谷口 伸(たにぐち しん、1969年(昭和44年)3月23日[1] - )は、日本の声楽家バリトン)、オペラ歌手。主にドイツで活動中。

谷口 伸
生誕 (1969-03-23) 1969年3月23日(55歳)
出身地 日本の旗 日本 鳥取県 鳥取市
学歴 慶應義塾大学文学部
ウィーン国立音楽大学リート・オラトリオ科
ジャンル クラシック音楽
職業 声楽家バリトン
オペラ歌手
事務所 2005-2010 ゲルリッツ市立劇場
2010-2018 プラウエンツヴィッカウ市立劇場
2018- マイニンゲン国立劇場
公式サイト https://www.meininger-staatstheater.de/personen/shin-taniguchi.html?ID_Taetigkeit=80
ドイツ語

経歴 編集

鳥取県鳥取市出身。1988年(昭和63年)鳥取県立鳥取東高等学校卒業[2]。高校1年在学中、独唱コンクールの鳥取県大会で優勝し、大分県竹田市で毎年行われる『瀧廉太郎記念 西日本高等学校声楽コンクール』に鳥取県代表として出場。1993年(平成5年)慶應義塾大学文学部卒業[2]

大学在学中に慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団のバリトン・パートリーダーを務め、リヒャルト・ワーグナータンホイザー』のヴォルフラム、ジョージ・ガーシュウィンポーギーとベス』のポーギーなど主要なソリストとしても活躍。毎日学生音楽コンクール東京大会で第2位(音楽大学以外からの入賞は異例)。その際に優勝したのは森麻季で、彼女との差は、たった6ポイントだったという[2]松尾葉子指揮オペラ宮林亮至作曲『十五夜物語』で主役を務め、慶應義塾塾長賞を獲得した[2]

 
デミアニ広場から見たゲルリッツ劇場
 
ゲルリッツ劇場の内部
 
プラウエンのフォークトラント劇場
 
マイニンゲン国立劇場の正面
 
マイニンゲン国立劇場の内部

1993年(平成5年)株式会社NTTデータ入社。翌年退社[2]後、河合楽器の渋谷店でアルバイトをしながら声楽家としての道を歩み始める[2]。シューベルト国際歌曲コンクール第2位、NHK新人洋楽オーディション合格、イタリア声楽コンコルソ金賞、日本声楽コンクール第3位、日本音楽コンクール声楽部門入選2回など数々のコンクールに入選。

1998年(平成10年)渡欧し、受験資格ぎりぎりの29歳でウィーン国立音楽大学に合格[2]。1999年度(平成11年度)、2000年度(平成12年度)ロームミュージックファンデーション奨学生に選ばれる[3]。2000年(平成12年)ドイツ・ツヴィッカウにおいて国際シューマン歌曲コンクール第3位など、主要なコンクールで数々の賞を受賞。2002年(平成14年)ウィーン国立音楽大学リート・オラトリオ科を最優秀で卒業[2]。また、愛知長久手オペラ声楽コンクールにて第2位を受賞。2003年(平成15年)ウィーン・コンツェルトハウスにて、ハイドンのオペラ『報われた誠』などを演奏、新聞紙上にて高い評価を得る。2004年(平成16年)北イタリアメランにおいて"デビュー・イン・メラン"国際声楽コンクール総合優勝[2]。その後、"グラーツの若い芸術家祭 (Festival Junger Künstler Graz)"、フュルト劇場 (De:Theater Fürth)、ウィーン・コンツェルトハウスのコンサート協会にゲスト出演[4]

2005年(平成17年)ドイツ・ザクセン州ゲルリッツ市立劇場 (2011年からはゲルハルト=ハウプトマン=劇場・ゲルリッツ=ツィッタウDe:Gerhart-Hauptmann-Theater Görlitz-Zittau) と専属契約を結び、2005/2006年シーズンより出演。ドイツを中心にヨーロッパで演奏活動を展開する。2006年(平成18年)には同劇場にてヴェルディリゴレット』のタイトルロール、またリヒャルト・シュトラウスサロメ』のヨカナーン役などを演じる。ドイツ永住ビザを取得[2]

