、2012年(平成24年)12月21日に策定された『第9次福岡市基本計画』[6][注釈 3]の「都市空間構想図」において、「都心部」[注釈 4]に薬院一丁目及び三丁目が含まれている。都心部のなかでも特に天神渡辺通地区、博多駅周辺地区、ウォーターフロント地区(博多ふ頭及び中央ふ頭)の3地区が都心部の核とされており、薬院を含む地区は天神・渡辺通地区の南西に位置する。都市計画に関しては、「福岡市都市計画マスタープラン」[8]において定められた方針については次のとおりである。環境資源に関しては、薬院新川の支川の河川沿いが散策・憩いの場となるとともに、緑と広がりのある景観が連続したゆとりと潤いのある水辺空間として「河川緑地軸」に位置付けられている。交通ネットワークに関しては、幹線道路である福岡県道31号福岡筑紫野線大正通り)及び福岡市道博多駅草ヶ江線城南線)の沿道は、商業、業務、サービス施設や中高層住宅などが連続した「都市軸」や「沿道軸」に位置付けられている。土地利用については、薬院一丁目が都心機能を補完する業務施設、商業施設と中高層住宅が集積した職住近接の「都心核周辺ゾーン」に位置付けられ、高い指定容積率の有効活用などがまちづくりの視点とされている。これ以外が住宅を中心に都心機能を支援する業務施設、商業施設が共存する「複合市街地ゾーン」に位置付けられ、職住が調和した複合市街地づくりと良好な街並みの形成などがまちづくりの視点とされている。用途地域については次のとおりである[9]。薬院一丁目の全域、二丁目のうち福岡市道薬院660号線の道路中心線より東側及び同665号線の道路中心線より南側の範囲、三丁目の全域、四丁目のうち福岡市道薬院602号線、604号線及び613号線の道路中心線より北側の範囲、福岡県道31号福岡筑紫野線高宮通り)の道路境界線より概ね30メートルの範囲が商業地域に、薬院四丁目のうち上記を除き、かつ福岡市道薬院南公園線(浄水通り)の道路中心線より南東側の範囲が第二種住居地域に、薬院伊福町のうち福岡市道博多駅草ヶ江線(城南線)の道路境界線より概ね30メートルの範囲が近隣商業地域に、薬院二丁目、四丁目及び薬院伊福町のうち、以上の範囲以外が第一種住居地域に指定されている。地区計画については、「都心部」の南西に位置し、城南線と高宮通りの交差部に位置し、城南線の地下を走る福岡市地下鉄七隈線薬院大通駅に隣接する薬院四丁目1番の街区に次の地区計画が定められている[10]

  • 「薬院大通り西地区地区計画」(区域面積:約1.1ヘクタール、決定年月日:2001年11月29日、告示番号:市278号)

当地区においては、都心部の機能の一端を担い、地域の拠点としてのまちづくりが望まれることから、地下鉄、バスの利用者など歩行者に配慮したゆとりのある空間の確保、住環境と調和した多様な都市機能の誘導を行うために、広場、歩行者用通路の確保、建築物等の用途の制限、敷地面積の最低限度の制限などが定められている。さらにこの地区計画の区域の一部(「薬院大通センタービル」の敷地を含む)約0.4ヘクタール[11]高度利用地区に指定されている[9]

歴史 編集

薬院村の集落は、もともとは福岡城下(天神二丁目、大名一丁目)にあったが、城下建設にともなって現在の地域に移転した。かつて、奈良時代に吉備真備太宰府に赴任した際に、この辺りに薬草園を開き、施薬院(薬草を使って治療をするところ)をつくったことから薬院と呼ばれるようになったという(続風土記)。[12]薬院村は、戦国期には「薬井村」とも書いた。

江戸時代には多くの医師が住んで、幕末勤王派の志士に影響を与えた女流歌人・野村望東尼が住んでいた「平尾山荘」もある。

人口 編集

薬院一丁目から四丁目まで及び薬院伊福町の人口の推移を福岡市の住民基本台帳(公称町別)[2]に基づき示す(単位:人)。集計時点は各年9月末現在である。

薬院一丁目から四丁目まで 編集

薬院伊福町 編集

校区 編集

小学校、中学校、県立高等学校(全日制普通科)の校区は次の通り[13][14]

