西武20000系電車

西武鉄道の電車

西武20000系電車(せいぶ20000けいでんしゃ)は、2000年平成12年)2月21日に営業運転を開始した[1] 西武鉄道通勤形電車である。

西武20000系電車
西武20000系電車
(2019年8月25日 中村橋駅
基本情報
運用者 西武鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
製造年 1999年 - 2005年
製造数 144両
運用開始 2000年2月
主要諸元
編成 8両・10両
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 105 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 10両:1,430(座席516)
8両:1,140(座席408)
車両定員 先頭車:135(座席45)
同収納座席使用時:135(48)
中間車:145(座席54)
同車椅子スペース有:145(51)
自重 23.6 - 33.6 t
編成重量 10両:287.8 t
8両:230.5 t
全長 20,270 mm(先頭車)
20,000 mm(中間車)
全幅 2,845 mm
車体幅 2,800 mm
全高 4,060 mm(~3次車/空調含)
4,030 mm(4次車~/空調含)
4,172 mm(共通/パンタ折畳)
車体 アルミニウム合金(A-train)
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
SS150A・SS050A
またはSS150B・SS050B形
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 135 kW
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
歯車比 101:16(6.31)
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 西武形ATS
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概要 編集

老朽化した101系(低運転台車)の代替を目的として導入された[2]設計コンセプトは「シンプル&クリーン」とした[3]。製造は日立製作所が担当した。

144両が製作されたが、101系の代替車両数の104両より多くなっている。これは2000年度・2001年度に増備した2・3次車8両編成5本(40両)が池袋線中村橋 - 練馬高野台間の複々線延伸に伴う列車増発用として新製されたためである[4]

車両番号を10両編成では末尾を01から、8両編成では末尾を51からとしている[3]。両者はSIVの容量を除き同一の仕様である[3]。8両編成は10両編成から中間車2両(モハ20500形・サハ20600形)を抜いた構成とされ、このため20500番台・20600番台が8両編成では欠番となる[3]

車両概説 編集

車体 編集

6000系50番台車と同様にアルミ合金製であるが、本系列においてはダブルスキン構造の大型形材を摩擦攪拌接合 (FSW) 工法によって組み立てるという[5]、後に日立製作所が提唱した「A-train」シリーズに近い設計となった[6][注 1]。内装を始めとした各部の組立工法をモジュール化することによって製造時における工数削減ならびに低コスト化が図られるとともに[5]、将来的な内装リニューアル工事施工時におけるコスト削減にも寄与するものとしている[5]。またダブルスキン構造の採用によって車体強度が向上し、従来の車両と比較して車内外の騒音振動が低減された[3]

先頭車の前面は、地下鉄乗り入れ運用を考慮しない自社線内専用車両であることから、貫通扉(非常扉)のない非貫通構造とした[3]。前頭部は普通鋼製のモジュール構造で[2]、20本のボルト結合により構体部分と固定されている[2]。前面窓は大形の1枚ガラスを採用、配色は黒色を基本とし、中央下部にはエレガントブルー[7]を配してアクセントをつけた[3]。構体部分はFSW工法の採用によって、見栄えや品質が向上したことから塗装を省略した無塗装仕上げとし[6]、側面腰部にはエレガントブルー・白の2色帯が客用扉部分を含めて配されている。

前照灯は丸型のシールドビームを採用し、LED式の後部標識灯とともに同一ケース内に収めたものを、前面腰部に左右一箇所ずつ配置した。7次車は前照灯にHIDを採用したが、後に他編成と同様のシールドビームへ改造された。前照灯は2019年度に全編成でコイト製の多灯式白色LEDへ換装されている。

前面および側面の行先・種別表示器は、いずれもLED式の行先・種別一体表示型である[1]。またLEDの長寿命化を目的として、走行中は側面表示を消灯する機能が実装されている[1]。当初LEDは3色式であったが、2015年から2016年にかけて全編成がフルカラー式に更新された。

4次車以降は床面高さを下げるため車体全体が下げられている。連結器高さは維持されるため、連結器部分の切欠きが深くなり、前面のステップが相対的に高くなった等の差異がある。

