間接差別

間接差別(かんせつさべつ、: indirect discrimination)は、直接に差別的な条件や待遇差は設けていないが、結果的に格差がつくような状況。結果平等の立場から批判する際に用いられる概念

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解説編集

間接差別とは、異なる扱いを受けていなかったとしても、異なる状況にある人々に対して同じ扱いを行うことによって生じる差別のことをいう[1]

現在男女雇用機会均等法の改正で新たに間接差別の禁止を規定する方向にある。しかし下記の例の場合で言えば、理工系を希望する女性自体が少ない現実を考慮せず、この結果生じた差を差別だとするのはおかしいとする指摘が、結果平等を批判する側からしばしば出される。さらに地位が上がるという事は、それだけ重要な役職に就くこと、つまり、より高い業績と重責を負うことが前提条件のため、地位だけ求めて能力が伴わないとモラルハザードになってしまう。下記のような俸給などの待遇要求のみならず、適材適所の観点からすれば、経験もない文卒が理系研究職を求めるほかにも理系出身者が法卒中心の訟務部を希望するなども同様である。

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日本では、夫婦は婚姻時に同姓とする民法の規定があり選択的夫婦別姓制度は導入されていないが、これも間接差別であり男女平等に反するとの議論もある。民法の規定は、夫又は妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択にゆだねているものの、実際には妻の側が改氏する割合が全体の96.1%[2]であり、これは女性の間接差別に当たり、男女平等に反する[3][4][5][6][7][8]、との主張である。また、日本を含む130カ国の賛成で国連1979年に採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」では選択的夫婦別氏の導入が要求されている[3][4][8][7][9][10][11]

また、昇進すると残業や出張が増える企業は少なくないが、いまだに多くの女性が家事や育児などの負担を負わされやすい現状においては、これは女性が昇進を敬遠する結果と成り得る。また、就職の機会には理学部・工学部などの学部(いわゆる理系)の出身者の方が恵まる場合も少なくないが、今日の日本においてこれらの出身者には男性が比較的多く、女性の就職率が男性に比べて低くなる結果となる。他にも、研究者にはマスター以上の学位が必要であることが多いが、学位(特に博士号)所持者には男性が多く、そのため研究者の割合が男性より低くなる結果となる。 そこで、これらの事柄は間接的女性差別と考えられることがある[要出典]

海外の動向編集

初めて間接差別という概念が登場したのは、米国における1971年のGriggs事件連邦最高裁判決であり、1964年公民権法第7編の解釈として、「差別的効果(disparate impact)法理」が確立した。その後裁判例を積み重ね、1991年公民権法に差別的効果に関する規定が設けられた。

アメリカにおいて生成、発展した差別的効果法理の概念はヨーロッパに渡り、間接差別と呼ばれるようになった。欧州共同体(EC)の1976年男女均等待遇指令第2条第1項で「均等待遇の原則は、直接的であれ、間接的であれ性別、特に婚姻上又は家族上の地位に関連した理由に基づくいかなる差別も存在してはならないことを意味する」と規定している。

英国カナダスウェーデンなどでは、間接差別禁止が法律に明記されている。たとえば、英国の「性差別禁止法」(Sex Discrimination Act)(1975年)における間接差別の定義は「経営者が男女平等だと主張する規定や基準、慣行を適用しても、それにより不利益を受ける割合が女性のほうが相当大きく、かつ経営者がその規定や基準や慣行が『性別とは関係がなく正当性はある』と立証できず、なおかつ女性にとって不利益なもの」である。

国連女子差別撤廃条約では、間接差別も直接差別と同様に性差別に当たると定めている。尚、日本は国連の女子差別撤廃委員会CEDAW)から「間接差別の禁止の法制化」について、1994年2003年に勧告を受けている。

なお、英国の「性差別禁止法」の定義にも見られるように、間接差別に関する議論においては男性が受ける差別が想起されておらず、男女平等ではないと批判されている。

脚注編集

関連項目編集