雲見くじら館

静岡県松崎町にある博物館

雲見くじら館(くもみくじらかん)は、静岡県賀茂郡松崎町にある博物館である。

雲見くじら館
地図
施設情報
専門分野 クジラ
来館者数 273人(1999年7月)[1]
事業主体 雲見温泉観光協会
管理運営 雲見温泉観光協会
開館 1983年7月5日[2]
所在地

410-3615
日本の旗 日本 静岡県賀茂郡松崎町雲見387

雲見くじら館位置図
雲見くじら館位置図
雲見くじら館
雲見くじら館 (静岡県)
位置 北緯34度43分34.7秒 東経138度44分42.2秒 / 北緯34.726306度 東経138.745056度 / 34.726306; 138.745056座標: 北緯34度43分34.7秒 東経138度44分42.2秒 / 北緯34.726306度 東経138.745056度 / 34.726306; 138.745056
外部リンク kumomikankou.com/kujira.html
プロジェクト:GLAM
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セミクジラの骨格標本

概要 編集

雲見温泉観光協会が設置・運営し、伊豆半島の雲見海岸に位置する博物館であり、日本に数点しかないセミクジラの骨格標本を始めとして、漁具や古文書、セミクジラのヒゲをバネとして利用する浄瑠璃人形のかしらなどを展示している[3]

建物は鉄筋コンクリート造の2階建てになっており、1階にところてんの製造実演・試食コーナー、2階に骨格標本などの展示室があり、また屋上は観光案内所・券売所と駐車場になっていて、国道136号線と接続している[2]

主な展示品 編集

  • セミクジラ骨格標本
  • セミクジラ目玉・血管・生殖器
  • 浄瑠璃人形かしら
  • 人形かしらからくり模型
  • 漁具関係資料
  • 座礁セミクジラ関連写真

歴史 編集

1977年4月15日、伊豆半島の雲見海岸沖合に現れた2頭のクジラから1頭が雲見漁港内に迷い込んで砂浜へ乗り上げ、翌日に死亡した[4]。なお、ほとんどのメディアや情報ではこの個体は自ら港に迷入し衰弱死したとされているが、実際には前日沼津市の海岸で目撃された可能性のある個体が15日当日に雲見海岸付近を遊泳していたところを発見され、雲見漁港に追い込まれ殺されたものである。[5] なお、セミクジラは1930年代には全世界で保護対象となっていたが、日本では1990年代まで商業・調査捕鯨を含む形で相当数が保護規制後も捕獲され続け[6]、さらにはソビエト連邦と日本の相互補助的な大量違法捕鯨により壊滅的な生息状況に追い込まれ、今日では全大型鯨類でも最も絶滅が危惧される種類の一つになった[7]。なお、松崎沖では1970年代の日本鯨類研究所の調査にて母子が一組発見されており(このとき、更に別の母子が遠州灘弁天島沖で発見された)、1996年には10m程の個体がやはり松崎沖3.5kmの地点で確認されている。[5] 

死亡したクジラは体長が11.5メートル、体重は22トンの未成熟個体であり、世界的にも貴重なセミクジラだとわかったことから、骨格標本とすることになり、捕鯨発祥の地として有名な和歌山県太地町町民の手により解体されて海岸に埋められ、4年後の1981年3月18日に発掘された[4]。その後、1983年7月5日に骨格標本を展示する雲見くじら館が開館した[2]

1989年7月1日、骨格標本となったセミクジラの供養を目的として、雲見温泉観光協会が200万円の事業費を投じて雲見海岸に建立した供養碑の除幕式が行われ、セミクジラに戒名「滄海院鯨音魚士」(そうかいいんげいいんぎょじ)が与えられた[4]

1995年には浄瑠璃人形のかしらと、人形かしらからくり模型が展示品に加わった。くじら館では捕鯨が禁止されてから入手が困難になったセミクジラのヒゲを所蔵しており、ヒゲをバネ材としてかしら部に利用する浄瑠璃人形の修復を手掛けている神奈川県の人形細工人へ所蔵のヒゲを譲渡した際に、人形細工人から礼としてかしらと模型が寄贈され展示品に加わった[8]

1988年ごろには来館者数が9200人に達した。[9]2010年1月、入館者が減少したため雲見くじら館は閉館となったが、観光客や住民からの要望により、5月1日から営業を再開した[10]

一時閉館前の2009年時点における入館料金は大人300円、子ども200円となっていて、入館者には雲見特産のテングサを使用したところてんが無料で提供されていたが、営業再開後は入館料金が大人100円、子ども50円に値下げされ、ところてんの提供はなくなった[11][3]

脚注 編集

  1. ^ 静岡新聞 1999年9月1日 『今夏の旅客状況を発表-松崎町でグリーンツーリズム推進協』
  2. ^ a b c 静岡県 伊豆 松崎町役場ホームページ
  3. ^ a b 西伊豆・雲見温泉観光協会:宿泊案内:くじら館
  4. ^ a b c 静岡新聞 1989年7月2日 『松崎町雲見海岸で鯨供養碑の除幕 いまや観光の目玉商品』
  5. ^ a b ストランディング・データベース 1901-2012(静岡県)”. 下関海洋科学アカデミー鯨類研究室. 2015年1月9日閲覧。
  6. ^ Brownell RL Jr., Clapham PJ, Miyashita T, 粕谷俊雄 (2001). “Conservation status of North Pacific right whales”. J. Cetacean Res. Manage. (special issue 2): 269–286. 
  7. ^ Berzin A.,Ivashchenko V.Y., Clapham J.P.,Brownell L. R.Jr. (2008). “The Truth About Soviet Whaling: A Memoir” (PDF). DigitalCommons@University of Nebraska - Lincoln. http://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1014&context=usdeptcommercepub 2015年1月15日閲覧。. 
  8. ^ 朝日新聞 1995年2月19日 『くじらのヒゲが浄瑠璃人形助ける 松崎・雲見くじら館で展示 /静岡』
  9. ^ 大石真聖、2020年、セミクジラ骨格 保護啓発象徴に、静岡新聞
  10. ^ 毎日新聞 2010年5月8日 『雲見くじら館:4カ月ぶり再開--松崎 /静岡』
  11. ^ 静岡県西伊豆三浦温泉郷の雲見温泉観光協会(くじら館)

関連項目 編集