車内 編集

車内はダブルスキン構体の一部であるマウンティングレールに モジュール化した内装材をボルトで固定する方法を採用している[3]。内張りとなる化粧板は白色系を採用し、床敷物はグレーを基調とした濃淡柄とした[3]。天井にはフェノール発泡体を芯材にアルミ板と化粧板で挟んだパネル材(複合材料)を使用し、従来の天井骨組みを省略することで軽量化を図っている[2]

座席は片持ち式のロングシート[3]であり、1人分の掛け幅が460mmのバケットシートを採用[3]。通常部のモケットは青色で区分柄入り、シルバーシート(現・優先席)部のモケットは灰色となった。袖仕切りは6000系に続き板とパイプの組み合わせとされたが板部は両面ともに白色となり、また5次車以降は大型の一枚板に変更されている[8]スタンションポールは増備途中から装備され、4次車では7人掛け座席部の中央に1本[9]、5 - 7次車では7人掛け座席に2本[8]、4人掛け座席に1本設置されている。3人掛け座席には設置されない。

優先席は各号車の車端部に設けられており、奇数号車は池袋・本川越寄り、偶数号車は飯能・西武新宿寄りに配置されている。優先席では5次車から荷棚高さを1,800mmから1,700mmへ、つり革高さを1,630mmから1,530mmへともに100mm低下させ、使いやすさの向上が図られた[8]。当初は妻面に向かって左側のみの配置であったが、後に右側も優先席となった。

車椅子スペースは両先頭車(運転台寄り)と、その隣の中間車[注 2](編成中央側の車端部)に設置し、編成での設置数は4か所とした[3]。同スペース部は安全手すりと非常通報器が設置されたほか、側窓を固定窓とし、また吊手を高くしている。5次車以降では先頭車のみ、収納式座席を設置している。

1・2次車の計4編成は窓ガラス韓国ハンファ化学製のものが使用されているが、その後製造された車両は日本製のガラスを使用している。

床面はグレーをベースにフットラインを表現した模様が入れられた[3]。しかし1次車は材質が異なるようで極端に黄変が進んでいる。また5次車からは色調が若干濃く変更された[注 3][8]

床面高さは当初1,180mmであったが、4次車からは30mm下げた1,150mmとしている[10]

車内の案内装置としては自動放送[注 4]装置[3]ドアチャイム[注 5][3]、LED式案内表示器[3]、冷暖房の表示灯を装備している。

通報装置は乗務員と相互に通話が可能なもので、各車両に2台が設置されている[1]

連結面の貫通扉は窓寸法が上下に拡大されている[11]

上記の他、5次車では座席下ドアコックフタ形状のなど細かな点での変更も実施されている[8]

車内の様子(1 - 4次車)

車内の様子(5 - 7次車)

乗務員室 編集

10両編成の運転台
列車無線装置更新前の写真。
8両編成の運転台
仕業表サシの黄色帯が目立つ。
乗務員室背面仕切壁(客室側)

主幹制御器は、左手操作式ワンハンドルマスコン[3]を採用、段数は力行4ノッチ制動8ノッチ(非常ブレーキ込み)となる。

警笛は空気笛に加え、西武鉄道の一般車両では初めて電子笛も搭載した[注 6]。全車両が高音タイプとなっている[12]

運転台右側にはモニタ装置モニター画面が設置してある。モニタ装置は日立製作所製の高機能車両情報装置「ATI」が採用された[4]。従来から搭載されている機器の状態表示と乗務員支援機能に加え、新たに出庫点検、自動検査、動態記録などの機能が付加されている。力行・ブレーキ・放送や案内表示などの制御指令もこの装置を用いており、引通し線の減少により軽量化や省メンテナンス、乗務員への負担軽減などが図られている[3]。伝送速度は3.2Mbpsとなる[1]

