電話(でんわ)は電波型式のひとつで、電波声・音楽のような音響信号で変調したものである。

電話用の送信機に、モデムで音響信号に変換したデジタルデータやファクシミリ信号などを入力した場合は、電波法上はそれぞれの電波型式とみなされる。

ナローバンド 編集

ナローバンドは、0.3~3.1または3.4kHzの音響信号を伝送できるものである。会話のための音声伝送として、移動体通信電話網多重伝送・業務無線などに用いられている。無線局の増加・多チャネル化対応のため、周波数帯域幅の縮小・デジタル変調化が行われてきている。

振幅変調 編集

振幅変調(AM)は、占有周波数帯域が狭いため、低い周波数で用いられている。 航空無線機においては、欧州を中心に25kHzから8.33kHz(25kHzを3等分)への狭帯域化が進められている。

振幅変調の種類と用途
日本語 英語 周波数帯 用途 特徴
単側波帯 SSB: Single Sideband MW SW 船舶航空機向けの洋上通信 最も狭帯域
両側波帯 DSB: Double Sideband VHF 民間航空機 複数の無線局が存在する場合に、緊急時の割り込み通信が可能
UHF 軍用機
実数零点単側波帯 RZ SSB: Real Zero - VHF UHF 放送事業用連絡無線の標準の一つ 狭帯域でデジタル変調と比較して遅延時間が少ない

周波数変調 編集

周波数変調(FM)は、超短波極超短波において、アマチュア無線、業務無線、コードレス電話などに用いられている。

狭帯域化をナロー化ということがある。移行期間において、ナロー化システムとワイドシステムの共存をはかるために、送信のみナローで受信はワイドと言う無線機で運用されることがあり、擬似ナローと呼ばれる。なお、かつて存在したアナログ携帯電話(大容量方式)のチャネルステップは6.25kHzであったが、これは12.5kHz仕様のままでチャネルステップのみとしたものであり、この場合はナローとは呼ばずインターリーブと呼ぶ。

日本におけるチャネル間隔縮小の歴史

デジタル変調 編集

デジタル変調は、超短波極超短波において、携帯電話PHS衛星電話などの移動体通信業務無線に用いられている。秘話性の向上やデータ通信の高速化を可能にする効果がある。2002年頃から、12.5kHzの次のナロー化である6.25kHzがデジタル方式(ARIB STD-T61)により進められている。

狭帯域デジタル変調の例
搬送波間隔(kHz) ロールオフ率 変調方式 チャネル当たり伝送速度(kb/s) 多重数 通信方式 用途
6.25 0.2 π/4 QPSK 9.6 1 半複信 業務無線
6.25 0.2 M16 QAM 8 1×2 TDD
15 0.2 M16 QAM 7.5 6 TDMA-TDD 市町村防災行政無線(同報・固定系)
25 0.5 π/4 QPSK 8 4 TDMA 第三者無線(800MHz)
25 0.5 M16 QAM 8 6 TDMA 第三者無線(1.5GHz)

ワイドバンド 編集

ワイドバンドは、音楽放送など広帯域の音響信号を伝送できるものである。

AMラジオ放送では0.3~7kHz、FMラジオ放送では0.05~15kHzの帯域が伝送可能である。デジタル放送では、さらに広帯域のものも存在する。

狭帯域専用の受信機で広帯域AMの低域部分の受信可能であるが、狭帯域FM専用の受信機で広帯域FMを受信すると音声のひずみが大きく実用にならない。これは、広帯域FMの場合、周波数偏移も非常に大きいのが普通であるため、IFフィルタやディスクリミネータが周波数軸上で飽和するためである。仮に、最大周波数偏移を狭帯域FMと同等とすれば、問題なく受信可能である。

日本では、FM補完中継局に対応するものを、ワイドFM受信機という場合があるが、この「ワイド」は従来の狭い範囲(超短波放送、76MHzから90MHzまで)に対する拡張という意味があり、本節のワイドバンドとは全く異なる。

脚注 編集

関連項目 編集