野田正彰

野田 正彰(のだ まさあき、1944年3月31日 - )は、日本の精神科医評論家ノンフィクション作家[1][2]。専攻は比較文化精神医学[1][3][4]精神病理学文化人類学社会学が重なる分野を研究[4]

高知県出身。1980年にパプア・ニューギニア高地で比較文化精神医学的研究を行った[5]

目次

略歴編集

受賞編集

活動編集

パプアニューギニアソ連-ロシアにおける社会変動下の人々の精神病理学的研究。中国ベトナム東ヨーロッパにおける戦争加害者、戦争被害者の精神病理学的研究。日本の青少年、女性、中高年、老人の精神病理学的研究。災害救援学。庭園の文化論。園芸療法研究。

批判編集

月刊誌「新潮45」(2011年11月号)に「大阪府知事は『病気』である」を寄稿し、橋下徹大阪府知事を「演技性人格障害非社会性人格障害」と断言した。この記事に関して橋下は名誉を傷つけられたとして野田と新潮社に1100万円の賠償を求めた訴訟を起こすが、2016年4月、大阪高裁は「『うそを平気で言う。ばれても恥じない』などの逸話は当時の橋下を知る教員への取材や資料に基づいて書かれ、新潮社側には内容を真実と信じる相当の理由があり、公益目的もあった」として、橋下の請求を棄却し、新潮社側の逆転勝訴とした[11]。2017年2月、最高裁は橋下の上告を退け、野田と新潮社の勝訴が確定[12]

橋下は野田を

「頼んでもいないのに俺の精神鑑定を8流雑誌で勝手にしやがった8流大学教授が勉強不足を露呈していた」 「この大学教授は光市母子殺害事件の加害者について、母体回帰説なる珍説を唱え、無罪の根拠とし、このことが最高裁で反省の欠如と断罪され死刑となった。母体回帰説なる珍説を唱えた責任など微塵にも感じない俺の最も嫌いな無責任学者だ。野田正彰氏。もう評論家になったのか」

と厳しく批判している[13]


他にも野田は、2015年12月8日に行われた「浄土真宗本願寺派(西本願寺)福岡教区 戦後70年戦争犠牲者追悼法要」(於 筑紫女学園中学・高等学校講堂)における記念講演の中で、関東大震災について「戒厳令のもとで、徹底的な朝鮮人、中国人、土人労働者の虐殺が行われます。」と述べ、講演を活字化した冊子『戦後70年をふり返る』の中にもそのまま掲載された。これに対し、一部の寺院関係者から「土人労働者」とはレイシズム的差別用語ではないか等の指摘が為され、浄土真宗本願寺派(西本願寺)福岡教区では「確かに土人という表現は、先住民の方々などに対する蔑称、明らかな差別用語」と野田の過ちを公式に認め、謝罪文を各寺院に送付した[14]

著作編集

  • 『狂気の起源をもとめて―パプア・ニューギニア紀行』中公新書 1981
  • 『クライシス・コール 精神病者の事件は突発するか』毎日新聞社 1982 『犯罪と精神医療』岩波現代文庫
  • 『日本カネ意識 欲求と情報を管理するクレジット社会』情報センター出版局 1984
  • 『都市人類の心のゆくえ―文化精神科学の視点から』NHKブックス(日本放送出版協会) 1986
  • 『文化に囚われた心―不安からの脱出』人文書院 1987
  • 『コンピュータ新人類の研究』文藝春秋 1987 のち文庫
  • 『生きがいシェアリング―産業構造転換期の勤労意識』中公新書 1988
  • 『漂白される子供たち―その眼に映った都市へ』情報センター出版局 1988
  • 『経営者人間学: リーダーはいかにして創られるか』ダイヤモンド社 1988
  • 『リビア新書』情報センター出版局 1990 →改版『砂漠の思想ーリビアで考えたこと』みすず書房 2005
  • 『さまよえる都市人類―勤勉の快楽・消費の憂鬱』PHP研究所 1992
  • 『喪の途上にて―大事故遺族の悲哀の研究』岩波書店 1992 のち現代文庫
  • 『泡だつ妄想共同体―宗教精神病理学からみた日本人の信仰心』春秋社 1993
  • 『紊乱のロシア』小学館 1993 →改版.小学館ライブラリー 1996
  • 『国家とマロニエ―日本人の集団主義と個の心』新潮社 1993
  • 『災害救援の文化を創る―奥尻・島原で』岩波ブックレット 1994
  • 『中年なじみ』ダイヤモンド社 1994
  • 『経営者の人間探究―企業トップはいかにして創られたか』プレジデント社 1994
  • 『庭園に死す』春秋社 1994
  • 『中年の発見』新潮社 1994
  • 『ミドルの転機―続・中年なじみ』ダイヤモンド社 1995
  • 『ポストバブルの日本人』春秋社 1995
  • 『災害救援』岩波新書 1995
  • 『鏡の中の迷宮』春秋社 1996
  • 『わが街―東灘区森南町の人々』文藝春秋 1996
  • 『人生の秋は美しい』三五館 1997
  • 『聖ロシアの惑乱』小学館 1998
  • 『戦争と罪責』岩波書店 1998
  • 『気分の社会のなかで 神戸児童殺傷事件以後』中央公論新社 1999
  • 『国家に病む人びと―精神病理学者が見た北朝鮮、バルト、ガリシアほか』中央公論新社 2000
  • 『させられる教育―思考途絶する教師たち』岩波書店 2002
  • 『背後にある思考』みすず書房 2003
  • 陳真―戦争と平和の旅路』岩波書店 2004
  • 『共感する力』みすず書房 2004
  • 『なぜ怒らないのか』みすず書房 2005
  • 『砂漠の思想 リビアで考えたこと』みすず書房 2005
  • 『この社会の歪みについて―自閉する青年、疲弊する大人』ユビキタスタジオ 2005
  • 『子供が見ている背中 良心と抵抗の教育』岩波書店 2006
  • 『見得切り政治のあとに』みすず書房, 2008
  • 『教師は二度教師になる』太郎次郎社エディタス 2009
  • 『虜囚の記憶』みすず書房 2009
  • 『現代日本の気分』みすず書房 2011
  • 『うつに非ず うつ病の真実と精神医療の罪』講談社 2013
  • 『サビーナ 戯曲』里文出版 2014

