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阪急6300系電車(はんきゅう6300けいでんしゃ)は、阪急電鉄特急形電車京都本線特急運用に充当するために設計・製造され、派生番台である6330形(6330系)の8両編成1本とあわせて8両編成9本計72両が製造された。

阪急6300系電車
阪急 6350 (4378192997).jpg
京都線特急運用の6300系(2010年)
基本情報
運用者 阪急電鉄
製造所 アルナ工機
製造年 1975年 - 1978年
1984年(6330F)
製造数 64両
8両(6330F)
運用開始 1975年
1984年 (6330F)
2009年4月2日 (嵐山線)
投入先 京都線・嵐山線
主要諸元
編成 4両・6両(かつては8両)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 京都本線: 110 km/h
嵐山線: 70 km/h
起動加速度 2.4 km/h/s (45km/hまで)
減速度(常用) 3.7 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
編成定員 728(立席)+432(座席)=1,160人(8両)
編成重量 253.4 t
248.6 t (6330F)
全長 19,000 mm
全幅 2,850 mm (先頭車)
2,809 mm (中間車)
2,808 mm (6330F中間車)
全高 4,040 mm
4,095 mm (6800形、6330、6830)
車体 普通鋼
主電動機 直流直巻電動機(TDK8550-A)
直流複巻電動機 (TDK8580-A,6330F)
主電動機出力 140 kW × 4 (4M4T, 4M2T)
150 kW × 4 (6330F)
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
WN駆動方式 (6330F)[1]
編成出力 2,240kW (4M4T、4M2T)
2,400kW (6330F・4M4T)
1,120kW (2M2T)
制御方式 抵抗制御・直並列組合せ制御
界磁チョッパ制御 (6330F)
制御装置 ES767
ES773EM (6330F)
制動装置 発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ (HRD-1D)
電力回生優先ブレーキ付き電気指令式ブレーキ (HRDA-1) (6330F)
保安装置 AF軌道回路方式ATS
デッドマン装置
Wikipedia blueribbon W.PNG
第19回(1976年
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本項では、解説の便宜上大阪梅田方先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述する(例:6350以下8両編成=6350F)。

概要編集

京都線特急で運用されていた2800系は予備車無しでのフル稼働状態が続き、車両検査時にロングシート車による代走を余儀なくされることがあり[2]、乗客から苦情が寄せられていた。2800系を1編成増備する案も持ち上がったが[2]、登場から10年以上が経ち陳腐化が進んだため、新たにデザインを一新した特急車を新造することとなり、1975年に6300系が登場した。

1976年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した[3]。2018年(平成30年)現在、阪急のブルーリボン賞受賞車は本系列が唯一である。

2008年より廃車と嵐山線への転用が始まり[4]、2010年には京都線特急での運用を終了した。2011年からは内装を京町家風に改装した観光列車「京とれいん」の運転が開始されている[5]

車体外観編集

片側2箇所の両開き扉を両端に寄せ[6]、扉間に転換クロスシートを配置した[2]。扉間には2連式の一段下降窓を配置、寸法は従来車より上に30mm、下に20mm拡大した[7]。車体は普通鋼製で、寸法は堺筋線への入線を考慮せず、京都線専用としてP-6に準じ、全長19,000mm・車体幅2,800mmとなり、阪急の高性能車では最大となった[8]

塗装はマルーンを基本に、屋根肩部分にアイボリーを入れて差別化を図った。屋根塗装はマルーンを引き立たせる目的で採用されたが、スイスの登山電車における赤い車体・白い屋根の配色が発想の原点となっている[8]。当初は屋根全体をアイボリーで塗装していたが、運用開始後の工場入場時に手違いで屋根が灰色で塗装された際、却って減り張りが効くとして踏襲され、以降はアイボリーの鉢巻塗装となった[8]。アイボリー塗装は8000系以降の新造車で標準となり、後に6000系・7000系や5000系リニューアル車にも採用された[8]

竣工当初は塗り分け線の位置が20mm程度下だったが、前面の種別・行先表示器部分で途切れて感じが悪かったことから、6351Fは正面塗り分け線の位置変更テストを行った[9]。のちに全車に全部の塗り分け線の位置を変更した[10]

