鈴木康友 (政治家)

日本の政治家

鈴木 康友(すずき やすとも、1957年昭和32年〉8月23日[1] - )は、日本政治家

鈴木 康友
すずき やすとも
内閣府地方創生推進室より公表された肖像
生年月日 (1957-08-23) 1957年8月23日(66歳)
出生地 日本における郵船商船規則の旗 日本 静岡県浜松市
出身校 慶應義塾大学法学部
前職 コンサルティング会社役員
所属政党民主党→)
無所属
称号 法学士
リオ・ブランコ国家勲章英語版

浜松市旗 第26-29代 静岡県浜松市長
当選回数 4回
在任期間 2007年5月1日 - 2023年4月30日

選挙区静岡8区→)
比例東海ブロック
当選回数 2回
在任期間 2000年7月 - 2005年8月8日
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静岡県浜松市長(4期)、衆議院議員(2期)を歴任した。

来歴 編集

生い立ち 編集

静岡県浜松市生まれ。浜松市立広沢小学校浜松市立蜆塚中学校静岡県立浜松北高等学校慶應義塾大学法学部政治学科卒業。

松下政経塾、会社経営 編集

大学卒業後、松下政経塾に入塾し、1985年に卒塾(第1期生)[2]。松下政経塾の同期に野田佳彦(第95代内閣総理大臣)、逢沢一郎自由民主党衆議院議員)、横尾俊彦佐賀県多久市長)、小野晋也(元衆議院議員)、岡田邦彦ハーバード大学ケネディスクール研究員)らがいる。その後企画会社、コンサルティング会社を経営する。

政界へ 編集

1999年北脇保之衆議院議員が浜松市長選挙に出馬するため辞職。同年4月11日に行われた衆議院静岡県第8区補欠選挙民主党公認で出馬したが、自由民主党元職の塩谷立に敗れ、落選した。

2000年第42回衆議院議員総選挙静岡8区から出馬。前回敗れた塩谷を破り、初当選を果たす。2003年第43回衆議院議員総選挙では、静岡8区で前回下した塩谷に敗れるも、重複立候補していた比例東海ブロックで復活し、再選。2005年第44回衆議院議員総選挙では、静岡8区で再び塩谷に敗れ、比例復活もならず落選した。

浜松市長へ 編集

2006年12月、翌年4月の浜松市長選挙に出馬する意向を表明した[3]。鈴木の擁立は当時の浜松市長、北脇保之に反発する鈴木修スズキ会長、第1次浜松市行財政改革推進審議会会長)ら浜松経済界の意向によるものであった[4]2007年4月8日、浜松市長選挙で現職の北脇市長らを破り、当選を果たした。鈴木が獲得した203,923票に対し、北脇の得票数は192,293票であり、11,630票の僅差での辛勝であった。

2011年3月27日告示、4月10日執行の浜松市長選挙に出馬。立候補を届け出たのが現職の鈴木のみであったため政令指定都市では史上初の無投票で再選を果たした[5]。同年7月、ブラジル人が多く住む浜松市の市長として、多文化共生施策や同国の諸都市との都市間外交の推進、制度の充実に向けた国への働き掛けが評価され、ブラジル政府よりリオ・ブランコ国家勲章英語版を授与された[6]

2015年4月12日日本共産党推薦の候補を破り、3選[7]

行政区再編計画、4選出馬 編集

2018年11月24日、記者会見を開き、4選出馬を表明。市の7行政区の再編について「最後まで責任を持って完遂していく」と述べた[8]11月30日、行政区再編の賛否を問う住民投票条例案を市議会定例会に追加議案として提出[9]。12月13日、市議会は住民投票条例案を採決し、最大会派の自民党浜松が提出した修正案が賛成多数で可決された。市長選と同日に行われる住民投票では (1) 天竜区浜北区、その他の5区の合区による「新3区案」への再編を2021年1月1日までに実施することへの賛否、(2) 反対の場合に再編を同期日までに実施することへの賛否、の2つが問われることとなった[10][11]

2019年1月9日、自民党浜松市支部が擁立した山本遼太郎市議が任期満了に伴う市長選への出馬の意向を表明した。山本は新3区案に反対の立場であり、鈴木の掲げる行政区再編は選挙の大きな争点となる模様。自民党静岡県連は党本部に山本の推薦を上申済みであるが、1月10日、鈴木も党本部に出向いて推薦願を提出した[12]2月15日、共産党推薦の新人が出馬表明をした[13]2月28日公明党は自主投票を決定した[14]3月1日、自民党本部は鈴木、山本の双方に推薦を出さないことを明らかにした[15]。 投開票の結果、4選。静岡新聞社が期日前投票期間に行った出口調査によれば、自民党支持者の約56%、公明党支持者の約72%が鈴木に投票していたことが明らかとなった[16]