乗務員室の仕切りは、客室から見て左から小窓・大窓(仕切り扉)・大窓の仕切り窓が3枚並んでいる。すべての窓に遮光幕が設置してある。

主要機器 編集

制御装置は日立製作所製のIGBT素子を用いた3レベルVVVFインバータを採用[5]し、機器の低騒音化が図られている[2]。トルク制御にはベクトル制御方式を採用し、高い粘着性能が確保される[2]。1C4M2群方式のVFI-HR1815BをM1,M5に、1C4M1群方式のVFI-HR1415AをM3に搭載[13]、1編成あたりの台数は10両編成では計3台、8両編成では2台となる。1C4M2群の装置と1C4M1群の装置では外観が大きく異なることがほとんどだが、本系列では同一の筐体を用いており、外観上の差異は網目内部のパワーユニットの有無程度である。

1C4M2群の装置では不良時に当該の1群を開放し、残りの1群で運転を継続できるよう冗長性を高め、自動高加速制御を行う方式とした[14]。また60km/h以上の速度域における加速性能の向上[3]の他、20km/h以上の速度における定速度制御を可能とする[3]など運転操作性を向上させた。さらにモニタ装置との連携による自動検査機能も備えられ[3]、省メンテナンスも図られている。

主電動機は135kW出力の三相かご形誘導電動機[3]で、回転子はアルミ鋳物を採用[3]。埃の溜まりにくい構造とした[3]

制動装置はナブテスコ製のHRDA-1回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである[3]。このほか、保安ブレーキと降雪時に使用する圧着ブレーキ(耐雪ブレーキ)を装備する[3]。4次車からは全電気ブレーキ対応とされ[9]、既存の編成についても後にソフトウェアの変更で対応改修が実施された[9]

補助電源装置には三菱電機製のIGBT素子使用の静止形インバータ (SIV)を採用した[2]。モニタ装置連携による自動検査機能を装備[3]する他、不良時には自動でリセット、受給電装置が働く方式とされた[3]。10両編成では180kVA出力のNC-WAT180A、8両編成では140kVA出力のNC-WAT140Aを、ともに編成で2台(M2,M6に各1台)搭載[13]している。

電動空気圧縮機はSIVと同じく編成に2台、M2・M6に各1台搭載している。20101編成のみT2車にも搭載していたが、後に撤去された。

当初はナブコ→ナブテスコ製で、1・2次車および3次車のM2はレシプロ式のA1544B-HS20-4を、3次車のM6および4 - 7次車はスクリュー式のAR1444-RW20を搭載し製造された。なお前者はモハ20253 - 20256の4両を残して、早期段階でRW20へ換装されている。その後2019年度から2022年度にかけて三菱電機製のオイルフリースクロール式URC2000HD-Iへ換装、統一された。

圧縮機に付帯する機器として、本系列では除湿装置が空中糸膜式に変更された[5]ほか、RW20はアフタークーラーを本体に内蔵、URC2000HD-Iでは起動回路・除湿装置・アフタークーラーが本体に内蔵されている。

集電装置はシングルアーム式のPT7116-Bを新たに採用した[5]。本体には下降検知装置を、また避雷器には動作表示器を備え、小保守化を図っている[15]。主制御器を搭載するM1,M3,M5の飯能方に各1基搭載、1編成あたりの搭載数は10両編成で3基、8両編成で2基となる[3]

台車は6000系50番台後期車とほぼ同じ構造のモノリンク式ボルスタレス台車を採用する[11]。1 - 3次車はSS150A・SS050Aを[11]、4 - 7次車は床面高さを1,150mmに対応するSS150B・SS050Bを装備[9]。基礎ブレーキには片押し式のユニットブレーキが採用されている[3]。さらに各車両には車輪の滑走を防止する滑走防止制御装置が設けられている[3]

冷房装置は三菱電機製の集中式で、能力は48.84 kW (42,000 kcal/h) の装置を搭載している[1]。1,2次車はCU-72Jであったが、3次車からは冷媒代替フロンを使用したCU-722へ変更された[5]。なお、この装置は6000系のものとも互換性があるが、本系列のものはオーバーヘッドヒーター内蔵型である[5]。なお、CU72J搭載車は後にCU722Aへ更新されている。こちらも従来機種との互換性があり、CU722と相互に載せ替えられることもある。

