西ヨーロッパ・その他グループ

国際連合の地域グループの一つ

西ヨーロッパ及びその他の諸国グループ(にしヨーロッパおよびそのたのしょこくグループ、英語: Group of Western European and Other States)、通称西ヨーロッパ・その他グループ英語: Western European and Other States GroupWEOG)は、国際連合における地域グループの一つであり、28か国からなる。加盟国は主に西ヨーロッパに所在し、その他、オセアニア北アメリカ西アジアにも所在する[1]

西ヨーロッパ・その他グループ
Emblem of the United Nations.svg
概要 地域グループ
状況 活動中
国際連合の旗 Portal:国際連合
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WEOGの加盟国とオブザーバー国家

このグループは、他の地域グループと同様、地域的・国際的な問題に関するテーマを議論する、拘束力のない対話グループである。また、この地域の候補者を指名することで、国連機関の議席配分を支援している[2][3][4]

他の地域グループとは異なり、WEOGは地理的な関係に依存しない唯一のグループである[5]。西ヨーロッパ以外に所在する加盟国は、地理的には西ヨーロッパに近くはないが、文化的・政治的に西ヨーロッパ諸国に近く、特にカナダオーストラリアニュージーランドイギリス連邦に属する国である。

構成編集

加盟国編集

西ヨーロッパ・その他グループの加盟国は以下の通りである[6][7]

オブザーバー国家編集

  •   アメリカ合衆国[注釈 1]
    • アメリカ合衆国は自主的にどのグループにも属さないことを選択し、WEOGの会合にのみオブザーバーの資格で出席している。国連総会で選挙の候補者を立てる際にはWEOGのメンバーとみなされる[6]

イスラエル編集

イスラエルは地理的にはアジアに位置しているにもかかわらず、アラブ諸国からアジア太平洋グループへの参加を阻まれてきた。1960年代初頭に地域グループが設立されて以来、イスラエルは国連において政治的・専門的な協議に参加することができなかった。また、どの地域グループにも属していなかったため、国連機関で代表者を選出することもできなかった[5][8]

2000年5月、イスラエルはWEOGの臨時メンバーとなった。これにより、国連総会において様々な機関の選挙の候補者を出すことができるようになったが、依然としてジュネーブ、ナイロビ、ローマ、ウィーンの国連事務所での活動に参加することはできなかった[9]

2004年4月30日、アメリカ合衆国下院はイスラエルをWEOGに完全に含めることを求める決議を可決し、アメリカ政府に対し、西ヨーロッパ・その他のグループにおけるイスラエルの会員資格の延長と昇格を確実にするよう勧告した[10]。2004年5月、ニューヨークの国連本部でイスラエルがWEOGの正式な加盟国となった。ただし、イスラエルが最終的に国連ジュネーブ事務所でのWOEGの活動への参加が認められたのは2013年11月であり、2014年1月1日より発効した[11][12]

加盟国数の変化のタイムライン編集

時代が大きく変化していく中で、西ヨーロッパ・その他グループの加盟国数は変化していった。

加盟国数 出来事
1961–1964 20 オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国(オブザーバー)がWEOGに加盟
1964–1973 21 マルタが国連に加盟
1973–1990 22 西ドイツが国連に加盟
1990 23 ドイツ再統一により西ドイツと東ドイツ[注釈 4]が合一してドイツになる。リヒテンシュタインが国連に加盟
1992 24 サンマリノが国連に加盟
1993–2000 26 モナコとアンドラが国連に加盟
2000–2002 27 イスラエルがWEOGに加盟
2002– 28 スイスが国連に加盟

改善の提案編集

ナウル代表部のヴィンチ・ニエル・クロデュマルは、第55回総会の一般討論演説の中で、オーストラリアとニュージーランドのほか、ASEAN加盟国、日本大韓民国、太平洋島嶼国を含んだ新たなオセアニア地域グループの創設を提唱した。クロデュマルは演説の中で、「太平洋島嶼国11か国はアジアのグループの中に溺れており、オーストラリアとニュージーランドは……西欧諸国などのグループに取り残されている」と述べた[13]