市長4選後 編集

2021年4月、自民党や地元政財界関係者が同年6月の静岡県知事選挙に鈴木の擁立論が浮上し、立候補へ向け準備を進めていたが、後援者から市政へ専念するよう説得を受ける形で立候補を取りやめた[17]

2021年9月10日指定都市市長会会長を務めていた林文子が任期途中で退任したことに伴う会長補欠選挙に立候補し、無投票当選[18]。任期は2022年3月31日まで。

2021年11月26日、指定都市市長会会長の任期満了に基づき久元喜造神戸市長が推薦により無投票当選した[19]

2022年10月25日、市の行政区再編に目処がついたことや、多選を考慮し翌年4月の市長選挙へ立候補せず退任する意向を示した[20]

2023年4月30日付で浜松市長を任期満了で退任。最終登庁日は4月28日となった[21]

市長退任後 編集

2023年6月1日付で山梨県顧問[22]浜松医科大学顧問[23]にそれぞれ就任。

2024年4月15日、川勝平太の辞職に伴い実施される静岡県知事選挙への立候補を表明した[24][25]

選挙結果 編集

2007年4月

※当日有権者数:人 最終投票率:66.86%(前回比:+13.47pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
鈴木康友49無所属203,923票49.0%
北脇保之55無所属192,293票46.2%
高林順56無所属19,783票4.8%日本共産党

2015年4月

※当日有権者数:637,020人 最終投票率:53.56%(前回比:-pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
鈴木康友57無所属265,234票79.6%
嶋田博66無所属68,007票20.4%日本共産党

2019年4月

※当日有権者数:647,801人 最終投票率:55.75%(前回比:+2.19pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
鈴木康友61無所属195,728票55.0%
山本遼太郎32無所属134,611票37.8%
野沢正司69無所属25,195票7.2%日本共産党

政策・主張・市政 編集

  • 「こども第一主義」、「くらし満足度向上計画」などの政策提言を実現させるため、市の行財政運営に対する改革を審議することを目的とし2007年8月17日、第2次浜松市行政改革審議会を発足させた。同行革審に対して、補助金や市の外郭団体の改革について諮問した。
  • 2007年6月15日の市議会の答弁では「地産地消の考え方を市民に示すために、市長公用車の更新の際、地元企業の車両を導入していきたい」と発言した[26]。また、北脇市政の下で行われた平成の大合併の際、旧天竜市から引き継いだ本田宗一郎記念館の建設を、新市に引き継ぐことで合併時に浜松市が公約した事業であったが、鈴木はこれを白紙とし、既存施設である旧二俣町役場を活用することで地元住民へ理解を求め、天竜地域協議会においても同意するとの答申を得た[27]
  • 鈴木は2013年から、地元企業の海外進出や農作物の輸出を推進するため、日本貿易振興機構(ジェトロ)に対し拠点の設立を要請していたが、2014年4月7日、浜松市内に「ジェトロ浜松貿易情報センター」が開設された[28]
  • 2020年4月1日、性的少数者LGBTなど)と事実婚のカップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入した[29]
  • 同年4月24日、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自身の5、6月の給与と6月の期末手当(ボーナス)を5割削減する考えを明らかにした。市議会5月定例会で可決されれば計280万円の削減となる[30]。 

関連書籍 編集

  • 市長の夢 19人の青年市長[31]日本ドリームプロジェクト(編)『市長の夢―19人の青年市長×きむ』いろは出版、2010年9月。ISBN 978-4902097344 