車内の冷風吹き出しはラインフロー方式とし、補助送風機を各車7台設けている。

先頭部の連結器は密着連結器で10両編成全てと20151編成がCSD90形、8両編成のうち20152編成以降が伸縮式のCSD105形となっている。20151編成は後に連結器カバーが取り付けられた。中間部の連結器はCSE50形半永久連結器となる。なお1次車のみ一部[注 7]に丸形密着連結器が採用されていた[14]が、2010年頃までに半永久連結器に統一されている。

特別装飾編成 編集

新「銀河鉄道999デザイン電車」 編集

前面に車掌がデザインされた飯能寄り先頭車 (クハ20158)
(2016年10月8日 西武球場前駅)
前面にメーテルがデザインされた池袋寄り先頭車 (クハ20058)
(2016年10月8日 西武球場前駅)

過去に3000系で運行されていた初代デザイン電車の後任として、20158編成の車体に松本零士の漫画『銀河鉄道999』に登場する主要キャラクターをラッピングし、「銀河鉄道999デザイン電車」として運行していた[16]

2016年10月8日から2019年3月28日まで主に池袋線系統で運行、稀に新宿線への貸出も行われた。運行開始初日には豊島園駅でデビュー記念イベントが開催[16]、運行終了直前の2019年3月24日には豊島園駅のほか、遊園地としまえんでさよならイベントが開催された[17]。どちらも記念列車の運行が行われている。

運行期間中の2016年12月には、他編成と同じく行先表示器のフルカラー化が実施された。

また、遊園地としまえんのアトラクションであるチャレンジトレインでは、20000系がモデルとなった車両があり、こちらは実車のさよならイベントを実施した2019年3月24日から閉園まで当車両のラッピングがされていた。

三代目「L-train」 編集

運行開始当初の姿
(2019年3月20日 狭山市駅-新狭山駅間)
70周年記念デザインの姿
(2021年11月30日 小手指駅-西所沢駅間)

本系列の10両編成2本に、埼玉西武ライオンズの球団色「レジェンドブルー」を基調にライオンズの球団ロゴを入れた車体ラッピングと車内装飾を施し、三代目「L-train」として運行している[18]

2018年1月14日[注 8]より新宿線系統の20104編成が運行開始、同年1月21日には同じく新宿線系統の20105編成にもラッピングされ、20104編成は池袋線系統へ移った。以降は20105編成が新宿線系統、20104編成が池袋線系統で運行されている[注 9]

運行期間中の2019年から2020年にかけて、他編成と同じく前照灯のLED化と列車無線の更新、青塗装の色調変更[注 10]が実施されている。

  • 2020年春から2022年1月末までの間、ライオンズ命名70周年を記念して一部デザインを変更して運行していた[19]。車体側面の一部デザインをライオンズの往年・現役選手の写真+70周年記念ロゴへ変更したほか、前面にも70周年記念ロゴのヘッドマークを掲出。池袋線の20104編成は2020年3月9日から、新宿線の20105編成は運用離脱のため若干遅い同年4月5日からの運行開始となった[注 11]
  • ライオンズ70周年事業終了後の2022年1月、再度デザインが変更された[20]。車体側面の選手の写真は全て現役選手のものへ変更され、あわせてその部分のデザインも一新されている。新宿線の20105編成は1月8日から、池袋線の20104編成は1月10日から新デザインでの運行を開始した。

スタジオツアー東京 エクスプレス 編集

 
「スタジオツアー東京 エクスプレス」ラッピングの20153編成(2023年7月23日 練馬駅

本系列の8両編成3本(20152編成・20153編成・20158編成)に、2023年6月16日に開業した「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリーポッター」に合わせて映画『ハリー・ポッター』の主要キャストのラッピングを施し、「スタジオツアー東京 エクスプレス」として5月16日より運行してる。基本的には池袋~豊島園間をメインで運行する[21][22]