交通 編集

鉄道 編集

先述の通り、薬院駅は白金地区に所在する。

薬院駅は西鉄天神大牟田線と福岡市営地下鉄七隈線の相互の乗り換えに便利なため、交通の要所ともなっている。西鉄天神大牟田線の特急停車駅でもある。

また、かつては地域内を西鉄福岡市内線(路面電車)が通っていたが、1975年に廃止された。

道路 編集

南北に福岡県道31号福岡筑紫野線、東西には福岡市道博多駅草ヶ江線城南線)が通っており、薬院大通交差点で交差している。福岡県道31号福岡筑紫野線のうち薬院大通交差点以北は大正通り、以南は高宮通りの通称名で呼ばれる。城南線の薬院大通交差点の約100メートル北東にある交差点から浄水通り(市道薬院南公園線と一部重複)が南西へ通っている。薬院新川沿いには福岡市道舞鶴薬院線が通っている。

城南線・大正通り・浄水通りでは西鉄バスの路線があるが、薬院大通バス停は6箇所にあり、それぞれ行き先が違うので注意が必要。

主な施設 編集

公共公益施設 編集

公共・公益施設 編集

  • 古小烏公園ふるこがらすこうえん[注釈 6]

医療施設 編集

その他の施設 編集

かつて存在した施設 編集

名所・旧跡 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 大字薬院は一般的な地図には記載されていない(FYR, Map of Ōaza-yakuin, 【参考】大字薬院の地図)。
  2. ^ 準用河川那珂川支川
  3. ^ 『第9次福岡市基本計画』が2012年(平成24年)12月21日に策定されたときは、目標年次が2022年度末(令和4年度末)とされていたが、令和5年2月20日の市議会の議決を得て、2年延期された[7]
  4. ^ 「都心部」は具体的には東は御笠川、南は百年橋通り、西は大正通りに囲まれた地域とされている[8]
  5. ^ 所在地:福岡市中央区薬院四丁目17番1号北緯33度34分43.8秒 東経130度23分44.33秒 / 北緯33.578833度 東経130.3956472度 / 33.578833; 130.3956472、管轄地区:薬院三丁目、薬院四丁目、平尾ひらお一丁目から五丁目まで、桜坂さくらざか三丁目1番から4番まで、山荘通さんそうどおり三丁目、古小烏町ふるこがらすまち御所ケ谷ごしょがだに薬院伊福町やくいんいふくまち浄水通じょうすいどおり平尾浄水町ひらおじょうすいまち平丘町ひらおかまち南公園みなみこうえん、大字平尾及び大字薬院[15]
  6. ^ 所在地の地番:810-0025福岡市中央区薬院伊福町15番2北緯33度34分42.7秒 東経130度23分34.3秒 / 北緯33.578528度 東経130.392861度 / 33.578528; 130.392861[16]、公園種別:幼児公園、面積:476m2、開園年度:1977[17]、受賞:第30回緑の環境プラン大賞ポケット・ガーデン部門コミュニティ大賞(受賞年度:2019、主催:公益財団法人都市緑化機構など)[18]
  7. ^ 所在地:810-0025福岡市中央区薬院伊福町11番3号北緯33度34分42.3秒 東経130度23分34.9秒 / 北緯33.578417度 東経130.393028度 / 33.578417; 130.393028、古小烏公園の南南東側、運営形態:企業主導型保育事業、運営者:株式会社アルバス(法人番号:6290001034665、名称:株式会社アルバス、所在地:福岡市中央区警固二丁目9番14号[19])、設立年月:2018年(平成30年)3月1日、面積:75.95平方メートル、構造: 鉄筋コンクリート造、定員:19名[20][21]
  8. ^ 当時の所在地:薬院北緯33度34分37.4秒 東経130度23分44.5秒 / 北緯33.577056度 東経130.395694度 / 33.577056; 130.395694、期間:1919年(大正8年)から1960年(昭和35年)まで[22][23]
  9. ^ 当時の所在地:薬院四丁目14番52号北緯33度34分34.8秒 東経130度23分43秒 / 北緯33.576333度 東経130.39528度 / 33.576333; 130.39528、敷地面積:6,238.7平方メートル、開業年月:1979年(昭和54年)3月、廃止年月:2007年(平成19年)3月[24]
  10. ^ 現在の住居表示:福岡市中央区薬院四丁目(福岡女学校跡)、位置:北緯33度34分36.95秒 東経130度23分41.85秒 / 北緯33.5769306度 東経130.3949583度 / 33.5769306; 130.3949583[25][26]