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年、231頁。
  2. ^ 鈴木康友プロフィール | 松下政経塾
  3. ^ 静岡新聞 (2006年12月23日). “統一地方選関連ニュース:鈴木康友氏、正式出馬表明 浜松市長選2氏激突へ”. 2008年6月1日閲覧。
  4. ^ 静岡新聞 (2007年1月1日). “統一地方選関連ニュース:浜松市長選 現職対経済界の構図”. 2008年6月1日閲覧。
  5. ^ 「浜松市 新産業創出に意欲 ― 無投票再選 鈴木市長に証書」中日新聞(中日新聞東海本社)2011年(平成23年)4月12日付朝刊 22面(浜松・遠州版)
  6. ^ 日 伯 交 流 協 会 - Aliança de Intercâmbio Brasil Japão:協会活動”. nippaku.hamazo.tv. 2023年4月4日閲覧。
  7. ^ ’15統一地方選:静岡市長選、田辺氏が再選/浜松市長選、鈴木氏が3選/浜松市議選、新議員続々と /静岡毎日新聞
  8. ^ “浜松市長が4選出馬表明 19年春の市長選”. 日本経済新聞. (2018年11月24日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38153680U8A121C1000000/ 2019年1月10日閲覧。 
  9. ^ “浜松・区再編、住民投票条例案提出 自民は修正案も検討へ”. 静岡新聞. (2018年12月1日). http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/572473.html 2019年1月10日閲覧。 
  10. ^ “浜松市、行政区再編へ前進 住民投票条例案を可決”. 日本経済新聞. (2018年12月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38908610T11C18A2L61000/ 2019年1月10日閲覧。 
  11. ^ “浜松市の区再編案、4月の住民投票へ説明会実施”. 日本経済新聞. (2018年12月25日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39362940V21C18A2L61000/ 2019年1月10日閲覧。 
  12. ^ “浜松市長選、現新対決へ 山本氏が出馬表明、共産も擁立調整”. 静岡新聞. (2019年1月10日). http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/586451.html 2019年1月10日閲覧。 
  13. ^ “共産が浜松市長選推薦”. 朝日新聞. (2019年2月16日). https://www.asahi.com/articles/DA3S13895179.html 2019年3月1日閲覧。 
  14. ^ “浜松市長選は自主投票=公明”. 時事通信. (2019年2月28日). https://web.archive.org/web/20190301074647/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019022801057&g=pol 2019年3月1日閲覧。 
  15. ^ “自民本部、鈴木氏と山本氏推薦せず 浜松市長選”. 中日新聞. (2019年3月2日). https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/tokai-news/CK2019030202000116.html 2019年3月6日閲覧。 
  16. ^ “自民支持の半数、鈴木氏に投票 浜松市長選 静岡新聞社出口調査”. 静岡新聞. (2019年4月12日). https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/621815.html 2019年4月12日閲覧。 
  17. ^ “鈴木浜松市長が静岡県知事選出馬断念…その舞台裏 川勝知事とスズキ会長は…”. 静岡朝日テレビ. (2021年4月12日). https://look.satv.co.jp/_ct/17445252 2022年10月22日閲覧。 
  18. ^ “新会長に浜松・鈴木氏 指定都市市長会”. 時事通信. (2021年9月10日). https://web.archive.org/web/20210910082225/https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091000819&g=pol 2021年11月30日閲覧。 
  19. ^ 指定都市会会長”. 静岡新聞 (2021年11月26日). 2022年5月15日閲覧。
  20. ^ “鈴木浜松市長「4期で退任を決断」 来春の市長選不出馬を正式表明”. 静岡新聞. (2022年10月25日). https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1141336.html 2022年10月25日閲覧。 
  21. ^ 大平要「市政16年「やりがいあった」 鈴木康友・浜松市長が最後の会見」『朝日新聞静岡版』、2023年4月28日。
  22. ^ 山梨県、前浜松市長の鈴木康友氏を顧問に」『日本経済新聞』、2023年6月1日。
  23. ^ 鈴木前浜松市長が顧問に 浜松医科大、統合などで助言」『中日新聞しずおか』、2023年6月1日。
  24. ^ 静岡新聞社. “鈴木康友前浜松市長 知事選出馬に意欲 近日中に最終決定|あなたの静岡新聞”. www.at-s.com. 2024年4月9日閲覧。
  25. ^ 【知事選】「やります!」前浜松市長の鈴木康友氏が出馬を正式表明(静岡)”. Daiichi-TV NEWS NNN (2024年4月15日). 2024年4月15日閲覧。
  26. ^ 浜松市議会会議録 平成19年6月定例会(第3回)-6月15日-12号
  27. ^ 浜松市役所 浜松市天竜地域自治センター. “浜松市/平成19年度 第6回天竜地域協議会 議事要点”. 2008年6月1日閲覧。
  28. ^ 日本経済新聞 (2014年4月7日). “ジェトロ、浜松で開所式 海外成功事例一つでも多く”. 2014年4月8日閲覧。
  29. ^ 浜松市パートナーシップ宣誓制度/浜松市
  30. ^ 渡辺真由子 (2020年4月25日). “新型コロナニュース 浜松市長給与 5割削減”. 中日新聞. https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/shizu_area/shizu_serial/list/2020/CK2020042502000193.html 2020年5月10日閲覧。 
  31. ^ 全国市長会 市長の夢 19人の青年市長 編集:日本ドリームプロジェクト 協力:全国青年市長会
  32. ^ 静岡県 政治団体名簿(平成25年12月31日現在)

外部リンク 編集

公職
先代
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 静岡県浜松市長
2007年 - 2023年
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