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行き所のない駒(いきどころのないこま)とは、を以後一切動かすことが出来ない状況におく着手のことで、将棋反則行為の一つである。

概要編集

 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
 
▲持ち駒 歩・香・桂・銀
図2

敵陣一段目に歩兵香車、敵陣一・二段目に桂馬を成らずに進めたり打ったりする着手は反則負けとなる。よって盤上のそれらの駒をその地点に進める場合は自動的に成らなければならない。二代大橋宗古が考えだした[1]。 駒を以後一切動かすことが出来ない状況は、必然的に前にしか進めない歩兵・香車・桂馬のみが条件に当てはまる。

上の図1で、▲5一歩・▲6一香・▲7一桂・▲8二桂は、絶対に動かすことが出来ない。この状態(「死に駒」ともいう)になるのを禁じるルールである。例えば、図2の場面から図1の歩・香・桂の状態にする指しが反則行為となる。▲1一銀は今現在動かせないが、▲2二龍を動かすことにより動かせる。このように今後指し方によって動かすことができる場合は問題ない。

図2の局面から、▲5一歩不成・▲6一香不成・▲7一桂不成・▲8二桂不成・▲6一香打・▲7一桂打・▲8二桂打といった手を指すと図1の状態になるので反則となる。▲9一桂成のように成駒になれば次以降も動かせる。

プロの公式戦の記録では、実際に行き所のない駒を打って、または不成で行き所のない場所に進めて反則負けになった事例は2018年11月現在皆無である。

その他の将棋類について編集

チェスポーンは最前列まで進めると行き所がなくなるがルールにより必ず成らないといけない(プロモーション)。シャンチーの卒は敵陣に入ると横への移動が自動的に可能になる。チャンギの卒は最初から横に進むことができる。マークルックのビアは敵陣に入ると斜め4方に動くことができる。よって、これらには行き所のない駒は存在しない。

大大将棋での香車のように、成ることができないため盤面の端では行き所がなくなってしまう駒も存在する。また摩訶大大将棋泰将棋では敵駒を取った場合にしか成れないため、これらの将棋でも香車のように、敵駒を取らずに盤面の端に到達すると行き所がなくなってしまう駒、さらには石将→奔石のように生の状態でも成っても横や後ろ方面へ動けないため、盤面の端では行き所がなくなってしまう駒も存在する。一方、どうぶつしょうぎでは歩兵に相当する「ひよこ」を1段目に打つことができ、勝つために1段目のひよこ打ちが有効な場面も存在する[2]

詰将棋における行き所のない駒編集

詰将棋の基本的なルールは将棋に準ずるため、行き所のない駒を作る行為は反則である。

攻め方の手においては、行き所のない駒は王手をかけることができないのでそのような着手自体がほとんどない(動かした駒以外で王手をかける開き王手の場合のみ考慮の必要がある)。玉方の手においては、合駒の制限という形でこのルールが重要になる場合がある。

右の問題において、その他の駒は盤面上及び攻め方の持ち駒で全て使われているので、玉方の持駒は桂馬と歩のみである。単に▲5九香とすると△5七桂と防がれてしまうが、▲5七歩△同玉▲5九香とすると、△5八桂は行き所のない駒、△5八歩は二歩であるためどちらも打てずこのまま詰みになる。最終手の合駒を制限するというケースは、スーパー詰将棋で使用されることがある。

手順の途中で合駒に制限をかける例としては、8段目に後手が桂馬を打てないので歩の合駒を強要する問題(上田吉一作(詰将棋パラダイス1972年5月号[3])・愛上夫作(詰棋めいと2号[3])など)や、7種類の合駒を発生させるために9段目で王手をかけて強力な駒を合駒させる問題(深井一伸作「七対子」(詰将棋パラダイス1981年12月号[3])・添川公司作「大航海」(近代将棋1992年3月号[3]))などがある。

合駒が絡まない問題の例としては、二上達也の作品に「打ち歩詰め誘致のために成らないで動く香車を最下段まで誘致して成りを強要する」という作品がある(『将棋魔法陣』18番)。

脚注編集

  1. ^ 木村義徳『持駒使用の謎 日本将棋の起源』(日本将棋連盟、1999年、ISBN 4-8197-0067-7)、292・293ページ。
  2. ^ 「どうぶつしょうぎ」の完全解析 田中哲朗、2009年6月19日(2014年12月21日閲覧)。
  3. ^ a b c d 図面と手順は看寿賞作品一覧を参照

関連項目編集