OECD各国及びロシア・コスタリカの年間平均労働時間の推移[1]
日本の年間総実労働時間数の推移(1947年~2019年)[2]
但し、不払い残業(サービス残業)や副業を除く。また、1969年以前はサービス業を除く規模30人以上事業所を対象とした数値である。1970年~1989年はサービス業を含む規模30人以上事業所を対象とした数値であり、1990年以降は規模5人以上事業所を対象とした数値である。

長時間労働(ちょうじかんろうどう)とは、労働時間が本来予定されている時間数と比較して特に長いこと、又はその状態を指す。

2020年現在、OECD加盟諸国において労働時間を比較した場合、2000時間(h)/年を超える国は、上位からメキシココスタリカとなっている[1]

かつて日本も、2000時間(h)/年を超えていたが、1992年以降は2000時間(h)/年を切り、2019年時点で1669時間(h)/年(サービス業を含む30人以上事業所を対象とした場合、1734(h)/年)となっている[2]

但し、パートタイム労働者を除いた場合は、2018年で2010時間(h)/年であり、平成期は2000時間(h)/年前後で推移している。更に業種別で見た場合、建設業運輸業郵便業は、2000時間(h)/年を超えている[3]。また、このデータは毎月勤労統計調査によるものであるが、あくまで企業側に認められた労働者に支払う労働時間に対する対価に対してのみである為、不払い残業(サービス残業)や副業は含まれない。労働者の自己申告に基づいた労働力調査によれば、2019年は1981時間(h)/年であり、2000時間(h)/年を切ったのは、2018年以降である[4][5][6]

労働時間は各種の法令等により上限が定められているが、実際の事業場ではこの上限を超えて使用者が労働者に労働させている例がままみられる。著しい長時間労働は、生産性の低下や、労働者の健康問題を引き起こすことから、長時間労働を規制するための法の枠組みが必要となる。

日本における状況編集

日本では、具体的にどのくらいの時間数を超えれば「長時間労働」にあてはまるかの明確な定義はないが、おおむね以下の指標が目安となる。

週間就業時間が60時間以上
総務省労働力調査」では「雇用者のうち週間就業時間が60時間以上の従業者の割合の推移」の項目があり、長時間労働を表す指標の一つとなっている。
月45時間以上の時間外労働
原則として三六協定による労働時間の延長の上限が月45時間となっている。これまで「労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成21年5月29日厚生労働省告示316号)で上限を定めてきたが、平成31年4月の改正法施行により、労働基準法の本則に盛り込まれた。
月60時間以上の時間外労働
割増賃金の割増率が引き上げられる。また労使協定に定めることにより、代替休暇の取得が可能となる。
月80時間以上の時間外労働
いわゆる過労死ラインと呼ばれる。脳・心臓疾患の場合、発症前直近の2~6ヶ月間の平均で80時間を超える時間外労働をしている場合には、その業務と発症の関連性が強いと判断され、労働基準監督署業務災害を認定する可能性が高くなる(平成22年5月7日基発0507第3号)。
月100時間以上の時間外労働
脳・心臓疾患の発症前月に100時間を超える時間外労働をしていた場合は、その業務と発症の関連性が強いと判定され、労働基準監督署が業務災害を認定する可能性が高くなる。

統計による日本における長時間労働の実態編集

 
週労働時間別男性労働者の内訳推移(1980年以降)
2012年以降は、平成27年版労働経済の分析にあるデータでなく、労働力調査(基本集計)よるデータである。[7][8]
 
週労働時間別女性労働者の内訳推移(1980年以降)
2012年以降は、平成27年版労働経済の分析にあるデータでなく、労働力調査(基本集計)よるデータである。[9][8]
 
週労働時間35時間以上の者の内、60時間以上及び49時間い以上の者の割合と週労働49時間以上労働者に占める60時間以上の者の推移(1980年以降、男女別)
2000年以降(2011年除く)は、平成27年版労働経済の分析にあるデータでなく、労働力調査(基本集計)よるデータである。[7][9][10][11]
 
週60時間以上男性非農林業農林業労働者の割合(年齢層別)の推移(2000年以降)[12]
 
