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青空文庫

インターネット上の電子図書館

青空文庫(あおぞらぶんこ)は、著作権が消滅した作品著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館である[4]富田倫生野口英司八巻美恵らんむろ・さてぃの4人が呼びかけ人となって発足した[5]日本で著作権切れ作品をオンライン公開する動きの先駆者[6]。2017年の年間アクセス数の合計は920万件以上[7]

青空文庫
Aozora Bunko Logo.png
URL
https://www.aozora.gr.jp/
タイプ 電子図書館
使用言語 日本語
項目数 15,123作品(2019年1月1日現在)[1][注釈 1]
閲覧 無料
登録 不要
著作権 青空文庫収録ファイルの取り扱い規準[2]に従う
資金 寄付
営利性 非営利
設立 1997年2月[3]
現状 作品数増加中

収録作品はボランティアの手によりJIS X 0208漢字の範囲で青空文庫形式テキストファイルやHTMLとして電子化されている。また、「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に従い自由に利用出来るため、その収録作品はパーソナルコンピュータのみならずPDA携帯電話などの環境でも利用されている。テキストファイルである事から、大きな文字で印刷したり、テキストを読み上げるソフトウェアと組み合わせるなど、視覚障害者向けとしても利用が期待されている。

青空文庫として閲覧ソフトウェアを開発したり提供したりはしていないが、電子辞書やiPhoneアプリなどで専用ビューアーがサードパーティによって開発されている[8]

収録作品編集

大別して、著作権の保護期間が切れた作品(パブリックドメイン)及び著作権者が青空文庫への収録を求めた作品が収録されており[9]、前者の明治期から昭和初期の作品が大部分を占めている。ジャンルは小説、詩歌、随筆といった文学のみならず、回想録、講演録、人物伝、追悼文、論文など幅広く収録されている[10]

ボランティアにより作品の入力・校正が行われるという収録方式上(後述)、一般的に有名であり、かつ、著作権が消滅している作品が必ずしも収録されているとは限らない。その反面、知名度の低い作品や復刊の可能性の低い作品であっても、著作権が消滅している作品であれば収録することが可能となっている。

収録されている主な作家は、日本人作家では夏目漱石(1916年没)、森鴎外(1922年没)、芥川龍之介(1927年没)、宮沢賢治(1933年没)、夢野久作(1936年没)、中島敦(1942年没)、太宰治(1948年没)、堀辰雄(1953年没)、坂口安吾(1955年没)、永井荷風(1959年没)、吉川英治(1962年没)、江戸川乱歩(1965年没)、山本周五郎(1967年没)など、海外の作家ではエドガー・アラン・ポー(1849年没)、ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1875年没)、小泉八雲(1904年没)、アーサー・コナン・ドイル(1930年没)、魯迅(1932年没)、アルベルト・アインシュタイン(1955年没)などが挙げられる。

2011年3月15日、収録作品数が1万点になった[11][12]

運営編集

青空文庫はボランティアで運営されており、閲覧は無料[4]。開始当初サーバーはボイジャー (企業)から提供された[3]。1998年から1999年にかけて富田らが作業ルールとマニュアルを決めた[8]

入力と校正はボランティアによって行われる[4]。入力は底本を見ながらの手入力かスキャナーOCRを使う方法で行われる[4]。作品を入力する「入力者」と入力された作品を校正する「校正者」とは別々のボランティアが担当する[13]。入力者が入力を完了したファイルは「点検グループ」が青空文庫の注記形式に沿っているかチェックして校正可能な状態に整える。その後、校正者が校正を申請すると、点検グループが校正するファイルを校正者に送り、校正者が校正を完了するとファイルが校正履歴と共に点検グループに送り返される。最後に、点検グループが送られたファイルと校正履歴をチェックし、作品の公開日を設定して青空文庫の新着情報のページ[14]で公開される[15]

