遠山九字直違(とおやまくじすじかい)は、日本の家紋の「九字紋(くじもん)」または「直違紋(すじかいもん)」の一種である。主に、遠山氏が使用した。

とおやまくじすじかい
遠山九字直違


概要 編集

九字については、中世中国の神仙家の書物である『抱朴子』に記述されている。この九字がいつしか真言修験者忍者九字護法身の法として伝わる。この九字護法身の法は、大気上に横5本、縦4本で書き表すことから、それを用いて家紋にしたのではないかとも言われる。

使用 編集

近世以前には、美濃の遠山氏全体が主紋としていたようであるが、江戸時代以降苗木遠山家明知遠山家のそれぞれ宗家筋は丸に二つ引両紋を定紋とし、この九字の紋を替紋とした。[1]

『寛政重修諸家譜』第787巻によると、明知遠山家本家の景行家の家紋は以下と記載されている。

  • 定紋:丸に二引き
  • 替紋:丸に六本格子 補項として「寛永系図丸に九字に作る」と記載がある。

なお『寛政重修諸家譜』第787巻、遠山景吉(同文書項目中「今の呈譜、景好に作る」と記載あり)より始まる遠山景元家の家紋は以下の通り

  • 定紋:丸に六本格子
  • 替紋:丸に二引

成立 編集

 
くじにふたつひきりょう
九字に二つ引両

「遠山九字直違」の成立については定かではないが、『遠山家譜』には「祖先が禁中に奉仕した栄誉の記念に禁廷の蔀格子を紋章化した」とあり、1460年から1470年の間に成立したと考えられている『見聞諸家紋』に、明智遠山氏の紋として九字直違に先行する「九字に二つ引両」が掲載されている。

日本家紋研究会の高澤等は、その著書[2]で同族の加藤氏の弦巻紋に二つ引が加わり、合子箸紋(ごうすはしもん)から格子、さらに九字へと変化した可能性を指摘している。

脚注 編集

  1. ^ 寛政重修諸家譜』 第786巻 苗木遠山家の記述に「家伝に、はじめは丸に九字を用ふといふ。」とある。
  2. ^ 高澤等著『家紋の事典』 東京堂出版2008年

外部リンク 編集