週40時間以上非農林業男性労働者に占める週60時間以上労働者(年齢層別)の推移(2000年以降)[12]
 
週60時間以上非農林業女性労働者の割合(年齢層別)の推移(2000年以降)[12]
 
週40時間以上非農林業女性労働者に占める週60時間以上労働者(年齢層別)の推移(2000年以降)[12]
 
業種別労働者(非農林業雇用者)全体に占める週労働60時間以上の者が占める割合推移(2007年以降)[13][14]
 
週40時間以上労働者(非農林業雇用者)に占める週60時間以上労働者(年齢層別)の推移(2007年以降)[13][14]

厚生労働省の「令和元年版過労死等防止対策白書」[3]及び「平成27年版労働経済の分析」[7][9]と総務省統計局の「労働力調査(基本集計)」[8]によれば、週60時間以上の長時間労働者は以下の表のようになる。

1955年以降の傾向一橋大学経済研究所神林龍によれば、1955年以降の、週労働60時間以上の者が占める割合の傾向は、20%前半代にあった1956年をピークに高度経済成長期を通じて、第1次オイルショック後の1975年には10%近くまでとなり、減少傾向にあった。しかし、1976年からバブル景気の最中にある1988年まで増加傾向となった。そして、1987年労働基準法改正(法定労働時間を週48時間を週40時間への変更)を機に、バブル景気の最中にある1988年をピークに減少し、その後1998年2003年の間に増加したが、2004年以降は減少した[15]。そして、2008年以降は、労働力調査より10%を切っている状況であり、2019年時点で約6.4%であり、1955年以降最少の割合であった。
また、同じく2019年で週労働時間35時間以上労働者の内、月末週が60時間以上の者が、約9.6%(男性:約12.2% 女性:約4.5%)となっている。実数では約378万人(非農林業労働者に限れば374万人)いる。更に、週労働時間49時間以上の者を含めた場合、約1,069万人(非農林業労働者に限れば1,059万人)となり、約27.1%(男性:約32.9% 女性:約15.7%)となっている[16]。そして、過労死等防止対策白書によれば、長時間労働者には以下の傾向がある。

性別:男性が多く、女性が約2.51%(週労働40時間以上労働者に限った場合、約6.34%)に対して、男性は約10.33%(週労働40時間以上労働者に限った場合、約14.25%)であった。

年齢層:男性の場合、30前半~50代前半に多く、30代後半は約13.43%(週労働40時間以上労働者に限った場合、約16.26%)、40代後半は約13.11%(週40時間以上労働者に限った場合、約15.82%)であった。女性の場合、20代後半で週60時間以上就業している者の割合が3.64%(週労働40時間以上労働者に限った場合、約6.25%)と他の世代より高い傾向にある。更に、週労働40時間以上のフルタイム労働者に限った場合、65歳以上が14.29%と突出して高くなる。但し、年齢層に関しては、他と違い会社に雇われた者だけでなく、自営業者家族従事者が含まれている。

企業規模:企業規模が小さい程、高くなる傾向にある。

業種:高い順に①運輸業、郵便業(約15.52%)、②教育、学習支援業(約10.06%)、③建設業(約9.54%)の順に多い。但し、週労働40時間以上労働者に限った場合、「宿泊業、飲食サービス業」が約25.16%となり、業種トップの高さとなる。それぞれの業種に長時間労働者の比率が多い背景には、