2023年10月8日〜11月26日の期間限定で、1本(20152編成)が新宿線系統(新宿線・拝島線・多摩湖線)で運行された。[23]

改造工事 編集

  • 空気圧縮機の取替
    • 20101・20151・20152編成・20953号車のHS20-4をRW20に交換(2000年代初頭)
    • URC2000HD-Iへの更新(2019 - 2022年度)
  • 空調装置交換
    • 1・2次車のCU72JがCU722Aへ更新された他、オーバーホールなどによる交換が随時実施される。
  • 通風器撤去
    • 20153編成では2015年夏に5号車後位側の1つを撤去し2022年1月に8号車に搭載されていた2つを撤去、20103編成では2016年4月に全て撤去、20156編成では2018年7月にパンタに隣接するものを除き全て撤去。いずれも全般検査と同時に施工。
  • 列車情報装置取付[注 12](2003 - 2005年度)
  • 優先席配置変更[24][注 12](2003年)
    • マナー案内の変更にあわせて「優先席付近」を明確にするため、既存優先席の向かい側を新たに優先席とした。1両につき1ヶ所(3席)から2ヶ所(6席)へ増加している。
  • 優先席付近の吊革を黄色へ変更[注 12](2005年)
  • ATS装置更新[注 12](2005 - 2008年度)
  • 青色の色調変更(2014 - 2020年度/全般検査時)
  • 種別・行先表示器フルカラー化(2015 - 2016年)
  • 列車無線の更新[注 12](2019 - 2020年)
  • 前照灯LED化(2019年度)
    • 6月に20105・20101・20151編成に施工した後、12月から1月にかけて残る全編成に施工された。30000系と並行して実施。
  • 主回路機器の更新(2021年度 - )
    • 2021年度以降に全般検査を受けた全ての車両であわせて実施しているほか、玉川上水車両基地でも実施しており、VVVFインバータ装置などに「○○年度更新」の表示が追加されている。

運用の変遷 編集

 
多摩湖線内(八坂 - 武蔵大和間)を走る20000系(2020年8月10日)

本系列は、1999年(平成11年)10月に最初の編成が落成し、2000年2月21日の一般営業運転開始まで乗務員習熟運転が実施された。2000年(平成12年)2月20日には本系列のデビューを記念し、20101編成を使用した臨時快速急行列車として西武新宿 - 西武球場前間を1往復走行し、西武球場前駅では撮影会が実施された[25]。また、乗車記念として硬券記念乗車券も発売された[25]。このイベント運転時には「20000系デビュー 環境にやさしい 人にやさしい」と書かれた特製ヘッドマークを掲出して運転され[25]、翌21日からの一般営業運転日にも掲出され、2月29日まで掲出して運転された[25]

営業運転開始時は新宿線のみ配置されたが、2002年(平成14年)9月9日からは池袋線でも営業運転が開始された[6]。8両固定編成は各駅停車、10両固定編成は優等列車を中心に使用されている。新宿線所属編成と6000系が検査入場する際には、池袋線所属編成を代走用として借り入れたことがある。

本系列は2・4・6両編成が存在しないため、新宿・池袋線からの乗り入れ時以外は多摩湖線国分寺線西武園線での通常運用はない[注 13]。登場から長らく飯能 - 吾野間および西武秩父線への入線もほとんどなかったが、8両編成は2010年3月のダイヤ改正から2000系と共に土休日の西武秩父池袋の快速急行に充当されるようになった。このダイヤ改正以前では、2000年10月に開催された「西武トレインフェスティバル2000 in 横瀬」の臨時列車として西武秩父線を初走行し、毎年12月3日埼玉県秩父市で開催される秩父夜祭や同市にある羊山公園芝桜が見頃になる4月上旬から5月上旬にかけて、およびイベントのために臨時列車として、8両編成が池袋線飯能 - 吾野間および西武秩父線に入線したことがある。