乗務員室の拡大で直後の客室は窓のない壁となり、「H」のイニシャルマークが装着された。マークは当初「阪急」と漢字での表記が検討されたが、最終的には阪急百貨店の女性従業員がつけていたブローチをモチーフとしてデザインされた[11]

前面形状は2200系と同一仕様ではあるものの、貫通扉から前照灯尾灯標識灯回りをステンレス製の飾り板付きとして差別化を図った。計画段階では前面ガラスをパノラマウィンドウにする案もあった[12]が、実際は従来と同じ形状となった。

前面表示器は2200系と同様に、左(車掌台側)が行先表示器で、右(運転台側)が種別表示器として配置されている。その理由は、堺筋線直通車としても運用されている3300系などの行先表示器が車掌台側に設置されているのに合わせたためである。前面表示器の位置は2200系以降の通勤車より20mm程度上に設置されている。

内装編集

 
京都線特急運用時代の車内

主に特急で使用されることから、座席は運転室直後の2人掛けロングシート以外は全席クロスシートとしている。クロスシートは扉に接する部分以外は全て転換式で、終点での折り返しの際には運転室のスイッチ操作で一斉転換が可能である。また、ラッシュ時以外は扉部分に設けられた補助席を使用できる。また、切妻部の窓が廃止されて長距離列車の趣きも備える。

座席表地は一般車と同じゴールデンオリーブ(緑)色であるが、段織モケットとして差別化を図った。クロスシート上部にはレザー製のカバーが装着されている。座席の袖はデコラ張りとされた。

落成当時は車内吊り広告無しで、1990年代に使用され始めたが、広告は他系列[13]と異なり片面1種類のものが使用され、数は一般車が1両あたり6列なのに対し4列と少ない。また、各扉上の広告・路線図掲示スペースは、他系列では出っ張りであるが、本系列だけは窪んでおり、扉上部のカバーを開けて内側から取り替える。

主要機器編集

(1988年1月17日 梅田駅 - 大宮駅間)

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主要機器面では、設計当時の京都線一般車である5300系を基本としている。

運転機器編集

運転台主幹制御器は、2200系と同様にワンハンドル式が採用された[14]。導入に際しては開発した東京急行電鉄の協力を得ており、当時の阪急社員が実際に東急で操作を体験している[10][7]

本系列の導入当時、特急に充当されていた2800系では主幹制御器とブレーキが分離しているツーハンドル式であり、さらに当時の特急の停車駅は梅田方面から十三駅大宮駅烏丸駅のみであり、十三駅 - 大宮駅間では運転士が約30分もの間左手で主幹制御器ハンドルを握り続けなければならなかった(定速制御装置により105km/h以上を出すにはマスコンを押し込んで回す必要があり、手を離すと速度が落ちると同時に、デッドマン装置が作動してしまう)ことで、運転操作上安全性に問題があるとされたことから、ワンハンドル式が導入された。

主幹制御器の電源操作は、京都線車両では逆転ハンドルの着脱、神宝線車両は鍵式であったが、ワンハンドル式の採用を機に鍵式で統一された。また、ハンドル右側に電気笛の押しボタンが設置されている。握り棒下部の灰色のレバーがデッドマンスイッチとなっており、左右いずれかでハンドルを握っていればデッドマン装置は作動しない。

走行機器編集

走行機器は5300系と共通の東洋電機製造製で、制御方式は抵抗制御 (ES767) 、主電動機は出力140kW (TDK8550-A) ×4、駆動方式はTD平行カルダン駆動方式(一部資料ではWN駆動方式[14])を採用する。

ブレーキ装置は発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ(HRD-1D)を装備する。

パンタグラフは下枠交差式で、中間電動車の6800形に各2基が搭載される。

6330形編集

 
デビュー2日目の6330
(1984.1.2 梅田にて)
(1987年12月11日 河原町駅 - 十三駅間)

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高槻市駅茨木市駅付近の連続立体交差高架)工事が開始されると、徐行運転のために所要時間が延び、運用本数が1本多く必要になったことから、1984年に8両編成1本が追加製造された。当時増備途上の7300系と同じ界磁チョッパ制御を採用し、形式も区別されて6330形または6330系と呼ばれる[3]

