頭のかたちをした花瓶と日本の版画のある静物

頭のかたちをした花瓶と日本の版画のある静物』(あたまのかたちをしたかびんとにっぽんのはんがのあるせいぶつ、: Fleurs sur un fond jaune, : Still Life with Head-Shaped Vase and Japanese Woodcut)は、ポール・ゴーギャン(1848-1903)が1889年に描いた静物画である[1][2]

『頭のかたちをした花瓶と日本の版画のある静物』
フランス語: Fleurs sur un fond jaune
英語: Still Life with Head-Shaped Vase and Japanese Woodcut
作者ポール・ゴーギャン
製作年1889年
種類油彩、キャンバス
寸法72 cm × 93 cm (28 in × 37 in)
所蔵テヘラン現代美術館英語版テヘラン

2016年現在は、イランテヘラン現代美術館英語版が所蔵している[3]

歴史 編集

1888年から1889年頃、ゴーギャンは日本の木版画である浮世絵に熱中していた[2]。「リンゴと水差しのある静物」などの背景に描かれていた浮世絵が、この「頭のかたちをした花瓶と日本の版画のある静物」にも描かれている[2]。なお、この絵の中に描かれている浮世絵は、歌舞伎俳優を描いたものである[2]

この油絵の以前の所有者は、ヨーゼフ・ローゼンザフト英語版というホロコーストから辛くも生き延びたユダヤ人ないしユダヤ系ポーランド人(のちに米国へ移住)であった。1945年4月15日にベルゲン=ベルゼン強制収容所から解放されたのちに、生国から強制移住させられたユダヤ人たちのためのコミュニティ "Sh'erit ha-Pletah" の指導者となった彼が1975年の9月に亡くなると、後には膨大な美術品のコレクションが残された。しかしながらこれらは、美術品の購入に関連した負債(一説によると贅沢な暮らしを支えるためにかかった費用とも)を解決するために売却せざるを得なかった。1976年にサザビーズで行われた競売の結果、ローゼンザフトのコレクションは丸ごとすべて、テヘラーン現代美術館が購入することとなった[4]。同コレクションは今でもすべて残っており、同美術館で最も古くからあるコレクションの一つとなっている[4]。1976年の競売では、「頭のかたちをした花瓶と日本の版画のある静物」に140万USドルの値がついた。2015年現在の価値に換算すると4500万USドルに相当する[4]

マフムード・シャーロウィーがテヘラン現代美術館の館長を務めていた時には、ワシントンD.C.ナショナル・ギャラリーロンドンテイト・モダーンが本作を借りる申し入れを行ったが、いずれも断られている[3]

脚注 編集

参考文献等一覧 編集

  • Ives, C.F. (1980). The Great Wave: The Influence of Japanese Woodcuts on French Prints. Metropolitan Museum of Art. ISBN 978-0-87099-228-5. https://books.google.co.jp/books?id=JYgeaV1w9SIC&pg=PA96&redir_esc=y&hl=ja 2016年3月15日閲覧。 
  • Waldman, Peter (2015年11月17日). “Iran Has Been Hiding One of the World’s Great Collections of Modern Art.”. Bloomberg Business. 2016年3月15日閲覧。
  • موسوی‎, صبا‎ (2014年5月14日). “آثار هنرمندان معاصر جهان بر ديوارهاي موزه نگاهي به گنجينه خارجي موزه هنرهاي معاصر تهران ” (ペルシア語). magiran.com. 2016年3月15日閲覧。