類聚三代格(るいじゅうさんだいきゃく)は、平安時代に編纂された法令集。編者は不明[1]

概説 編集

三代格(弘仁格貞観格延喜格)を内容別に「神社事」・「国分寺事」・「庸調事」などと類聚(ジャンル分け)してまとめたもので[1][2]、先行の格に収録されているものは再録していない[3]。成立時期は『日本大百科全書』によれば長保4年(1002年)と寛治3年(1089年)の間とされる[1]。三代格では官司別にまとめており、法典として利用するとき不便である上、平安時代中期に有職故実化の傾向があったため、典例整備事業の一環として成立したとされる[1]

完本が現存せず、不完全な写本が伝わっているのみである[4]。元となる弘仁格、貞観格、延喜格はそれぞれ10巻、12巻、12巻構成であり[3]、『類聚三代格』は15巻[3]もしくは17巻[5]が現存するとされる。『類聚三代格』の写本は12巻本と20巻本が現存し、『本朝書籍目録』では全30巻としているものの[2]、完本の巻数は20巻[5]、30巻[4]など諸説ありで、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』では全30巻の根拠が薄いとしている[3]。また、現存する12巻本と20巻本の写本を合わせても欠落がある[2]

三代の格は弘仁格の目録を除いては現存しておらず、格の原文が含まれる『類聚三代格』は、当時の古代法制の実態を知るために貴重な史料である[3]

12巻本系統の構成 編集

  • 第一巻 - 神社に関する祭幣・託宣・神主・祓い
  • 第二巻 - 造仏・法会・僧職任命
  • 第三巻 - 国分寺・僧の位階・僧の禁忌・地方の講師
  • 第四巻 - 中央官司の廃置・定員
  • 第五巻 - 諸国官僚の廃置・位階
  • 第六巻 - 官僚の給与体系
  • 第七巻 - 公卿の意見、地方役人の取り締まり
  • 第八巻 - 農業奨励・租税・金銭貸借
  • 第九巻 - 班田・公営田・墾田・山川藪沢
  • 第十巻 - 天皇・宮中の食膳・恩赦・文書・印
  • 第十一巻 - 軍隊・徴兵・相撲・駅・材木
  • 第十二巻 - 各種の禁令・刑罰

20巻本系統の構成 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d "類聚三代格". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2023年4月17日閲覧
  2. ^ a b c "類聚三代格". 世界大百科事典 第2版. コトバンクより2023年4月17日閲覧
  3. ^ a b c d e "類聚三代格". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンクより2023年4月17日閲覧
  4. ^ a b "類聚三代格". 百科事典マイペディア. コトバンクより2023年4月17日閲覧
  5. ^ a b "類聚三代格". 旺文社日本史事典 三訂版. コトバンクより2023年4月17日閲覧
  6. ^ 農桑. コトバンクより2024年3月27日閲覧
  7. ^ "蠲免". 中日辞典 第3版. コトバンクより2024年3月27日閲覧
  8. ^ "赦除". 普及版 字通. コトバンクより2024年3月27日閲覧
  9. ^ 器仗. コトバンクより2024年3月27日閲覧
  10. ^ 烽候. コトバンクより2024年3月27日閲覧

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集