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転売屋または転売師(てんばいや、てんばいし、: reseller)とは、転売行為を行う者の意。転売行為そのものの内容についてもここで扱う。

概要編集

主に数量が限定されるなどの入手困難な商品を転売目的で購入(個人ないしアルバイト等で雇われた複数人)し、インターネットオークション等のインターネットを介し高値で販売することを生業・趣味とした一般個人を指す。ただし株、債権、通貨(暗号通貨を含む)、土地、不動産、金、銀、銅、プラチナ、原油、穀物などの売買を行う個人についてはこの語では呼ばれない。

制作・販売意図を設けて商品を取り扱っている運営者、計画性を練って生産・販売戦略を立てる供給者、正規の手段で購入したい需要者の利益を損ねる行為として問題となっている。

日本では、チケット・乗車券に関してダフ屋行為としてチケット不正転売禁止法によって規制されている。金券ショップにおいては、警察から古物商の許可を取得して店を構えて営業している点で異なる。

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物を購入して他者に売る行為であるため、原理的にはあらゆる商品を対象にすることが出来るが、以下のような利益の高い物が対象となりやすい。

有料チケット
人気ミュージシャンやアイドルの公演チケットや人気イベントの入場チケットなどを転売目的で大量に買い占める。ダフ屋にあたる行為で、後述のように逮捕されるケースも存在する。
対策として、施設側が「チケットの転売を禁止する方針」を発表し、チケット購入に際して使用したクレジットカードなどで購入者と来場者が同じであることを確認するなどの対策をしている例もある[1][2]
さらには、顔認証システムを活用して、チケット購入者本人が来場しているかどうか確認することもある。2014年にももいろクローバーZが、エンタテインメントの入場管理において世界で初めて導入[3]NECの顔認証システム「NeoFace」を用いて、チケット購入時に顔写真を登録、会場入り口で顔認証しチケットを発券する[4]。他のアーティストにも広がりつつあり、B’z福山雅治Mr.ChildrenBABYMETALが一部のコンサートなどに使っている[5][6]
限定・記念商品
コミックマーケットワールドホビーフェスティバルなどの、いわゆるおたく向けのイベントや、人気ミュージシャンやアイドルのライブなどの会場で販売される「会場限定商品」を転売目的で購入する。人気が予想される商品は、販売側が一人当たりの購入数を制限をしているが、転売屋が複数人のアルバイト(並び屋、買い子などと呼ばれる)を雇って買い占めを行う場合もあり[7]、イベント主催者が問題視した[8][9]こともある(組織的に購入するため詐欺罪威力業務妨害罪に問われる可能性がある)。
商品自体に希少価値がなくとも、年始に販売される限定販売の福袋などは、販売価格に対して転売価格が上回ることを期待して買い占める[10]
また、観光ガイドと言った無料配布物であっても、大量に確保して転売する事例もあり問題となっている[11]
期間限定販売品は、その後の転売対策で再販を行うと消費者庁からの指導対象となるため、あらかじめ注意が必要となる。
一般市販品では、漫画アニメの限定商品をインターネットショッピングで大量に個別注文し、ショップを倉庫代わりにして転売行為を行っていた事例があり、ショップ側が転売屋と見られる顧客に対して警告を送った例もある[12]
2014年東京駅にて販売された「東京駅開業100周年記念Suica」が、当日の購入希望者の殺到・混雑により販売中止となった際、転売目的の購入者が10万円〜20万円もの高額で転売する事例が相次いだ[13]
希少性・話題性のある新製品・一般製品
人気商品、または人気が予想される、何らかの出来事で注目された商品の場合、製造や流通の関係で通常の販売でも在庫が少ない場合がある。それら人気商品を買い占め主にネットオークションを利用して高値で転売を行う。人気ゲーム機玩具や、iPhoneの新機種、転売地域には流通されていない商品(例としては、ごく一部のジャパニーズウイスキーの銘柄)などが狙われやすく、海外から仕入れにやってくる転売屋も存在する。特典付きの雑誌なども転売の対象とされる。また、販売元がドロップシッピングを利用していないにもかかわらず、転売屋が利用して装う転売行為も存在する。
1996年の『たまごっち』、2014年の『妖怪ウォッチ』の玩具・特典付き劇場前売り券など、ブームの過熱に伴う転売が問題となった事例はたびたび起こっている。
2007年4月には、転売目的で量販店から大量に仕入れたゲーム機を、海外に輸出したことを装って消費税の不正還付を受けていた業者が逮捕されている[14]
希少本を扱う業者は古くから存在しており、日本では神田古書店街に各分野の稀少本を扱う書店が集まっている。また古書店で安価に販売されている本を高く売って利ざやを稼ぐ「せどり」という行為も行われている。
スニーカー業界では2010年代から著名人とのコラボレーションモデルなど限定品の増加と、中国やロシアなどでの需要増加により新品の転売市場が急激に成長しており、アメリカではスニーカー専門の転売業者がいる他、ソーホーなど高級ブランド店が軒を連ねる地域に希少性の高い未使用品を扱う転売品専門店も登場している[15]