代表編集

安全保障理事会編集

西ヨーロッパ・その他グループは、安全保障理事会に非常任2議席、常任3議席(イギリス、フランス、アメリカ)を保有している。西ヨーロッパ・その他グループの現在の安保理理事国は以下の通りである[14][15]

任期
  フランス (常任)
  アメリカ合衆国 (常任)
  グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国 (常任)
  アイルランド 2021年1月1日 – 2022年12月31日
  ノルウェー 2021年1月1日 – 2022年12月31日

経済社会理事会編集

西ヨーロッパ・その他グループは、経済社会理事会に13の議席を保有している。西ヨーロッパ・その他グループの現在の経社理理事国は以下の通りである[16][17]

任期
  オーストリア 2021年1月1日 – 2023年12月31日
  フランス
  ドイツ
  ポルトガル
  イギリス
  カナダ 2019年1月1日 – 2021年12月31日
  ルクセンブルク
  オランダ
  アメリカ合衆国
  オーストラリア 2020年1月1日 – 2022年12月31日
  フィンランド
  ノルウェー
  スイス

人権理事会編集

西ヨーロッパ・その他グループは、人権理事会に7の議席を保有している。西ヨーロッパ・その他グループの現在の人権理事会理事国は以下の通りである[18][19]

任期
  フランス 2021年1月1日 – 2023年12月31日
  イギリス
  オーストリア 2019年1月1日 – 2021年12月31日
  デンマーク
  イタリア
  ドイツ 2020年1月1日 – 2022年12月31日
  オランダ

総会議長編集

5年に1度、西暦の下一桁が0か5の年には、国連総会議長は西ヨーロッパ・その他グループから選出される[1]

西ヨーロッパ・その他グループが発足した1964年以降の、西ヨーロッパ・その他グループから選出された総会議長は以下の通りである[20]

選出年 会期 氏名 出身国 備考
1965 20 アミントレ・ファンファーニ   イタリア
1970 25 エドバード・ハンブロ英語版   ノルウェー
1975 30 ガストン・トルン   ルクセンブルク
1980 35 ラジガー・ヴォン・ウェクマー英語版   ドイツ連邦共和国 第8回緊急特別総会の議長も務める。
1985 40 ジェイム・デ・パニエス英語版   スペイン 第13回特別総会の議長も務める。
1990 45 グイド・デ・マルコ英語版   マルタ
1995 50 ディオゴ・フレイタス・ド・アマラル英語版   ポルトガル
2000 55 ハッリ・ホルケリ   フィンランド 第10回緊急特別総会、第25回特別総会、第26回特別総会の議長も務める。
2005 60 ヤン・エリアソン   スウェーデン
2010 65 ジョゼフ・ダイス   スイス
2015 70 モーエンス・リュッケトフト英語版   デンマーク
2020 75 ヴォルカン・ボズクル英語版   トルコ
予定
2025 75 TBD TBD
2030 80 TBD TBD
2035 85 TBD TBD

関連項目編集

脚注編集

[脚注の使い方]

注釈編集

  1. ^ a b c 常任理事国
  2. ^ 1990年までは西ドイツ
  3. ^ 地理的にはアジアに位置するが、2000年よりWEOGに加盟している。
  4. ^ 東ヨーロッパグループ加盟国

