身体化障害

身体化障害(しんたいかしょうがい、英:Somatic Symptom Disorder)は、『精神障害の診断と統計マニュアル』の以前の第4版のDSM-IVでは、歴史的にヒステリー、またブリケ症候群と呼ばれたことを記している[1]。新しい第5版のDSM-5の邦訳名、身体症状症(同じSomatic Symptom Disorderの別訳)では、実際の身体症状に持続的にとらわれているために、著しい苦痛や機能の障害を引き起こしている状態である[2]

DSM-IVとDSM-5では大きく異なる診断基準を持ち、持続期間で言えば、DSM-IVが多様な症状の数年の持続を要求しているが、DSM-5では6か月である。これは以前のDSM-IVにおける疼痛性障害などを統合した結果である。

正常な感情反応としての懸念は、著しい苦痛や機能の障害を引き起こさない[2]。実際の医学的疾患や、他の精神障害の症状である可能性があるため、早急な診断は、誤った危険な診断となることがある[2]

目次

診断編集

DSM-IV編集

DSM-IVの診断基準Aは、30歳未満に発症し数年の持続とそれが生活機能の障害を引き起こしている。診断基準Bが症状の組み合わせであり、4つ以上の痛みの症状と、2つ以上の胃腸症状、1つの性的な症状、1つの神経学的症状を要求している。

また診断基準Cが一般身体疾患や、物質(薬物や投薬)による直接的な作用ではないことを要求している。

DSM-5編集

DSM-5の診断基準Cが6か月以上の症状の持続を求め、しかしその持続は症状が出ていないときも含める。

診断基準B、が症状に伴って、思考あるいは強い不安、あるいは行動的な労力が費やされ、それらが持続していることを要求している。診断基準Aが、苦痛や日常生活の著しい障害を要求している。

軽症は1つの症状、中等症は2つ以上、重症は中等症に加え1つがとても重篤である。

鑑別診断編集

正常な感情反応としては、健康に関する一般的な懸念や、実際に患っている場合でも著しい苦痛や機能の障害は起こらない[2]。がんや、糖尿病といった病気を実際に患っていて新たな症状に心配している場合には、適応障害の診断名を用いることができる[2]。また、症状は、実際に医学的疾患によって生じている可能性があり、早急に判断すれば、誤って危険な診断を下すことがある[2]。また他の精神障害でも、身体症状はよくみられる[2]

出典編集

  1. ^ 『DSM-IV-TR』§身体表現性障害
  2. ^ a b c d e f g アレン・フランセス 2014, pp. 216-219.

参考文献編集

  • アレン・フランセス、大野裕(翻訳)、中川敦夫(翻訳)、柳沢圭子(翻訳) 『精神疾患診断のエッセンス―DSM-5の上手な使い方』 金剛出版、2014年3月ISBN 978-4772413527Essentials of Psychiatric Diagnosis, Revised Edition: Responding to the Challenge of DSM-5®, The Guilford Press, 2013.