2013年8月に創設者の一人である富田が亡くなったことを機に、青空文庫への継続的な支援を目的とした「本の未来基金」が設立された[16]。しかし2015年現在はエンジニアが不在の状態でのサーバ運用を余儀なくされており、サーバ自体も老朽化が問題になっている。このため同年5月に「『Code for 青空文庫』アイデアソン」が開催され、今後のシステム運用についての意見交換が行われた[17]。その後同イベントを母体に、システム管理やコード改修などを行う「aozorahack」プロジェクトが立ち上がっている[18]

青空文庫形式編集

テキストファイルを青空文庫に収録する際にテキストファイルが従わなければならない書式のことを青空文庫形式という。

青空文庫形式は、テキストファイルとして多くの環境で読む事ができるように規格化されている。できる限り底本の忠実な再現を目指しているが、改行や挿絵などの情報は原則として含まれない。

青空文庫形式に対応しているテキストビューアやテキストエディタもあり、ルビや傍点などの再現も可能である。また、これらのテキストビューアでは本来の青空文庫形式に含まれない挿絵の情報を挿入したり、縦書き表示にしたりすることも可能であり、テキストを読みやすくするための様々な機能が用意されている。これらのソフトウェアに関しては有料・無料問わず色々なものがある。

ルビの表記編集

ルビの表記は |と《》によって表現される。[19]ルビを《》で囲んだり|でルビのかかる文字列を特定するのは、視覚障碍者読書支援協会(BBA)[20]の原文入力ルールに合わせた[21][22]ものである。

青空|文庫《ぶんこ》

とあれば、「ぶんこ」というルビが「文庫」についていることを示す。

本日は晴天《せいてん》なり。

のように、仮名と漢字の間に|が入る場合は|を省略することも出来る。

|ブルースカイ《青空》

のように、仮名にルビを強制的に振る時に使用することもある。

入力者注編集

底本の再現の補助として入力者注の形式も定められている。

これ[#「これ」に傍点]を、使って下さい。

喉を掻き※[#「てへん+劣」、第3水準1-84-77]《むし》って

のように傍点を入れたり、JIS X 0208漢字に含まれない旧字や外字などを説明したりする時などに使われることが多い。

著作権保護期間延長への対応編集

2003年以降、米国政府は「年次改革要望書」を通じ、日本政府に対して著作権の保護期間を「個人の場合は死後70年・法人の場合は公表後95年」に延長することを要求している。これを受けて文化庁は、2007年中に文化審議会著作権分科会で結論を得ると表明した。保護期間を延長する法改正がなされた場合、青空文庫は改正法の施行から最短でも20年間は新規の作品登録が困難になるおそれがあるため、2005年1月1日付けで反対声明を公表した。さらに、2007年1月1日からは同趣旨の請願署名を開始した[23]

日本国外ではその時点で、エリック・エルドレッドEric Eldred)やオーストラリアプロジェクト・グーテンベルクの活動が著作権保護期間延長によって困難になってきていた。青空文庫が延長反対を表明し、請願署名をおこなったのも[24]、そうした前例を受けてのことである。

2015年10月5日に大筋合意に達した環太平洋経済連携協定(TPP)の中に著作権の保護期間延長を求める条項が含まれており、妥結の結果法改正が行われると青空文庫の活動にも影響が生じることから、今後を懸念する意見も出た[25]

その後、上記のTPPに対応した改正著作権法が成立し、2018年12月30日より施行された[26]。これに伴い、法改正がなければ2019年にパブリックドメインになるはずだった、1968年死去の著作者による作品の公開は20年後まで延期となった[26]。青空文庫ウェブサイトでは2019年1月1日付で、公開を予定しながら法改正により延期した著作者28人のリストを掲載した[27]。1月10日に関係者などが開いた「著作権延長後の世界で、我われは何をすべきか」というシンポジウムでは、保護期間でも著作者の同意のある作品や著作権者不明作品の公開も検討対象となっていることが報告された[26]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 青空文庫トップページ下部の「収録作品数」より。

