長谷川圭一
長谷川 圭一(はせがわ けいいち、1962年2月1日[1][2] - )は、日本の脚本家。静岡県熱海市出身[2]。
はせがわ けいいち 長谷川 圭一 | |
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プロフィール | |
誕生日 | 1962年2月1日(61歳) |
出身地 |
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出身校 | 日本大学芸術学部映画学科 |
活動期間 | 1997年 - |
主な作品 | |
テレビドラマ | 『霊魔の街』 |
アニメ |
『神撃のバハムート GENESIS』 『SSSS.GRIDMAN』 |
特撮 |
『ウルトラシリーズ』 『仮面ライダーシリーズ』 |
来歴編集
日本大学芸術学部映画学科卒業[3]後、未公開映画『朽ちた手押し車』で助監督デビュー。その後は『太陽にほえろ!』末期シリーズに参加後、美術部に転じ小道具・装飾係などの美術スタッフを務め[2]、『ゴリラ・警視庁捜査第8班』『バトルヒーター』『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』『ガメラ 大怪獣空中決戦』『ガメラ2 レギオン襲来』など多数の作品に参加する[4]。
1997年、本編装飾スタッフとしても参加していた『ウルトラマンティガ』第22話「霧が来る」で脚本家デビュー[5][1][2]。同年放送の『ウルトラマンダイナ』で初のメインライターを務め[注釈 1]、翌1998年の『デビルマンレディー』第11話「箱」からはアニメ作品の脚本も執筆するようになる[7]。
人物編集
実家は旅館の出入り業者で、母子家庭で育った。父は死んだと聞かされていたが、中学時代に離婚していたことを知る。また幼いころは、周囲から「怪獣キチガイ」と言われ、投石されるなど重度ないじめを経験した[8]。
装飾スタッフ時代は、仕事の合間に『ウルトラセブン』を想定したオリジナルの台本を書き続け、そのうちの数本は『ティガ』で書いたシナリオの原型となる[9]。
デビュー当初は、シナリオコンクールにも参加していたが落選。自分にはウルトラマンしか書けないと思っていたが、「自分が実際書くと、逆にウルトラマンっぽい話にならないので悩んだ」と語っている[9]。
好きなジャンルとしては、時空を超えた悲恋話やラブストーリーを挙げており[9]、作品別では『新世紀エヴァンゲリオン』のファンを公言している[10]。
監督の金子修介は、長谷川について特撮に対する情熱や馬力があると評しており、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』で起用した理由に挙げている[11]。金子が監督した『ガメラ 大怪獣空中決戦』では、美術助手として参加していた長谷川が大道具の準備をしながら怪獣映画に参加できることを喜んで大騒ぎしていたと証言している[11]。
作風編集
幼少時代の実体験や思想から、人間の悪さや心の闇、怨念が絡んだ設定を作品に盛り込むことが多く[12]、ハードかつシリアスで重いテーマを扱ったエピソードが多い。特に「正義感の暴走」というテーマは、初のメインを飾った『ダイナ』最終三部作の時期から現れており[13]、『ティガ』で「人間ウルトラマン」というテーマが掲げられた際に「ウルトラマンも怪物も紙一重の存在であり、完璧な超人ではなく人間がコントロールできない力の存在」といったスタンスを取っていた[14]。
アニメデビュー作となった『デビルマンレディー』には多大な影響を受けたと語っており[15][16]、映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』や『ウルトラマンネクサス』では「デビルマンの世界とウルトラマンの世界を融合させたいという気持ちがあった。感情移入じゃなくて恐怖の対象としての怪獣とウルトラマンを見つめなおし、ウルトラマンの中の闇の部分に踏み込んでいった」と語る一方で、「それはヒーローものとして正しかったかどうか」と述懐している[16]。
また、使用頻度の少なかったアイテムやゲストキャラクターの再登場を好んでおり、これは装飾スタッフ出身ゆえに小道具や登場人物への思い入れが強いためだという[17][18]。また『ウルトラマンメビウス』では、GUYSクルー全員の主役回を書くことと、マイナー怪獣を登場させることを自身のテーマとしていた[1]。
前述のように極太な作劇を見せる一方で、当時小学生だった長男から「よくこんなホン通ったね」と言われたという[19]。
作品リスト編集
テレビ編集
特撮編集
- ウルトラシリーズ
- ウルトラマンティガ(1996年 - 1997年)全52話中8本執筆※デビュー作[注釈 2]
- ウルトラマンダイナ(1997年 - 1998年、メインライター)全51話中14本執筆
- ウルトラマンガイア(1998年 - 1999年)全51話中8本執筆
- ウルトラマンコスモス(2001年 - 2002年)全65話中2本執筆
- ウルトラマンネクサス(2004年 - 2005年、シリーズ構成兼任)全37話中15本執筆
- ウルトラマンメビウス(2006年 - 2007年)全50話中9本執筆
- ULTRASEVEN X(2007年)第8話のみ
- ウルトラギャラクシー大怪獣バトル(2007年 - 2008年)全13話中4本執筆
- ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(2008年 - 2009年)全13話中3本執筆
- ウルトラマンギンガ(2013年、シリーズ構成兼任)全11話中5本執筆
- キューティーハニー THE LIVE(2007年 - 2008年)第12話のみ
- 仮面ライダーシリーズ
- 仮面ライダーW(2009年 - 2010年)全49話中20本執筆