  • ①運輸業、郵便業:出荷時に荷物が来るまで待ったり、納入時に納入するまでの間待つなどの「手持ち時間」の多さにある。特にトラックドライバーの長時間労働は問題視されており、国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果」によれば、手待ち時間の平均時間1時間45分であり、2時間超が約28.7%を占め、1時間超を含めると約55.1%であり、拘束時間が長いほど、手持ち時間が占める割合が高くなる[17]。更に、年間労働時間数は大型トラックは2604時間、中小型トラックは2484時間となっている[18]
  • ②教育、学習支援業:この業種に分類される代表的な職種は小中学校の教員である。教員の仕事は授業だけでなく、他にも仕事があり、それが多岐にわたる為、それらの業務を遂行する為、長時間労働になりやすい。更に、持ち帰り残業(風呂敷残業ともいわれる。)が多いことも指摘されている。実際に、文部科学省の委託調査より、週労働時間60時間以上の教員は、2016年で小学校教員は約33.5%、中学校教員は57.6%であった。小学校と中学校で異なるのは、部活道による所が大きい[19]
  • ③建設業:休日日数の少なさによる。その背景には、工期の問題にある。また、新国立競技場の施工管理をしていた23歳男性が月時間外労働200時間を超える長時間労働を背景に2017年3月に自死している[20]。実際に、建設現場の技術者で過労死ラインに当たる月時間外労働80時間以上の者は、2019年で約21.5%いる。45時間以上の時間外労働の者も含めた場合、約68.2%となる[21]
  • 「宿泊業、飲食サービス業」:背景には人手不足だけでなく、非正規社員の比率が高まったことによる正社員の業務負担のしわ寄せや休日を取りずらさが背景にある。そのため、全体では業種の中でワーストとならないが、週労働40時間以上のフルタイム労働者に限れば業種の中でワーストとなってしまっている。

であり、業種によって背景が違う[22]。また、企業規模よりも、業種による違いが大きい。

更に、業種や年齢層によって、長時間労働者の割合が違う故に、長時間労働者の多い産業や年齢層が労働短縮の恩恵に与れなかったことが、2005年前後から長時間労働が社会問題化していった要因の1つと神林龍は推測している[15]

日本における長時間労働の要因編集

長時間労働の発生する要因は、様々にあるが、その要因として以下が挙げられる[22]

  • 過重な時間外労働を発生させやすい法体制

最大の要因として、過重な時間外労働がある。日本における労働時間の上限は、1日につき8時間、1週間につき40時間である(労働基準法32条)。しかしながら、労働時間を延長する労使協定(いわゆる三六協定)を定めることができ(労働基準法36条)、また各種のみなし労働時間制を採用することにより、労働基準法32条にとらわれない労働時間設計が可能となっている。 時間外労働は三六協定で定めた上限時間数以内に収めなければならないが、三六協定には「特別条項」と呼ばれる例外措置が認められている。これを駆使すれば、事実上時間外労働の時間数に制限がないことが問題とされてきた。また労働者の側も、割増賃金を最初から安定収入として当てにした生活設計を描いている者も少なくない。

いわゆる「管理監督者」等、労働基準法41条に定める者については、32条、36条等労働時間に関する規制は適用されないため、一般に時間外労働やそれに伴う割増賃金の概念を考慮する必要はない。しかしながら、管理監督者であっても長時間労働が心身に著しい悪影響を及ぼすことには変わりなく、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務がある(平成29年1月20日策定労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)。近年は名ばかり管理職と呼ばれ、名称だけ役職がついているが、実態は管理職としての権限も与えられておらず、本来割増賃金の支払いの適用除外とされるべきではないのに割増賃金が払われていない従業員の問題が裁判でも多く取り上げられている。

みなし労働時間制を採用すれば、対象となる労働者については実労働時間にかかわらず事前に決めたみなし時間分の賃金を払うのみでよい。しかしながら、みなし労働時間制は採用するための要件や対象となる労働者の範囲が厳格に定められていて、本来対象とならない労働者(裁量権がない、外回り中に携帯電話等で管理されている、等)をみなし労働時間制の下で労働させることはできないこととなっている[23]厚生労働省「平成31年就労条件総合調査」[24]によれば、何らかのみなし労働時間制を採用している企業は14.2%であり、適用されている労働者の割合も約9.1%にとどまっている。みなし労働時間制が適用される労働者についても、使用者において適正な労働時間管理を行う責務がある(平成29年1月20日策定労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン[25])。

  • 日本型雇用システム(終身雇用・労使間のコミュニティ的性格)を維持する為

高度経済成長期に製造業を中心として形成された日本型雇用システムの特徴として、終身雇用がある。その為、企業で働く労働者が、不況時でも解雇を回避しようと抑制する働きがあった。しかし好況の場合は、人員を増やさずに、残業で対応した、つまり、労働者の雇用保障する代わりに、残業を前提とした業務体制や要員配置を維持したのである。そのため、2006年まで経済の状況によって、長時間労働者の割合が増減する流れがみられることも指摘されている[26]

