逆エビ固め(ぎゃくえびがため)は、プロレス技の一種である。ボストンクラブBoston Crab)とも呼ばれる。

クリス・ジェリコによる逆エビ固め。

概要編集

 
山口利夫による逆エビ固め。

アメリカ人プロレスラー、ジム・ロンドスによって開発されたと言われている。フォール技であるエビ固め(ボストンクラブ)[1] を裏返したような形になるためリバース・ボストンクラブと呼ばれる。[要出典]

ただし、現在はエビ固めをボストンクラブと呼ぶことは少なく、ボストンクラブという名称は逆エビ固めを指すことがほとんどである。同様に元来片エビ固めを指すハーフ・ボストンクラブ、シングル・ボストンクラブは、現在では逆片エビ固め(後述)を指すことが多い。[要出典]

仰向けになっている相手の両足を、それぞれのわきの下にはさみこみ、そのまま相手の身体をまたぐようにステップオーバーして、相手の背中を反らせて背中・腰を極める。プロレスの基本技の一つ。片足だけを極める場合は逆片エビ固めハーフ・ボストンクラブ)と呼ばれる。逆片エビ固めでは足首や膝をも極める場合が多い(後述)。

日本では力道山時代から多くのレスラーによって使用されてきた非常にポピュラーな技であり、日本プロレスでは豊登全日本プロレスではジャンボ鶴田新日本プロレスで、坂口征二藤波辰爾がよく使用していた。また、ジャイアント馬場も日本プロレス時代にはよく使用していた。藤原喜明はマットに頭を付け倒立して身体を反転させて抱えられた脚をクロスした状態から相手を投げ飛ばすという返し技を開発して使っていた。平成以降では佐々木健介が2000年8月13日に新日本で開催された「G1 CLIMAX」決勝戦において対中西学戦でフィニッシュ・ホールドとして使用したことで注目を集めた。

かつて小中学校でプロレスごっこが流行っていた頃、この技による窒息で死者が出るほど非常に危険な技である。まだ体力の付いていない若手レスラーのフィニッシュ・ホールドとなる場合も多く、素人が遊び半分でこの技の真似をするのは避けるべきである。

2017年9月30日、総合格闘家Jonno Mearsが、英国で行われた総合格闘技大会FCC19の試合で使用してタップアウトを奪い話題になった[2]

派生技編集

逆片エビ固め編集

ハーフ・ボストンクラブとも呼ばれる。相手の片足を抱えて極める逆エビ固め。通常の逆エビ固め同様、数多くのレスラーによってフィニッシュ・繋ぎ技双方で現在に至るまで幅広く使用される。ランス・ストームカナディアン・メイプル・リーフの名称で使用していた。また旧UWF勢はジャパニーズ・レッグクラッチと呼称していた。相手の足首・膝を両手のクラッチを用いて極めることを主目的とした技であることから、通常の足首をホールドする本来の逆片エビと区別していた。一般的には同一の技として認識される。

逆片逆エビ固め編集

ブル中野のオリジナル技。逆片エビ固めと比較すると自身の体が逆になる。

ライオンテイマー編集

クリス・ジェリコの得意技。片膝立ちの逆エビ固め
相手の両足を持ち相手の体をひっくり返して相手の頭や背中に膝を押しつけて片膝立ちで行う高角度の逆エビ固め又は相手の後頭部に片膝を押し付けた状態で締め上げる高角度の逆エビ固め。
主に軽量級戦線で活躍したWCW時代までの決め手であったが1999年のWWE移籍後にウォールズ・オブ・ジェリコへ移行した。使用を辞めた理由は「ベテランにこの技をかけると嫌がるから」としている。だが2010年頃からは主に軽量級選手に対し稀に解禁している。WWEの実況からはウォールズ・オブ・ジェリコと同じ技として扱われている。