沿線でイベントが開催される際にヘッドマークを装着することがある。2005年 - 2007年の「西武トレインフェスティバル」にも本系列が臨時列車に充当され、その年ごとに異なるヘッドマークが装着された。2008年3月1日から3月17日まで開催された「ねりたんアニメプロジェクト in 大泉」では20108編成(10日以降は20107編成)が、3月15日からの「ガンダムモニュメント」では20154編成がそれぞれヘッドマークを装着した。

編成 編集

10両編成8本(80両)と8両編成8本(64両)の計144両が在籍する。

編成表 編集

10両編成[3]

 
池袋

号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式  
クハ20100
(Tc1)
<  
モハ20200
(M1)
 
モハ20300
(M2)
 
サハ20400
(T1)
<  
モハ20500
(M3)
 
サハ20600
(T2)
 
サハ20700
(T3)
<  
モハ20800
(M5)
 
モハ20900
(M6)
 
クハ20000
(Tc2)
機器配置   VVVF2 SIV,CP,BT   VVVF1   VVVF2 SIV,CP,BT  
車内設備 ♿︎α
女性専用車
♿︎
弱冷房車
            ♿︎ ♿︎α
自重 25.7t 33.6t 32.5t 23.6t 32.3t 24.6t 23.7t 33.6t 32.5t 25.7t
車両番号 20101

20108
20201

20208
20301

20308
20401

20408
20501

20508
20601

20608
20701

20708
20801

20808
20901

20908
20001

20008
  • ※20601号車は当初CP搭載

8両編成[3]

 

号車 1 2 3 4 5 6 7 8
形式  
クハ20100
(Tc1)
<  
モハ20200
(M1)
 
モハ20300
(M2)
 
サハ20400
(T1)
 
サハ20700
(T3)
<  
モハ20800
(M5)
 
モハ20900
(M6)
 
クハ20000
(Tc2)
機器配置   VVVF2 SIV,CP,BT     VVVF2 SIV,CP,BT  
車内設備 ♿︎α ♿︎
弱冷房車
        ♿︎ ♿︎α
自重 25.7t 33.6t 32.3t 23.6t 23.7t 33.6t 32.3t 25.7t
車両番号 20151

20158
20251

20258
20351

20358
20451

20458
20751

20758
20851

20858
20951

20958
20051

20058
  • 車内設備配置(女性専用車は10両編成のみ・カッコ内の号車は8両編成の場合)
1号車 2号車 3・5・7号車 4・6・8号車 9(7)号車 10(8)号車
運転台             ♿︎                 ♿︎             運転台
女性専用車 弱冷房車
♿︎ α                                         ♿︎ α

凡例

年次別分類 編集

主な出典:[10]

製造年次 10両編成 8両編成 主な仕様変更
1次車 1999年 20101編成 20151編成
2次車 2000年 20152・20153編成 床材,8両編成の連結器並びに胴受変更・丸形密着連結器の廃止
3次車 2001年 20154 - 20156編成 冷房機,8両編成の連結器並びに胴受変更
4次車 2002年 20102 - 20104編成 床面高さ変更・スタンションポール設置・自重銘板,一部の車端手掛省略
5次車 2003年 20105・20106編成 袖仕切り改良・Tc車に収納座席設置・スタンションポール増強ほか
6次車 2004年 20107編成 20157編成 優先席配置変更・8両編成の連結器胴受変更
7次車 2005年 20108編成 20158編成

各編成の状況 編集

20856号車のVVVFインバータ装置
こちら側のみ3つの網目のサイズが同じ。
通常のVVVFインバータ(20256号車)
  • 所属は2022年4月1日現在[26]
編成 編成両数 所属所 その他・備考
20101編成 10両 玉川上水  
20102編成
20103編成 通風器全撤去
20104編成 武蔵丘 3代目「L-Train」
20105編成 玉川上水
20106編成  
20107編成
20108編成
20151編成 8両 小手指 連結器カバー有
20152編成  
20153編成 通風器一部撤去
20154編成 南入曽
20155編成
20156編成 6号車VVVF異形、通風器一部撤去
20157編成  
20158編成 小手指