車体は6300系とほぼ同様であるが、前面表示幕の高さが20mm下がり、2200系や6000系と同じになった[9]

制御装置や運転台へのバイパスブレーキボタン、天井空調吹出し口のラインフロー化、貫通ドアのガラス寸法拡大、界磁チョッパ制御など7300系アルミ車に準じた仕様となっている。座席袖はモケット張りに変更、補助椅子は運転台からの操作で一斉に施錠・解錠が可能となった[2]

電動車は編成両端に組成され、両先頭車は制御電動車とされた[3]。先頭電動車の車両番号は、20番台を飛ばして30番台の6330・6430とされた[3]。当時は10両編成運転が2両増結・10両固定の両面で検討されており、固定10両編成が採用された際は6300系に6820・6920を組み込むと想定していたためである[9]。6330形では6840・6940を組み込むとしていた[9]

主要機器は7300系と同様の界磁チョッパ制御 (ES773-E-M) を採用し、主電動機出力も150kW (TDK8580-A) 、電気指令式ブレーキは電力回生優先ブレーキ付きのHRDA-1となっている。駆動方式は、京都線用車両としては唯一[要出典]WN駆動方式が採用されている[1]。パンタグラフは制御電動車の6330形と、中間電動車の6830形に搭載される。

6330Fは製造所のアルナ工機から国鉄線甲種輸送された最後の阪急車両でもあった[1]

形式編集

  • 6350形 (Tc) (6350 - 6357、8両)
大阪方の先頭に連結される制御車。
  • 6450形 (T'c) (6450 - 6457、8両)
京都方の先頭に連結される制御車。
  • 6800形 (M) (6800 - 6807、6810 - 6817、16両)
6900形とユニットを組む中間電動車。パンタグラフと制御器を搭載。
  • 6900形 (M') (6900 - 6907、6910 - 6917、16両)
6800形とユニットを組む中間電動車。電動発電機 (MG) と空気圧縮機 (CP) を搭載。
  • 6850形 (T) (6850 - 6857、6860 - 6867、16両)
付随車。運転に必要な機器は搭載されていない。

編成は同時期に登場した神戸線2200系と共に阪急では初めて両端の先頭車が付随車となった。制御車(Tc)・電動車(M・M’)・付随車(T)の3つで構成されており、この構成は後に2013年に登場した1000系・1300系でも採用されている。

2017年9月に新形式呼称が制定され、残存している形式の呼称が変更された[15]。6350形・6450形は一括して「Tc6350形」、6800形は「M6800形」、6900形は「M6900形」となった。


以下は6330形(6330系)の形式。新形式呼称は、制定時点で廃車済のため存在しない。

  • 6330形 (Mc) (6330、1両)
6330Fの大阪方先頭に連結される制御電動車。6930とユニットを組む。パンタグラフと界磁チョッパ制御器を搭載。
  • 6430形 (M'c) (6430、1両)
6330Fの京都方先頭に連結される制御電動車。6830とユニットを組む。MGとCPを搭載。
  • 6930形 (M') (6930、1両)
6330とユニットを組む中間電動車。MGとCPを搭載。梅田方から2両目に連結。
  • 6830形 (M) (6830、1両)
6430とユニットを組む中間電動車。パンタグラフと界磁チョッパ制御器を搭載。
  • 6950形 (T) (6950・6960・6970・6980、4両)
付随車。6850形よりわずかに軽量化されている。

製造編集

6300系は、1975年から1978年までの間に合計8両編成8本の64両が製造された[2]。編成は4M4Tで、両先頭車が制御車となっている。

← 大阪
京都 →
竣工
Tc M M' T T M M' Tc
6350 6800 6900 6850 6860 6810 6910 6450 1975年7月[3]
6351 6801 6901 6851 6861 6811 6911 6451 1976年2月[3]
6352 6802 6902 6852 6862 6812 6912 6452 1976年9月[3]
6353 6803 6903 6853 6863 6813 6913 6453 1976年11月[3]
6354 6804 6904 6854 6864 6814 6914 6454 1977年3月[3]
6355 6805 6905 6855 6865 6815 6915 6455 1977年9月[3]
6356 6806 6906 6856 6866 6816 6916 6456 1978年1月[3]
6357 6807 6907 6857 6867 6817 6917 6457 1978年9月[3]

