谷川渥
経歴
編集1972年東京大学文学部美学芸術学科卒業。1978年同大学院博士課程修了。文学博士。東京大学助手、國學院大學文学部助教授・教授、杭州師範大学客座教授、京都精華大学客員教授などを歴任。
マニエリスム・バロックからモダニズム・現代美術にいたる広範な領域を視野に収め、多方面にわたって批評活動を展開。美学原理論、芸術時間論、廃墟論、だまし絵論、シュルレアリスム論、そして「芸術の皮膚論」など、独自の視点による美学的地平を開拓。美術出版社『美術手帖』芸術評論 第12回(2003年)、第13回(2005年)、第14回(2009年)、第15回(2014年)の審査員を務める。「表層の冒険」というコンセプトのもと同名の展覧会などを企画し、また舞台との多様な関わりも持つ。
著作
編集単著
編集- 『構造と解釈』世界書院、1984年
- 『形象と時間 美的時間論序説』白水社、1986年/講談社学術文庫、1998年
- 『バロックの本箱』北宋社、1991年
- 『表象の迷宮』ありな書房、1992年、新編 1995年
- 『美学の逆説』勁草書房、1993年/ちくま学芸文庫、2003年
- 『鏡と皮膚』ポーラ文化研究所、1994年/ちくま学芸文庫、2001年
- 『見ることの逸楽』白水社、1995年
- 『文学の皮膚』白水社、1996年
- 『幻想の地誌学』トレヴィル、1996年/ちくま学芸文庫、2000年(中国語訳『幻想的地誌学―虚構地図大旅行』邊城出版、2005年)
- 『図説・だまし絵 もうひとつの美術史』 河出書房新社、1999年、新装版2015年
- 『イコノクリティック』北宋社、2000年
- 『芸術をめぐる言葉』美術出版社、2000年 (王凱・王紅訳『芸術的言詞』浙江大学出版社、2013年)
- 『廃墟の美学』集英社新書、2003年
- 『美のバロキスム 芸術学講義』武蔵野美術大学出版局、2006年
- 『芸術をめぐる言葉 II』美術出版社、2006年
- 『シュルレアリスムのアメリカ』みすず書房、2009年
- 『肉体の迷宮』東京書籍、2009年/ちくま学芸文庫、2013年
- 『新編 芸術をめぐる言葉』美術出版社、2012年
- 『書物のエロティックス』右文書院、2014年
- 『幻想の花園 図説 美学特殊講義』 東京書籍、2015年
- 『芸術表層論 批評という物語』 論創社、2017年
- 『カラー版 文豪たちの西洋美術』 河出書房新社、2020年
- 『孤独な窃視者の夢想 日本近代文学のぞきからくり』月曜社、2021年
- 『ローマの眠り あるいはバロック的遁走』月曜社、2022年
- TRAFITTO DA UNA ROSA, GOG Edizioni, 2022. Kyoko Mino (Translator)
- 『三島由紀夫 薔薇のバロキスム』 ちくま学芸文庫、2023年5月
編著・共著
編集- 『芸術の記号論』(共著)勁草書房、1983年
- 『記号の劇場』(編著)昭和堂、1988年
- 『講座・20世紀の芸術』(全9巻、共編著)岩波書店、1989-90年
- 『アート・ウォッチング』(監修・共著)美術出版社、1993年
- 『アート・ウォッチングⅡ』(監修・共著)美術出版社、1994年
- 『モンス・デジデリオ画集』(解説)トレヴィル、1995年/エディシオン・トレヴィル(新装版)、2009年
- 『死都ネクロポリス』(解説) トレヴィル、1995年
- 『ユピテル変身譚』(解説)トレヴィル、1995年
- 『澁澤龍彦事典』(共著)平凡社コロナ・ブックス、1996年
- 『廃墟大全』(監修・解説)トレヴィル、1997年/中公文庫、2003年
- 『江戸川乱歩』(共著)平凡社コロナ・ブックス、1998年
- 『芸術理論の現在』(共編著)東信堂、1999年
- 『三島由紀夫の美学講座』(編・解説)ちくま文庫、2000年
- 『絵画の教科書』(監修)日本文教出版、2001年
- 『20世紀の美術と思想』(監修)美術出版社、2002年
- 『イコノエロティシズム―澁澤龍彦美術論集』(編・解説)河出書房新社、2003年
- 『天使たちの饗宴―澁澤龍彦同時代芸術論集』(編・解説)河出書房新社、2003年
- 『芸術の宇宙誌―谷川渥対談集』右文書院、2003年
- 『画狂人ホルスト・ヤンセン』(共著)平凡社、2005年
- 『現代美術の教科書』(共著)美術出版社、2005年
- 『日本の香り』(共著)平凡社、2005年
- 『日本の色』(共著)平凡社、2006年
- 『日本のかたち』(共著)平凡社、2007年
- 『稲垣足穂の世界タルホスコープ』(共著) 平凡社、2007年
- 『絵画の制作学』(共編著)日本文教出版、2007年
- 『日本の美100』(共著)平凡社、2008年
- 『現代アート事典』(共著)美術出版社、2009年
- 『フランスの色』(共著)平凡社、2010年
- 『ベクシンスキ作品集成』(全3巻、解説)エディシオン・トレヴィル、2010年