出典編集

  1. ^ a b Wanza, Serah N. (2017年11月27日). “What Are The Five Regional Groups of the United Nations?”. Worldatlas. Worldatlas. 2019年2月26日閲覧。
  2. ^ Agam, Hasmy, and Sam Daws, Terence O'Brien and Ramesh Takur (26 March 1999). What is Equitable Geographic Representation in the Twenty-First Century (Report). United Nations University. https://archive.unu.edu/unupress/equitable.pdf 2021年3月2日閲覧。. 
  3. ^ Volger, Helmut, ed (2010). A Concise Encyclopedia of the United Nations. 48. Leiden: Martinus Nijhoff Publishers. 592–6. doi:10.5860/choice.48-0623. ISBN 978-90-04-18004-8. https://pdfs.semanticscholar.org/eb28/294b6dd9c49dabfbd7791f6be2b154e101cb.pdf 
  4. ^ Götz, Norbert (2008). “Western Europeans and Others: The Making of Europe at the United Nations”. Alternatives 33 (3): 359–81. doi:10.1177/030437540803300305. https://www.academia.edu/8717657 2020年1月13日閲覧。. 
  5. ^ a b United Nations: Israel & the WEOG”. Jewish Virtual Library. American-Israeli Cooperative Enterprise (n.d.). 2020年1月13日閲覧。
  6. ^ a b United Nations Regional Groups of Member States”. United Nations Department for General Assembly and Conference management. United Nations (n.d.). 2019年2月26日閲覧。
  7. ^ “United Nations Handbook 2018–19”. United Nations Handbook : An Annual Guide for Those Working with and within the United Nations (Wellington: Ministry of Foreign Affairs and Trade of New Zealand): 15–17. (2018). ISSN 0110-1951. https://www.mfat.govt.nz/assets/Handbooks/UN-Handbook-2018-19-pdf.pdf. 
  8. ^ Israel Accepted to WEOG”. Israel Ministry of Foreign Affairs. State of Israel (2000年5月28日). 2020年1月13日閲覧。
  9. ^ Crossette, Barbara (1 June 200). “Israel's Bittersweet Moment: One Step Out of Isolation at U.N.”. New York Times. 2020年1月13日閲覧。
  10. ^ "Expressing the sense of the House of Representatives in support of full membership of Israel in the Western European and Others Group at the United Nations". Resolution No. H.RES.615 of 30 April 2004. United States House of Representatives.
  11. ^ Kerry, John (2013年12月2日), “Israel Invited To Join the Western European and Others Group (WEOG) in Geneva” (プレスリリース), Washington, DC: U.S. Mission to International Organizations in Geneva, https://geneva.usmission.gov/2013/12/03/israel-invited-to-join-the-western-european-and-others-group-weog-in-geneva/ 2020年1月13日閲覧。 
  12. ^ Lazaroff, Tovah (2013年12月1日). “Israel invited to join UN's Western nations group in Geneva”. Jerusalem Post. Jerusalem Post. 2020年1月13日閲覧。
  13. ^ United Nations General Assembly Session 55 Official Record PV.25. General Assembly: Fifty-fifth session - 25th plenary meeting A/55/PV.25 Vinci Niel Clodumar Nauru (in English). 20 September at 3pm. Retrieved 13 January 2020.
  14. ^ Current Members”. United Nations Security Council. United Nations (n.d.). 2019年2月26日閲覧。
  15. ^ General Assembly Elects Belgium, Dominican Republic, Germany, Indonesia, South Africa as Non-permanent Members of Security Council”. United Nations Meetings Coverage & Press Releases. United Nations (2018年6月8日). 2020年1月13日閲覧。
  16. ^ Members”. United Nations Economic and Social Council. United Nations (n.d.). 2019年2月26日閲覧。
  17. ^ General Assembly Elects 19 Economic and Social Council Members to Terms Beginning 2020年1月1日, Adopts Resolution Commemorating Signing of United Nations Charter”. United Nations Meetings Coverage & Press Releases. United Nations (2019年6月14日). 2020年1月1日閲覧。
  18. ^ Current Membership of the Human Rights Council, 1 January - 31 December 2019 by regional groups”. United Nations Human Rights Council. United Nations (n.d.). 2019年2月26日閲覧。
  19. ^ General Assembly Elects 14 Member States to Human Rights Council, Appoints New Under-Secretary-General for Internal Oversight Services”. United Nations Meetings Coverage & Press Releases. United Nations (2019年10月17日). 2020年1月1日閲覧。
  20. ^ Past Presidents”. United Nations General Assembly. United Nations (n.d.). 2019年2月27日閲覧。