電子出版
英: electronic publishing)とは、文字・画像情報をデジタルデータに編集加工し、CD-ROMなどの電子媒体やネットワークにより配布する出版活動である。
(でんししゅっぱん、概要 編集
電子出版の概念は、技術の進歩と社会との関わりの中で変化し続けている。電子出版という言葉が登場した1980年代半ばは、DTPによる「電子編集制作」や、CD-ROMなどによる「パッケージ系電子出版」を主に指した。日本では1986年に日本電子出版協会が設立され、仕様の標準化や普及活動を行った。
1990年代半ばからは、インターネットの普及により、本の内容を持つデジタルコンテンツをインターネットを利用して配信する「オンライン系電子出版(ネットワーク出版)」が主流となっている。例えばAmazon Kindleの場合、Kindleストアと呼ばれるオンラインショップでコンテンツを購入すると、3Gデータ通信を介してコンテンツが端末にダウンロードされる。購入履歴はサーバ上に保存されているため、コンテンツを端末から削除しても必要に応じて再度ダウンロードすることが可能である。日本では専用の電子書籍端末(電子書籍リーダー)がまだ普及しておらず、電子出版のコンテンツは携帯電話とPCを中心に販売されている。
紙媒体の本を電子化したものの他に、紙媒体が存在せず、電子書籍のみの読み物も存在する。特に漫画ではKindle ダイレクト・パブリッシング等で、出版社を通さずに漫画家個人が電子書籍様式として作成し、販売する事例が増加する傾向にある。
主な配布方法 編集
日本の電子出版関連団体 編集
- 日本電子出版協会 - 出版社、電気メーカー、ソフトハウス、印刷会社などによる団体。
- 電子出版制作・流通協議会 - 凸版印刷、大日本印刷、電通による団体。
- デジタル出版者連盟 - 出版社らによる団体。
- 一般社団法人ABJ - 電子書籍流通事業者、IT・通信事業者、著者権者団体といった複数の関係者で構成される団体
- デジタルメディア協会 - デジタルメディアにおけるコンテンツ制作やサービス提供を行なっている企業による団体
日本の主な電子書籍の出版社 編集
- 株式会社パブリッシングリンク
- 株式会社BookLive(ライブコミックス、KATTS、シガリロ、ブリック出版) - 凸版印刷の子会社。フレックスコミックスの親会社
- エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社(ソルマーレ編集部、シーモアコミックス) - 西日本電信電話の子会社。
- 株式会社アムタス(アムコミ) - 帝人グループインフォコムの子会社
- 株式会社ビーグリー - ぶんか社の親会社。Bbmfマガジン(現・青泉社)から一部コンテンツを継承。
- 株式会社パピレス(Rentaコミックス、DeNIMO)
- 株式会社マンガボックス - TBSホールディングスの子会社
- 株式会社ウェイブ(wwwave comics、スクリーモ、パチカ) - 彗星社のグループ会社。
- LINE Digital Frontier株式会社 - NAVERグループ。「LINEマンガ」の運営会社。前身はLINE。日販アイ・ピー・エス経由で紙書籍に進出。
- 株式会社イーブックイニシアティブジャパン(eBookJapan Plus) - NAVERグループLINE Digital Frontier株式会社の子会社
- 株式会社CLLENN(CLLENN、 DEEPER-ZERO) - DMMグループ。前々身は、株式会社コミックストック(コミックストック、Mosh!、カゲキヤ出版、 オトメチカ出版)・株式会社フューチャーコミックス・株式会社GIGATOON Studio、前々身はコミディア(コミディア、オトメチカ出版、カゲキヤ出版)と株式会社未来少年のメディアパブリッシング事業部、前前々身は株式会社ソニー・デジタルエンタテインメント・サービスのイーブック部門(ソニー・デジタルエンタテインメント・サービス、オトメチカ出版、カゲキヤ出版)
- 有限会社グループ・ゼロ - 松文館の関連会社。
- 株式会社ファンギルド(ファンギルド、モバイルメディアリサーチ、Rush!) - 日販グループホールディングスの子会社、インプレスホールディングスの持分法適用関連会社。前身はクリエイターズギルド、前々身はモバイルメディアリサーチ(前:ミュージックメディアリサーチ、後:IMA)。前々身のミュージックメディアリサーチが2005年2月ケータイ電子書籍シリーズ「girls pocket book」を配信開始して電子書籍出版に参入[1]。日販アイ・ピー・エス経由で紙書籍に進出
- 株式会社ICE(天海社、CoMax) - インプレスホールディングスの子会社
- アイエムエー株式会社 - 日販アイ・ピー・エス経由で紙書籍に進出。日本出版販売、ファンギルド、Sunny noteの3社により設立され、その後日販グループから離脱。
- デジタルカタパルト株式会社(デジカタ編集部) - 共同印刷の子会社
- 株式会社インタープレイ(インタープレイ、いるかネットブックス)
- 株式会社ボイジャー - 1992年に萩野正昭と米国Voyager Company(英語: Voyager Company)とのジョイント・ベンチャーにより設立された電子出版社
- 株式会社まんがびと - 電子書籍出版とPOD出版社
- 株式会社オリオンブックス
- グーテンベルク21 - 主に海外文学の訳書
- 株式会社グリシーヌ(夕霧文庫)
- taskey株式会社 - e-Storyアプリ「peep(ピープ)」の運営会社。
- 株式会社アイデア出版(アイデア出版・くるみ舎)
- 株式会社フロム・サウス・フィルム(IRIEnovel)
- パルプライド - 編集プロダクション。エンジェライト文庫で電子書籍出版に進出。
- 株式会社U-NEXT - 紙書籍に進出。
- 株式会社金風舎 - 株式会社デジカルの子会社。紙書籍に進出。
- 株式会社クリーク・アンド・リバー社(アマゾナイトノベルズ、アマリリスコミックス、アフォガードコミックス)
- 宇都宮ケーブルテレビ株式会社(ミーティアノベルス、ネット文庫星の砂、スターダストノベルス)
- 株式会社アドレナライズ
- 株式会社リ・ポジション(夢中文庫)
- 株式会社ディーピーエヌ(DPNブックス)
- 株式会社forcs - ゲオグループ。旧株式会社ゲオインタラクティブ。株式会社リテールコムから一部コンテンツを継承して事業開始
- 株式会社ライドオン(FILL-IN) - 旧たかだ書房。書店直卸の音楽雑誌の出版社から電子書籍出版社に移行
- 株式会社Bevy
- 株式会社プレステージ出版 - プレステージのグループ会社。電子書籍出版とPOD出版社
- 株式会社渋谷六花舎 - プレステージのグループ会社。
- 株式会社サイコロブックス
ソフトウェア 編集
- Re:VIEW[2] デジタル出版システム
脚注 編集
- ^ “女性向けケータイ書籍「girls pocket book」発刊”. ITmedia Mobile. 2022年11月23日閲覧。
- ^ GitHub - kmuto/review: Re:VIEW is flexible document format/conversion system
関連項目 編集
外部リンク 編集
- 日本電子出版協会
- ITmedia eBook USER(電子書籍・電子出版に関するニュースサイト)
- EBook2.0Forum