- 『ヌードの美術史』(共著)美術出版社、2012年
- 『アートの巨匠』(共著)美術出版社、2013年
- 『日本の美女』(共著)平凡社、2013年
- 『イタリアの色』(共著)平凡社、2013年
- 『月岡芳年 血と怪奇の異才絵師』(共著)河出書房新社、2014年
- 『江戸のバロック 日本美術のあたらしい見かた』(監修)河出書房新社、2015年
- 『心に輝く 旅の宝石箱』(共著)交通新聞社、2019年
- 『高畠華宵 大正のロマンとデカダンス』(高畠華宵大正ロマン館編、共著)愛媛新聞サービスセンター、2019年
- 『戯画を楽しむ』(監修)玄光社、2021年12月
訳書
編集- ピエール=マクシム・シュール『想像力と驚異』白水社、1983年
- エティエンヌ・ジルソン『絵画と現実』(佐々木健一、山縣煕共訳)岩波書店、1985年
- エルンスト・ゴンブリッチ『棒馬考 イメージの読解』(二見史郎、横山勝彦共訳)勁草書房、1988年、完訳版1994年
- ユルギス・バルトルシャイティス『鏡 著作集4』国書刊行会、1994年
- クリスティーヌ・ビュシ=グリュックスマン『見ることの狂気』ありな書房、1995年
- アンドレ・ブルトン『魔術的芸術』(巌谷國士監修、星埜守之、鈴木雅雄共訳)河出書房新社、1997年、普及版2002年、新版2017年
- ガブリエーレ・ファール=ベッカー『アール・ヌーヴォー』(監訳)koenemann、2001年
- エリー・フォール『美術史4 近代美術I』(水野千依共訳)国書刊行会、2007年
- アニエス・ジアール『愛の日本史 創世神話から現代の寓話まで』国書刊行会、2018年
- ロザリンド・クラウス『視覚的無意識』(小西信之共訳)月曜社、2019年
- ロザリンド・クラウス『アヴァンギャルドのオリジナリティ モダニズムの神話』(小西信之共訳)月曜社、2021年
「舞台」関係
編集- 中嶋夏+霧笛舎 舞踏公演「さようであるならば、さようなら」トーク・イヴェント「美術と舞踏」森下隆×中嶋夏×谷川渥『表層の冒険-抽象のバロキスム』展企画2021年3月27日 片柳学園ギャラリー鴻
- 「和栗由紀夫 魂の旅」実行委員会代表 東京ドイツ文化センター 2018年4月21日
- 公演「KUROZUKA 闇の光」舞踊:舘形比呂一 脚本・構成:谷川渥 音楽:落合敏行 企画・美術:渡邊晃一 振付:加賀屋香 照明:浦住忍 舞台監督:佐藤善美(株式会社ライト・ヴァージ)2016年9月9・10日 安達ヶ原ふるさと村 農村生活館
- 舞踏:新企画に向けて「メメメの芽-未生の彼方へ」2016年1月10日 東京両国シアターX
- 和栗由紀夫+好善社 舞踏公演「肉体の迷宮」原作:谷川渥 振付・構成:和栗由紀夫、関典子 2010年12月3・4日 日暮里サニー・ホール
- 「「廃墟」をめぐるイメージ―壮大な思考実験の場としての可能性―」NYLON100℃ 35th SESSION 『2番目、或いは3番目』作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ2010年6月21日~7月19日 下北沢本多劇場 他
- 21世紀ギリシア芝居「エウメニデス」原作:アイスキュロス 構成・演出:ルティ・カネル 翻訳:谷川渥2007年9月14日~22日 東京両国シアターX
- 「三島由紀夫と音楽―「志賀寺上人の恋」の舞台化をめぐって」ミュージック・シアター浄土 日本初演 愛知県芸術劇場小ホール 2005年1月28.29日
- 「浄土」―楽興の時AICHI ARTS CENTER No.43 2005年2月
- 和栗由紀夫+好善社 舞踏公演「幻想の地誌学Ⅱ」原作:谷川渥 振付・構成:和栗由紀夫 2002年12月5日~7日 六本木オリベホール
- 「春の祭典」讃H・アール・カオス 大友直人指揮名古屋フィル 愛知県芸術劇場大ホール 1999年5月28日AICHI ARTS CENTER No.29 1999年10月
- 「肖像はどう変貌するか」郡司正勝・案 大野慶人・舞踏「ドリアン・グレイの最後の肖像」1999年4月13日~15日 東京両国シアターX
- 和栗由紀夫+好善社 舞踏公演「幻想の地誌学」原作:谷川渥 美術:吉江庄蔵 振付:和栗由紀夫 1998年3月9日~11日 東京両国シアターX
- 「舞踏の原母のために」元藤あき(火へんに華)子 舞踏公演「MYTHOLOGIA(神話)」1997年7月4日~6日 土方巽記念館 アスベスト館
- 「美術表現におけるからだ」トーク・ゲスト:谷川渥 パフォーマンス:和栗由紀夫・吉江庄蔵 コーディネーター:萩原朔美1995年1月27日愛知芸術文化センターAICHI ARTS CENTER No.12 1995年4月
脚注
編集- ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.484