その他 編集

  • 2002年より池袋線で営業運転を開始したが、その際、池袋線編成の第一号となる20102編成の落成を待たずに当時新宿線所属だった20101編成と20151編成を借り入れて前倒しという形でのデビューとなった。なお、20102編成の落成後に20101編成は新宿線に返却されたが、20151編成はそのまま池袋線所属となった。
  • 20156編成は2011年12月24日に東村山駅の構内において、7号車(モハ20956)が脱線する事故を起こしている。事故の詳細は西武新宿線東村山駅列車脱線事故を参照。事故後は南入曽車両基地に留置され、一度は小手指車両基地にも回送された。翌2012年8月に試運転の後武蔵丘車両検修場へ入場、9月には全般検査を終えて運用に復帰している。
  • 2014年7月から8月にかけての夏休み期間中(20152編成)と同年12月19日から2015年2月15日(20158編成)まで『妖怪ウォッチ』のラッピング編成として運転していた。夏休み期間中は池袋線系統(池袋線・狭山線・豊島線)のみだったが、冬期間中は池袋線系統に加えて新宿線系統(新宿線・拝島線・多摩湖線)にも運転されている。新宿線系統での運転する際は、新宿線所属の20157編成とトレードする形で池袋線に貸出している。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 2013年12月の鉄道ピクトリアルには「Aトレインの一つ」との記載あり。
  2. ^ M1・M6の2両
  3. ^ 経年劣化対策のため
  4. ^ 他形式と同様に石毛美奈子によるもの。2008年頃よりクリステル・チアリによる英語放送が追加。
  5. ^ 扉開閉時
  6. ^ 西武鉄道全体では8500系が初となる。
  7. ^ 10両編成は5-6号車間,8両編成は3-4号車間および4-5号車間
  8. ^ 発表では15日とされていたが、14日夜より営業運転に就いている。
  9. ^ 両路線間ではトレードによる貸出や転属が頻繁に実施されているが、この2編成は配置が固定されている。西武線アプリでの案内もそれを前提としたものとなっており、両者でイラストの行先表示が異なるほか、20105編成側の説明は「新宿線および拝島線でも走行しております」と記載されている。
  10. ^ 20104編成はラッピング前より青塗装の色調変更済。
  11. ^ 20105編成のデザイン変更に関しては公式では案内されていないが、西武線アプリのイラストは70周年記念デザインへ変更されているほか、西武鉄道Webサイトにて公開されている屋外広告物許可書には両編成分が記載されている。
  12. ^ a b c d e 西武鉄道全体で実施。
  13. ^ 2011年12月24日に東村山駅で発生した脱線事故以降は、定期・臨時問わず西武園線での運用はない。 詳細は西武新宿線東村山駅列車脱線事故を参照。