1984年には6330形の1編成(6330F)が増備された。6300系と同じく4M4Tだが、電動車は先頭車を含む両端に配している。

← 大阪
京都 →
竣工
Mc M' T T T T M M'c
6330 6930 6950 6960 6970 6980 6830 6430 1984年1月[3]

変遷編集

1980年代前半まで大宮駅と西院駅ではホーム有効長が7両分しかなかったため、ドアカットスイッチが設けられていた。このドアカットは上り・下りとも進行方向の最後尾車両のみで、ホーム延伸の際に装置は撤去された。ドアカットを実施していた時期には、両先頭車の扉の戸袋部分にドアカットする旨を表示したステッカーが貼付されていた。

種別表示幕の「急行」の表示については、2200系と同様に当初は白地に赤文字で 急行 の表示( 特急 の反転)であったが、1982年に黒地にオレンジ文字の表示 急行 に変更された[16]。しかし、黒地に白文字の 普通  表示と区別しにくいとの苦情を受け、「急行」表示は1992年に現行の快速急行と同じオレンジ地に黒文字 急行 に変更された。

1987年には、全編成の京都方先頭車の連結部にカード公衆電話が設置された。特別料金不要の列車への採用は日本初である[17]

1992年9月のCI導入による新社章制定により、旧社章と「H」のイニシャルは撤去されて新社章のステッカーが貼付された。1994年から翌年にかけては、乗務員室後方に縦長の小窓を設置する改造が施工された[17]。その理由は、「格好ばかりで窓がないのはけしからん」という乗客からの声が新聞の投書欄に掲載されたためである[10][11]。小窓は7300系などとは異なり、複層ガラスを使用した固定窓となっている[18]

1996年頃、6330Fの両先頭車の並形自動連結器密着連結器に交換された。連結器交換は6350F、6353Fでも実施されている。

転用改造車編集

嵐山線編集

6351F - 6353Fの3本は、2008年から2009年にかけて嵐山線向けに4両編成に変更し、内装などをリニューアルした[19]。観光客の利用が多い路線での運用となるため、リニューアル後は2扉セミクロスシートとなった。リニューアル車両は2009年4月2日より嵐山線にて営業運転を開始し、同線で運用されていた2300系を置き換えた[20]

乗降扉の窓ガラスは下方に拡大、社章はステンレス切り抜き式に変更され、旧社章の場所と同じく車両番号表記の上部に移動した[4]。車内は内装を中心にリニューアルされ、座席は9300系に準じた転換クロスシートながら1列・2列配置となり、自動転換装置は撤去、中央の6脚以外は仕切り付きのロングシートとなった[4]。内張りは濃い色調になり、出入口にはスイープファンを設置、日除けは下降式ロールカーテンに変更、吊り革も増設され、荷棚の形状も変更された[4]

窓ガラスは全て緑がかったUVカットガラスに交換、床材は他の床材更新車と同じタイル状の模様が入るものとなった。カード公衆電話、補助座席は撤去された。性能面での変更はないが、6450形に空気圧縮機が設置された[21]

冷房室外機ケーシングは未交換であったが、6352Fと6353Fは後年の車体検査の際に交換された。2014年には前照灯が白色LEDに変更されている。

京とれいん編集

 
「京とれいん」の6354F
(2011年5月15日 西京極駅付近)

2010年11月には、2011年5月ダイヤ改正後に土曜・休日ダイヤにおいて現行の特急よりも停車駅を削減した京都観光客向けの特急列車を6300系で運行する計画があることが報道された[22][23]ほか、同年2月21日には阪急電鉄からも公式発表があり[24]3月19日から梅田駅 - 嵐山駅間の快速特急(淡路駅 - 桂駅間は無停車)で「京とれいん」の営業運転を開始した。

6354Fは2011年に観光客向けの列車への充当を目的として京風に更新工事が施行され、同年2月18日に出場した[25]。愛称は「京とれいん」で、京都の「和」と「モダン」をコンセプトに、車体には京扇のラッピングを施し、内装は京都の町家のイメージで改装された[4]。土曜・休日の定期快速特急のほか、平日には貸切列車として運用可能なよう考慮している。

