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音速雷撃隊』(おんそくらいげきたい)は、松本零士による漫画作品。週刊少年サンデー小学館1974年(昭和49年)15号に掲載された。

目次

概要編集

第二次世界大戦末期、「人間爆弾」「BAKA BOMB(馬鹿爆弾)」と揶揄された特攻兵器である桜花と、その搭乗員、そして桜花の運用母機となった一式陸攻搭乗員たちの悲壮な戦いを描いた作品である。ただ単純に搭乗員たちの奮闘をヒロイックに表現するばかりではなく、敵役となる米軍の視点に立った描写もあり、敵味方関係なく感じられる普遍的な戦争の無常感や侘びしさを描いている。

戦場まんがシリーズ』と呼ばれる松本零士の作品群の1篇であり、1993年にはOVA作品『ザ・コクピット』の第2話としてアニメ化された。

あらすじ編集

太平洋戦争末期、沖縄に展開する米機動部隊に抗するために編成された桜花特別攻撃隊であったが、重厚な米軍の邀撃態勢と桜花そのものの運用の困難さもあって、思ったような成果をあげられずにいた。そんな中、図らずも桜花による特攻に頓挫し、ただひとり基地に生還した野中少尉は、引き続き特攻を行うため新たな一式陸攻搭乗員たちと相見える。一式陸攻の機長・山岡中尉は戦争で死んだ大勢の若者たちがあと30年生きていたらと思いを馳せるが、仲間を失った米軍の搭乗員たちも同じ思いであった。

翌日、再びの出撃となった桜花特別攻撃隊だったが、米軍の激しい迎撃に遭い、野中と桜花を搭載した一式陸攻は米艦隊に接触する以前に被弾・炎上する。桜花と自分を投棄して逃げろと懇願する野中であったが一式陸攻は飛び続け、ついに米艦隊の目視圏内まで到達することに成功し、桜花を切り離した。バラバラになって燃え墜ちていく一式陸攻を背に、野中を乗せた桜花はロケットモータを点火し米空母への特攻を成し遂げたのだった。

沈みゆく米空母の艦長は広島に原子爆弾が投下されたことを知り「敵も味方もみんな狂っている…」と呟き、爆沈する米空母と運命を共にする。

登場人物編集

大日本帝国海軍関係者編集

野中[1]少尉
桜花操縦士[2]。階級は海軍少尉。両頬に凄味のある縫合痕を持つが、使命感が強く穏やかな青年である。ロケット工学を学びロケット技師を目指していたが、奇しくもロケット兵器である桜花の搭乗員となる。もはや避け得ない自身の死に対しては覚悟ができている様子であるが、山岡ら一式陸攻の搭乗員に対しては最期まで気遣いを忘れることはなかった。
山岡中尉
桜花の母機となる一式陸攻の機長。海軍中尉。特攻すれば確実に死ぬ野中に対して親身に接する。敗戦や死を覚悟しているためか飄々とした雰囲気であり、それは他の一式陸攻搭乗員たちにも共通している。
沖海一飛曹[3]
桜花の母機となる一式陸攻の副操縦士。海軍一等飛行兵曹
股上上飛曹[4]
鳥目一等水兵[5]
OVA版では桜花の母機となる一式陸攻の尾部後方機銃手。
遠山三等水兵[6]
OVA版では桜花の母機となる一式陸攻の胴体側方旋回機銃手。
畑二等水兵[5]
OVA版では桜花の母機となる一式陸攻の胴体側方旋回機銃手。
大川二等水兵[5]
桜花の母機となる一式陸攻の搭乗員たち。
護衛戦闘機隊操縦士[7]
桜花特別攻撃隊を護衛する零戦の操縦士。自身も頭部に怪我を負った身ながら、桜花隊を全滅させてしまったことを野中に侘び、次は体当たりしてでも護衛すると告げた[8]

アメリカ軍関係者編集

米直衛戦闘機隊パイロット[9]
米機動艦隊に所属するパイロット。人間爆弾「桜花」を使う日本軍をキチガイの集団と呼び、機動部隊を護るために容赦ない攻撃を桜花特別攻撃隊に見舞う。乗機のF6Fには、旭日旗5、日章旗5の計10機分の撃墜マークがペイントされており、相応のエースであることが窺える。
米空母艦長
米機動艦隊に属する空母[10]の艦長。作中で階級は明かされてはいないが襟の階級章は星3つであることから、中将と思われる[11]

民間人編集

琴を弾く女性
野中の出撃前夜、基地の傍らで琴を弾いていた女性。

史実との違い編集

作中では多数の「桜花」を連日投入しているが、史実では大量投入が行われたのは1回だけで、あとは1〜2機程度の小規模な出撃に留まっている他、昭和20年8月6日に桜花部隊を出撃させた記録は存在しない。

脚注編集

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  1. ^ OVA版では姓が野上に変更されている。また名はとされている。
  2. ^ 漫画版では所属などは明記されていないが、OVA版では神雷特別攻撃隊櫻花隊所属とされている。
  3. ^ OVA版では兵曹長とされている。
  4. ^ OVA版では一飛曹とされている。
  5. ^ a b c OVA版では二飛曹とされている。
  6. ^ OVA版では上飛曹とされている。
  7. ^ 漫画版では名前が明かされていない。OVA版では飛行服に取り付けられた名札から土方と読み取れる。
  8. ^ 漫画版ではその後の動向は明確には描かれていないが、OVA版では山岡が指揮する一式陸攻を撃墜しようとした米軍直衛戦闘機隊パイロットのランバートが搭乗するF6Fに体当たりを敢行し、相打ちとなった。
  9. ^ 漫画版では名前が明かされていない。OVA版ではランバードとされている。
  10. ^ 作中では明確な艦名の言及や明瞭な描写はないが、艦影からエセックス級と思われる。
  11. ^ OVA版では星2つ(少将)となっている。