西村 英一(にしむら えいいち、1897年8月28日 - 1987年9月15日[1])は、日本政治家位階正三位自由民主党衆議院議員(当選11回)。

西村 英一
にしむら えいいち
生年月日 1897年8月28日
出生地 日本の旗 日本 大分県東国東郡姫島村
没年月日 (1987-09-15) 1987年9月15日(90歳没)
出身校 第七高等学校(現・鹿児島大学
東北帝国大学(現・東北大学
前職 鉄道省官僚
運輸省鉄道総局電気局長
所属政党民主自由党→)
自由党→)
自由民主党
称号 正三位
勲一等旭日桐花大綬章
勲一等旭日大綬章
衆議院永年在職議員
工学士
親族 西村篤子

内閣 福田赳夫内閣
在任期間 1976年12月24日 - 1977年11月28日

内閣 第2次田中第1次改造内閣
在任期間 1974年6月26日 - 1974年11月11日

日本の旗 第27-28・32代 建設大臣
第7-8・12代 近畿圏整備長官
第3-4・8代 中部圏開発整備長官
第16-17・21代 首都圏整備委員会委員長
内閣 第1次佐藤第3次改造内閣
第2次佐藤内閣
第3次佐藤改造内閣
在任期間 1966年12月3日 - 1967年11月25日
1971年7月5日 - 1972年7月7日

日本の旗 第37代 厚生大臣
内閣 第2次池田第2次改造内閣
在任期間 1962年7月18日 - 1963年7月18日

選挙区 大分県第2区
当選回数 11回
在任期間 1949年1月24日 - 1955年1月24日
1958年5月23日 - 1980年5月19日

その他の職歴
自由民主党副総裁
(総裁: 大平正芳鈴木善幸
1979年1月 - 1980年11月
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閣僚として厚生大臣建設大臣など、また党職として自民党副総裁を務めた。田中派(七日会)初代会長。「おじいちゃん」の愛称で知られ、佐藤栄作田中角栄両元首相に対するご意見番的存在であった[1]

来歴 編集

大分県東国東郡[1]姫島村出身。大分中学七高を経て、1924年に東北帝国大学工学部電気工学科を卒業後、鉄道省に入省[1]。省内で佐藤栄作と知り合った。その後、運輸通信省を経て運輸省鉄道総局電気局長で退官[1]

1949年第24回衆議院議員総選挙吉田茂率いる民主自由党公認で立候補し初当選(当選同期に池田勇人前尾繁三郎橋本龍伍麻生太賀吉小渕光平橋本登美三郎福永健司塚原俊郎藤枝泉介木村俊夫稲葉修河本敏夫森山欽司床次徳二有田喜一など)。この選挙では吉田が官僚出身者を自らの藩屏とするため大量当選させ巷間「吉田学校」と称されたが、西村も吉田学校の一員である。保守合同で自民党に参加し、佐藤派に所属した。1962年第2次池田再改造内閣厚生大臣として初入閣する。第3次佐藤改造内閣建設大臣を務めた。

佐藤首相退陣後の後継総裁選びでは田中を支持し1972年の田中内閣成立後、田中派・七日会が正式に結成されると会長に選出された。その後日本列島改造論により土地騰貴が進み地価が暴騰したため1974年国土庁が設置されると西村は初代国土庁長官に就任し、土地対策に当たった。田中金脈問題で田中内閣が総辞職し、その後ロッキード事件が発覚するが、西村は田中派会長として田中派を維持することに一役買った。1976年福田赳夫内閣行政管理庁長官に就任し福田赳夫首相の意を受けて行政改革を推進し、福田、園田直内閣官房長官、山中貞則自民党行財政調査会長とともに行革反対派から「四人組」と批判された。

福田内閣は大角連合によって自民党総裁予備選挙で大差を付けられ退陣、大平内閣が成立し、西村は1979年自民党副総裁に就任した[1]。財政再建に賭ける大平正芳は一般消費税を掲げて第35回衆議院議員総選挙を闘うが、世論の支持を得られず247議席に終わった。選挙後、大平、田中の主流派と福田、三木武夫中曽根康弘ら反主流派は四十日抗争を繰り広げるが西村は副総裁として両陣営の調整役を務めた。

1980年6月、第36回衆議院議員総選挙(衆参同時選挙)の選挙中に大平が急死し、西村は自民党総裁代行として内閣総理大臣臨時代理伊東正義内閣官房長官)と二人三脚で選挙運動を遂行し、自民党が大勝した。大平政権の後継には副総裁であった西村を次期首相とする構想も存在したが、この選挙では西村本人がまさかの落選をしたため、立ち消えとなった。鈴木善幸総裁が選出されたのを見届けた後、同年11月に副総裁を退任した[1]

自らの選挙区である大分2区には1979年の第35回衆院選で無所属で当選した後に同じ自民党田中派に加入してきた田原隆がおり、西村は票田を奪い合う間柄であったこの田原を後継者とし、1983年9月[1]に政界からの引退を表明した。

1987年9月15日、90歳で永眠[1]

人物 編集

質素な生活ぶりで知られ[1]、佐藤元首相をして「政治家の中にこれほど清廉な人はいない」と言わしめた。また、西村は佐藤に対しては堂々と苦言を呈し佐藤政権時代にあっても、深夜佐藤の寝室にまで入って意見を言ったと伝えられる。また、田中元首相に対しても「首相になった男があんまり札びらを切るようなみっともない真似をするな」と忠告したが、この時には田中の方が西村ら国立大学卒、高級官僚出身者と自身を比較して「じいさん、小学校出の俺には金しか無いんだ」と言いさめざめと涙を流し西村を絶句させた。また、戸川猪佐武の『小説吉田学校』では自民党の四十日抗争の際、西村が中曽根に「あなたは総理総裁のコースを歩むべき人だから、判断を見誤らんようにな」と忠告する場面が描かれている。

文献 編集

  • 『追想 西村英一』西村英一先生追想録刊行会、1988年

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 西村 英一(ニシムラ エイイチ)とは”. コトバンク. 2019年8月3日閲覧。

関連項目 編集

議会
先代
浜地文平
  衆議院地方行政委員長
 1960年
次代
 浜田幸雄
先代
篠田弘作
  衆議院建設委員長
 1953年
次代
久野忠治
公職
先代
荒舩清十郎
  行政管理庁長官
第41代:1976年 - 1977年
次代
荒舩清十郎
先代
創設
  国土庁長官
初代:1974年
次代
丹羽兵助
先代
根本龍太郎
橋本登美三郎
  建設大臣
第32代:1971年 - 1972年
第27代・第28代:1966年 - 1967年
次代
木村武雄
保利茂
先代
灘尾弘吉
  厚生大臣
第38代:1962年 - 1963年
次代
小林武治
党職
先代
船田中
自由民主党副総裁
第7代:1979年 - 1980年
次代
二階堂進
先代
結成
政治同友会会長
初代:1978年 - 1980年
次代
木曜クラブに改称
先代
結成
七日会会長
初代:1972年 - 1977年
次代
解散
名誉職
先代
船田中
最年長衆議院議員
1979年 - 1980年
次代
灘尾弘吉