編成両端の6354・6854(1・2号車)と6914・6454(5・6号車)は、京唐紙をモチーフにした転換クロスシート車となった[4]。座席は1・2号車の2両が「蘭の華散らし」、5・6号車の2両が「麻の葉」をイメージしたデザインとなり[4]、側面扉横には和紙作家堀木エリ子の作品を掲出している[26]。壁紙と床面の貼り替え、補助椅子の撤去、座席モケットと肘置きの交換がなされたが、座席本体やつり革、照明器具、日除けの鎧戸などは交換されていない。

編成中間の6904・6814(3・4号車)は、京町家をイメージした車内となった。座席は半個室席で、側面扉のデッキ部分を玄関に見立て、格子状の飾を設けている[4]。その他、車内照明の間接照明化、貫通ドアの交換、冷房吹き出し口の交換、日除けの引き下げ式ロールカーテンへの変更などを施している。

阪急のツーマン列車では初の車内自動放送が導入され、日本語・英語・韓国語・中国語の4か国語で行われる。季節ごとの案内放送や嵐山に関する観光ガイドも放送する。また、パンフレットラックを設け、日本語・英語・韓国語・中国語(繁体字・簡体字)による「京都ガイドマップ」を配置する。

天井の広告吊り・車内広告の枠、公衆電話、補助座席は撤去されている。冷房室外機ケーシングや乗降扉、パンタグラフや主制御器、主電動機、電動発電機、行先表示器など主要機器は変更されていない。

2011年10月15日より、編成両端の先頭部に扇形のヘッドマークが設置された。前後で色合いが異なり、大阪方の6354が金色基調、京都方の6454が銀色基調となっている[27]

2018年11月3日からは9300系と共に阪急の車両で初めて公衆無線LANのサービスを行う[28]

2019年1月19日のダイヤ改正を前に、種別幕が交換された。種別幕下部の英語標記は,従来の「Limited Express」から「Rapid Limited Express」へと変更されている[29]

2019年1月19日のダイヤ改正で新設された「快速特急A」(後述)に投入予定だったが、1月19日から2月22日まで検査などで入場したため8300系6連が代走した[30]

運用編集

登場当初から京都線車両として、2010年1月8日まで基本的に特急以上の種別(昼間時は特急、平日朝夕ラッシュ時は通勤特急)に充当されていた。また、平日朝ラッシュに茨木市発河原町行快速急行2本、早朝と深夜には桂車庫に入・出庫するための送り込み列車として普通(各駅停車)にも充当された。

1995年の阪神・淡路大震災後は景気低迷や沿線人口の減少、並行するJR京都線の輸送改善などの影響により、利用客の減少に見舞われた[17]。1997年以降、京都線特急は京阪間ノンストップから中間主要駅停車へと形態を転換し、10分間隔での運転とともに停車駅が大幅に増加[17]、6300系のみでの特急運用が不可能になり、ロングシート車の充当によりサービス低下を招いた[18]2003年より3扉クロスシートの9300系を投入[4]、京都線特急は6300系と9300系の2系列での運用となった[18]

2002年には、国土交通省によるモデル調査を受け入れる形で5号車(梅田方から5両目の車両)を女性専用車両とした。当初は、本系列で運転される平日ダイヤ終日の特急・快速特急通勤特急に限って設定していたが、2008年7月からは、9300系で運転される平日ダイヤの特急・通勤特急にも拡大された。

2007年3月のダイヤ改正淡路駅に特急が停車するようになると、6300系の扉数と座席配置では混雑への対応が困難となり、運用が削減された。その後、特急のスピードアップが計画されると6300系による運用が困難になるとして[18]、全車の9300系への置き換えが決定した。

6351F、6352F、6353Fの4両編成3本は嵐山線に転用され、ドアや化粧板の交換、クロスシート部の横2列+1列化などのリニューアル改造を受けた[31]上で、2009年4月2日より運用を開始している[21]。これに先立って2008年10月29日に6355Fが中間車を抜いた6両編成で嵐山線に入線している[32]