- 仮面ライダーフォーゼ(2011年 - 2012年)全48話中8本執筆
- 仮面ライダードライブ(2014年 - 2015年)全48話中14本執筆
- 仮面ライダーゴースト(2015年 - 2016年)全50話中14本執筆
- 仮面ライダーセイバー(2020年 - 2021年)全48話中19本執筆(最多執筆) / 最終章にはヒューマギア役として出演
テレビドラマ編集
- マジすか学園3(2012年)
- AKBホラーナイト アドレナリンの夜(2015年 - 2016年)
- 霊魔の街(2017年、メインライター)
アニメ編集
- デビルマンレディー(1998年 - 1999年)
- THE ビッグオー(1999年 - 2000年)
- ゾイド -ZOIDS-(1999年 - 2000年)
- ZOIDS新世紀Ø(2001年)
- 奇鋼仙女ロウラン(2002年 - 2003年)
- ロックマンエグゼ(2002年 - 2003年)
- アストロボーイ・鉄腕アトム(2003年 - 2004年、メインライター[20])
- 火の鳥(2004年)
- ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU(2005年 - 2006年)
- ゲゲゲの鬼太郎(第5作)(2007年 - 2009年、第26話までのシリーズ構成兼任)
- 墓場鬼太郎(2008年)
- VIPER'S CREED(2009年)
- 神撃のバハムート GENESIS(2014年、シリーズ構成)
- SSSS.GRIDMAN(2018年、全話執筆)
- ゲゲゲの鬼太郎(第6作)(2018年 - 2020年)
- SSSS.DYNAZENON(2021年、全話執筆)[21]
映画編集
- ウルトラシリーズ
- ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち(1998年)
- ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦(1999年)
- ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY(2000年)
- ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET(2002年)
- ウルトラマンコスモス2 THE BLUE PLANET ムサシ(13才)少年編(2002年)
- ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE(2003年)
- ULTRAMAN(2004年)
- ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟(2006年)
- 大決戦!超ウルトラ8兄弟(2008年)※避難所の負傷者として、カメオ出演
- ウルトラマンサーガ(2012年)
- ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル(2013年)※シリーズ構成
- ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!(2014年)※シリーズ構成
- ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年)※横谷昌宏、金子修介と共同。
- TAKAMINE〜アメリカに桜を咲かせた男〜(2011年)
- ぼくが処刑される未来(2012年)
- 009ノ1(2013年)
- グリッドマン ユニバース(2023年)[22]
オリジナルビデオ編集
- 仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル(2011年)[注釈 3]
- 仮面ライダードライブ シークレット・ミッション type ZERO 第0話 カウントダウン to グローバルフリーズ(2014年)
- ドライブサーガ 仮面ライダーマッハ(2016年)
小説編集
- 小説・ウルトラマンダイナ 平和の星・ジ・アザー(2000年、オークラ出版、2019年にオークラ出版文庫より再販)
- 小説 仮面ライダードライブ マッハサーガ(2016年、講談社キャラクター文庫)※監修。執筆は大森敬仁。
- 小説 ティガ・ダイナ&ウルトラマンガイア 超時空のアドベンチャー(2018年、講談社キャラクター文庫)
- ウルトラマンダイナ
未来 へのゼロドライブ(2020年、早川書房)※谷崎あきらと共筆。 - 便女神(2021年、ブイツーソリューション)
その他編集
- ネット版 仮面ライダーフォーゼ みんなで授業キターッ!(2012年、ネットムービー)
- ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE Episode:TIGA(2019年、フォトストーリー)[23] ※設定協力:谷崎あきら
- ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE Episode:ZERO(2021年)
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ a b c 宇宙船編集部 編 編「メビウス世界の匠たち CHAPTER1 脚本 長谷川圭一」『ウルトラマンメビウス アーカイブ・ドキュメント』円谷プロダクション 監修、朝日ソノラマ〈ファンタスティックコレクションNo.∞〉、2007年6月30日、80頁。ISBN 978-4-257-03745-3。
- ^ a b c d 別冊 2021, pp. 76–77, 「長谷川圭一」
- ^ TAKAMINE スタッフ
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, p. 395.