2010年(平成22年)ロベルト・シューマンの生地であるドイツ・ザクセン州プラウエンツヴィッカウ市立劇場 (De:Theater Plauen-Zwickau) と専属契約を結び、活躍の場を移す。2010/2011年のシーズンより、モーツァルトドン・ジョヴァンニ』のタイトルロール、ヴェルディ仮面舞踏会』のレナートなどを演じる。2011/2012年のシーズン、アリラ・ジーガート (De:Arila Siegert) 演出によるロッシーニセヴィリアの理髪師』で演じたフィガロが、ドイツ・オペラ専門誌”Opernwelt”の「50人の批評家によるシーズン評」で最も良かった歌手の一人として選出・評価される[5][6]

時折一時帰国し、2013年(平成25年)2月25日、大阪交響楽団第173回定期演奏会でマーラー子供の不思議な角笛』を歌う[3]。2016年(平成28年)6月27日 福岡ソフトバンクホークスの試合前の国歌独唱を務める[2]。2016年7月22日には大阪交響楽団第203回定期演奏会でマーラー『5つの初期の歌』『リュッケルトの詩による5つの歌曲』を演唱。2017年(平成29年)11月に慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第142回定期演奏会においてワーグナー『タンホイザー』ヴォルフラムのソリストを務めた[6]

2018年(平成30年)ドイツ・テューリンゲン州マイニンゲン国立劇場 (De:Meininger Staatstheater) と専属契約を結ぶ。2018/2019年のシーズンより出演中。ここでビゼーカルメン』エスカミーリョ、オトマール・シェック『デューランデ城 (Das Schloß Dürande)』レナルド・デュボア、プッチーニトスカ』スカルピアなどを演じている[4]。高い評価を得ているプロダクション『THROUGH HIS TEETH』で2020年シーズンを開幕。

2021年(令和3年)には、オペラ『ゲシュペンスター』の世界初演に参加するほか、リヒャルト・シュトラウス『アラベラ』マンドリーカや、コンサートにも出演することが予定されている[4]

コンサート歌手としても300を超える歌曲のレパートリーを持ち、またバッハクリスマス・オラトリオ』、ブラームスドイツ・レクイエム』等、宗教曲のソリストとしても活動している[6]。2020年(令和2年)年末にはNHK交響楽団第九』バリトンソロを務めることが発表された(12月23、25、26日NHKホール[7]、12月27日サントリーホール[8])。

声楽を門屋留樹、畑中良輔、V.ミラキアン、C.レーマン[5]、リート解釈をW.ムーア、ハンス・ホッターディートリヒ・フィッシャー=ディースカウオラフ・ベーア[6]に師事。

オペラの主なレパートリー 編集

脚注・出典 編集

  1. ^ Facebook”. www.facebook.com. 2020年11月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 【第8回】谷口 伸君 – 慶應義塾1993年三田会”. 1993mitakai.jp. 2020年11月4日閲覧。
  3. ^ a b 谷口 伸 | 若い音楽家たちの活躍”. 2020年11月7日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Shin Taniguchi” (ドイツ語). Meininger Staatstheater. 2020年11月5日閲覧。
  5. ^ a b c エフネギー・オネーギン”. musik.karooyaji.org. ムジークテアターTOTTORI. 2020年11月5日閲覧。
  6. ^ a b c d 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第142回定期演奏会(2017年)パンフレット
  7. ^ コンサート詳細|NHK交響楽団”. www.nhkso.or.jp. 2020年11月7日閲覧。
  8. ^ コンサート詳細|NHK交響楽団”. www.nhkso.or.jp. 2020年11月7日閲覧。
  9. ^ www.calaf.net”. www.iaw.co.jp. 2020年11月6日閲覧。

外部リンク 編集