2009年度内に京都線6300系を9300系に置き換えることが公表され[33]、9300系第11編成の9310Fの登場により、6300系の本線運用は2010年1月8日をもって一旦終了した[21]2月21日から同月28日まで6350Fが引退記念運行[34]として最後の京都本線特急運用に充当され[21]24日からは惜別ヘッドマークが掲出された[35]

その後、6350Fは6両編成に減車の上、行楽期の梅田駅 - 嵐山駅間の臨時快速特急の運用についていた[36][37]

2011年3月19日からは前述の京風リニューアルを施された6354F(「京とれいん」)が土曜・休日ダイヤでの快速特急運用についていたが、十三駅ではホームドアが設置されており、それに適合しない6354F(「京とれいん」)は2019年1月19日のダイヤ改正から、十三駅を通過する快速特急Aに充当されている(検査などで他の車両が代走した場合でも十三駅は通過扱いとなる)[38]

廃車編集

 
正雀車庫に留置されていた6350F(現在は6350のみ残存)

6356Fは2007年3月から休車となっていたが、2008年7月15日付で6456を除く7両が代替廃車・解体され、6300系で初の廃車となった[39]。6456も2010年4月23日付で廃車となっている[40]。嵐山線用にリニューアルされた編成以外は、6330Fも含めて廃車となる[41]と報じられた。その後2008年11月に6351F-6353Fの嵐山線転用で余剰となった中間車12両が、2009年9月11日付で6355Fが、2009年11月30日付で6357Fと6330Fが、2011年3月7日付で6354Fの6854と6864が、2011年10月13日付で6350Fの6850と6860がそれぞれ廃車され、「京とれいん」に改造された6354F(6両)と嵐山線用のものを除いて、全車が廃車されている。なお、6330Fは製造からわずか25年での廃車となった。

6350Fは、2010年の6両編成への減車と臨時列車運用後は正雀車庫で休車となり、2016年2月に6350号車を除く5両が解体のため搬出された[42]。6両とも2016年3月2日付で廃車となっている[43]。これにより 6300系のオリジナルタイプは6350号を除き消滅した。

編成編集

2006年編集

2006年4月1日現在[44]

廃車 備考
Tc M M' T T M M' Tc
6350 6800 6900 6850 6860 6810 6910 6450 2011年10月13日(6850・6860)

2016年3月2日(6350-6800-6900-6810-6910-6450)

6350号は正雀車庫にて保管
6351 6801 6901 6851 6861 6811 6911 6451 2009年2月17日

(6851-6861-6811-6911)

6352 6802 6902 6852 6862 6812 6912 6452 2009年4月1日

(6852-6862-6812-6912)

6353 6803 6903 6853 6863 6813 6913 6453 2008年11月14日

(6853-6863-6813-6913)

6354 6804 6904 6854 6864 6814 6914 6454 2011年3月7日

(6854-6864)

6355 6805 6905 6855 6865 6815 6915 6455 2009年9月11日
6356 6806 6906 6856 6866 6816 6916 6456 2008年7月15日(6356-6806-6906-6856-6866-6816-6916)

2010年4月23日(6456)

6357 6807 6907 6857 6867 6817 6917 6457 2009年11月30日
Mc M' T T T T M M'c
6330 6930 6950 6960 6970 6980 6830 6430 2009年11月30日

2018年編集

2019年10月1日現在[45]

京とれいん
← 大阪梅田
京都河原町・嵐山 →
備考
Tc M M' M M' Tc
6354 6804 6904 6814 6914 6454
嵐山線
嵐山 →
備考
Tc M M' Tc
6351 6801 6901 6451
6352 6802 6902 6452
6353 6803 6903 6453

