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防虫剤(ぼうちゅうざい)とは、害虫を忌避するために用いられる薬剤のことである。大きく分けて衣類に用いるもの、人体に用いるもの、そして食品を保存するためのものがある。

目次

衣類用防虫剤編集

収納してある衣服に害を与えるイガ、コイガ、カツオブシムシ類などの幼虫を忌避する薬剤。植物の押し葉標本や昆虫の乾燥標本など、生物の学術標本のうち、乾燥状態で保存するものの保存にも使用される。古くは樟脳が使われたが、化学合成の発達とともにナフタレン(ナフタリン)が登場し、パラジクロロベンゼン製剤が全盛となった。しかし、これらは刺激臭などが問題になっていたため、日本では1980年代から殺虫剤に用いていたピレスロイド系の化学物質も用いられ、臭わない防虫剤として売り出されシェアを伸ばし、今日に至っている。家庭用除湿剤と併用することもあるため、初めから除湿剤と一緒になった防虫剤も市販されている。有効期間は6~12ヶ月であり、衣替えの時期に合わせ薬剤の有効作用が薄れるように量が調節されている。よって業界では春、ないしは秋の主力商材としてGMSドラッグストアなどで販売されるが、近年は価格競争による単価の下落が著しい。また、ナフタレン系防虫剤は人形用にも適している。

注意点編集

防虫剤の混成使用は避ける。防虫剤は昇華作用を持つものが選ばれ使用されているために、各々は固形状から直接気化する。しかし、種類の異なる防虫剤を混成すると融点降下を起こして液状になる場合がある。溶けた液が衣類などに付着してしみを作ることがあるので注意しなければならない。

人体用防虫剤編集

病原体を媒介し、またかゆみや腫れなど不快感を与えるダニなどを忌避する薬剤。主にエアゾールスプレー式になっており、皮膚に直接ふりかけるほか、薬剤が飛散しないようにウエットシートになったものもある。有効成分は、ディートイカリジンが用いられており、高濃度の虫よけ剤は第二類医薬品になっている。

ディートやイカリジンの使用に、漠然とした不安を感じる消費者から、ハーブハッカを用いた「天然成分」を謳う製品も存在するが、防虫効能が弱く持続時間に欠け品質が安定しない。使用者は、蚊が媒介するマラリアウエストナイル熱デング熱ジカ熱日本脳炎の罹患リスクを自覚して使用すべきである。

一般には「虫除けスプレー」と呼ばれている。一般消費動向では夕涼みや山歩きなど、外へ出る機会の多いに特に需要が高まり、お盆の時期にピークを迎える。

食品用防虫剤編集

などの穀類を害虫から守るための食品添加物として、防虫剤が用いられることがある[1]。米穀を害虫から守るためには米びつ用防虫剤が市販されており、主に米櫃の蓋や壁面に付着させたり、吊り下げたり、中に入れたりして用いる。原料はワサビ、唐辛子、シソ、茶エキスなどの食品由来成分を用いており、米を食害するコクゾウムシなどの虫を忌避したり、また米の黄変などを防いだりする効果がある。

それ以外、農作物の虫害を防ぐための食品用防虫剤は主として農薬扱いであり、家庭用防虫剤には該当しない。

空間用防虫剤編集

脚注編集

参考文献編集

  • 『知っておきたい食品衛生 六訂版』食品保健研究会(編)、厚生省生活衛生局食品保健課(監修)、大蔵省印刷局、1989年。ISBN 978-4-17-217507-0

関連項目編集

外部リンク編集

ナフタリン,パラジクロルベンゼン,樟脳の鑑別法(福岡県薬剤師会)[1]