辰己涼介

日本のプロ野球選手 (1996-)

辰己 涼介(たつみ りょうすけ、1996年12月27日 - )は、兵庫県神戸市北区出身のプロ野球選手外野手)。右投左打。東北楽天ゴールデンイーグルス所属。

辰己 涼介
東北楽天ゴールデンイーグルス #8
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 兵庫県神戸市北区
生年月日 (1996-12-27) 1996年12月27日(27歳)
身長
体重
180 cm
74 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 外野手
プロ入り 2018年 ドラフト1位
初出場 2019年3月30日
年俸 8000万円(2024年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入り前 編集

神戸市立藤原台小学校1年時から神戸北リトルで野球を始めると、3年時から大淀ボーイズ[2]神戸市立有野中学校への進学後に神戸三田ドジャースへ所属した[2]

神戸三田ドジャース時代までは投手だったが、兵庫県立社高等学校への進学を機に外野手へ転向[3]。1年時からレギュラーの座をつかむと、対外試合通算で20本塁打を放ったが、甲子園には共に縁がなかった。2学年先輩には近本光司がいた[3]

立命館大学産業社会学部現代社会学科スポーツ社会専攻へ進学[4]硬式野球部に所属する。1年時の春からレギュラーに定着。2年時の日米大学野球代表メンバーにも選出された。在学中には関西学生野球のリーグ戦通算95試合に出場。打率.324(376打数122安打)、7本塁打、58打点、21盗塁、ベストナイン4回、首位打者1回の実績を残した。4年時には、春季リーグの対近畿大学戦(5月20日)でリーグ史上28人目の通算100安打とチーム通算38回目の優勝を達成[5]。秋季リーグ戦では、首位打者(打率.375)と盗塁王(7盗塁)のタイトルを獲得するとともに、通算の安打数をリーグ歴代2位の122本まで伸ばした[6]

2018年10月25日に行われたドラフト会議では、藤原恭大を抽選で外した東北楽天ゴールデンイーグルス阪神タイガース根尾昂を抽選で外した読売ジャイアンツ小園海斗を抽選で外した福岡ソフトバンクホークスから1位指名を受け、抽選の末に楽天が交渉権を獲得。11月9日に契約金1億円、年俸1500万円(金額は推定)の条件で仮契約した[7]。背番号は7[8]

楽天時代 編集

2019年は、春季キャンプから一軍に帯同。レギュラー右翼手の座をオコエ瑠偉と争った[9]末に、オコエと並んで開幕一軍入りを果たした。開幕戦の先発出場こそオコエに明け渡したが、3月30日の千葉ロッテマリーンズ(開幕第2戦、ZOZOマリンスタジアム)では9回裏の右翼守備で公式戦にデビュー。この試合で逆転本塁打を放っていたオコエに代わって、翌3月31日の第3戦で「9番・右翼手」として先発出場すると、2回表一死満塁で迎えた公式戦初打席で押し出し四球で初打点、4回表の第2打席で初安打、8回表の第4打席で四球による出塁から初盗塁を相次いで記録した[10]。その後は打率が2割台前半と低迷し、4月22日に出場選手登録を初めて抹消されたが、打撃フォームや走塁面の修正による復調を経て[11]5月3日に再登録。5月6日の対埼玉西武ライオンズ戦(メットライフドーム)に「2番・中堅手」として先発出場すると、3回表の第2打席で本田圭佑から一軍公式戦の初本塁打をバックスクリーンに放った[12]。さらに、2日後(5月8日)の対福岡ソフトバンクホークス戦では、1点ビハインドの9回裏一死満塁で迎えた打席で森唯斗からサヨナラ安打(中越え二塁打)を記録[11]。この一打が(一軍公式戦における当時の球団記録であった)最大7点差からの逆転勝利にも繋がったことから、5月度のパシフィック・リーグサヨナラ賞を受賞した[13]。6月13日の対広島東洋カープ戦(いずれも楽天生命パーク)では、同期入団の大卒捕手である太田光との間でアベック本塁打を記録[14]。「7番・中堅手」として出場した9月3日の対ソフトバンク戦(福岡ヤフオク!ドーム)8回裏には、同期入団の外野手で「8番・右翼手」に起用された小郷裕哉との間で連続本塁打を記録した[15][注 1]。翌9月4日の対ソフトバンク戦で2試合連続本塁打を放つ[16]など、一軍公式戦124試合の出場で4本塁打、25打点、打率は.229ながらチームトップ(リーグ9位タイ)の13盗塁を記録。チームの2年ぶり2019年のパシフィック・リーグクライマックスシリーズでは、ソフトバンクとのCSファーストステージ(ヤフオクドーム)でも全3試合の出場で1安打1得点を記録した。シーズン終了後の11月24日には、国内FA権の行使を経てロッテからの移籍を決めた鈴木大地がロッテ時代に続いて背番号7の着用を希望したため、背番号を「小学生、高校3年時、大学3年時に付けていた」という8に変更することが発表された[17]。12月4日、700万円増となる推定年俸2200万円で契約を更改した[18]

