諏訪内晶子
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諏訪内 晶子(すわない あきこ、1972年2月7日[2] - )は日本のヴァイオリニスト。
諏訪内 晶子 | |
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生誕 | 1972年2月7日(49歳) |
出身地 |
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学歴 |
桐朋女子高等学校 桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コース[注釈 1] ジュリアード音楽院(本科・修士課程修了) |
ジャンル | クラシック音楽 |
職業 | ヴァイオリニスト |
公式サイト | 諏訪内晶子オフィシャル・サイト |
略歴編集
東京都出生[3]、出身[4]の1972年生まれ。パリ在住[4]。2歳半でヴァイオリンに触れ、3歳で学び始める[5]。町田市立成瀬台中学校を経て、桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースを修了[6]。文化庁芸術家在外派遣研修生として[7]、1991年3月にジュリアード音楽院に留学し、ドロシー・ディレイに師事した[8]。またジュリアード音楽院との単位交換制度を実施しているコロンビア大学では政治思想史、政治学を受講した[9]。1995年、ジュリアード音楽院修士課程修了[6]。ベルリン芸術大学には、試験入学し2年間学んだ[4]。
中学3年生の14歳で、江藤俊哉に師事していた[10]。15歳で日本音楽コンクールヴィオリン部門で優勝[11]。パガニーニコンクールで2位[12]。1989年国際日本音楽コンクールヴィオリン部門で2位となる[13]。世界三大ヴィオリンコンクールの、エリザベート王妃国際コンクールに17歳で2位[14]、さらに、チャイコフスキーコンクールで、最年少の18歳で優勝し、注目を浴びる[15]。
使用ヴァイオリンは、グァダニーニを愛用していたが、1980年にストラディヴァリウス(1690年製)をとある財団から貸与されていた[16][17]。その後、2000年には世界三大ストラディヴァリウスの、かつてヤッシャ・ハイフェッツが使用していた「ドルフィン(Dolphin)」(1714年製)を日本音楽財団から、20年間長期貸与されていた[18][19]。1980年春のチャイコフスキーコンクールから演奏は「ストラディヴァリウス」を使用していた[20]。2020年10月から米国在住のDr.Ryuji Uenoより長期貸与のグァルネリ・デル・ジェズ「チャールズ・リード」(1732年製)に替えた[21]。マネジメントは米国コロムビア・アーティスツと契約[22]。レコーディング契約は、ユニバーサルミュージック傘下のデッカミュージックグループとインターナショナル・アーティストとして専属契約を結んでいる[23]。フランス・パリを演奏活動の拠点としている[4]。録音は主にヨーロッパで行っている。
1999年、サントリーホールでクシシュトフ・ペンデレツキのヴァイオリン協奏曲第2番『メタモルフォーゼン』を作曲者の指揮で日本初演。2004年、石川県立音楽堂コンサートホールで、ジュリアード音楽院の同期生レーラ・アウエルバッハのヴァイオリン協奏曲第2番(作品77)を世界初演。2007年、ルツェルン音楽祭でペーター・エトヴェシュのヴァイオリン協奏曲『セヴン』をピエール・ブーレーズの指揮で世界初演。同曲は2008年9月には、作曲者エトヴェシュ指揮でNHK交響楽団と日本初演し、その後ブダペスト、ベルリン、ロンドンの世界各地で初演した[23]。
2012年、2015年エリザベート王妃国際コンクールの審査員を務めた[24]。2018年ロン=ティボー国際コンクール、2019年チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門審査員を務めた[25]。
2013年2月「国際音楽祭NIPPON 2013 横浜&仙台」を企画。芸術監督を務める[26]。2020年の3月には芸術監督を務める国際音楽祭 NIPPON 2020が東京で行われる予定であったが[27]、新型コロナウイルス流行のため中止された[28]。2021年2月9日~2月16日に「国際音楽祭NIPPON2020」が振替公演として、東京、名古屋市、岩手県釜石市で実施される[29]。
人物・音楽編集
- 1988年、パガニーニコンクール終了後の受賞記念パーティで、審査員のヘルマン・クレバースに助言を望み、「音程の取り方を勉強しなさい」と指導される。技術的なミスや音程外しはしていないので、その時は意味がわからなかったが、国際コンクール参加を重ねて、日本人の肉体的な条件もある音色の弱弱しさが弱点となる。また日本人独特の高音に偏る音色感に欧米では違和感を抱かれるのだと理解した[30]。
- 1991年3月に、アイザック・スターンに演奏を聴いてもらう機会があり、今までのように先生から教えられたとおり弾くのではなく、自分で自筆譜までさかのぼって解釈して演奏するよう指導された[31]。大学1年生で、コンクール参加から一人の演奏家へと踏み出して、音楽に明け暮れるこれまでの生活で、一般教養の不足を自覚し自己の活動と音楽形成にも影響していると痛感した。いったん演奏活動を中止し、ジュリアード学院留学、コロンビア大学で受講した[32]。コロムビア大学学部長に相談すると、哲学や、歴史的な背景などアカデミックな別の視点から音楽を見るには、「政治思想史」の授業で学ぶのがいいと示唆された[4]。
- オーケストラ参加は、サイトウ・キネン・オーケストラに1回したが、ソリストとしての活動を重点にしていて向いていず、楽団演奏の共同で音を調和させることに慣れず、終了後にもソリストの音色に戻るのに困難をきたして、1回だけになる[33]。
受賞歴編集
- 1981年 - 全日本学生音楽コンクールヴァイオリン部門小学校の部東日本大会第1位
- 1985年 - 全日本学生音楽コンクールヴァイオリン部門中学校の部全国大会第1位
- 1987年 - 日本音楽コンクールヴァイオリン部門第1位
- 1988年 - 国際ヴァイオリンコンクールパガニーニ賞第2位
- 1989年 - エリザベート王妃国際音楽コンクールヴァイオリン部門第2位
- 1990年 - チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門で全出場者最年少第1位および日本人初全審査員の一致による優勝。バッハ作品最優秀演奏者賞とチャイコフスキー作品最優秀演奏者賞も受賞。
ディスコグラフィー編集
- 武満徹: 遠い呼び声の彼方へ!他 [SHM-CD]
- ツィゴイネルワイゼン~パッション
- メンデルスゾーン & チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
- シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲 [MQA/UHQCD]
- シベリウス&ウォルトン: ヴァイオリン協奏曲 [SHM-CD]
- メンデルスゾーン & チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 [SHM-CD]