ウォールズ・オブ・ジェリコ (鯱式逆エビ固め)編集

クリス・ジェリコの代表的な必殺技。WCW時代の旧名はライオンテイマーで使用。WWEに移籍後はウォールズ・オブ・ジェリコ(エリコの壁)の名称で使用している。
WWEデビュー当初は腰を落とさずに行うのが特徴であったが、2001年頃からは普通の逆エビ固めと大差が無くなっていた。名前の由来はドイツのバンドHELLOWEENのデビューアルバム"Walls of Jericho"から。
クリス・ジェリコの立ったままでの逆エビ固め
相手が仰向けに寝ている状態で相手の両足首を自身の両脇下に挟み込み、そのまま自身が左に180度回転して、相手をうつ伏せの状態にする。相手の腰の辺りを跨ぐようにマットに立ち、そのまま自分の上半身を反り上げて、相手の体をエビ状態に反り上げ、相手の腰、又は角度を付けて首を痛め付ける技。
通常の逆エビ固めは相手の腰に座り込むが、この技は立ったまま反るのが違い。
相手が倒れている状態で相手の両足を取って倒す相手の体をひっくり返して決める逆エビ固め
ジェリコは背後から丸め込んでから掛ける、ライオンサルトに相手が膝を立てたところを着地し掛けるなどどんな体勢からでもこの技を使うことができる。なおこの技に限ったことではないが、ジェリコは昨今のWWEの選手ではあまり見られない関節技の際の審判への「ask him!」の問いかけを頻繁に行う(「ask him」を直訳すると「彼に聞け」となる。つまり、審判に対して「相手がギブアップするかどうか聞け」≒「ギブアップを促せ」という意味になる。技名の由来はヘブライ聖書。第2次UWF時代の中野龍雄は、逆片エビ固めで、この技を使用していた。内藤恒仁と対戦した際に使用した逆片エビ固めに対して専門誌が付けたネーミングであり、彼がこの方式の元祖である。まるで相手がのように反ることからこの名が着いた。

抱え込み式逆エビ固め編集

新日本プロレスに参戦していた頃のスティーブ・ウィリアムスが使用していた。後に天山広吉が本名の山本広吉時代に使用していた。相手の両足を、自らの胸の前で抱え込むように固めてかける。ヤングライオンがある程度成長してから、この技を使うことも多い。

腕取り式逆片エビ固め編集

川田利明が短期間使用していたオリジナル技。相手の片腕を、自らの足で巻き込んでハンマーロックに極めておき、同時に足を取って逆片エビ固めとの複合技に極める。後に格闘探偵団バトラーツ石川雄規が「情念固め」として復活させる。

腕極め式逆片エビ固め編集

ムイ・ビエン

ルチャ・リブレジャベの流れを組む技で、大原はじめが主な使用者。

腕極め式逆片エビ固め。
仰向けの相手の右腕を巻き込みながら反転させ、ハンマーロックを極めつつ右足を捉え、体重を掛けて背中を反らせる腕極め式逆片エビ固め。技名は「美味しい」「いいね」などの意味で使用される汎用性の高いスペイン語から。また、類似の技にドラゴンゲート斎藤了が使うサイクリング・ヤッホーがあるが、サイクリング・ヤッホーは腋に挟んだ脚とクロスさせる様に腕を極める点で異なる。

拷問逆エビ固め編集

自らが立った状態で逆エビ固めをかけながら、片足で相手の頭部を踏みつける技。逆片エビ固めで行う場合もある。1990年代前半の全日本プロレスでよく見られた技で、ジャンボ鶴田田上明、川田利明、渕正信らが挑発の意味も含めて使用していた。

ハース・オブ・ペイン編集

チャーリー・ハースのオリジナル技。

うつ伏せ状態の相手の両足を4の字固めで固め、さらに相手の左足を挟み込むように右足を折りたたんで、左足首を踏みつける。そのまま相手の右足首をつかんでマットに倒れこみ、ロメロスペシャルの体勢で相手を吊り上げる。

サソリ固め編集

長州力のオリジナル技。相手の両足をクロスして自分の足を差し込んで固定。そのまま跨ぐようにステップオーバーする。背中、腰に加え、両足の関節も決めていく。英名はスコーピオン・デスロックあるいはシャープシューター。

テキサス・クローバー・ホールド編集

テリー・ファンクのオリジナル技。日本名は四葉固め。両足を交差して自分の腕で固定して決める変形のサソリ固め。天龍源一郎小橋建太棚橋弘至ディーン・マレンコ、漫画『キン肉マン』のテリーマンなどが使用していた。

タランチュラ編集

TAJIRIのオリジナル技。ロープを絡めての逆エビ固め。ロープハング・ボストンクラブとも呼ばれる。反則技なので5カウントまでという制約があり、フィニッシュムーブとしては用いられない。

ラッソ・フロム・エルパソ編集

エディ・ゲレロのオリジナル技。変形テキサス・クローバー・ホールド。2002年の一時期にフィニッシュ技として使用したが、以後は全く出さなかった。

ブロック・ロック編集

【使用者】 ブロック・レスナーのオリジナル技。
マフラーホールドシングル・ボストンクラブの複合技。
自ら作り出した関節技であり、マフラーホールドとハーフ・ボストンクラブの複合技。レスナーのWWE退団直前に登場した技であり、結果一度も返されることがないままである。
相手にマフラーホールドで絞り上げてから、相手の上に乗り、ハーフボストンクラブの様に相手の腰、股関節膝関節にダメージを与える。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ エビ固めは港町であるボストン名物の大型甲殻類を模してボストンクラブというネーミングがなされたという。
  2. ^ Watch Jonno Mears channel WWE's Chris Jericho with a Boston Crab; what's next, a Camel Clutch?MMAjunkie 2017年9月30日

関連項目編集