2020年は、104試合の出場で打率.223、8本塁打、28打点、11盗塁を記録した[19]。10月3日の対オリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)ではランニング本塁打を記録した[20]。11月27日、200万円減となる推定年俸2000万円で契約を更改した[19]

2021年は、開幕戦となる3月26日の対北海道日本ハムファイターズ戦(楽天生命パーク宮城)に1番で先発出場、1回裏の最初の打席で上沢直之の投じた初球を打つと打球は左翼スタンドに飛び込み、史上5人目となる「開幕戦初回先頭打者初球本塁打」を記録した[21][注 2]。自己最多の130試合に出場し、初めて規定打席に到達。10本塁打、32打点、6盗塁を記録したが、打率.225は規定打席到達者の中ではリーグ最下位だった。守備面では守備率.993(2失策)、外野手としては杉本裕太郎レオネス・マーティンに次ぐリーグ3位の8補殺を記録するなど、リーグ随一の俊足強肩の外野手として活躍し、ゴールデングラブ賞を初めて受賞した。なお辰己は球団創設17年目にして楽天の外野手のゴールデングラブ賞受賞者第1号となった[22]。1300万円増の推定年俸3300万円で契約を更改した[23]。またオフには右肘関節のクリーニング手術を受けた[24]

2022年は111安打、打率.271、11本塁打、35打点を記録。守備では2年連続でゴールデングラブ賞を受賞した[25]。同年6月12日の読売ジャイアンツ戦では史上21人目、且つ球団史上初の1イニング2本塁打を記録し、則本昂大の通算100勝をアシストした[26]。オフの12月29日の契約更改では2000万円増の推定年俸5300万円でサイン[25]。2023年1月11日に入籍を発表した[27]

2023年、4月23日の対日本ハム戦(楽天モバイルパーク宮城)で3-3の同点で迎えた延長11回一・二塁の打席で玉井大翔からサヨナラ二塁打を放ち、内星龍のプロ初勝利をアシストした[28]。8月25日の対ソフトバンク戦(楽天モバイルパーク宮城)では2-2の同点で迎えた延長10回一死一・二塁の打席で甲斐野央からサヨナラ二塁打を放ち[29]、同年は2度のサヨナラ打を放った。シーズン通算では自己最多の133試合に出場し、打率.263、9本塁打、43打点[30]。守備面ではリーグ1位の守備率.997の成績で3年連続ゴールデングラブ賞を受賞した[31]。オフの2024年1月25日の契約更改では2700万円増の推定年俸8000万円でサインした[30]

選手としての特徴 編集

 
守備に就く辰己
  • 大学時代に50m走5.7秒、一塁到達タイム3.71秒を記録した俊足の持ち主[32]。また遠投で125mを記録した強肩も兼備する[33]
  • 名字の辰を辰と間違えられることが多く、YouTubeで注意喚起の動画が公開されている[34]。さらに、2023年には同音異字の苗字を持つ辰見鴻之介が入団している。