- フランク&R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 他 [SHM-CD]
- プレリューディオ ~ 諏訪内晶子ベスト・セレクション [SHM-CD]
- 諏訪内晶子セレクション~こどものためのクラシック [SHM-CD]
- エモーション [通常盤] [SHM-CD]
- エモーション [限定盤]
- シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲 [初回限定盤]
- ツィゴイネルワイゼン~パッション
- メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
- J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲集 [初回限定盤] [SHM-CD]
- シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲 [初回限定盤] [SHM-CD]
- スラヴォニック [初回限定盤] [SHM-CD]
- ツィゴイネルワイゼン~パッション [初回限定盤] [SHM-CD]
- デビュー (ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番、他) [初回限定盤] [SHM-CD]
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》、他 [初回限定盤] [SHM-CD]
- メロディ [初回限定盤] [SHM-CD]
- メンデルスゾーン&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 [初回限定盤] [SHM-CD]
- 詩曲(ポエム) [初回限定盤] [SHM-CD]
- impressions THE BEST OF SUWANAI [初回限定盤] [SHM-CD][34]
メディア編集
コマーシャル出演編集
- 新日本製鐵(現・日本製鉄) - 企業イメージCM「すくすくと、新日鉄。」: 1991年に出演、パガニーニの『ヴァイオリン協奏曲第1番』を演奏。「新日鉄音楽賞」の第1回・フレッシュアーティスト部門を受賞したことが縁となった。
- 93年には、同じく新日本製鐵CMーイザイ編曲=サン・サーンスワルツ形式のカプリース
- トヨタ自動車 - クラウン・ロイヤルシリーズのCMに1998年に出演、チャイコフスキーの『なつかしい土地の思い出』より「スケルツォ」を演奏。
- 資生堂 - 2008年に出演、ベートーヴェンの『ヴァイオリンソナタ第9番』を演奏。
テレビ出演編集
著書編集
- 『ヴァイオリンと翔る』NHKライブラリー 2000年2月1日[35]
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ 桐朋学園大学音楽学部説明HP
- ^ “Akiko Suwanai (Violin)”. www.bach-cantatas.com. Bach Cantatas Website. 2020年1月2日閲覧。
- ^ 諏訪内晶子 2000, プロフィール.
- ^ a b c d e 2011年5月20日「ヴァイオリニスト諏訪内晶子インタビュー」-ドイツニュースダイジェスト
- ^ 諏訪内晶子 2000, p. 8.
- ^ a b クラッシック音楽情報サイト「諏訪内晶子プロフィール」2021年2月4日閲覧
- ^ 文化庁「新進芸術家の海外研修」2021年2月4日閲覧
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 102-104.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 107-108.
- ^ 諏訪内晶子 2000, p. 84.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 15-17.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 22-23.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 38-39.
- ^ 諏訪内晶子 2000, p. 26、37.
- ^ 諏訪内晶子 2000, p. 40-42、52-53、62.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 64-67.
- ^ 『Web音遊人』「今月の音遊人:諏訪内晶子さん」-YAMAHA・MakeWaves2020年11月8日閲覧
- ^ ストラディヴァリウス・コンサート2020-日本音楽財団他2020年11月5日閲覧
- ^ 2016年8月16日朝日新聞「深くふくよか、名器と歩む、バイオリニスト・諏訪内晶子」2020年11月5日閲覧
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 63-64.
- ^ [2020年10月30日N響ニュース「NHK交響楽団12月公演諏訪内晶子プロフィール]2021年2月5日閲覧
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 119-120.
- ^ a b 「諏訪内晶子プロフィール」-滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
- ^ 2015年5月2日「【エリザベート王妃国際】審査員に五嶋みどり、諏訪内晶子」ヴァイオリン学習情報サイト『Violinear』
- ^ 2019年9月13日「諏訪内晶子が芸術監督を務める『国際音楽祭NIPPON 2020』記者会見-ひびクラシック2021年2月4日閲覧
- ^ “諏訪内晶子 初の音楽祭”. festivalnippon.com. 国際音楽祭NIPPON 2013. 2020年1月2日閲覧。
- ^ “国際音楽祭 NIPPON 2020”. www.japanarts.co.jp. japan arts. 2020年2月3日閲覧。
- ^ “「国際音楽祭NIPPON2020」公演中止・チケット払い戻しのお知らせ”. www.japanarts.co.jp. ジャパンアーツ. 2020年3月3日閲覧。
- ^ 国際音楽祭NIPPON2020
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 23-26.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 92-95.
- ^ 諏訪内晶子 2000, pp. 95、101-102、104-107.
- ^ 諏訪内晶子 2000, p. 219-223.
- ^ “ディスコグラフィー”. www.universal-music.co.jp. Universal Music. 2020年1月2日閲覧。
- ^ “ヴァイオリンと翔る”. www.nhk-book.co.jp. NHK出版. 2020年1月2日閲覧。
参考文献編集
- 諏訪内晶子 (2000). ヴァイオリンと翔る. NHKライブラリー 112. NHK出版. ISBN 4-14-084112-5