出典 編集

  1. ^ a b c d e f 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2000年10月臨時増刊号新車年鑑2000年版「西武鉄道20000系」125頁記事。
  2. ^ a b c d e f g 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2000年10月臨時増刊号新車年鑑「西武鉄道20000系」123-124頁記事。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 交友社「鉄道ファン」2000年2月号(通巻466号)新車ガイド「西武鉄道20000系」p.59 - p.62
  4. ^ a b 交友社「鉄道ファン」2002年9月号特集「大手私鉄の最新通勤形電車」14-15頁記事。
  5. ^ a b c d e f g h 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2002年4月臨時増刊号 私鉄車両めぐり 現有形式各論 20000系 p.257 - 259
  6. ^ a b c 交通新聞社「鉄道ダイヤ情報」2011年2月号 pp.10 - 12
  7. ^ 電気車研究会「鉄道ピクトリアル」2013年12月号臨時増刊(通巻884号)西武車両─音と色 p.250
  8. ^ a b c d e 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2004年10月臨時増刊号鉄道車両年鑑2004年版「西武鉄道20000系(5・6次車)」記事。
  9. ^ a b c d 交友社「鉄道ファン」2003年10月号「関東大手私鉄 - 東武・西武・小田急・京成 - 最近のうごき」記事。
  10. ^ a b 電気車研究会「鉄道ピクトリアル」2013年12月号臨時増刊(通巻884号)西武鉄道 現有車両プロフィール 20000系 p.301 - p.306
  11. ^ a b c 交友社「鉄道ファン」2000年1月号(通巻465号)新車速報「西武鉄道20000系」p.51 - p.53
  12. ^ 鉄道ピクトリアル」2013年12月臨時増刊号(通巻884号)「西武車両 音と色」 p.245 - p.250
  13. ^ a b 電気車研究会「鉄道ピクトリアル」2013年12月号臨時増刊(通巻884号)西武鉄道 主要諸元表 p.317 - p.320
  14. ^ a b 「車両技術」2002年9月号(通巻224号) 西武20000系
  15. ^ 『車両技術』 219号 (2000年3月) 西武鉄道20000系通勤形電車 pp.81 - 94
  16. ^ a b 2016年10月8日(土)より 「銀河鉄道999デザイン電車」が新しいデザインで運行を再開 運行初日に「出発式」などイベントを開催(PDF) - 西武鉄道・練馬区 リリースニュース 2016年10月8日
  17. ^ 「2代目銀河鉄道999デザイン電車さよならイベント」 を「豊島園駅」と「としまえん」で同時開催します!(PDF) - 西武鉄道・としまえん リリースニュース 2019年3月7日掲載・同14日更新
  18. ^ 三代目「L-train」が運行を開始します! (PDF) 西武鉄道公式ニュースリリース 2018年1月12日
  19. ^ ライオンズ70周年に合わせ、3月9日(月)より三代目「L-train」のデザインを変更して運行!& 池袋駅・所沢駅・西武球場前駅の記念装飾も行います! (PDF) 西武鉄道公式ニュースリリース 2020年3月5日
  20. ^ 三代目「L-train」のデザインを一新します! - 西武鉄道リリースニュース 2022年1月6日掲載
  21. ^ 「スタジオツアー東京 エクスプレス 」 運行決定!”. 西武鉄道Webサイト. 2023年4月28日閲覧。
  22. ^ 池袋駅と豊島園駅のリニューアルが完成します!”. 西武鉄道Webサイト. 2023年4月28日閲覧。
  23. ^ 「スタジオツアー東京 エクスプレス」を新宿線・拝島線でも運行します!”. 2024年1月19日閲覧。
  24. ^ 9月15日(月) 電車内の優先席を増やします(PDF) (西武鉄道リリースニュース インターネットアーカイブ)
  25. ^ a b c d 交友社「鉄道ファン」2000年5月号POST記事「2/20、西武20000系デビュー記念列車運転」。
  26. ^ 交友社『鉄道ファン』2022年8月号(通巻736号)付録「大手私鉄車両ファイル」

関連項目 編集

松本零士による特別デザイン車両が存在する(した)他社の鉄道車両

参考文献 編集

  • 交友社鉄道ファン
    • 2000年2月号 新車ガイド「西武鉄道20000系」(西武鉄道(株)車両部車両課)
    • 2002年9月号 特集「大手私鉄の最新通勤形電車」
    • 2003年10月号「関東大手私鉄 - 東武・西武・小田急・京成 - 最近のうごき」
  • 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル
    • 2000年2月号 新型車両プロフィールガイド「西武鉄道20000系車両の概要」
  • 鉄道図書刊行会鉄道ピクトリアル
    • 2000年2月号 「西武鉄道20000系」
    • 2000年10月号臨時増刊号 新車年鑑2000年版「西武鉄道20000系」(西武鉄道(株)車両部車両課 藤沢利之 著)
    • 2002年4月号臨時増刊号 特集「西武鉄道」
    • 2004年10月号臨時増刊号 鉄道車両年鑑2004年版「西武鉄道20000系 (5・6次車)」(西武鉄道(株)鉄道本部車両部車両課 刈谷輝彦 著)
  • ネコ・パブリッシングRail Magazine
    • 2000年2月号 NEW COMER GUIDE「西武鉄道20000系誕生!」

外部リンク 編集