また、日本の企業は労使が「雇い、雇われる」だけの関係(経済的関係)にとどまらず、共同性に基づく互助の関係(労使間のコミュニティ的性格)にある。それ故に、私生活より会社や仕事を優先するような考えが生じていった。更に、そのコミュニティ的性格により、不払い残業(サービス残業)や上司が帰るまで残業する「付き合い残業」が生じる要因の1つとなっている。

更に、日本の企業は、様々な仕事の状況に対応できるゼネラリスト的な能力が重視されつ傾向にある。その為、労働者間の仕事範囲が明確に区分されていない。このことも、集団志向的な価値観とあいまって、仕事を切り上げにくくしている。そして、人事評価においては、業績だけでなく意欲など「働きぶり」が評価されることが少なくない。

しかし、この雇用型システムは、男性正社員を主力として長時間労働で対応する働き方は、女性の社会進出拡大とともに、時代と相容れないところが表面化している。

  • 長時間労働に依存した業界慣行

長時間労働が生じてしまう背景に、上記の2つだけでなく、顧客・取引先との関係や業種特有の事情もある。例えば製造業情報処理業の場合、余裕のない納期が背景にあるが、飲食業サービス業の場合は背景が異なり人手不足だけでなく、非正規社員の比率が高まりったことによる正社員の業務負担のしわ寄せや休日を取りずらさが背景にあり、月曜日や金曜日が休日になった場合はさらに負担がかかる。そして、金融業保険業ノルマの高さであり、業種によって事情が異なっている。

そのため、企業における職場風土や労務管理の問題にとどまらず、社外(顧客等)との関係も含めて理解し、解消の努力をしなければならない。

日本における長時間労働への対策編集

2015年12月25日広告代理店最大手の電通で、女性新入社員が長時間労働による過労により若くして過労自殺した。(電通は、この過労自殺事件が起こる前にも、この事件とは別に過労自殺事件を起こしている。)この事件を受けて、法人としての電通及びその幹部が送検されたことが大きく報道され、長時間労働の問題が社会的に大きく注目されるようになった。

2016年12月26日に厚生労働省は「過労死等ゼロ緊急対策[27]を発表し、企業に長時間労働対策を求めると同時に、労働基準監督署等による取り締まりを強化する方針を発表した。あわせて、悪質な企業については企業名を公表するとして、その範囲も広くしている。

2017年4月に厚生労働省が発表した「平成29年度地方労働行政運営方針」においては[28]、長時間労働の抑制や過重労働による健康障害の防止がこれまで以上に強調され、労働基準監督署による臨検でも特に重視されている。

企業の側も、適切な長時間労働対策を行うことが求められている。労働時間の適切な管理や、業務の効率化・均等化はもとより、これまであった産業医による長時間労働者への面接指導の規定を改正して、2017年6月からは月100時間超の時間外労働をした労働者の労働時間等の情報を事業者が産業医へ提供することが義務化され、産業医が長時間労働者に対して面接指導を受けるよう勧奨することが、これまで以上に求められるようになった。

面接指導自体は、労働者本人の申出が起点となるものであるが、月100時間超の時間外労働をしなければならないほどの多忙な労働者が自ら申出ることは実際には考えにくいことから、企業の側から労働者の健康に対し適切に配慮することが必要となる[29]

平成31年4月の労働基準法改正により、時間外労働の上限規制が盛り込まれ、特別条項をもってしても月100時間、年720時間を超える時間外労働をさせることはできなくなった。

日本の官僚編集

中央官庁で勤務する官僚は、国会対応に追われ、連日の庁舎泊まり込みや月150時間ほどの時間外労働が常態化しており[30]残業を終えると深夜になることも珍しくないため、霞が関には午前1時でもタクシーが行列を作っている[31]。特に労働政策を所管する厚生労働省は、残業時間の長さから『強制労働』と揶揄されていることから、長時間労働の抑制対策に乗り出している[32]