出典 編集

  1. ^ a b 福岡市総務企画局企画調整部統計調査課 (2020年10月1日). “令和2年(2020年)国勢調査”. 福岡市. 2023年9月12日閲覧。→1-11/参考/面積、人口密度、人口及び世帯数-公称町別(令和5年1月31日)
  2. ^ a b c 福岡市統計調査課. “登録人口(公称町別)- 住民基本台帳(日本人)男女別人口及び世帯数”. 福岡市. 2023年9月12日閲覧。
  3. ^ 福岡市. “福岡市区の設置等に関する条例”. 2022年8月20日閲覧。→別表第1
  4. ^ 福岡市. “福岡市Webまっぷ/字図情報”. 2023年4月3日閲覧。
  5. ^ 福岡市河川計画課. “福岡市の河川概要”. 福岡市. 2023年9月12日閲覧。参照→「河川図」、「準用河川一覧表」(PDF)
  6. ^ 福岡市総務企画局企画調整部企画課. “福岡市基本構想・第9次福岡市基本計画”. 2023年9月12日閲覧。→『第9次福岡市基本計画』(PDF)の48、56ページ
  7. ^ 福岡市議会事務局議事課. “令和5年/総務財政委員会”. 2023年9月12日閲覧。→第1回定例会→議案第26号/第9次福岡市基本計画の変更について
  8. ^ a b 福岡市住宅都市局都市計画部都市計画課. “福岡市都市計画マスタープラン”. 2023年7月5日閲覧。→「第4章/区別構想/中央区」(PDF)
  9. ^ a b 福岡市. “福岡市WEBまっぷ”. 福岡市. 2023年6月29日閲覧。→「都市計画情報」
  10. ^ 福岡市住宅都市局都市計画部都市計画課. “福岡市/地区計画決定状況一覧”. 2023年9月13日閲覧。→一般型の地区計画→中8→「薬院大通り西地区」(PDF)
  11. ^ 福岡市住宅都市局都市計画部都市計画課. “都市計画決定内容一覧(令和5年3月23日決定告示分まで)”. 2023年9月13日閲覧。
  12. ^ 博多の豆知識 vol.134”. 福岡市. 2022年6月21日閲覧。
  13. ^ 福岡市教育委員会. “福岡市通学区域”. 福岡市. 2023年4月3日閲覧。
  14. ^ 福岡県. “通学できる福岡県立高等学校を検索する(学区別の市区町村一覧表)/福岡県”. 2023年4月3日閲覧。
  15. ^ 福岡県警察. “福岡県警察”. 2022年11月6日閲覧。→福岡県警察について→あなたの街の警察署→中央警察署→警察署・交番案内→薬院交番
  16. ^ 福岡市財政局財産有効活用部財産活用課公有財産係. “固定資産台帳の公表”. 2023年9月11日閲覧。→固定資産台帳データの「固定資産台帳(令和3年度末時点)」※Excel形式
  17. ^ 公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会. “公園等検索”. 2023年9月11日閲覧。→キーワード検索等
  18. ^ 公益財団法人都市緑化機構. “公益財団法人都市緑化機構”. 2023年9月11日閲覧。→みどりの表彰・助成→都市の緑3表彰→緑の環境プラン大賞→受賞一覧(受賞回別)→第30回緑の環境プラン大賞受賞一覧/再表示→ポケット・ガーデン部門/第30回コミュニティ大賞/古小烏公園愛護会→花と緑で人とまちをつなぐ、保育園とつくる公園
  19. ^ 国税庁長官官房企画課法人番号管理室. “国税庁法人番号公表サイト”. 2023年9月12日閲覧。→検索
  20. ^ いふくまち保育園”. 2023年9月12日閲覧。→いふくまち保育園
  21. ^ 福岡市こども未来局子育て支援部運営支援課. “企業主導型保育事業の施設のご案内”. 2023年9月12日閲覧。→福岡市企業主導型保育事業一覧(PDF)
  22. ^ 福岡県立図書館. “近代福岡市街地図”. 2023年4月28日閲覧。→市街地図→資料名:(15)最新福岡市街及郊外地図(『帝国都会地図』9)、発行年:1926年(大正15年)、縮尺:1:15000、編集者:大淵善吉、発行者:駸々堂旅行案内部
  23. ^ 福岡女学院中学校・高等学校. “福岡女学院中学校・高等学校”. 2023年4月28日閲覧。→学校案内→女学院の歴史
  24. ^ メルパルク等の施設概要一覧/簡易生命保険の加入者福祉施設等の譲渡等に関する会計検査の結果について”. 2023年4月29日閲覧。→【日本郵政公社時(平成15年度から平成19年度まで)に廃止された郵便貯金周知宣伝施設】
  25. ^ ハカタ・リバイバル・プラン. “はかた博物館”. 2023年4月29日閲覧。→はかた博物館→電柱番号順portal-siteへ→電柱_109-118→110
  26. ^ 地域づくりネットワーク福岡県協議会. “地域づくりネットワーク福岡県協議会”. 2023年4月29日閲覧。→地域づくり団体の紹介→ハカタ・リバイバル・プラン