都市鉄道
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。(2023年5月) |
定義編集
「都市鉄道」に相当する言葉として、北米ではラピッド・トランジット(rapid transit、直訳すると「高速交通」[1])、世界的にはメトロがある(これらは「(日本の)地下鉄」の対訳としても使用される)。これらは「都市内で、他の交通機関の支障を受けず、平面交差を有するバスや路面電車等と比較して、高速度・大量輸送で運行される(鉄道・軌道系)交通機関」の総称である。
日本の都市計画法に規定される都市施設の一種である「都市高速鉄道」と同義である。
日本の都市鉄道等利便増進法(平成17年法律第41号)第二条第一項では「都市鉄道」の定義として「大都市圏(活力ある都市活動及びゆとりのある都市生活の実現に寄与するため鉄道の利用者の利便を増進することが特に必要なものとして国土交通省令で定める大都市及びその周辺の地域をいう。)における旅客輸送の用に供する鉄道」としている。具体的には、「大都市圏[2][3]」の範囲として同法施行規則(平成17年国土交通省令第82号)第一条において以下の範囲と定めており、これらの都市内における鉄道(地下鉄・高架鉄道など)の総称として「都市鉄道」が位置づけられる。
日本編集
三大都市圏における輸送人員は営業している路線延長が約2割であるのに対し、全国の約9割を占めており、旅客輸送の分担率は全体の過半数を超えている。課題として、路線の一部では約200 %もの混雑率になる場合がある為、この問題を解消するための取り組みをする必要があり[4][5]、その取り組みとして政府は都市鉄道輸送市場への支出を増加し、2031年までの10年間でCAGR(年平均成長率)が3 %拡大すると言われている[6]。その他にもコストや場所、騒音、二酸化炭素の排出量削減などの課題があり、プロバイダーや政策立案者にはこうした問題を考慮し課題を解消する事が求められている[6]。
モータリゼーションの進展によって1960年(昭和35年)以降、交通事故死者数が1万人を超えて増加し、交通戦争と呼ばれるようになり、また高度経済成長に伴って都市に人口が集中(過密)して交通渋滞や排出ガスによる大気汚染など都市問題が深刻化してきた。
そこで1968年(昭和43年)に施行された(改正)都市計画法第11条第1項において都市施設が規定され、その一つとして「都市高速鉄道」が明記された。「高速(度)鉄道」という用語は「ラピッド・トランジット」の訳として、都市計画法の前身である東京市区改正条例(1888年〈明治21年〉施行)に基づいた計画より使用されており、これが引き続き使用されているものである。都市圏内で鉄道路線を整備する、或いは鉄道路線を運行する多くの鉄道事業者が「高速鉄道」を名乗る[注釈 1]のはこれに起因している。
主な種類編集
地下鉄編集
一般的に地下鉄として認識されているものは、すべて都市高速鉄道として都市計画決定されたものである。既存のJRや私鉄の路線が地下鉄と同一の路線として都市計画決定されている場合は、当該路線に並行する形で複々線化として行われる場合が多い。
新交通システム編集
金沢シーサイドライン(国際港都建設計画都市高速鉄道第3号金沢シーサイドライン)などが挙げられる。
連続立体交差事業編集
高架化・地下化などの連続立体交差事業も都市高速鉄道として都市計画決定される。多くは各自治体の都市計画事業として施行する。これと併せて周辺地域の土地区画整理事業等の市街地開発事業を行うケースも見られる。
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ この場合の「高速鉄道」は新幹線のような(都市間を高速移動する)高速鉄道(high-speed rail)とは異なる。
- ^ また、日本の国土交通省では「東京駅から半径50km圏内(東京圏)」「名古屋駅から半径40km圏内(名古屋圏)」「大阪駅から半径50km圏内(大阪圏)」の鉄道路線網を「3大都市圏の鉄道」とみなしている
- ^ “都市鉄道の現状” (PDF). 国土交通省. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “国土交通省 都市鉄道の整備”. 国土交通省. 2021年10月26日閲覧。
- ^ “都市鉄道の現状” (PDF). 国土交通省. 2021年10月26日閲覧。
- ^ a b “都市鉄道輸送市場、2021年から2031年にかけて約3%のCAGRで拡大見込み”. PRTIMES. (2021年10月13日) 2021年10月27日閲覧。