釉薬
釉薬(ゆうやく、うわぐすり、釉、上薬、英語: glaze)は、陶磁器や琺瑯の表面をおおっているガラス質の部分である。陶磁器などを製作する際、粘土などを成形した器の表面に薬品をかけて生成する。粘土や灰などを水に懸濁させた液体が用いられる。
歴史編集
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陶磁器編集
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粘土でつくった器をそのまま焼いたものは「素焼き」と呼ばれ、表面が粗く、材質の異なる粘土を選ぶ以外には色を選ぶことが出来ない上、水を吸収しやすく用途が限定される。素焼きした陶器の表面に釉薬を釉掛け(くすりがけ、釉薬を付けること)して焼くと、表面をガラス質が覆い、小孔をふさぐために耐水性が増す。
また、ガラス質特有の光沢を得ることができ、様々な色や模様も得られる。これは、釉薬の中の長石が焼成時に溶け出してガラス質を形成し、金属成分が熱による化学変化を起こして色を付けるためである。
釉薬を絵具のように用い素焼きの陶磁器に模様を付ける(絵付けと呼ばれる)。昔は、粘土を水で溶いたものに木灰・わら灰を加えたもので、灰や粘土の中に含まれる金属成分によって色が付いていた。木灰については、薪ストーブ・薪を使った焼成窯などから比較的簡単に得られる。
わらについては、需要の減少に伴って流通も減っており、入手に手間がかかる状況になっている。このため、陶芸家の中には、農家と契約し安定的にわらを供給してもらっている者もいる。このような手間をかけて自己で灰から釉薬を作るのは陶芸家のこだわりそのものといえるが、分業化の進行とともに一般的でなくなってきている。
望む色を付けるためや色むらを防ぐため、釉薬にあらかじめ金属成分を溶かし入れることも行われる。 中には金属成分に人体に影響を与える鉛やカドミウムを含むものもあり、焼成温度を下げるなど製法次第では成分が溶出して問題になることもある[1]。
主な種類編集
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琺瑯編集
陶磁器と同じように釉薬を塗って焼成するものに琺瑯(ほうろう)がある。琺瑯は陶磁器と違い、下地に金属を使用している。また、陶器が保水性の確保のために施釉(“せゆう”と読む。釉薬を塗る、または釉薬に漬けること)するのに対し、これらの場合は主に金属の酸化を防ぐために行われている。
琺瑯の多くは、実用的な鍋や漬け物樽等に使用されており、軽いことなどから多くの家庭で使用されているが、琺瑯は衝撃などで釉が剥がれ落ちることがあり、扱いには十分注意を払わないといけない。
琺瑯特性の光沢や色合いを生かして、金属に繊細な絵付けを施し焼成したものも存在している。これは、七宝(しっぽう)と呼ばれるもので、実用的な使われ方よりも、女性のアクセサリーや、男性のネクタイピンなどの装飾品として使用されることが多い。七宝の釉薬は、主に珪石や硝石などの粉末に、出したい色に応じて、二酸化マンガン、酸化銅、重クロム酸カリ、酸化コバルトなどの金属を加えて作る[6]。
脚注編集
- ^ 鉛のとける陶磁器 三社に回収命令『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月17日朝刊 12版 22面
- ^ 『つくる陶磁器』編集部 編 1997, p. 73.
- ^ 『つくる陶磁器』編集部 編 1997, p. 60.
- ^ 『つくる陶磁器』編集部 編 1997, p. 101.
- ^ 『つくる陶磁器』編集部 編 1997, p. 55.
- ^ NHKBSプレミアム「極上美の饗宴」シリーズ世界が驚嘆したニッポン(2)「色彩の攻防七宝・飛躍の30年」2011年 11月 1日放送
参考文献編集
- 『つくる陶磁器』編集部 編 『すべてがわかる!:やきもの技法辞典』双葉社、1997年。ISBN 9784575300451。