豊岡杞柳細工(とよおかきりゅうざいく)は兵庫県豊岡市養父市美方郡香美町で生産される杞柳製品。コリヤナギなどで編んだ行李バスケットインテリアなどの木工品である。国の伝統的工芸品並びに特許庁地域ブランドに指定されている。

柳行李の原料となるコリヤナギとミシン(豊岡杞柳細工ミュージアム)

概要編集

円山川下流域の湿地帯(荒原)に多く自生するコリヤナギ(和名:行李柳、朝鮮半島原産の落葉低木)を用いて編み上げたものが柳行李(やなぎこうり)である。

豊岡杞柳細工の歴史は古く、奈良時代に作られた「但馬国産柳箱」が東大寺正倉院御物として残されている事から1200年以上の歴史を有しているとされる。

杞柳産業として確立したのは豊岡藩城下町として形成した安土桃山時代である。初代豊岡藩主京極高盛が加工技術の育成と販売に力を注ぎ杞柳産業として奨励し、1763年には専売制を成立させたことから「豊岡の柳行李」として世に知れ渡り、日本有数の柳行李の産地として発展した。

江戸時代には旅行具として一般の庶民に広く利用され、明治時代には数々の国際博覧会に出品された。昭和に入ると軍事行李などを生産、1992年に経済産業大臣より国の伝統的工芸品に指定された。 2006年には杞柳細工に関する資料や、製作に用いる道具類などを展示した資料館が玄武洞公園玄武洞ミュージアムに「豊岡杞柳細工ミュージアム」として開設した。

沿革編集

柳行李の特徴編集

  • 丈夫で軽く、落としても壊れにくい
  • 蓋のかぶせ方で収納量を調節できる
  • 衣類を守り、大容量であること
  • 水洗いが可能
  • 通気性が高い

柳行李の種類編集

  • 尺荷行李(しゃくにごうり)
  • 文庫行李(ぶんこごうり)
  • 薬屋行李 - 富山の売薬が有名である
  • 小間物行李 - 小物の行商に用いられた
  • 帖行李 - おもに商家で使われ、商人が大福帳(帳簿)や算盤を入れて持ち歩いて仕事に使っていた
  • 行李かばん - 明治14年に豊岡市で誕生した手に提げて使う行李
  • 軍用行李
  • 永尺行李(ながじゃくこうり)
  • 大荷行李(だいにこうり)
  • 大馬行李(おおまこうり)
  • 袈裟行李(けさごうり)
  • 裃行李(かみしもごうり)
  • 飯行李(めしごうり)

関連施設編集

豊岡杞柳細工に関する資料や作品が展示されており、杞柳細工のかご編み体験をすることが出来る。また、1階の販売コーナーにて購入することが出来る。
  • 但馬地域地場産業振興センター - 販売展示

祭事編集

産地組合編集

  • 兵庫県杞柳製品協同組合 - 兵庫県豊岡市赤石1362

関連記事編集

2014年8月14日の日本経済新聞朝刊最終文化面で取り上げられた。寄稿者は豊岡杞柳細工伝統工芸士の寺内卓己。

外部リンク編集