- ^ 『宇宙船YEAR BOOK 1998』朝日ソノラマ〈宇宙船別冊〉、1998年4月10日、43頁。雑誌コード:01844-04。
- ^ 少年宇宙人 2015, p. 147.
- ^ 別冊, p. 81, Staff&Cast 長谷川圭一
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, p. 403-404.
- ^ a b c コミックボックス 1998, p. 44.
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, p. 396.
- ^ a b 「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃完全攻略 金子修介監督インタビュー」『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃超全集』構成 間宮“TAKI”尚彦、小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2002年1月10日、34頁。ISBN 978-4-09-101481-8。
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, pp. 400–403.
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, p. 399.
- ^ 少年宇宙人 2015, p. 150.
- ^ 地球はウルトラマンの星 2000, p. 412.
- ^ a b 少年宇宙人 2015, p. 150-151.
- ^ コミックボックス 1998, p. 45.
- ^ 少年宇宙人 2015, p. 146.
- ^ 電撃特撮通信 2000, p. 111.
- ^ “アストロボーイ・鉄腕アトム”. 手塚治虫公式サイト. 2016年5月19日閲覧。
- ^ “「SSSS.GRIDMAN」の制作陣が再集結!新作アニメ「SSSS.DYNAZENON」制作決定”. コミックナタリー (ナターシャ). (2019年12月14日) 2019年12月14日閲覧。
- ^ “劇場版「グリッドマン ユニバース」2023年公開、手首を見つめる響裕太のビジュアル”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年8月26日) 2022年8月26日閲覧。
- ^ “新プロジェクト始動。その名も『ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE』。そのフォトストーリーのプロローグがホビージャパン12月号より掲載! 執筆するのはなんとあの長谷川圭一氏…!”. ULTRAMAN公式サイト. ヒーローズ (2019年10月25日). 2020年2月16日閲覧。
参考文献編集
- 『コミックボックス vol.106「特集・日本特撮の現在 君はウルトラマンティガを見たか?」』ふゅーじょんぷろだくと、1998年。
- 『地球はウルトラマンの星』ソニー・マガジンズ、2000年。ISBN 4-7897-1539-6。
- 『電撃特撮通信 Vol.2』メディアワークス、2000年2月20日。ISBN 4-8402-1466-2。
- 切通理作・原田昌樹 編『少年宇宙人 平成ウルトラマン監督・原田昌樹と映像の職人たち』二見書房、2015年。ISBN 978-4-576-14117-6。
- 『宇宙船別冊 SSSS.GRIDMAN』〈ホビージャパンMOOK〉2019年2月1日。ISBN 978-4-7986-1859-3。
- 『宇宙船別冊 SSSS.DYNAZENON』ホビージャパン〈ホビージャパンMOOK〉、2021年10月1日。ISBN 978-4-7986-2607-9。
外部リンク編集
- 長谷川圭一 (@dinahasegawa) - Twitter
- 長谷川圭一 - 日本映画データベース
- 長谷川圭一 - 日本映画データベース - 美術・装飾
- Kei'ichi Hasegawa - IMDb(英語)
- Kei'ichi Hasegawa - IMDb(英語) - 美術
- 長谷川圭一 - MOVIE WALKER PRESS