出典編集

  1. ^ 青空文庫 Aozora Bunko - ウェイバックマシン(2019年1月1日アーカイブ分)
  2. ^ 青空文庫収録ファイルの取り扱い規準
  3. ^ a b 青空文庫の仕組みのページより。
  4. ^ a b c d 「(文化の扉)はじめての青空文庫 タブレット広まり利用者急増」朝日新聞2012年1月23日31ページ
  5. ^ 『青空文庫ものがたり』:新字新仮名 - 青空文庫
  6. ^ 「メディア事情:ネットで文化遺産共有=国立情報学研究所客員教授・岡村久道氏」毎日新聞東京朝刊2006年9月10日26ページ
  7. ^ 青空文庫 2016年-2017年の年間アクセス増率分析 aozorablog 投稿者:POKEPEEK2011 | 投稿日:2018年1月22日
  8. ^ a b 『日本の電子出版を創ってきた男たち: この声を聞かずして、電子出版を語るなかれ。』 ISBN 978-4-86478-002-5 「日本が誇る青空文庫の軌跡」OnDeck編集部 2015年2月6日
  9. ^ 青空文庫への作品収録を望まれる方へ
  10. ^ 青空文庫 分野別リスト
  11. ^ 2011年03月15日 収録作品数1万点 - そらもよう
  12. ^ 工藤ひろえ (2011年3月16日). “青空文庫、収録作品が1万点に到達”. INTERNET Watch. 2019年6月7日閲覧。
  13. ^ 工作員志願者へのお願い (青空文庫)を参照。
  14. ^ 新規公開作品
  15. ^ 青空文庫編 作業の進み方
  16. ^ 青空文庫のしくみ
  17. ^ 「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 - ATND
  18. ^ aozorahack - GitHub
  19. ^ HTML版工作員作業マニュアル 2.入力-1(青空文庫)→(5)特殊な表記
  20. ^ 視覚障碍者読書支援協会”. 視覚障碍者読書支援協会. 2011年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月7日閲覧。
  21. ^ 富田倫生〈イネーブル・ライブラリー〉としての青空文庫」『現代の図書館』第37巻3号(通巻 151)、日本図書館協会、1999年9月、 176-181頁、 ISSN 0016-6332
  22. ^ 「リンク」ページ(青空文庫)
  23. ^ 2005年01月01日 著作権保護期間の70年延長に反対する - そらもよう
  24. ^ 著作権保護期間の延長を行わないよう求める請願署名 (最終更新 2008年10月13日、青空文庫)
  25. ^ TPPの著作権保護期間20年延長で「青空文庫」はどうなる?”. THE PAGE(ザ・ページ) (2015年8月8日). 2019年7月17日閲覧。 [1]
  26. ^ a b c “「青空文庫がやせ細っていく」 著作権保護「70年」、新規作品公開が凍結され対応模索”. ORCON NEWS(弁護士ドットコムニュースからの転載). (2019年1月12日). https://www.oricon.co.jp/article/669879/ 2019年1月14日閲覧。 
  27. ^ 2019年01月01日 20年先の種を蒔く――真実は時の娘 - そらもよう

関連文献編集

  • 『青空文庫へようこそ――インターネット公共図書館の試み』青空文庫・本とコンピュータ編集室、トランスアート〈Honco双書〉、1999年11月11日、初版。ISBN 4-88752-115-4 - 青空文庫と季刊『本とコンピュータ』編集部との共同編集。
  • 『インターネット図書館 青空文庫』野口英司、はる書房、2005年11月15日、初版。ISBN 4-89984-072-1 - DVD-ROM1枚が資料として付属している。
  • 『青空文庫 全』 - 2007年10月末から全国の公共図書館に無償配布したDVD-ROM付き小冊子[1]。なお、DVD-ROMの内容はBitTorrentで配信されている[2]

関連項目編集

外部リンク編集