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2019 楽天 124 369 314 42 72 12 2 4 100 25 13 3 10 2 39 1 4 101 4 .229 .320 .318 .639
2020 104 282 251 38 56 9 3 8 95 28 11 5 9 0 20 0 2 57 1 .223 .286 .378 .664
2021 130 443 374 49 84 13 1 10 129 32 6 6 11 1 51 0 6 99 7 .225 .326 .345 .671
2022 120 476 409 60 111 14 3 11 164 35 12 5 13 1 42 1 11 103 7 .271 .354 .401 .755
2023 133 495 434 45 114 16 5 9 167 43 13 4 8 1 40 0 12 99 3 .263 .341 .385 .726
通算:5年 611 2065 1782 234 437 64 14 42 655 163 55 23 51 5 192 2 35 459 22 .245 .330 .368 .697
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最多

年度別守備成績 編集



外野












2019 楽天 121 204 6 2 3 .991
2020 97 182 5 5 2 .974
2021 128 259 8 2 2 .993
2022 119 308 3 2 1 .994
2023 130 347 2 1 0 .997
通算 595 1300 24 12 8 .991

表彰 編集

記録 編集

初記録
その他の記録

背番号 編集

  • 7(2019年)
  • 8(2020年 - )

登場曲 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 同じ球団で複数の新人選手同士が一軍公式戦で連続本塁打を記録した事例は、ドラフト会議導入後(1966年以降)のパ・リーグ公式戦では初めて、セントラル・リーグを含めても1989年中日ドラゴンズ大豊泰昭山口幸司が9月11日の対ヤクルトスワローズ戦の3回に記録して以来2例目だった[15]
  2. ^ プロ野球全体での「開幕戦初回先頭打者初球本塁打」は2007年の高橋由伸以来となる14年ぶり、パ・リーグでは1970年の山崎裕之以来51年ぶりであった[21]

