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阪神5001形電車(はんしん5001がたでんしゃ)とは、阪神電気鉄道が所有する普通各駅停車)系向けの通勤形電車ジェットカー)である。初代5001形を含む非冷房のジェットカー第1世代車の置換えと冷房化の推進を目的に、1977年から1981年にかけて32両が製造された。同社において5001形を名乗る形式は、これが2代目である[1]

阪神5001形電車
香櫨園駅にて (廻り子密着連結器への交換後)
香櫨園駅にて
(廻り子密着連結器への交換後)
基本情報
運用者 阪神電気鉄道
製造所 武庫川車両工業
製造年 1977年 - 1981年
製造数 32両
投入先 本線神戸高速線
主要諸元
編成 4両編成(当初は2両編成)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 106 km/h(各停運行時は91 km/h)
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 4.5 km/h/s
減速度(常用) 5.0 km/h/s
車両定員 先頭車131人、中間車140人
車両重量 36.5t
全長 18,900 mm
全幅 2,800 mm
全高 4,047 mm
車体 普通鋼
台車 住友金属工業製FS-391(S形ミンデン台車)
主電動機 東洋電機製造製TDK-8145A
主電動機出力 90kW/340V
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 74:13(5.69)
制御方式 抵抗制御
制御装置 東芝製 PE30-A1
制動装置 HSC-D 電磁直通電空併用抑速
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS
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普通系車両初の量産冷房車編集

高加減速の普通用車両「ジェットカー」の冷房化は、1970年の5261形5271Fの投入以来中断していたが、急行用車両の冷房化完了に続いて1976年より順次着手された[2]。このうち、ジェットカー第1世代で1958年から1960年に新造の初代5001形・5101形・5201形の32両については冷房化改造を行わず、冷房付きの新車の導入で代替することとなった[3]

この代替で1977年に登場したジェットカーの新製冷房車が2代目の5001形で、Mc1-Mc2の2両固定ユニット16本の計32両が武庫川車両工業で製造された[1][3]

車体編集

車体の外観は3801・3901形の3905Fと同様の形態であり、従来車より運転台が広く、乗務員室扉は幅と高さが5cmずつ拡大、車体長は10cm長くなっている[4]。登場当時は行先表示器のない単車や2両ユニットの在来車と混結する必要性から、3905Fと異なり行先表示器は設置されなかった[1]。側窓はユニット窓、客用側扉は両開きであり、扉上部の戸閉機で開閉される[3]

屋根上には奇数車には7基、偶数車には6基のMAU-13HA分散式冷房装置を搭載し、偶数車の連結面寄りには下枠交差式のパンタグラフを取り付けた。車内の座席はロングシートで、他の普通系車両と変わりのない車内見付である。

初期の5010までは連結面側の妻面窓の片側が2段サッシ窓、もう片側がHゴム固定窓となっていたが、5011以降は両側ともHゴム固定窓となった[1]。客用扉横の縦手摺の端部が5001Fが直角なのに対し、5005F以降は丸くなっており、後年製造された5131・5331形でも端部の丸いものが採用されている。

主要機器編集

台車は3801・3901形同様のS形ミンデン空気ばね台車で、住友金属工業製造のFS-391Aを装着する[5]。この台車は5101・5201形が換装を進めていたFS-391とほぼ同じ台車で、車輪径も760mmで従来のジェットカー各形式と変わらない。16両分は5201形の台車交換実施車の廃車発生品を流用、小改造の上で装着している[1]

編成は、制御装置は電動カム軸式の抵抗制御[4]、2両分8個の主電動機を制御する1C8M方式である[6]。主制御器は東芝製で、偶数車の山側大阪寄りに搭載される[1]主電動機は出力90kW[3]、駆動装置は中空軸平行カルダン駆動方式である。

ブレーキは電磁直通ブレーキのHSC-Dで、発電ブレーキ併用・抑速ブレーキ付きである[3]。抑速ブレーキは阪神線内での通常運用では使用機会がなく、後年になってマスコンハンドルが抑速側に入らないようロックされている[1]

変遷編集

4両固定化編集

 
連結器交換前の5001形

1987年12月に普通運用が終日4連化されたことに伴い、1988年から4両固定編成化改造を実施、中間に連結される車両の運転台を撤去し、乗務員扉部分に客用窓を設けて客室に改装する工事が行われた[6]。同時に前面・側面に行先表示器が設置され、旅客案内の向上を図った[6]。旧運転台部分には簡易運転台が設置され、前面の貫通幌は撤去されてステンレス製の飾り枠が取り付けられた。前面床下の連結栓は撤去されていない。

ドアエンジンは1シリンダ式に変更され、識別のため戸当りゴムは灰色から黒色に変わった[7]

1989年以降の改造施工車では乗務員室の冷房化も開始され、先頭車最前部の冷房装置がCU-10Hに換装された[7]。初期改造車で未交換であった5021F・5025Fでも交換され、全編成の乗務員室冷房化が完了、中間運転台撤去工事も1991年に完了した[7]

保全工事編集

登場後15年前後経過した1994年から保全工事を実施、翌1995年にかけて中間車の神戸寄りの座席を2名分撤去し、車椅子スペースが設置された[7]

