酒類販売業免許(しゅるいはんばいぎょうめんきょ)とは、酒税法に規定される酒類の販売を行うための免許。卸免許と小売業販売免許がある。酒販免許ともいう。

種類 編集

卸免許 編集

酒類販売業者や酒類製造者に販売する免許。大きく分けて次の様な体系となる。

  • 全酒類卸売業免許
    • 全酒類を扱うことができる。
  • ビール卸売業免許
    • ビールのみを販売することができる。
  • 洋酒卸売業免許
  • 輸出入酒類卸売業免許
    • 輸出される酒類と輸入される酒類を扱うことができる。
  • 特殊酒類卸売業免許
    • 酒類事業者の特別の必要に応ずるためのもので、酒類製造者の本支店、出張所に対する免許、酒類製造者の企業合同に伴う免許、酒類製造者の共同販売機関に対する免許、期限付酒類卸売業免許。

小売業免許 編集

酒類を小売店等で販売するために必要な免許。大きく分けて次の様な体系となる。

現行 編集

  • 一般酒類小売業免許
    • 原則として、全ての品目の酒類を小売(通信販売を除く。)することが出来る酒類小売業免許をいう。
  • 通信販売酒類小売業免許
    • 2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、通信販売によって酒類を小売することができる。ただし「課税移出数量」が3000キロリットル以上で、日本国内の酒造メーカーが製造・販売する酒は、通信販売酒類小売業免許では扱えない。販売出来る品目は、日本産の酒は地酒等小さな製造場で製造されたもの、または輸入酒に限られる。
  • 特殊酒類小売業免許
    • 特殊酒類小売業免許とは、酒類の消費者等の特別の必要に応ずるため、酒類を小売することが認められる酒類小売業免許をいう。

廃止 編集

  • 大型店舗酒類小売業免許
  • みりん小売業免許
  • 船舶内酒類小売業免許
  • 駅構内等酒類小売業免許
  • 競技場等酒類小売業免許
  • 船用品等酒類小売業免許
  • 観光地等酒類小売業免許

問題点 編集

「一般酒類小売業免許」や「通信販売酒類小売業免許」が設定されたのは、1989年平成元年)6月1日であり、それ以前の酒類免許では、区分が無く「課税移出数量」が3,000キロリットル以上の日本で主要な酒造メーカーが製造・販売するビール製品(麒麟麦酒アサヒビールサッポロビールサントリー)でも、電子商取引での通信販売の際にも、品目・地域制限がかからない「無制限」な酒類免許である[1]

Amazon.co.jpセブンネットショッピングイオンアスクルなど、大手ECサイト事業者の中には、この「法の盲点」を突いて、昭和時代に発行された「酒類小売免許」を持つ法人名義の酒屋を買収し名義変更することや、自社店舗で保有している酒販免許の場所を移転することで、合法で旧制度の「ゾンビ酒類免許」を確保し、大手の小売店も含めて、インターネットでの通信販売を行っている[1][2]。一方で新規事業者が酒販免許を新規申請すると、事業範囲に制限が掛かり、旧来の酒販免許を取得する「抜け道」が利用できない事業者にとっては、公正な販売競争環境ではない状況が続いている[1][2]

また酒類のインターネット販売には、実店舗を営業していることが要件となっていることから、要件を満たすためにネットスーパー専用の倉庫など物流拠点に小型の「実店舗」を開設している[3][4]。これは医薬品のインターネット販売も同様である[3][4]

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集