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西村 淸彦(にしむら きよひこ、Kiyohiko G. Nishimura1953年3月30日 - )は、日本経済学者政策研究大学院大学教授東京大学名誉教授。元日本銀行副総裁。学位Ph.D.イェール大学1982年)。報道などでは西村 清彦(にしむら きよひこ)とも表記される。2014年2月からは、内閣府の審議会である統計委員会(2016年からは総務省所管)の委員長。

西村 淸彦
生誕 (1953-03-30) 1953年3月30日(66歳)
日本の旗 日本 東京都
研究機関 政策研究大学院大学
東京大学
研究分野 理論経済学、経済統計
母校 東京大学イェール大学
学位 Ph.D.
実績 日本銀行副総裁(2008-2013年)
東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長(2013-2015年)
受賞 中原賞(1998年)
紫綬褒章(2015年)
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人物・来歴編集

東京都出身。麻布高等学校を経て、東京大学経済学部を卒業し、同大学の大学院経済学研究科にて修士課程を修了する。その後、アメリカ合衆国に渡り、イェール大学大学院にて博士課程を修了し、博士号を取得する。帰国後は東京大学経済学部にて助教授を務め、後に教授に昇任する[1]

2005年から2008年まで日本銀行政策委員会審議委員を務める。2008年3月から2013年3月まで日本銀行副総裁。福井俊彦総裁の任期満了に伴う正副総裁人事において、3月18日政府田波耕治を総裁、西村を副総裁とする人事案を国会に提示。翌3月19日、田波の総裁人事案は参議院野党の反対多数により不同意となったが、西村の副総裁人事案は両院で同意された[2]。これを受けて政府は同日の持ち回り閣議を以て西村を正式に日本銀行副総裁に任命、3月20日付で就任した。

日本銀行副総裁在任時には、2008年リーマン・ショックに端を発する国際金融不安と世界経済急収縮の危機的状況に直面し、米・欧・日の三極を主軸とする中央銀行のさまざまなレベルでの国際協調による実務的対処の中で大きな役割を果たした[3]。 また、東日本大震災福島第一原子力発電所事故の直後、2011年4月28日には、不確実性への対処を理由に追加金融緩和を提案した(否決)。副総裁が総裁とは異なる議案を提案したのは日本銀行史上初めてであった[4][5]。この提案は、自身の研究テーマの一つである、本源的な不確実性(ナイト流不確実性)のもとでの最適行動の研究に基づくものであった。

2013年3月19日に日本銀行副総裁を退任。その後、東京大学大学院教授に復帰し[6]、10月より東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長に就任した[7]

2014年2月、内閣府統計委員会委員長に就任[8]2016年からの抜本的な公的統計改革に主導的な役割を果たしている[9]。2018年には統計法も改正。

2015年9月に東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長を退任。2016年4月より政策研究大学院大学教授に就任した(併任、2017年4月より専任)[1]。2016年6月より東京大学名誉教授

正式な姓名は西村 淸彦である[1]が、これまで発表した著書・論文の著者名はすべて「清彦」表記である。また、英語での著作ではミドルネームをつけた「Kiyohiko G. Nishimura」名義を使用している。

研究編集

専門は理論経済学経済統計。もともとはニュー・ケインジアン的な立場からマクロ経済学ミクロ的基礎に関する理論を研究の中心としていたが、本源的な不確実性(ナイト流不確実性)の数理経済学的研究、財価格形成のメカニズム、不動産価格インデックスの組成、日本企業の生産性に関する実証研究等、幅広い分野で論文・著書を発表している[3]

経済理論の分野では、国内総生産インフレ率などの経済全体の動きを取り扱うマクロ経済学に対して、各経済主体の行動を取り扱うミクロ経済学的な基礎を与え、マクロ経済学とミクロ経済学の接点に関する理論モデルを構築した[10]。さらに、経済において、実際に発生するできごとが事前に予測不可能であるという本源的な不確実性(ナイト流不確実性)の存在が経済主体の行動に与える影響について明らかにした[3]。これらは、世界的に見ても先駆的な研究業績と評価されている[11]

実証研究の分野では、国内外の経済統計を利用し、日本経済の構造問題についての研究を行っている[12][13]。特に、バブル崩壊後の金融危機に関して、市場経済の基本的機能が失われたことを指摘した[14]。この研究も、日本経済の実証的研究に転換をもたらしたものと評価されている[11]

1998年の中原賞受賞理由は下記のとおりである。

Professor Nishimura has made several outstanding contributions in the areas of microeconomic foundations of macroeconomics, economic dynamics and economics of distribution. First, he provided a new framework for assessing structural as well as stabilization policies in an economy where information is heterogeneous. Second, Nishimura presented new stability conditions of multi-sector multi-capital-stocks optimal growth. Third, Nishimura virtually started the macroeconomic analysis of the Japanese distribution system. He showed that Japanese aggregate distribution margin ratio (the ratio of distribution margins to the final price) of consumer goods is about the same as in the United States, and suggested that high producer prices are the major culprit of high Japanese consumer prices. This study was widely cited, and influenced not only economic but also political discussion concerning the Japanese distribution system both in Japan and in the United States.
(西村教授は、マクロ経済学のミクロ経済学的基礎、および、経済動学、流通経済学の分野において、いくつかの際だった貢献を果たしている。まず、彼は、情報の非対称性が存在する経済における構造的および安定化政策の評価に対して、新たな枠組みを提供した。次に、西村は、多部門多資本財の最適成長について新たな安定的条件を示した。三番目に、西村は、日本の流通システムのマクロ経済学的分析において、実質的な創始者となった。彼は、日本経済全体としての消費財の流通マージン率(最終価格に対する流通マージンの比率)が、米国とほぼ同等であることを示した。そして、日本における高価な消費者価格の主な真犯人は、生産者価格の高さであることを示唆した。この研究は広く参照されており、日本および米国の両方における、日本の流通システムに関する経済学的のみならず政治論的な議論にも影響を与えている。) — 「受賞理由」 日本経済学会・1998年度中原賞受賞者