連結器交換編集

2009年近畿日本鉄道との相互直通運転に先立ち、2006年度から先頭車の連結器をバンドン型連結器から廻り子密着連結器へ換装することとなった。5013号車を手始めに換装を開始し、2009年までに全車が完了した。

運用編集

第1編成である5001 - 5002の2連は1977年3月14日に竣功、3月11日付で廃車となった5001形(初代)および5201形5201 - 5202「ジェットシルバー」の代替として、4月に竣功した5003 - 5004の編成とともに本線および西大阪線の普通運用に投入された。また、同年8月までに5261形の冷房改造が完了したことから、本形式は5261形とともに、早朝深夜およびデータイムの西大阪線では2連、それ以外の時間の本線普通およびラッシュ時の西大阪線では4連を組成するなど、冷房車のみで分割併合を実施した。

第2編成の登場後しばらく増備はなかったが、11月竣功の5005 - 5006の編成から1979年3月26日竣功の5015 - 5016まで合計6編成の投入によって5101・5201形の台車・主電動機・駆動装置未換装車の代替を完了、3月30日竣功の5017 - 5018の編成からは廃車となった5101・5201形から換装済みの台車・主電動機・駆動装置を流用、新製車体と組み合わせて就役させた。

その後は5101・5201形の廃車とともに本形式の新造を続け、1981年1月に最後の5201形が廃車された後、同年3月に本形式最後の編成である5031 - 5032の2連が竣功した。これにより、当初の目標どおり本形式2連×16本によって5001形(初代)、5101・5201形計32両の置き換えを完了した。

全車就役後の本形式は、5261形をはじめこの時期までに冷房改造を完了した5151形や5311形、5231形の代替として1981年夏から就役した5131・5331形とともに、形式を問わず前述のような普通系車両の分割併合運用を行っていた。そのため、同形式だけで4連を組んだほか、これらの各形式とも分割併合のうえ4連を組むことも多かった。

1987年の普通車終日4連化以降は、4連固定編成で運用されている。5009F(5009-5010-5011-5012)では、当初からの連結面の妻窓が2段サッシ窓・Hゴム固定窓の両スタイル混成となっている[1]

1995年には阪神・淡路大震災が発生したが、5001形の被災車両はなかった。

2019年4月時点では廃車は1両も発生しておらず、4両編成8本32両全車が在籍しているが[8]、初期車の車齢が40年を越えていることから、2015年度より5700系への置き換え計画がある[9][10]

編成編集

登場時編集

1986年8月15日現在[11]

← 梅田・西九条
三宮・元町 →
竣工[12]
Mc1 Mc2
5001 5002 1977年3月14日
5003 5004 1977年4月15日
5005 5006 1977年11月29日
5007 5008 1978年2月29日
5009 5010 1978年3月31日
5011 5012 1978年11月22日
5013 5014 1978年12月28日
5015 5016 1979年3月26日
5017 5018 1979年3月30日
5019 5020 1979年6月7日
5021 5022 1980年2月27日
5023 5024 1980年6月18日
5025 5026 1980年9月5日
5027 5028 1980年11月21日
5029 5030 1981年2月13日
5031 5032 1981年3月30日

固定編成化後編集

2006年4月1日現在[13]

← 梅田・西九条
三宮・新開地(須磨浦公園) →
備考
Mc1 M2 M1 Mc2
5001 5002 5003 5004
5005 5006 5007 5008
5009 5010 5011 5012 前照灯LED化
5013 5014 5015 5016 前照灯LED化
5017 5018 5019 5020
5021 5022 5023 5024
5025 5026 5027 5028
5029 5030 5031 5032

脚注編集

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  1. ^ a b c d e f g h 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。213頁。
  2. ^ PHP研究所『阪神電鉄のひみつ』2014年、30頁。
  3. ^ a b c d e 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』64頁。
  4. ^ a b 『日本の私鉄5 阪神』72頁。
  5. ^ 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』154-155頁。
  6. ^ a b c 『日本の私鉄5 阪神』73頁。
  7. ^ a b c d 木下和弘「阪神電気鉄道 現有車両プロフィール2017」『鉄道ピクトリアル』2017年12月臨時増刊号、電気車研究会。214頁。
  8. ^ 鉄道ファン』2019年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2019 車両配置表」
  9. ^ 電気車研究会 鉄道ピクトリアル 京阪神 都市鉄道プロジェクト 2015年4月臨時増刊号
  10. ^ 同じく5700系に置き換えられる5131形・5331形が電機子チョッパ制御器の保守部品確保や台車を流用している関係で、同系の置き換えを優先していることもあるため
  11. ^ 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』143頁。
  12. ^ 『私鉄の車両21 阪神電気鉄道』159-160頁。
  13. ^ ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 '06年版』2006年、131頁。

参考文献編集

  • 鉄道ダイヤ情報』1995年3月号 No.131 「特集:阪神電車の研究」 弘済出版社
  • 鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号 No.640 「特集:阪神電気鉄道」 電気車研究会
  • 『サイドビュー阪神』 1996年 レイルロード
  • 『車両発達史シリーズ 7 阪神電気鉄道』 2002年 関西鉄道研究会
  • 飯島巌『復刻版 私鉄の車両21 阪神電気鉄道』ネコ・パブリッシング、2002年(原著1986年、保育社)。
  • 塩田勝三・諸河久『日本の私鉄5 阪神』保育社、1989年。

外部リンク編集