出典 編集

  1. ^ 楽天 - 契約更改 - プロ野球」日刊スポーツ。2024年1月25日閲覧
  2. ^ a b 立命大・辰己「欲しい」阪神スカウト、プロ注目大学NO・1外野手に熱視線/全日本大学野球」サンケイスポーツ、2018年6月12日。2019年3月3日閲覧
  3. ^ a b 兵庫の「ドラ1」に聞く【1】社高では先輩後輩 阪神・近本、楽天・辰己」神戸新聞、2019年1月1日。2019年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月20日閲覧
  4. ^ 硬式野球部の辰己涼介選手がプロ野球ドラフト会議で楽天から1位指名 |立命館大学」『立命館大学』2018年10月25日。2023年7月31日閲覧
  5. ^ 【関西学生】立命大が4季ぶり38度目の優勝 ドラフト注目の辰己は通算100安打達成」スポーツ報知、2018年5月20日。2019年11月25日閲覧
  6. ^ ドラフト1位候補立命大・辰己2冠!本田ばり「清々しい」」日刊スポーツ、2018年10月23日。2019年11月25日閲覧
  7. ^ 【楽天】ドラフト1位辰己涼介「甲斐キャノン」から盗塁決める 目標は「新人王」」スポーツ報知、2018年11月9日。2018年12月16日閲覧
  8. ^ 【楽天】ドラフト1位辰己、山崎武と松井稼が背負った背番号7「似合っているなと思いました」」スポーツ報知、2018年11月12日。2018年11月22日閲覧
  9. ^ 楽天1位辰己開幕スタメンへマルチ オコエとしのぎ」日刊スポーツ、2019年3月23日。2018年11月22日閲覧
  10. ^ 楽天ドラフト1位辰己、初物尽くしの初スタメン「楽しかった。チームに貢献できている」」Full-Count、2019年4月1日。2018年11月22日閲覧
  11. ^ a b 辰己「最高」人生初サヨナラ打で楽天10万ポイント」日刊スポーツ、2019年5月8日。2018年11月22日閲覧
  12. ^ 楽天ドラフト1位・辰己、待望のプロ初本塁打!「やっと出た、素直にうれしい」」スポーツニッポン、2019年5月6日。2018年11月22日閲覧
  13. ^ 楽天辰己「記憶に残る」5月度サヨナラ賞を初受賞」日刊スポーツ、2019年6月19日。2018年11月22日閲覧
  14. ^ 楽天新人の太田と辰己も貢献、切磋琢磨で球団新7発」日刊スポーツ、2019年6月13日。2018年11月22日閲覧
  15. ^ a b 楽天辰己&小郷 新人連発は89年以来2度目」日刊スポーツ、2019年9月3日。2018年11月22日閲覧
  16. ^ 楽天辰己が初の2戦連発「逆方向意識」左腕からも初」日刊スポーツ、2019年9月4日。2018年11月22日閲覧
  17. ^ 大地、楽天でも背番「7」 辰己は「8」に変更「“伝説の番号”にしてきたい」」スポーツニッポン、2019年11月25日。2019年11月25日閲覧
  18. ^ 楽天辰己700万増も「今年はほんまに挫折した」」『日刊スポーツ』2019年12月4日。2024年4月3日閲覧
  19. ^ a b 楽天辰己200万円減「球団からもほんまに頼むと」」『日刊スポーツ』2020年11月27日。2024年4月3日閲覧
  20. ^ 楽天辰己ランニング弾「屋根に入り込んだらあかん」」『日刊スポーツ』2020年10月3日。2023年2月22日閲覧
  21. ^ a b 辰己、球団史上初の開幕戦初回先頭打者弾!石井楽天“初ものずくめ”の白星発進」『サンケイスポーツ』2021年3月27日。2021年3月27日閲覧
  22. ^ 楽天・辰己が自身初のゴールデングラブ賞「目標の一つ」外野手では球団初」『BASEBALL KING』2021年12月2日。2021年12月2日閲覧
  23. ^ 楽天辰己涼介1300万円増「キャンプはフルスロットルで」手術経過も順調」『日刊スポーツ』2021年12月8日。2022年1月26日閲覧
  24. ^ 選手の手術に関して」『東北楽天ゴールデンイーグルス』2021年11月22日。2023年2月22日閲覧
  25. ^ a b 【楽天】辰己涼介は2000万円増の5300万円「契約してないの忘れてて…」年末駆け込み更改」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、2022年12月29日。2024年2月25日閲覧
  26. ^ 【楽天】辰己涼介が球団史上初1イニング2本塁打「則本さん100勝祝うため絶対打とうと」」『日刊スポーツ』2022年6月12日。2023年4月22日閲覧
  27. ^ 楽天・辰己が実業家の鈴木セリーナさんとの結婚発表 第一子も誕生 パジャマ姿で幸せ報告」『デイリースポーツ online』株式会社デイリースポーツ、2023年1月11日。2023年1月11日閲覧
  28. ^ 【楽天】辰己涼介、延長11回サヨナラ打!「多分打つ」予感通り」『スポーツ報知』報知新聞社、2023年4月24日。2024年2月25日閲覧
  29. ^ 【楽天】辰己涼介がサヨナラ打「満員御礼サイコー!!」今季本拠地最多の2万6372人来場」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、2023年8月25日。2024年2月25日閲覧
  30. ^ a b 楽天・辰己、2700万円増で更改 3年連続Gグラブ賞」『サンケイスポーツ』産経新聞社、2024年1月25日。2024年2月25日閲覧
  31. ^ 【ゴールデン・グラブ賞】楽天辰己涼介3年連続受賞「味方には安心感、相手には絶望感を」」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、2023年11月10日。2024年2月25日閲覧
  32. ^ ドラフト1位候補 立命大・辰己“赤星級”一塁到達タイム驚異の3秒71」デイリースポーツ、2018年10月21日。2019年11月25日閲覧
  33. ^ 楽天1位辰己レーザービーム125mに監督うなった」日刊スポーツ、2019年2月2日。2019年11月25日閲覧
  34. ^ 【拡散希望】辰己涼介選手からみんなに大切なお願いです。 - YouTube 東北楽天ゴールデンイーグルス公式YouTubeチャンネル 2021年4月12日公開。
  35. ^ 【楽天】辰己涼介が球団史上初1イニング2本塁打「則本さん100勝祝うため絶対打とうと」」『日刊スポーツ』2022年6月12日。2022年6月12日閲覧
  36. ^ 2022年シーズンの記録の回顧(打撃記録)」『日本野球機構』2022年6月13日。2022年6月14日閲覧
  37. ^ 選手登場曲」『東北楽天ゴールデンイーグルス オフィシャルサイト』。2021年3月28日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集