近田 義広(ちかだ よしひろ、1946年12月3日 - )は、日本天文学者。多体問題計算処理の提唱者であり、その後のGRAPE等の専用計算機時代を開拓した人物である。

研究分野 編集

専門は、電波天文学。自称「機械屋」。

天文学観測データのコンピュータ解析に関する業績で知られる。関わったプロジェクトは国立天文台野辺山ミリ波干渉計向けに開発されたFX型デジタル分光相関器VLBIVSOP計画Farm-Ship、重力多体問題専用計算機GRAPEアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計などである。このうちFX相関器やGRAPEは、コンピュータの汎用性をあきらめ、ある計算過程に特化したハードウェアを作ることで高速・低コストを実現したものである。FX相関器とそこから派生したGRAPEに対しては、電子情報通信学会マイルストーン[1]『天文学のための専用スーパーコンピュータ GRAPE』としてその功績が認められている。

野辺山宇宙電波観測所では、1980年代の早い時期から計算機利用の先駆けとなった。理学部天文学科時代(略歴参照)の指導教官小尾信彌から、「これからの天文学者は計算機が使えないといけないかも知れない」と言われたことが契機であるという。

このほか、人工衛星によって軌道上にフレネルレンズの薄膜を展開し、km級の大口径望遠鏡を実現するレンズアンテナを提唱している。

略歴 編集

関係者 編集

照明デザイナー近田玲子は妻。教育者近田廣司は実父。

出典 編集

  1. ^ 電子情報通信学会マイルストーン”. 電子情報通信学会 (2017年9月15日). 2017年9月19日閲覧。
  2. ^ KAKEN科学研究費助成事業データベース”. 国立情報学研究所. 2017年9月19日閲覧。
  3. ^ 近田義広教授退職記念ワークショップ”. 国立天文台 (2010年7月16日). 2012年4月10日閲覧。

関連項目 編集