また、中央官庁の官僚だけでなく、自衛隊等も含めた国家公務員全体で見た場合、2019年は約62万人の内約4万人が週60時間以上労働しており、比率にして約6.5%(週労働35時間以上の者に限れば約8.0%)である。更に49時間以上の者も含めた場合、約11万人となり約17.7%(週労働35時間以上の者に限れば約22.0%)となる[8]

日本の病院勤務医編集

厚生労働省が2016年12月に行われた「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によれば、病院勤務医の男性は41%、女性は28%が週60時間以上働いており、週80時間以上となると男性11%、女性7%となる[33]

勤務医約24万人のうち、長時間勤務の実態にある医師の多くは病院勤務医であり、特に20代・30代の男女、40代までの男性医師が特に長時間となっている。また、診療科等では産婦人科外科救急科等となっている。臨床研修医も長時間になりやすい傾向にある。更に医療機関種類別では大学病院において、特に勤務時間が長くなっている。長時間労働になる要因としては、急変した患者等への緊急対応、手術外来対応等の延長といった診療に関するもの、勉強会等への参加といった自己研鑽に関するもの等が挙げられる。更に、地域や診療科による医師の偏在があると考えられるため、医師が不足する地域や診療科においては、そのしわ寄せが個々の医師の負担を大きくさせてしまっているとも考えられる[34]

日本の弁護士編集

2018年版弁護士白書[35]によれば、1週間の労働時間が60時間超えの弁護士の割合は、約17.4%(週40時間超えて働いている弁護士に限れば約25.3%)である。更に、50時間超えて働く者も含めれば、約41.1%(週40時間超えて働いている弁護士に限れば約59.7%)であり、最も多い週労働時間帯は41時間~50時間の約27.9%(週40時間超えて働いている弁護士に限れば約40.5%がこの時間帯に当たる。)である。

週60時以上労働者が占める割合において、前述の病院勤務医に比べれば少ないが、非農林業男性労働者(約13.8%、2017年)に比べれば約1.26倍多い。また、弁護士活動で多く占めたのは、民事訴訟の約33.2%、弁護士会関係の会務活動や裁判等の弁護士活動を除いたその他の活動が約29.8%とこの2つの活動で約6割を占めた。

日本と他国における長時間労働者割合の比較編集

 
49時間以上長時間労働者の割合の国別状況(2005年以降最新年度)
 
49時間以上男性長時間労労働者の割合の国別状況(2005年以降最新年度)
 
49時間以上女性長時間労労働者の割合の国別状況(2005年以降最新年度)
 
49時間以上長時間労労働者の割合の男女差の国別状況(2005年以降最新年度)

パートタイマー自営業者も含めたILOのデータ[36]によれば、日本を含めた153カ国・地域の週労働49時間以上の長時間労働者の割合は以下の表のようになっている。日本は総合で152カ国・地域中67番目に少ない国であり、男性は86位、女性は59位であり、世界的に中位の位置にある。しかしながら、OECD諸国の中で見た場合は、下位に位置する。

また、世界全体の傾向としては、ヨーロッパ地域及びロシアが長時間労働者が少なく、特にロシア・東欧地域が低い傾向がある。これをもって冷戦時代に共産主義陣営に属した影響によるものと思われるが、その陣営に属していたモンゴルやベトナムは、冷戦時代に資本主義陣営に属していた日本やタイよりも長時間労働者の割合が高いため、地域的な影響が大きい。更に、国・地域別では、プエルトリコ・ブルガリアが低く、どちらの国・地域も男性が2%未満、女性が1%未満である。逆に高い国・地域は、イエメン・カタール・ブータンであり、男女とも50%以上ある。

そして、男女差であるが、多くの国は女性より男性の方が長時間労働者の割合が多いが、フィリピン、エルサルバドル、香港、ブータンは、女性の方が多く、特にフィリピンは女性の割合が男性より1.1倍以上ある。


  • シンガポールは週労働50時間以上労働者の割合(一部の国除き、2015年)
  • 日本のデータは労働力調査[37]より、算出した。労働者対象は、農林業や家族従事者や自営業も含む。
  • 中国のデータは無いが、2017年の都市部就業者の週労働48時間以上の者は約31.0%である[38]

