赤星 進(あかほし すすむ、1918年 - 2012年5月18日)は、日本の精神科医クリスチャンとして「医学と福音」をライフワークのテーマとし精神医学と神学の関係を研究した。また日本ルーテル神学大学東京神学大学などの神学校で精神医学を講じた。

経歴 編集

1918年(大正7年)、鹿児島市に生まれる。1938年(昭和13年)、第七高等学校造士館 (旧制)理科卒業。1943年(昭和18年)、東京大学医学部卒業。大槻外科入局、副手。医学博士。

1946年(昭和21年)、国立療養所清瀬病院外科医長。1953年(昭和28年)、東芝林間病院副院長兼外科医長。1961年(昭和36年)、浜松の社会福祉法人聖隷病院院長。1958年、シカゴ大学で「医学と宗教の関係」を研究。この時期にポール・トゥルニエ(Paul Tournier)との文通による出会いがはじまり、1959年トゥルニエ宅訪問、クリスチャン精神科医として生涯メンターシップを受ける関係に恵まれる。1970年にはトゥルニエ著『聖書と医学』の和訳をする。また1959年クロイツリンゲンでルードウィッヒ・ビンスワンガー宅、またバーゼルでカール・バルト (Karl Barth) 宅を訪問し研究テーマ「医学と福音」への励ましを得る。クリスチャン医学者として心の病における体・心・霊との親密な関係性を確信し、科学的な癒し・宗教的な癒し・キリストの福音による癒しの研究を包括的に推進した。

日本の結核問題がほぼ解決できた1963年(昭和38年)、外科から精神科に移り、国立武蔵療養所医員となる。1967年(昭和42年)、小川赤十字病院精神科部長。1982年(昭和57年)、東京の自宅で精神科クリニックを開業。

東京神学大学校医と非常勤講師(1946−92年)社会福祉法人親愛病院院長(1970年代に3年間ずつ2回)。日本ルーテル神学大学教授兼PGC所長(1986−92年)。

赤星クリニックの開業医として勤務。かたわらに、『福音と医学』研究所の所長やキリスト教メンタルケアセンターの会長などの研究活動と、日本ルーテル神学校や東京神学大学の教授として、キリスト教教育にも携わった。これらの功績が認められて、2009年に第40回キリスト教文化功労賞を受賞する[1]

著書 編集

  • 『療養と信仰』、二宮書店、1949[2]
  • 『医療と福音』、聖文舎、1968[3]
  • 『精神医療と福音』、聖文舎、1977 ISBN 4792131723
  • 『パーソナリティと信仰』、日本基督教団中渋谷教会伝導委員会、1978
  • 『育児と福音』、キリスト教保育連盟九州部会、1983
  • 『心の病気と福音』、ヨルダン者、上巻1988、下巻1990 ISBN 4842800003
  • 『老人のからだと心』、金子仁博士と共著。日本基督教団出版社、1983
  • 『進学と精神医学の間・第1集』、共著。聖文舎、1979
  • 『トゥルニエとの出会い』共著。聖文舎、1985[4]
  • 『心病む人々と共に』共著。キリスト新聞社、1993 ISBN 4873952395
  • 『若きキリスト者の熱情』キリスト新聞社、1998 ISBN 4873953103

訳書 編集

脚注 編集

  1. ^ 日本キリスト教文化協会 顕彰者一覧※2022年10月23日閲覧
  2. ^ ASIN B000JBK12W, 療養と信仰 (1949年)
  3. ^ ASIN B000JA3N7I, 医療と福音 (1968年)
  4. ^ ASIN B000J6RY72, トゥルニエとの出会い (1985年)
  5. ^ ASIN B000JA8CGU, 牧会相談と精神療法 (1965年)