脚注編集

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  1. ^ a b c 『私鉄の車両5 阪急』9頁。
  2. ^ a b c d e 山口益生『阪急電車』196頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 山口益生『阪急電車』198頁。
  4. ^ a b c d e f g h i 山口益生『阪急電車』201頁。
  5. ^ 阪急6300系「京とれいん」運行開始 鉄道ファン、2011年3月20日
  6. ^ これが、十三駅のホームドアに対応できない要因になった。
  7. ^ a b 山口益生「阪急電鉄での半世紀」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。117頁。
  8. ^ a b c d 山口益生『阪急電車』197頁。
  9. ^ a b c d 山口益生『阪急電車』199頁。
  10. ^ a b c 鉄道友の会会報『RAIL FAN』2010年4月号より。
  11. ^ a b 山口益生「阪急電鉄での半世紀」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。118頁。
  12. ^ 2010年に梅田・阪急百貨店で開催された「鉄道模型フェスティバル」に図面に基づいたNゲージ模型が展示されていた。
  13. ^ 神宝線では8000系・5000系で同スタイルの吊り広告が使用されている。
  14. ^ a b 『私鉄の車両5 阪急』13頁。
  15. ^ 「大手私鉄ファイル 車両配置表」『鉄道ファン』2019年8月号付録、交友社
  16. ^ その後、白地赤文字幕は2019年1月のダイヤ改正で新設された京都線の快速特急Aで復活した。
  17. ^ a b c d 山口益生『阪急電車』200頁。
  18. ^ a b c d 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。257頁。
  19. ^ 京都線6300系車両がデザインを一新 来春嵐山線で再デビュー (PDF) - 阪急電鉄 2008年10月24日
  20. ^ 阪急6300系リニューアル車、嵐山線で営業運転開始 - 交友社鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2009年4月3日
  21. ^ a b c d 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月臨時増刊号、電気車研究会。258頁。
  22. ^ 阪急、京都観光誘客へ軸足 嵐山臨時便増など - 日本経済新聞 2010年11月18日
  23. ^ 阪急京都線に「観光特急」 内装「京風」に改装 来春 - 朝日新聞 2010年11月20日
  24. ^ この春、電車から“京旅”気分!「京とれいん」がデビューします (PDF) - 阪急電鉄 2011年2月21日
  25. ^ 阪急6300系6354編成が試運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2011年2月19日
  26. ^ 阪急電鉄 観光列車“京とれいん” 3月19日デビュー 鉄道ホビダス、2011年2月22日
  27. ^ 【阪急】"京とれいん"にヘッドマーク取り付け 鉄道ホビダス、2011年10月18日
  28. ^ 2018年11月3日(土・祝)から、 京都線9300系車両と観光特急『京とれいん』において 車内無料 Wi-Fi サービスを開始します - 阪急電鉄ニュースリリース
  29. ^ 阪急6300系「京とれいん」の種別幕が交換されるrailf.jp
  30. ^ 阪急京都線で「快速特急A」の運転開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2019年1月20日
  31. ^ 『鉄道ファン』 2009年2月号より。
  32. ^ 阪急6300系が嵐山線で試運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2008年10月30日
  33. ^ 2009年安全報告書 (PDF) - 阪急電鉄
  34. ^ 京都線6300系車両が「特急」「通勤特急」運用から引退します〜引退記念ヘッドマークを掲出して運行〜 (PDF) - 阪急電鉄 2010年2月12日
  35. ^ [1] - 阪急京都線から6300系引退 駅員が混乱警戒 共同通信
  36. ^ 阪急6300系が6連で臨時快速特急に - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2010年4月30日
  37. ^ 阪急 嵐山への直通臨時列車を運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2010年11月2日
  38. ^ 2019年3月、観光特急『京とれいん』の2編成目となる 京とれいん雅洛 を導入します - 阪急電鉄ニュースリリース
  39. ^ 『関西の鉄道 No.55 2008』(関西鉄道研究会)より。なお、先頭車両の6356は戦後の阪急で初めて新製時から前面に種別・行先表示器を装備していた車両の廃車となった。
  40. ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2011』交通新聞社、2011年、187頁。
  41. ^ 鉄道ジャーナル』(鉄道ジャーナル社)2010年5月号より。
  42. ^ 阪急6300系トップナンバー編成が廃車に - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2016年2月25日
  43. ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2016』交通新聞社、2016年、199頁。
  44. ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 '06年版』2006年、127頁。
  45. ^ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報VOL.90

参考文献編集

  • 山口益生『阪急電車』JTBパブリッシング、2012年。ISBN 4533086985
  • 飯島巌『復刻版・私鉄の車両5 阪急電鉄』ネコ・パブリッシング、2002年。ISBN 9784873662886

関連項目編集