還元剤(かんげんざい、reducing agent、reductant、reducer)とは、酸化還元反応において他の物質を還元させる物質である。この際、還元剤自身は酸化する。

例えば、以下の反応では還元剤はヘキサシアニド鉄(II)酸(ferrocyanide)であり、これが電子供与体となってヘキサシアニド鉄(III)酸(ferricyanide)に酸化され、塩素塩化物イオンに還元している。

[FeII(CN)6]4- + 1/2 Cl2 → [FeIII(CN)6]3- + Cl-

有機化学においても先述の定義が当てはまるが、特に分子への水素の付加を還元と呼んでいる。例えばベンゼン白金触媒によってシクロヘキサンに還元される。

C6H6 + 3 H2 → C6H12

無機化学では、最も優れた還元剤は水素(H2)である。

酸化還元反応の例 編集

鉄の酸化;

4Fe + 3O2 → 2Fe2O3

この反応式では、鉄の酸化数は0から+3に増加し、酸素は0から-2に減少している。それぞれを半反応式で表すと、

  • 酸化の半反応式: Fe0 → Fe3+ + 3e
  • 還元の半反応式: O2 + 4e → 2 O2−

鉄は酸化数が増加し、酸素に電子を供給しているため還元剤である。酸素は酸化数が減少し、鉄から電子を受容しているため酸化剤である。

主な還元剤 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集