護岸(ごがん、: Revetment)は河川の修復や河川工学または沿岸工学において流入するのエネルギーを吸収するような方法で土手または崖の上に置かれる傾斜した構造物。軍事工学では傾斜面を持った構造物を意味し、砲撃、爆撃、または貯蔵された爆発物から領域を確保するために形成されているものを表す。河川や沿岸の護岸は通常、既存の岸線の用途を維持し、侵食に対する防御として斜面を保護するために建設されている。

淡水域の護岸編集

 
木製の護岸
 
ロックアーマーの護岸
 
Oples川沿いの堤防護岸( Liliw、Laguna )

多くの護岸は、河川湖沼から、淡水を貯水するために使用されている人工貯水池を、特に洪水や雨季期間中の損傷を防止するために、多くの材料が活用される:木の杭、ゆるく積み重ねられた岩[1]。または具体的な形(捨石を参照 ) [2]またはより堅くした土構造など。

具体的な護岸例としてミシシッピ川を制御するために使用されているのは、インフラストラクチャの最も一般的な形式[3] 1,000マイル (1,600 km) もの距離の中、川の湾曲に配置されたカイロ、イリノイ州メキシコ湾では頻繁に小さな部のうちに改修し、自然の浸食進行を和らげている [3]

沿岸防衛としての護岸編集

海岸における護岸では、主に高潮や波浪から沿岸の人命・施設を防護し、海岸の浸食を防止することを目的として設置される[4]。 かつては木のフレームに板を組み合わせた木製の護岸設備が普及していたが、 消波ブロック(代表的なものにテトラポッド)や護岸壁などコンクリート製の構造に大部分が置き換えられている[5]

根固めブロック編集

 
ムンバイのウォーターフロントに沿うテトラポッドの護岸

沿岸工学では、テトラポッドに代表される消波ブロックは防波堤の装甲部として使用されるコンクリート構造で、4本足のテトラポッドの形状は反対方向ではなく水を周囲に流すことで入ってくる波の力を消散させ、ランダムな分布を互いに連動させることによって変位を減らすように設計されている。河川護岸の根の部分、法先も同様にブロックで根を固めて河川流の力を分散制御し洗掘と河岸侵食による護岸の崩壊を防ぐとともに、澪筋などをコントロールし、河床の最適状態を制御する。

要塞編集

 
第一次世界大戦における、イギリスによる擁壁護岸付き塹壕建設のための解説図 。立っている兵士の前の部分が擁壁護岸である。

アメリカ国立公園局によると、アメリカ南北戦争における護岸の軍事採用について以下のように言及している。

護岸は塹壕の内部斜面を支えるために構築された擁壁と定義されている。丸太、木の板、フェンスレール、粗朶蛇籠、ハードル、砂または石などで構築される。護岸を施した塹壕は敵の砲火から優れた防護能力を持ち、最も重要な点は塹壕内部の傾斜をほぼ垂直に保つことである。石材で作られた護岸は耐久性に優れ、多孔質の砂質土壌では、樹脂の多い松やヒノキやなど丸太の護岸もいくつか保存されている。 塹壕が放棄された後は、他の用途に使うため多くの丸太または横木の護岸が持ち去られ、内部の斜面は急速に崩れた。塹壕が侵食された場合においても、護岸を設置した状態では内部の傾斜はより垂直を保っているように見られる。[6]

種類編集

護岸に絵編集

80年代後半から90年代前半にかけて、建物に施されるスーパーグラフィックスのように河川護岸や水門ゲート、トンネルの坑口や擁壁など広面積が生じる箇所に絵を描く事例が見受けられた。現在でも、南沢川水門(宮城県登米市津山町柳津)や古川水門(東京都港区海岸)など、水門などに当時描かれたと思しき絵画や模様などが残るものがある。90年代以降はタイルを貼って図柄を描 く手法やレリーフをほどこすもの、あるいは化粧型枠で模様をつけるものとともに、多くの土木景観に関する識者や研究者からの相次ぐ批判により[7]、実施事例は少なくなる。

山梨県(2018)や国土交通省河川局が発表した河川景観に関するガイドライン(2006)留意点 4:護岸の模様、など「控えめで周囲の中にとけ込む風景づくりを基本に考え、護岸に絵や模様を描かないようにする。」としており、理由として佐々木(1994)は、土木構造物に生じる広面に絵を描いたことによって、風景全体のバランスが崩れてしまうこと、時間とともに汚れて見苦しくなること、一方で見苦しくならない塗料を開発しても、周囲の木々は季節とともに色を変えていくのに、絵だけはいつまでも同じ色で輝いているという違和感を生じさせること、絵の題材に対し現在だけでなく将来においても全ての人々に受け入れられるようなものを特定することが困難なことなどで、公共性の高い土木構造物のデザイン手段として、不適当であることを挙げている。

一方でうるま市教育委員会主催津波防止用護岸に絵を描く「平宮護岸アートコンクール」[8] や、横須賀市馬堀海岸の護岸壁に描かれたアートペイントを展示する「うみかぜ画廊」、新潟西海岸消波ブロックにペンキで絵を描く「ブロックアート」[9]若洲海浜公園『SEA-FRONT-MUSEUM』[10]、一般社団法人沖縄青年会議所主催沖縄市後援の「泡瀬の護岸に絵を描こう」など、海岸線に沿う護岸などに対しては頻繁に絵画が描かれる。

河川での近年の取り組み事例では、一般社団法人ソトノバは2017年12月初旬、街おこしプロジェクト「染の小道」の実行委員有志による、実験プロジェクトで東京都新宿区の落合・中井エリアを流れる妙正寺川の護岸に染物の文様を描いているほか、落書き防止の意味合いで実施事例がいくつか紹介がなされている[11]

なおこうした「護岸のペインティング」は屋外広告物に該当するが、東京都屋外広告物条例では護岸に描かれるのは屋外広告物の設置対象場所ではないため、条例に基づく「適用除外の審査」が必要になる。また、道路を使用する場合や道路交通安全上の視点から「ペインティング」が目立つ場合は、交通管理者や道路管理者と事前協議を行う必要が生じる。そして費用は申請者の負担であり、ペインティング掲示期間も永続的ではなく、後の現状回復も実施者当人の自己費用で行う必要がある[12]

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ オンタリオ湖の河岸同盟。 「石の荒廃...よくある質問」 2009年5月25日閲覧
  2. ^ Concrete shaped revetments Archived 2009-01-23 at the Wayback Machine.
  3. ^ a b The struggle to control the Mississippi can help us understand the U.S.” (英語). Washington Post. 2018年5月18日閲覧。
  4. ^ 技術・建設産業情報”. 国土交通省北陸地方整備局. 2021年3月11日閲覧。
  5. ^ 海岸護岸壁の変状について”. 土木学会. 2021年3月11日閲覧。
  6. ^ U.S. National Park Service. “Military Earthworks Terms”. 2019年3月4日閲覧。
  7. ^ 篠原(1994)進士(2013)他、多数
  8. ^ [1] (PDF)
  9. ^ [2] (PDF)
  10. ^ [3] (PDF)
  11. ^ 小林(2006)
  12. ^ 東京都江東内部河川流域連絡会(2008)

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集

要塞編集

河川と堤防の管理編集