略歴編集

業績編集

受賞
先代:
清滝信宏
第3回:1997年
中原賞日本経済学会
第4回:1998年
次代:
岡田章
第5回:1999年

著書編集

単著編集

  • 『経済学のための最適化理論入門』(東京大学出版会、1990年)
  • Imperfect Competition, Differential Information and Microfoundations of Macroeconomics,(Oxford University Press, 1992)
  • 『日本の地価の決まり方』(筑摩書房(ちくま新書)、1995年)
  • 『「価格革命」のマクロ経済学』(日本経済新聞社、1996年)
  • 『プレーリー・ドッグの嘆き』(講談社、1997年)
  • 『「やわらかな経済学」で日本経済の謎を解く』(日本経済新聞社、1999年/「やわらかなアタマで日本経済の謎を解く」に改題、日経ビジネス文庫、2002年)
  • 『日本経済見えざる構造転換』(日本経済新聞社、2004年)
  • Information Technology Innovation and the Japanese Economy, (Stanford University Press, 2010)
  • Economics of Pessimism and Optimism, (Springer, 2017)

共著編集

編著編集

  • 『不動産市場の経済分析――情報・税制・都市計画と地価』(日本経済新聞社、2002年)

共編著編集

関連項目編集

脚注編集

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “[http://www.grips.ac.jp/list/wp-content/uploads/cv_jp_nishimura_2017.pdf 西村 淸彦]”. 政策研究大学院大学. 2018年1月6日閲覧。
  2. ^ “日銀人事案、田波総裁を不同意・西村副総裁は同意=参院本会議”. ロイター. (2008年3月19日). https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-30903620080319 2018年1月6日閲覧。 
  3. ^ a b c Nishimura 2017.
  4. ^ 政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨(2011年4月28日開催分)”. 日本銀行. 2018年1月10日閲覧。
  5. ^ “暴発か政策変更の予告か 日銀「西村の乱」に迷う市場”. 日本経済新聞. (2011年4月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2801S_Y1A420C1000000/ 2018年1月10日閲覧。 
  6. ^ “西村・前日銀副総裁、東大に復帰 白川氏は未定”. 日本経済新聞. (2013年5月1日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL010KF_R00C13A5000000/ 2018年1月6日閲覧。 
  7. ^ “政策研究大学院大学教授 西村清彦さん 経済理論生きた政策に(4)”. 日本経済新聞. (2017年8月10日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO19860320Q7A810C1NZBP00/ 2018年1月6日閲覧。 
  8. ^ 統計委員会 > 委員・部会構成 委員名簿”. 総務省. 2018年1月10日閲覧。
  9. ^ “政府統計改革の課題 漏れのないGDP作成急務 「サービス」の実態把握カギ 西村清彦・政策研究大学院大学教授”. 日本経済新聞. (2017年8月4日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO1960561003082017KE8000/ 2018年1月10日閲覧。 
  10. ^ Nishimura 1992.
  11. ^ a b 大学院経済学研究科・経済学部 西村 淸彦 教授 秋の紫綬褒章を受章”. 東京大学. 2018年1月10日閲覧。
  12. ^ 西村 1996.
  13. ^ Nishimura 2010.
  14. ^ Nishimura 2005.
  15. ^ 『日経・経済図書文化賞』 受賞図書一覧”. 日本経済研究センター. 2018年1月6日閲覧。
  16. ^ エコノミスト賞 歴代受賞者”. 週刊エコノミスト. 2018年1月6日閲覧。
  17. ^ 日本経済学会・中原賞”. 日本経済学会. 2018年1月6日閲覧。
  18. ^ 論文賞・論説賞・著作賞・湯浅賞(研究奨励賞)2004年度受賞一覧”. 日本不動産学会. 2018年1月6日閲覧。
  19. ^ 平成27年秋の紫綬褒章受章”. 東京大学. 2018年1月6日閲覧。

参考文献編集

  • Nishimura, Kiyohiko (1992). Imperfect Competition, Differential Information and Microfoundations of Macroeconomics. Oxford University Press. ISBN 978-0-198-29039-1. 
  • 西村, 清彦 (1996). 「価格革命」のマクロ経済学. Japan: 日本経済新聞. ISBN 978-4-532-13130-2. 
  • Kiyohiko G. Nishimura; Takanobu Nakajima; Kozo Kiyota (2005). “Does Natural Selection Mechanism Still Work in Severe Recessions? –Examination of the Japanese Economy in the 1990s-,”. Journal of Economic Behavior and Organization 58 (1): 53-78. 
  • Nishimura, Kiyohiko; Minetaki, Kazunori (2010). Information Technology Innovation and the Japanese Economy. Stanford University Press. ISBN 978-0-804-77389-8. 
  • Nishimura, Kiyohiko; Ozaki, Hiroyuki (2017). Economics of Pessimism and Optimism. Springer. ISBN 978-4-431-55903-0. 

外部リンク編集