OECDによる統計[39]より、非加盟国である中国(都市部)やインドを含めると、以下の表のようになる。日本は、OECD平均や中国(都市部)やアメリカより高い。また、2019年現在は労働力調査より約7.3%(15~64歳の農林業含めた労働者[家族従事者、自営業含める])であり、2015年時点でのアイスランドとほぼ同じである。

  • 中国(都市部)は2009年、ロシアとインドネシアは2010年、インドは2011年のデータである。

脚注編集

  1. ^ a b OECD DATA - Hours worked”. OECD. 2020年3月25日閲覧。
  2. ^ a b 独立行政法人労働政策研究・研修機構 (2020年). “図1-2 労働時間数 年間 (Excel,PDF)”. 2020年3月29日閲覧。
  3. ^ a b 厚生労働省 (2019-10-01) (PDF). 令和元年版過労死等防止対策白書 第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況 1 労働時間等の状況 (Report). pp. 2-9. https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/19/dl/19-1-1.pdf 2020年3月27日閲覧。. 
  4. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査 基本集計 3-5 年齢階級別平均週間就業時間及び平均月間就業時間(全産業就業者及び非農林業雇用者)(2000年~) (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年4月12日閲覧。
  5. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査 基本集計  2-3-2 産業,従業上の地位別平均週間就業時間及び延週間就業時間(2011年~)-第12・13回改定産業分類による (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年4月12日閲覧。
  6. ^ 本川裕 (2018年9月15日). “図録 労働時間の推移(各国比較)”. 社会実情データ図録. 2020年4月12日閲覧。
  7. ^ a b c 厚生労働省 (2015-09) (Excel). 平成27年版労働経済の分析 本文掲載図表(一覧/バックデータ) 第3-(1)-11図 雇用者の月末1週間の就業時間別内訳の推移(男性) (Report). https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/15/backdata/3-1-11.html 2020年4月11日閲覧。. 
  8. ^ a b c d 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査 基本集計 2-3-1 産業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(9区分)別就業者数(2011年~)-第12・13回改定産業分類による (DB,API)”. 2020年4月11日閲覧。
  9. ^ a b c 厚生労働省 (2015-09) (Excel). 平成27年版 労働経済の分析 本文掲載図表(一覧/バックデータ) 第3-(1)-12図 雇用者の月末1週間の就業時間別内訳の推移(女性) (Report). https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/15/backdata/3-1-12.html 2020年4月11日閲覧。. 
  10. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2024年1月31日). “労働力調査(基本調査) 表2-8-1 農林業・非農林業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(10区分)別就業者数(2000年~2010年) (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年5月6日閲覧。
  11. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査(基本調査) 表2-8-1 農林業・非農林業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(10区分)別就業者数(2011年~) (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年5月6日閲覧。
  12. ^ a b c d 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査(基本調査) 表2-9-1 農林業・非農林業,年齢階級,月末1週間の就業時間(9区分)別就業者数(2000年~) (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年5月6日閲覧。
  13. ^ a b 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査(基本調査) 表2-3-1 産業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(9区分)別就業者数(2011年~)-第12・13回改定産業分類による (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年5月7日閲覧。
  14. ^ a b 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2014年1月31日). “労働力調査(基本調査) 表2-3-1 産業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(9区分)別就業者数(2007年~2010年)-第12回改定産業分類による (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年5月7日閲覧。
  15. ^ a b 神林龍 (2010-03-31). “5 1980年代以降の日本の労働時間” (日本語). バブル/デフレ期の日本経済と経済政策 (慶應義塾大学出版会株式会社) 6: 168-169. ISBN 9784766416794. http://www.esri.go.jp/jp/others/kanko_sbubble/analysis_06_05.pdf 2020年5月10日閲覧。. 
  16. ^ 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室 (2020年1月31日). “労働力調査 基本集計 2-3-1産業,従業上の地位,月末1週間の就業時間(9区分)別就業者数(2011年~)-第12・13回改定産業分類による (DB,API)”. 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2020年4月12日閲覧。
  17. ^ “トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)”. 第3回トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会及びトラック運送業の生産性向上協議会. 厚生労働省労働基準局. (2016-02-19). pp. 23. http://www.mlit.go.jp/common/001128767.pdf 2020年4月13日閲覧。 
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関連項目編集