なお、規約などで転売目的での購入を禁止している業者(アップガレージのネットショッピングなど)もある。前述のコンサートチケットでは転売行為が発覚した場合は該当チケットを無効とするだけでなく、購入者をファンクラブからの永久追放処分とする転売対策も行われている。

法令による規制編集

日本編集

古物編集

原則として、日本国内において、いったん一般消費者の手に渡った物品(「古物」)を転売買して営業を行う者は古物営業法に基づく古物商許可を受ける必要がある[16]。個人であっても、古物商許可を得ずにインターネットオークションその他で継続反復し、大量の転売買営業を行っている場合、古物営業法違反により逮捕される事例がある。

※販売業者として認定される基準[17]

(1)過去1ヶ月に 200 点以上又は一時点において 100 点以上の商品を新規出品している場合
但し、トレーディングカード、フィギュア、中古音楽CD、アイドル写真等、趣味の収集物を処分・交換する目的で出品する場合は、この限りではない。
(2)落札額の合計が過去1ヶ月に 100 万円以上である場合
但し、自動車、絵画、骨董品、ピアノ等の高額商品であって1点で 100 万円を超えるものについては、同時に出品している他の物品の種類や数等の出品態様等を併せて総合的に判断される。
(3)落札額の合計が過去1年間に 1,000 万円以上である場合

チケット・乗車券編集

転売対象が乗車券、入場券や観覧券などのチケット類である場合は、ダフ屋営業として特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律違反や迷惑防止条例違反や物価統制令で検挙される事例もあり、これは古物商許可とは無関係である(許可を取っていてもダフ屋営業に該当すれば検挙される)。

酒類編集

酒類の販売には酒類販売業免許が必要になる[18]

外国人の営業活動編集

販売国を住居としていない外国人が在留資格に反する形で転売を職業とした場合は、出入国管理法違反で逮捕された例がある[19]。この場合は、経営管理査証の取得が必要になる。

批判編集

商品供給の公平性などから問題視される例がある[20][21]。また、販売場所の周辺にテントなどを設営し長期間居続ける事も問題とされる[20]

2016年8月には、音楽業界団体により、チケットの高額転売に反対する意見広告が朝日新聞読売新聞に掲出され、この意見広告には、100組以上のアーティストが賛同人として名を連ねた[22]

インターネットスラング編集

同意語としてテンバイヤー(もしくは転売ヤー)というインターネットスラングが用いられる事もある[23]転売(てんばいちゅう)同様、多くは侮蔑的用法で用いられる。

転売に使われるツール編集

インターネットオークションなどにおいて転売によって利益を得る為には過去の落札相場を調べることが必要である。ヤフオクでも過去の相場を調べることは可能だが、過去90日分に限定されているため、多くの転売屋オークフリーオークファンなどのサイトを利用する。オークフリーやオークファンは過去何年分ものヤフオクに掲載されたデータを閲覧することが可能である。しかし、オークフリーやオークファンのサイトに掲載されている写真や文章は無断転載である。また、広告収入や有料会員によって対価を得ておりヤフオク側の規則[24]や対応[25]に反しているが、現状では見逃されている。

