選挙公報

選挙公報(せんきょこうほう)とは選挙に際して立候補した全ての候補者や政党政見などを記載した文書で、公費で有権者に配布されるものをいう。

目次

概要編集

公職選挙法第167条で選挙公報には「公職の候補者の氏名、経歴、政見等」を掲載することが規定されている。

国政選挙都道府県知事選挙においては公職選挙法第167条により必ず発行され、その他の地方選挙では同法第172条の2により選挙公報条例を制定する自治体において発行されるものの、都道府県議会議員選挙においては、8県において条例がなく発行されていない(2015年時点)[1]。公職選挙法第170条により投票日の2日前まで有権者のいる世帯に配布されることになっている。

配布手段としては新聞に折り込むほか、ポスティング業者やシルバー人材センターなどに委託して個別配布する場合が多い。近年、他のチラシなどとともに選挙公報の配布も拒否されるケースが発生している[2]

公報の原稿は原則として同じ内容のものを2部作って提出するように求めている。これは1つは印刷用で印刷会社に提出するもの。もう1つは各都道府県・市区町村の選挙管理委員会に提出してもらい、選管に保管するためである[3]

衆議院小選挙区選出議員選挙と参議院選挙区選出議員選挙及び地方選挙においては候補者個人が掲載文を届けることとなっている。また、衆議院小選挙区選出議員選挙と参議院選挙区選出議員選挙では候補者の写真を掲載しなければならない[注 1]。衆議院比例代表選出議員選挙と参議院比例代表選出議員選挙においては届出政党などが掲載文を届出ることになっている。

また、選挙公報において当選を得させない目的をもつて公職の候補者等に関し虚偽の事項を公にした者は5年以下の懲役刑若しくは禁錮刑又は100万円以下の罰金刑が、選挙公報において特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をした者は、100万円以下の罰金刑と、それぞれ刑事罰が規定されている(公職選挙法第235条の3)。

公的な書類として無味な部分がある反面、泡沫候補の選挙公報は独特のものが多く(手書きのものもある)、政見放送とともに好事家の間で人気が高い。

無投票当選となった場合や天災その他避けることのできない事故その他特別の事情がある場合は選挙公報の配布は行われない(公職選挙法第171条)。

インターネットでの選挙公報編集

総務省(旧自治省)はインターネット上での選挙公報の公開は、内容の改ざんなどの恐れがあるため認めていなかった[4][5]。しかし、2011年に発生した東日本大震災後に被災三県(岩手県宮城県福島県)の選挙では転居した人が多かったため、選挙公報を多くの人に届ける手段として、選挙公報を掲載することを特例で認め、改ざん対策も講じられるようになったため2012年12月16日実施の衆院選より全国で掲載されるようになった[4][5][注 2]

総務省の見解ではインターネットにおいての選挙公報の公開は選挙ポスターの掲示に準じた扱いとなっており、選挙終了後すみやかに公開を終了するのが適当とされている。そのため政治家が当選した後に示した公約を検証することが難しく、「政治家の言いっぱなし」になってしまうのではないかという懸念から、2014年夏より国内の大学生ボランティアが主体となって「選挙公報.com」が開設され、選挙公報のアーカイブが行われ、2015年統一地方選挙では複数の新聞からの取材を受けている[7][8]

寸法編集

大きさは新聞紙ブランケット版であり、衆議院小選挙区選出議員と参議院選挙区選出議員及び都道府県知事選挙において発行されるのは新聞紙の大きさの4分の1であるが、比例区にあっては候補者の数によって寸法は以下のようになっている。

  • 衆議院比例代表選出議員選挙
    • 1人-9人 - 1ページの4分の1
    • 10人-18人 - 1ページの2分の1
    • 19人-27人 - 1ページの4分の3
    • 28人以上 - 1ページ
  • 参議院比例代表選出議員選挙
    • 1人-8人 - 1ページの4分の1
    • 9人-16人 - 1ページの2分の1
    • 17人-24人 - 1ページの4分の3
    • 25人以上 - 1ページ

その他の選挙にあっては条例などで定めるところによる。

類似する公報編集

最高裁判所裁判官国民審査公報
最高裁判所裁判官国民審査に際しては審査対象の最高裁判所裁判官の経歴、最高裁判所において関与した主要な裁判、裁判官としての心構えなどを記載した公報が発行される。
憲法改正国民投票における国民投票公報
日本国憲法の改正手続に関する法律において、憲法改正案広報協議会が、憲法改正案・その要旨・解説など、また、憲法改正案を発議するに当たって出された賛成・反対意見を掲載した国民投票公報を発行するとしている。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 地方選挙では候補者の写真の掲載は任意。2007年東京都知事選挙で最下位落選した鞠子公一郎候補のように写真を提出しなかったケースもある。
  2. ^ ちなみに地方選挙では、2011年8月28日に投票が行われた仙台市議会議員選挙に於いて全国初となる選挙公報のインターネット公開に踏み切っている[6]

出典編集

  1. ^ “8県議選、公報なし 条例なく見送り 経費理由に否決も”. 47NEWS (共同通信). (2015年6月1日). http://www.47news.jp/47topics/e/265789.php 2017年10月16日閲覧。 
  2. ^ “「チラシお断り」に悩む選挙公報…都議選”. 読売新聞. (2009年7月10日). http://archive.is/w7yW1 2017年10月16日閲覧。  ※ 現在はウェブアーカイブサイトarchive.is」内に残存
  3. ^ “都選管、選挙公報を刷り直しへ 候補者の勘違いで930万円の出費”. 産経新聞. (2010年7月3日). https://web.archive.org/web/20100812101522/http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/100703/tky1007031133001-n1.htm 2017年10月16日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  4. ^ a b “選挙公報、ネット公開可能に=次期国政選挙から―総務省”. Yahoo!ニュース. 時事通信社. (2012年4月5日). https://web.archive.org/web/20120408083151/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120405-00000112-jij-pol 2017年10月16日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  5. ^ a b “選挙公報、ネット公開へ 次期国政選挙から選管HPに”. 朝日新聞. (2012年4月5日). https://web.archive.org/web/20120405172940/http://www.asahi.com/politics/update/0405/TKY201204050586.html 2017年10月16日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  6. ^ “仙台市議選 選挙公報、HPに掲載 全国初の取り組み”. 河北新報. (2011年8月22日). https://web.archive.org/web/20111019232919/http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1079/20110822_02.htm 2017年10月16日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  7. ^ 【統一地方選】選挙公報いつでも閲覧 選挙後も「選挙公報ドットコム」で検証 - 産経新聞 2015年4月12日
  8. ^ <統一地方選>選挙公報、ネットでいつでも 学生発案「公約言いっ放し防ぐ」 - 東京新聞 2015年4月23日《2017年10月16日閲覧;現在はインターネットアーカイブ内に残存》

関連事項編集

外部リンク編集