食作用
食作用(しょくさよう、英: phagocytosis)とは、単球やマクロファージ、好中球等の細胞が体内(組織内、血液内など)にある程度大きなサイズの異物(細菌、ウイルス、寄生虫)や異常代謝物(ヘモジデリンなど)をエンドサイトーシスによって細胞内へと取り込み、分解する機構のこと。貪食作用とも。 食作用は異物に対する免疫系の最前線であり、自然免疫に分類される。
食作用と獲得免疫の誘導編集
エンドサイトーシスにより取り込んだ異物は食胞(ファゴソーム、phagosome)となり、細胞質中の水解小体(リソソーム、lysosome)と結合し異物はプロテアソームにより分解される。
この詳細な機構については「抗原提示細胞」を参照
また、異物の分解産物の一部は細胞膜表面に提示され、これをリンパ球(T細胞)が認識する。このことによりT細胞の分化が生じ、抗原に特異的な免疫である獲得免疫(細胞性免疫あるいは液性免疫)が誘導される。
原生生物編集
多くの原生生物では、食作用は栄養の一部または全部を提供する摂食手段として使用される。これは貪食栄養と呼ばれ、吸収によって起こる浸透圧栄養とは区別される。
- アメーバなどでは、食細胞と同様に、標的物体を仮足で囲むことによって食作用が起こる。アメーボゾアの一種であるヒトの赤痢アメーバは赤血球を貪食することがある。
- 繊毛虫では細胞内の細胞口と呼ばれる溝または窪みで食作用が起こる [1]。
免疫細胞の場合と同様に、得られたファゴソームは消化酵素を含むリソソームと融合して、ファゴリソソームを形成する可能性がある。次に、食物粒子が消化され、放出された栄養素は、他の代謝プロセスで使用するために細胞質ゾルに拡散または輸送される [2]。
参考項目編集
脚注編集
- ^ “In the polymorphic ciliate Tetrahymena vorax, the non-selective phagocytosis seen in microstomes changes to a highly selective process in macrostomes”. The Journal of Experimental Biology 205 (Pt 14): 2089–97. (July 2002). PMID 12089212.
- ^ Montagnes, Djs; Barbosa, Ab; Boenigk, J; Davidson, K; Jürgens, K; Macek, M; Parry, Jd; Roberts, Ec et al. (2008-09-18). “Selective feeding behaviour of key free-living protists: avenues for continued study” (英語). Aquatic Microbial Ecology 53: 83–98. doi:10.3354/ame01229. ISSN 0948-3055.
- ^ “Mixotrophy of a photosynthetic flagellate viewed from an optimal foraging perspective”. Protist 154 (1): 91–8. (April 2003). doi:10.1078/143446103764928512. PMID 12812372.