脚注編集

  1. ^ 愛・地球博記念公園「サツキとメイの家」観覧について”. 愛知県公園緑地課. 愛知県. 2007年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月17日閲覧。
  2. ^ 溝呂木佐季; 諏訪和仁 (2015年10月16日). “USJ、転売チケット使わせません 買い占めに強硬措置”. 朝日新聞デジタル. http://www.asahi.com/articles/ASHBJ4GMPHBJPLFA003.html 
  3. ^ “コンサートで顔パス!!顔認証でスピーディに入場”. NEC. http://jpn.nec.com/ad/onlinetv/concert.html 2016年9月4日閲覧。 
  4. ^ “NEC、顔認証で「ももクロ」チケット転売防止”. 日本経済新聞. http://www.nikkei.com/article/DGXMZO80664930Y4A201C1H56A00/ 2015年1月31日閲覧。 
  5. ^ ももクロのライブでも使われてる! 顔認証システムのメリットとは?”. 日経BP社 (2016年4月13日). 2016年5月11日閲覧。
  6. ^ 顔認証システム/コンサート・イベントのチケット転売防止”. 2016年5月11日閲覧。
  7. ^ 人気イベントのジレンマ 徹夜組と転売と”. animeanime.jp. 2012年1月9日閲覧。
  8. ^ ワンダーフェスティバル2004夏ガイドブック 参考
  9. ^ 京都で買い占められた「ロリーナ」人形、中国のサイトで販売……悪質転売、どう防ぐ 産経新聞 -ItmediaNews
  10. ^ 中国人が福袋を転売目的で買い占め、日本人が迷惑している
  11. ^ “羽生選手表紙の仙台観光ガイド 転売懸念「配布しないで」ファンら市に要望”. 河北新報ONLINE NEWS (2019年7月10日). 2019年7月15日閲覧。
  12. ^ “転売ヤー”に、Amazonが最後通告 Amazonで商品確保、ヤフオク空売り”. ITmedia (2008年5月22日). 2012年1月9日閲覧。
  13. ^ 東京駅、記念日に怒号 Suica販売中止、もう転売も”. 朝日新聞デジタル (2014年12月20日). 2015年12月1日閲覧。
  14. ^ 朝日新聞 2007年4月14日付け 参考
  15. ^ ビジネス特集 スニーカー “リセール” 市場が熱い! - NHK
  16. ^ 古物営業法FAQ”. 警視庁. 2013年6月28日閲覧。
  17. ^ インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン(消費者庁)
  18. ^ 無免許が横行、オークションで高値(毎日新聞)
  19. ^ 消えた「メリーズ」…中国人買い占め、転売で〝ボロもうけ〟 ついに捜査のメス 産経新聞 2014年10月27日
  20. ^ a b 【広島】抽選券配布でマツダに警察出動 転売屋対策には成果あったが…担当記者の目”. スポーツ報知 (2019年2月26日). 2019年3月2日閲覧。
  21. ^ 本当に願う人の元へ 御利益が届きますように… お守り転売で授与中止 毎日新聞 2019年11月12日
  22. ^ 太下義之 (2017年6月12日). “「チケット転売問題」の真の問題(上)~転売価格は不当なのか?~”. ハフポスト日本版. 2019年3月2日閲覧。
  23. ^ 転売目的で「EXILE」チケットを大量購入して逮捕…余ったチケットの売買もダメ? 弁護士ドットコム 2017年5月15日、同9月27日閲覧。
  24. ^ [1]利用規約 第1編 基本ガイドライン、2019年8月3日閲覧。
  25. ^ [2]オークションWeb API提供終了(2018年2月22日)のお知らせ、2019年8月3日閲覧。

関連項目編集