非ニュートン流体
非ニュートン流体(ひニュートンりゅうたい、英: Non-Newtonian fluid)は、流れの剪断応力(接線応力)と流れの速度勾配(ずり速度、剪断速度)の関係が線形ではない粘性の性質を持つ流体のこと。
ニュートン流体に当てはまらない流体の総称を指し、この流れのことを非ニュートン流動(non-Newtonian flow)と言う。
ニュートンの粘性法則編集
ニュートンの粘性法則において、剪断応力(接線応力)τxy は、流れの速度勾配(ずり速度、剪断速度)∂ux /∂y に比例する。
ニュートン流体の場合、その比例係数μは定数となり次式で表される:
したがって、流れの粘性の度合いはその比例係数である粘性率 μ の大きさによって表される。
非ニュートン流体とは、剪断応力と速度勾配がこのような比例関係にない流体の総称である。
構造編集
非ニュートン流体のミクロな構造は、Merrillによって以下のように分類されている。各分類において所属物質をほぼ包括した特性があることが指摘されている[1]。
- 巨大分子が液状として存在する。
- 固体粒子が懸濁状で液体中に存在する。
- 低分子成分の液中で、剪断応力が大きいため局所分子配列がかく乱されるもの。
モデルと分類編集
非ニュートン流体のモデル(構成式)として、次式が考えられている:
ここで、τxy は剪断応力(接線応力)、τo は降伏強度、ηは非ニュートン粘性、∂ux /∂y は流れの速度勾配(ずり速度、剪断速度)、n は定数である。非ニュートン流体の性質は上式の指数n によって次の3種に大別される:
- ダイラタント流体(Dilatant Fluid)
- τo = 0 , n > 1
- 擬塑性流体(Pseudoplastic Fluid)
- τo = 0 , n < 1
- ビンガム流体(Bingham Plastic)
- τo > 0 , n = 1
ダイラタント流体は流れが強くなるほど流動しにくくなる(速度勾配が大きいほど剪断応力が増加する)流体、擬塑性流体は流れが強くなるほど流動しやすくなる(速度勾配が大きいほど剪断応力の増加が減少する)流体、ビンガム流体は一定の剪断応力に達しないと流動を始めない特徴になる。これらは流れの弾性的な性質が表される。
脚注編集
注釈・出典編集
- ^ 城塚正; 平田彰; 村上昭彦 『移動速度論』オーム社、1966年、174頁。ISBN 4-274-11910-6。