共編著編集

  • 『錯乱と文化ー精神医学と人類学との対話』谷泰米山俊直共編 マルジュ社 1981
  • 『コンピュータリズム』内山喜久雄共編 同朋舎出版 1990
  • 『人活論―したたかな個人主義が社会を救う』江坂彰共著 徳間書店 1996
  • 『あの世とこの世 現代の世相』(編)小学館 1996
  • 『京都花の名庭散歩 四季折々の美を堪能する古都案内』水野克比古写真、共著 講談社カルチャーブックス 1997
  • 『災害救援の視点 神戸市長田区から世界へ』青木しげゆき,伊佐秀夫,池田清[要曖昧さ回避]共著 関西学院大学出版会 K.G.りぶれっと 2005
  • 『日本のマスメディアと私たち 対論』浅野健一共著 晃洋書房 2005
  • 『「麻原死刑」でOKか?』大谷昭宏,宮台真司,宮崎学,森達也共著 ユビキタ・スタジオ 2006
  • 『こどもに命の大切さを伝える』日野原重明,井垣康弘,磯貝曉成共著 関西学院大学出版会 K.G.りぶれっと 2007

脚注・出典編集

  1. ^ a b c 広報室編 『2009年度 関西学院大学教育フォーラム』 関西学院大学2009年7月17日http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_002936.html 
  2. ^ a b デジタル版 日本人名大辞典+Plus「野田正彰」『コトバンク朝日新聞社、2014年6月12日閲覧。
  3. ^ a b c d e 被災者の心に寄り添うために」、『メディカル朝日』2011年6月号、朝日新聞社2011年6月1日
  4. ^ a b c d 「野田正彰」、『現代社会学部教員一覧』 (京都女子大学)http://web.archive.org/web/20010227081055/http://ponto.cs.kyoto-wu.ac.jp/staff/noda.html2001年2月27日閲覧 
  5. ^ 野田正彰 1981, あとがき
  6. ^ 筆山」、『土佐中・高等学校同窓会 関東支部会報』2011年7月第50号、土佐中・高等学校同窓会関東支部2011年6月22日
  7. ^ a b c 最新ニュース”. 自治労北海道 (2011年2月8日). 2014年6月12日閲覧。
  8. ^ a b c d e f 「政策研修会『先生に元気を』」、『発表資料』 (長野県教育委員会)、2003年8月8日http://web.archive.org/web/20030922092106/http://www.pref.nagano.jp/kyouiku/kyousoumu/kensyu/030801.htm 
  9. ^ 『現代社会学部教員一覧』 京都女子大学http://web.archive.org/web/20010331062734/http://ponto.cs.kyoto-wu.ac.jp/#members2001年3月31日閲覧 
  10. ^ 野田正彰 「自死への差別、遺族にも ― 社会に非情な考え、宗教界の対応望む」、『中外日報』 (中外日報社)、2013年4月11日http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2013/0411rondan.html 
  11. ^ 橋下氏、新潮社に逆転敗訴 大阪高裁朝日新聞 2016年4月22日
  12. ^ 橋下氏の敗訴が確定 「新潮45」めぐる損害賠償訴訟朝日新聞 2017年2月2日
  13. ^ http://www.j-cast.com/2015/09/30246544.html?p=all
  14. ^ 菊池慈峰・芳村隆法「2018年3月19日 浄土真宗本願寺派(西本願寺)福岡教区関係者宛公文書 冊子『戦後70年をふり返る』に関するお詫びと訂正」

参考文献編集